ハチミツとクローバー(ハチクロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハチミツとクローバー』は羽海野チカにより宝島社、集英社に2000年から2006年にかけて連載された漫画作品。及びそこから派生するテレビアニメ、実写映画、テレビドラマである。「ハチクロ」という略称で親しまれる。
テレビアニメ第一期が2005年、第二期が2006年に放送された。
美術大学を舞台に、大学生達の報われない片思いや芸術への想いが描かれている。

『ハチミツとクローバー』のあらすじ・ストーリー

美術史教師の花本に従兄妹だと紹介された花本はぐみ。

美大生である竹本祐太は、同じアパートに暮らす先輩の森田や真山とともに大学生活を送っていた。
大学一の「変人」、「問題児」として知られる森田は、時々突然姿を消したかと思うとある日憔悴しきった姿で大金を手に帰ってくるといった不可解な行動をとる。
しかしその事には触れず、竹本や真山に対しては常に傍若無人に振る舞い、周囲を振り回していた。
そんな森田だがクリエイターとして非常に優れた才能を持っている。竹本は彼の才能に対して劣等感を抱いているが、森田は竹本を弟のように可愛がっている。
真山は、恩師である花本修司の紹介で建築デザイン事務所で働き始める。そこの経営者である原田理花は交通事故で夫を失い、自らも後遺症で足に障害を抱えている。(以下「原田」とだけ書いてある場合は理花の夫のことを指す)
そんな彼女を慕う真山は、彼女を支えたい気持ちが膨らんでいき無様だががむしゃらに追いかけ続けていく。
真山に恋をする山田あゆみはその姿を見て傷ついていた。陶芸科所属のあゆみは才能と美貌を兼ね備え、周囲の男性からは引く手あまただが、どうしても真山に対する恋心を捨てられないでいる。その気持ちに対し、応える事はできないのだが「守りたい存在」として側に置いておきたいと考える真山は、自らの矛盾に葛藤する。その優しさが、あゆみの恋心を増長するとともに、傷つけてもいた。
そんな仲間たちに囲まれている日々の中、ある日竹本は一人の見知らぬ少女に一目ぼれしてしまう。その少女は、竹本達の通う大学の美術史教師である花本の従兄妹、花本はぐみだった。
彼女はおとなしく口数も少ないが、芸術に関する圧倒的な才能をもっていた。森田も次第にはぐみに興味を持ち、やがて愛するようになる。森田とはぐみ、二人の才能はお互いを認め合い、特殊な形の絆で結ばれるが、それは「恋愛」と呼べるような物ではなかった。
花本は実の娘のようにはぐみに対して無償の愛を注いでいた。そんな彼はかつて原田と理花と三人で青春時代を過ごしていた。原田と理花は恋人関係である傍ら、花本は理花への密かな想いを隠し続けていた。やがて結婚した原田と理花だが、事故で原田が亡くなってしまう。夫の死に心傷つき、後を追おうとする理花を必死で支えてきた花本だったが、彼女を自立させようと思い真山を理花の側に置くことにしたのだった。

様々な片思いが交錯しつつも朗らかに過ぎていく学生生活。卒業後に真山が理花の事務所で働くようになり、留年を繰り返す森田も学校に来ない日が増えるようになる。就職にまつわるストレスで思い悩む竹本は自転車一つで自分探しの旅に出る。それぞれが少しずつ動き始めた時、事故がおきる。
学園祭準備中運んでいたガラスが落下し、そのせいではぐみが手に怪我をしてしまう。命に別状はないが、再び絵を描けるかどうか分からず、長いリハビリを要することになる。
それをきっかけに、竹本と森田はそれぞれはぐみに告白をする。二人の気持ちを受け取れず、二人を振ったはぐみが選んだのは、驚く事に保護者同然の立ち位置にいたはずの花本だった。再び絵が描けるようになるため、はぐみは花本の残りの人生を自分に欲しいと言い、花本もそれを快諾。はぐみの事を、女性として好きだとはっきり認める。
卒業後東京を離れる事となった竹本は、旅立ちの電車の中で涙ながらに友と過ごした五年間の思い出を噛みしめるのだった。

『ハチミツとクローバー』の登場人物・キャラクター

主要人物

花本はぐみ(はなもと はぐみ) CV:工藤晴香

油絵科で、初登場時18歳。通称「はぐ」。
天性の才能を持っており、彼女の作品は多くの人を惹きつける魅力があった。竹本達と出会うまでは友達もおらず人見知りをする性格だったが、同じく突出する森田の才能に少しずつ惹かれていく。
芸術家としての未来に興味はなく、大学卒業後は田舎に帰り絵を描こうと考えていた。しかし学園祭の時に倒れたガラス板の下敷きになり、利き手の神経を傷つける大けがをしてしまう。元のように絵を描けるまでに回復する保障はないという絶望的な状況の中、わずかな希望にかけリハビリを続ける事を決意。
それを支えてもらう相手として、森田でも竹本でもなく、花本を選んだ。それは今までの「保護者」のようなものではなく、「人生をともにするパートナー」として、であった。

竹本祐太(たけもと ゆうた) CV:神谷浩史

建築科で、初登場時19歳。父親を早くに病で亡くし、母親と二人で生きてきた。ずっと一人で母親を支えてきており、家事全般が得意で手先が器用。
就職が上手くいかず、自分が何をしたいのかも分からず途方にくれてしまった時、思い立って自転車で旅に出る。周囲はこれを「自分探し」と呼んで囃していたが、本人はそのつもりはなかった。
松島での修復士達との出会いを経て、日本最北端の宗谷岬に到着。心身ともに成長し帰ってきた彼は、はぐみに告白する。
卒業後は東京を離れ、修復士達に合流することを決意。出発の日、はぐみから餞別として四葉のクローバーが入ったハチミツサンドをもらう。仲間と過ごした五年間を振り返り、涙ながらにハチミツサンドを噛みしめ、旅立っていく。

森田忍(もりた しのぶ) CV:うえだゆうじ

彫刻家→日本画科。初登場時24歳。様々な芸術的才能を有するが、出席日数が少ないなどの理由で留年を繰り返している。
はぐみに惹かれていくのだが、竹本の気持ちにも気づいており、自らの気持ちをごまかすようにしている節がある。
かつて父親の研究所をフロイド・エレクトリック社に奪われた過去をもち、兄とともに密かに復讐を誓っていた。兄と二人でフロイド・エレクトリック社の株式を買収することでその復讐は遂げられたが、買収後に前社長と家族の生活は守れるよう根回しをするなど、優しさが垣間見える。
はぐみの怪我の知らせを受け、彼女を連れ去り告白するも振られてしまう。
卒業後は映画製作の仕事に従事する。

真山巧(まやま たくみ) CV:杉田智和

建築科で初登場時22歳。優秀で、しっかりした性格の常識人。長身、メガネ、赤い癖毛が特徴。
あゆみから恋心を寄せられているが、本人は原田理花一筋である。しかしあゆみに対しても冷徹にはなれず、自身の心の矛盾に葛藤している。
本来は常識人であるはずだが、理花に対してはストーカー紛いの行動をとったりと「変態」呼ばわりされる事もしばしば。
過去のトラウマに悩む理花を強引に彼女の故郷に連れて行くなど男らしい姿を見せ距離も縮まったが、まだまだ完全に認められたわけではない様子。

山田あゆみ(やまだ あゆみ) CV:高橋美佳子

陶芸家で、初登場時21歳。通称「あゆ」。その才能と美貌から、周囲の男子からは引く手あまただが、本人は真山一筋。
真山への恋心が報われないとは知りつつも諦めきれないでいる。それでも優しい真山にさらに惹かれては、葛藤が続く。
空手経験者で、怒ったりパニックになった時周囲の人間に踵落としをお見舞いすることもある。
料理のセンスが非常に特殊。
後に真山のデザイン事務所の先輩である野宮から猛アプローチを受ける。真山一筋ため拒絶を続けるも、実らない恋に傷心している彼女は野宮の想いに次第に心を開くようになる。

花本修司(はなもと しゅうじ) CV:藤原啓治

竹本達の通う美大の美術史教師。初登場時30歳と少々。
森田や竹本達を優しく見守る寛大さを持ち、従兄妹であるはぐみを溺愛している。
かつて原田、理花とは親友で青春時代をともに過ごした。夫である原田を亡くした理花を立ち直らせようと側にいたが果たせず、今はその役目を真山に託した。
はぐみが怪我をした後、残りの人生をはぐみにあげて彼女のリハビリに付き合うと誓う。最後には保護者としてではなく、はぐみの事が好きだと認めている。

原田理花(はらだ りか) CV:大原さやか

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