東のエデン(Eden of the East)のネタバレ解説・考察まとめ
『東のエデン』とは、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」にて放送されたテレビアニメである。同枠初のオリジナルストーリーであり、原作・脚本・監督は神山健治、キャラクター原作は羽海野チカ。アニメーション制作はProductionI.G。記憶喪失の青年が謎の携帯電話によって、日本全国を賭けたゲームに巻き込まれるサスペンス・アクション。テレビアニメ放送後、映画化もされており、「ノイタミナ」初の映画化作品となる。
『東のエデン』の概要
『東のエデン』は2009年4月より同年6月までフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」にて放送されたテレビアニメである。「ノイタミナ」初のオリジナルストーリーであり、原作・脚本・監督は『攻殻機動隊S.A.C.』の神山健治、キャラクター原作は『ハチミツとクローバー』や『3月のライオン』を手掛けた羽海野チカ、アニメーション制作は『攻殻機動隊S.A.C.』や『ギルティクラウン』などを手掛けたProduction I.Gである。「ノイタミナ」の15作品目にあたり、「ノイタミナ」の名前を一躍有名にした、代表作の一つである。2009年11月と2010年3月には2部作に渡って、テレビアニメ版のその後のストーリーを描いた映画も発表されており、「ノイタミナ」初の映画化作品でもある。
物語の主人公は、記憶喪失の青年・滝沢朗。記憶もないまま、全裸姿だったが、唯一手にしていたものは「ノブレス携帯」と呼ばれる謎の携帯電話と拳銃だった。その携帯電話には82億円もの電子マネーが入っていた。そんな滝沢は大学卒業旅行中だった森美咲と出会い、咲の所属する大学サークル「東のエデン」を巻き込んで、この国の「空気」に戦いを挑むのだった。「王様のいないこの国で、彼は王子様になった」というサブタイトルがあり、戦後復興期の勢いも消え、ニートや非正規労働者、ワーキングプアなど、日本はいつの間にか世界でも社会問題が多い現代国家となっていた。そんな淀んだ「空気」に自ら損な役回りを演じ、国の救世主となるべく戦った滝沢と、それを見守った咲の11日間の物語である。
世界観は『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの前時代にあたるとされている。原作・脚本・監督を務めた神山健治が同作品の監督を務めており、またアニメーション制作を担当しているProduction I.Gも同作品の制作元であるため、作品間でも繋がりが多く存在する。
政治・経済・社会問題などをエンターテインメントとして映像化し、日本のアニメーションとしての評価は高く、第14回アニメーション神戸賞作品賞・テレビ部門受賞、東京国際アニメフェア2010・第9回東京アニメアワード優秀賞テレビ部門を受賞している。2009年(平成21年)度文化庁メディア芸術祭(第13回)審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)にも選ばれた。
『東のエデン』のあらすじ・ストーリー
第1話「王子様を拾ったよ」
卒業旅行でワシントンD.C.を訪れた大学生・森美咲は、警官とトラブルになっていたところを全裸の青年に助けられる。
青年は記憶喪失で謎の携帯電話と拳銃だけを持っていた。携帯はコンシェルジュと名乗る謎の女性・ジュイスに繋がり、青年はひとまずジュイスから送られてきた地図のもとへ向かう事にする。そこには自宅らしきアパートがあったが、住んでいた記憶がない。
アパートのクローゼットには大量の銃と、いくつもの偽造パスポートと思われるものが入っていた。さらにそこには大量の裸の男たちを見下ろしてピースをする青年の姿が写った写真があった。
一方、滝沢に渡したコートのポケットにパスポートを入れたままだったことに気付いた咲は、青年を追いかけアパートを訪れる。青年は咲のパスポートと偽造パスポートを見比べ、咲と年の近いパスポートに書いてあった「滝沢朗」という名前を名乗ることにした。
ホワイトハウスから二人をマークしていた警官を機転でかわし、滝沢は咲と共に日本へ帰国する。
空港についた二人はそこで東京にミサイル攻撃があったというニュースを知る。
第2話「憂鬱な月曜日」
日本へと帰国した滝沢と咲の二人は、去年の11月の月曜日に東京にミサイルが放たれた「迂闊な月曜日」事件のことを知る。幸い事前に爆心地近くの住民が避難しておりほとんど死者が出なかった。
そんなときジュイスから滝沢の携帯に着信が入る。滝沢はジュイスに自身のことや携帯のことについて尋ねる。ジュイスは滝沢から頼まれて記憶の消去方法を伝えたこと、そしてその携帯には82億円が入っており、その全額を使い切る義務があること、用命があれば何でもできることを伝える。
無事空港から出られた二人。滝沢は咲と共にパスポートの住所である豊洲へ向かう。
空港の外では、刑事の近藤が車で滝沢と同じ形の携帯電話を見ていた。滝沢のほかにも全部で12人セレソンとよばれる選ばれし者が存在し、滝沢はセレソンナンバー9。12人のセレソンそれぞれがこの「ノブレス携帯」という携帯電話を持っているのだった。そして、それぞれのお金の使い方は他のセレソンにも共有されていた。近藤も、滝沢と同じくセレソンの一人であり、セレソンナンバー4だった。
近藤はジュイスに依頼して自分に付きまとう借金取りの二人を射殺させ、さらに目撃者の一般人を殺させた。殺害の料金として近藤はノブレス携帯の残金をほとんど使ってしまったが、滝沢のノブレス携帯を奪ってさらに金を手に入れようと考えていた。
第3話「レイトショーの夜に」
パスポートの住所につくと、そこは廃墟となったショッピングモールで、ホームレスの温床となっていた。滝沢が持っていたカギで中に入ると、そこに翼の形をしたリードを着けた犬がいた。犬が滝沢になついていることから、滝沢の家はここで間違いないようだった。犬に先導されてモール内を進む滝沢と咲。
窓の外を見ると、そこの壁には「滝沢朗ぜってー殺す」という文字が。それは滝沢がワシントンD.C.の自宅で見た写真と同じ場所だった。滝沢は、自分が一体ここで何をしていたのかと疑問を持つ。
犬に案内されてたどり着いたのはシネコンで、その奥のVIPルームが滝沢の部屋となっていた。咲は滝沢にあるフランス映画をリクエストし、上映室でその映画を鑑賞する。
そのころ、咲の大学サークル「東のエデン」の仲間たちは、行方が分からない咲を探してファミレスにいた。サークルのリーダー格でインテリ眼鏡の男子大学生・平澤、咲に一方的に好意を寄せる男子大学生・大杉、平澤のいとこで天才プログラマーの女子大学生・みっちょん、性別年齢不明の自称大学生・おネエ、一番年下で情報収集役の男子大学生・春日の5名だ。咲の携帯が繋がらないことを心配する大杉。一方みっちょんの元には咲から「今日はみっちょんのところに泊まるってことにしておいて」というメールが届いていた。咲に好意を寄せる大杉にその事実を伝えないまま、5人はそれぞれ帰路につくのだった。
一方、滝沢の後を追って豊洲へ来た近藤も滝沢のいるシネコンにたどり着く。こっそりと滝沢に近づく近藤だが、滝沢はすでに監視カメラで近藤の接近に気づいていた。
滝沢は近藤に自分が記憶を失っていることを明かし、セレソンのことなど色々教えてほしいと伝える。そんな滝沢を近藤は容赦なく殴りつけ、滝沢のノブレス携帯を奪う。そして滝沢に向かってノブレス携帯の残高がゼロになると、サポーターという者が持ち主を殺しに来るのだと伝えて去っていくのだった。
翌日、犬に起こされた滝沢は、映画を観終わった後帰った咲からのメッセージを読む。そして昨日近藤から殴られながら奪った警察手帳を手に、バイクに乗って走りだすのだった。
一方近藤は愛人に「一生遊べる金を手に入れた」とメールを送って、自身のノブレス携帯に入っている残高を全て使い切る。そして、滝沢から奪ったノブレス携帯を開こうとするが、なぜか操作が出来ない。ノブレス携帯には指紋認証があるため、他者には絶対に使えないのだった。そこで滝沢から連絡があり、近藤に警察手帳を返してあげると持ち掛けられる。近藤は歌舞伎町へと滝沢を呼び寄せた。
滝沢との待ち合わせ場所で待つ近藤の元に、近藤の妻が現れる。近藤が愛人に宛てたメールは、妻へと送られていたのだった。妻の手には包丁が握られており、近藤はその包丁で刺される。滝沢が遅れて到着すると、そこには絶命寸前の近藤がいた。救急車を呼ぼうとする滝沢を制止し、近藤は滝沢にセレソンのことやゲームのことについて自分の知りうる情報を話して息絶えた。近藤は最後に滝沢が2万人のニートをミサイルの標的にしたのではないか、滝沢自身が「サポーター」ではないかと問うが、滝沢には何のことかわからなかった。
第4話「リアルな現実 虚構の現実」
ショッピングモールから帰った咲を出迎えたのは、咲の姉の旦那で、かつて咲が片思いしていた良介だった。
豊洲のショッピングモールに戻った滝沢は、ジュイスに電話をして2万人のニートを殺したのかとたずねる。しかしジュイスは「彼らのその後は把握していません」と答える。続けて、なぜセレソンに選ばれたのかと問う滝沢。しかしこれに対してもジュイスはセレソンの選抜基準は聞いていないと答える。次に滝沢はサポーターについてジュイスに尋ねると、サポーターというのは12人のセレソンの一人であり、救世主に不適格なセレソンを排除する役目を担うシステムであるが、そのサポーターが滝沢かどうかは分からないと答えられる。ジュイスに自分の事を聞いても無駄だと悟った滝沢は、近藤が言っていた「ほかのセレソンに聞け」という言葉を思い出し、5番のセレソンに注目するのだった。
滝沢は5番の足跡をたどり、出所不明の資金源で経営破綻の地方病院を買収したことで話題となった「火浦総合病院」を訪れ、院長の火浦と面会する。火浦は滝沢がサポーターであると疑い、滝沢に睡眠薬を飲ませる。
滝沢が目を覚ますと、傍らに置かれたノブレス携帯からMR.OUTSIDEと名乗る男からの電話がかかってきた。MR.OUTSIDEはこの国を救う救世主として12人のセレソンを選び、そのうちの一人をサポーターに任命したこと、救世主としての使命を果たせなかったセレソンはサポーターによって消されること、最終的に生き残れるのは最初に使命を全うした者のみであることなどを語る。
しかし実際には電話の相手はMR.OUTSIDE本人ではなく火浦であった。火浦は自分がノブレス携帯をもらったときの電話を再現して滝沢に聞かせたのだった。
火浦は医者としてより多くの人を救える理想の病院を作り上げるため、病院の買収や県議会の買収費用で100億円を使い果たした。自分の死を覚悟した火浦は滝沢に「そのままの君でいればいいんじゃないか」と言い残してゲームから退場していった。
第5話「今そんなこと考えてる場合じゃないのに」
都心のあるホテルの一室で、セレソンの一人白鳥・D・黒羽は局部を切られた男性の死体処理をジュイスにお願いしていた。
一方、滝沢はセレソンゲームの首謀者であるMR.OUTSIDEへの怒りが抑えられずにいた。そこにある青年が通りがかり、「この2か月俺達がどんな目にあったか。消費の楽園に連れていくと言って砂漠のど真ん中に置き去りにしやがって」と言いながら滝沢に殴りかかる。しかし、滝沢が記憶喪失だと知ると「一応、俺はお前のおかげで社会復帰できた」と礼を言って持っていた肉まんを滝沢にあげるのだった。
そのころ咲は、内定者面談に向かうため、大杉と電車に乗っていた。大杉は咲に面談が終わったら一緒にご飯を食べに行こうと誘う。咲は了承するが、心はここにあらずといった様子。
内定者面談で上手く面接官の質問に答えられなかった咲は落ち込むが、そこにジュイスを使って咲の居場所を突き止めた滝沢が待っていた。泣き出しそうな咲をバイクで連れ出す滝沢。
その後ろ姿を目撃した大杉は、春日を誘って三ツ星レストランでヤケ酒を飲んでいた。その後街路でしゃがみこむ大杉のそばに、セレソンNo.11の白鳥が近づいていた。
第6話「東のエデン」
白鳥は、美しい女性が童貞の局部をシガーカッターで切り取る「ジョニー狩り」と呼ばれる都市伝説の犯人で快楽殺人鬼だった。そして白鳥のいるホテルの一室には、大杉のカバンが置かれていた。
一方、咲の悩みを受け止めた滝沢は、彼女をみっちょんの家まで送っていた。その次の日、咲は滝沢の話を大学サークル「東のエデン」の平澤、みっちょん、おネエ、春日に話す。平澤は滝沢を怪しむが、みっちょんとおネエは滝沢に興味を抱き、「東のエデン」起業の助けになるかもしれないと言うことで一度会ってみることになった。
滝沢に会うべく豊洲のショッピングモールへ向かった咲、平澤、みっちょん、おネエの4人。残された春日は昨日から行方不明になっている大杉を探し始める。
ショッピングモールで滝沢と会った4人。滝沢は東のエデンを支援して新たなプランを実行しようと考えていた。滝沢はサークルが作り上げた画像検索認識エンジン「東のエデン」を褒め、これだけの技術があったのになぜすぐに起業しなかったのかと問う。
実は画像検索エンジンが恋人探しや誹謗中傷の道具としても悪用されたため、女子学生一人が退学に追い込まれる事件が起きてしまい、その責任を大学側から問われたのだ。
滝沢を良く思っていなかった平澤は当初乗り気ではなかったが、滝沢の人となりを知り協力関係に同意する。
そこに行方不明の大杉を探していた春日からの連絡が入った。18時間ほど前からとある掲示板にジョニー狩りの被害者らしき者が助けを求める投稿を続けているのだと言う。春日はその人物が大杉だと考えていた。
第7話「ブラックスワン舞う」
合流した春日とともに、一同は大杉と思われる男が投稿を続ける掲示板を調べる。掲示板には大杉がいつもカバンに付けていたエデンのマスコットキーホルダーが映った写真が載せられていた。
おネエはなぜ大杉が直接メンバーに連絡しないで掲示板を使っているのかと疑問を抱く。それに対して春日は、咲に振り向いてもらえない切なさゆえに怪しい女性についていった罪悪感から、エデンメンバーに連絡が出来ないのではと答えた。
掲示板に新しい画像が投稿される。滝沢はその写真に写り込んでいたピアノを画像検索エンジン「東のエデン」で特定し、それを手掛かりに被害者が六本木の「ホテルインソムニア」にいることを突き止めた。
滝沢はジュイスに頼んで白鳥を足止めし、バイクでホテルへと急ぐ。自身も白鳥による妨害に巻き込まれながらも、なんとかホテルについた滝沢。
ホテルの一室で滝沢と白鳥は対峙する。白鳥は「女性の敵を殺して、異国の素敵な男を輸入する」という自身の信念を語り、背中に黒い羽を生やして窓から飛び去って行った。
その際白鳥は被害者の男性を連れ去っていったが、その人物は大杉ではなく指名手配中の強姦魔であった。
第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」
大杉は会社の飲み会に連れていかれていただけで無事だった。カバンがホテルにあったのは、強姦魔の男がそれを拾っていたからだった。
部室に顔を出した大杉は、滝沢と手を組む話を聞かされ滝沢への不信感をあらわにする。大杉は「東のエデン」を使って滝沢の正体を調べようとする。滝沢という名前以外にも多くの偽名があることを知った大杉は滝沢への疑念を深め、一人豊洲へと向かう。そこで「滝沢朗ぜってー殺す」という落書きを見た大杉は滝沢が危険人物だと確信した。
一方滝沢は、自分の記憶と共に消されたノブレス携帯の過去の履歴を見ることを思いつく。
近藤から受け取った携帯を修理できる人間として、京都に住む板津という男の名前が挙がる。滝沢は咲とみっちょんと共に京都へ向かった。みっちょんの話によると板津はとてつもない変人で世間の動きを全て予想するシステムを開発しようとしていたという。
板津の家についた3人。咲とみっちょんが板津から頼まれた買い物をしに行く間に、滝沢は自分がセレソンであることを明かす。2万人ニート失踪事件を他人事でないと調べていた板津は滝沢の話に興味を持ち、滝沢を家に迎え入れる。
第9話「ハカナ過ギタ男」
近藤の持っていたノブレス携帯の解析を了承した板津。押入れの扉を開けるとそこは下の階に繋がっており、コンピューターが所狭しと並ぶ「板津の秘密基地」に滝沢を案内する。
そのころ、セレソンNo.1の物部は京都で、セレソンNo.10の結城と電話をし、セレソンNo.9の滝沢の動向を話していた。結城は日本を攻撃したミサイル事件の犯人であり、それを邪魔しようとした滝沢を邪魔に感じていた。
一方ノブレス携帯を解析していた板津は、近藤の携帯から滝沢自身の過去の履歴を取り出すことに成功していた。それによって、播磨脳科学研究所の洗脳プログラムによって記憶を消したこと、海上コンテナ500個と大型フルコンテナ船2隻チャーターして、ニートをドバイに向けて輸出したことがわかった。外務省へ2万人の身柄確保を働きかけ、2万人の食糧を発注していたことから、ニートを大量虐殺しようとしていたわけではないようだった。
それから、「迂闊な月曜日」には、街頭モニターのテロップを地震速報へ改ざんしたり、街宣車150台、大型バス100台をチャーターしたりして、被害者が出ないようにひそかに動いていた。つまり、滝沢はミサイル計画を予期して、2万人のニートと共に避難するように動いていたのではないかと板津は言う。
参考までにセレソンNo.10の履歴を開くと、そこには日本国主要政令都市6都市を空爆という履歴が残っており、ミサイル事件の黒幕がセレソンNo.10の結城であることがわかった。
そこに咲とみっちょんが帰ってきたため、二人は急いで部屋に戻った。咲たちを巻き込まないよう、滝沢と板津は携帯の履歴は何も残っていなかったと嘘を吐く。
近藤の携帯のさらなる解析を板津に託して部屋を後にする滝沢。たまたま滝沢と白鳥の会話を聞いてしまったことから、滝沢の素性を怪しむ先は、「滝沢くんの携帯には秘密があるんでしょ」と板津を問いただす。しかし板津は「知らない方がいいこともある」と言って口を閉ざした。
一方、滝沢を追っていた物部と結城は板津の家の前で待ち構えていた。板津の家から出てきた滝沢、咲、みっちょんを車から確認した二人は、「滝沢は後からでもなんとかなる」として過去の履歴を解析しているであろう板津に狙いを定める。
板津は「秘密基地」で一人、セレソンたちの過去の詳細ログを開くことに成功していた。そこから衝撃的な事実を掴んだ板津は、急いで滝沢に連絡をしようとするが、板津の携帯電話はすでに契約が切れていた。そこで、解析したデータをとりあえず平澤に全部送信し、咲が買ってくれたサイズが合わない小さなジャージのズボンをどうにか履いて、公衆電話へと向かう。
しかし、外で待ち受けていた物部と結城に板津は車ではねられ気絶してしまう。物部は板津から奪った近藤のノブレス携帯を壊し、はねた車をジュイスに処分させるのだった。
その頃東京に戻ろうとする滝沢の携帯に物部から電話がかかってきた。板津が持っていた滝沢の連絡先から電話番号を知ったのだ。
東京では、大杉に呼びだされた平澤、春日、おネエが豊洲でショッピングモールの「滝沢朗ぜってー殺す」の文字が書かれた壁を発見する。
第10話「誰が滝沢朗を殺したか」
一人京都にとどまった滝沢の前に物部が現れる。
物部はこれから播磨学園都市に行き、そこでゲームをあがるつもりだから一緒に来ないかと滝沢を誘う。携帯の正体や滝沢が記憶を消した理由も教えると言って物部は立ち去った。
そこへ咲からの着信がかかってくる。咲は自分が携帯の秘密に気づいていることを明かし、滝沢に「教えて、滝沢くん、あなたは誰?」と問う。それに対して、滝沢はこれから自分のことを知ってる奴と話すことになったから、このまま電話を繋ぎっぱなしにして話を聞いていてほしいと告げる。そして物部のあとを追う。
一方豊洲にいる平澤、大杉、春日、おネエの4人は、滝沢が2万人ニート失踪事件に関わっていることを知り、さらにみっちょんから滝沢が京都に留まったことを聞かされる。その時、平澤の携帯に携帯では開くことが出来ない容量のファイルが添付された板津からのメールが届く。
物部と共にヘリコプターへ乗り込んだ滝沢は、セレソンゲームについて教えられる。セレソンゲームを始めたMR.OUTSIDEの正体は、日本のフィクサーとして知られる亜東才蔵だった。亜東才蔵はゲームが始まったときにはすでに末期がんを宣告されており、もうすでに死んでいるだろうと物部は言う。
物部は亜東才蔵の権力を引き継いでゲームの勝者となろうとしていた。そして官僚としてのコネクションを利用して播磨脳科学研究所の責任者になり、自分以外の2人のセレソンと協力関係を結んだ。その一人が11発のミサイルを発射した結城であるといい、携帯を通じてその会話を聞いていた咲とみっちょんは驚く。
播磨脳科学研究所の制御室にはもう一人の協力者セレソンNo.2の辻と、ジュイスの本体が待ち受けていた。物部は明日の午前8時に再びこの国を60発のミサイルで攻撃するといい、滝沢にもこの計画に参加しないかと持ち掛ける。物部の狙いは、ミサイル攻撃で既得権益を再分配し、この国の救世主となることだった。
滝沢はこの計画に反対する。そんな滝沢に物部は、「君は、君が助けた人と、君に協力した仲間、双方から裏切られたんだよ」と告げる。
一方豊洲では、平澤、大杉、春日、おネエの4人がPCを使って板津が送ったデータを確認していた。そこに大きな衝撃音がして、急いで外を確認すると、巨大なコンテナ船が豊洲に到着していた。そのコンテナから出てきたのは、2万人の全裸の男たちだった。
記憶を失う前の滝沢が人々から裏切られたことを知った咲は、「そんなのってないよ」と言って泣き崩れる。そこで携帯の充電が切れてしまった。咲は「ミサイルが落ちたときに、もっとすごいことが起きればいいのに」と言ってしまった自分も、滝沢を裏切った人達と同じだと自分を責める。
勝利を確信する物部だったが、セレソンNo.12によってジュイス本体が秘密の場所へ移動されてしまっていたことに気づく。「12番がサポーター、いやMR.OUTSIDEなのか」と言う物部。
そして播磨脳科学研究所を出た滝沢は、コンテナ列車に飛び乗り、どこかへ向かうのだった。
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目次 - Contents
- 『東のエデン』の概要
- 『東のエデン』のあらすじ・ストーリー
- 第1話「王子様を拾ったよ」
- 第2話「憂鬱な月曜日」
- 第3話「レイトショーの夜に」
- 第4話「リアルな現実 虚構の現実」
- 第5話「今そんなこと考えてる場合じゃないのに」
- 第6話「東のエデン」
- 第7話「ブラックスワン舞う」
- 第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」
- 第9話「ハカナ過ギタ男」
- 第10話「誰が滝沢朗を殺したか」
- 第11話「さらにつづく東」
- 『東のエデン』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 滝沢朗(たきざわあきら)
- 森美咲(もりみさき)
- 大学サークル「東のエデン」メンバー
- 平澤一臣(ひらさわかずおみ)
- 大杉智(おおすぎさとし)
- 葛原みくる(かつはらみくる)
- おネエ
- 春日晴男(かすがはるお)
- 主要なセレソン
- 物部大樹(もののべだいじゅ)
- 辻仁太郎(つじじんたろう)
- 北林とし子(きたばやしとしこ)
- 近藤勇誠(こんどうゆうせい)
- 火浦元(ひうらはじめ)
- 直元大志(じきもとたいし)
- 篁カオル(たかむらかおる)
- 立原憲男(たちはらのりお)
- 結城亮(ゆうきりょう)
- 白鳥・D・黒羽(しらとり・ダイアナ・くろは)
- No.12
- そのほかの人物
- 板津豊(いたづゆたか)
- Mr. OUTSIDE(ミスター・アウトサイド)
- JUIZ(ジュイス)
- 江田一彦(えだかずひこ)
- 亜東家四姉妹
- 森美朝子(もりみあさこ)
- 森美良介(もりみりょうすけ)
- 豆柴(まめしば)
- 横瀬兼元(よこせかねもと)
- ジョニークリーチャー
- 石居(いしい)
- 弘瀬悠大(ひろせゆうだい)
- 土橋文也(どばしふみや)
- 飯沼誠次郎(いいぬませいじろう)
- 飯沼千草(いいぬまちぐさ)
- 岩下あや(いわしたあや)
- 『東のエデン』の用語
- セレソン
- サポーター
- ノブレス携帯
- 東のエデン
- 作中の事件
- 迂闊な月曜日
- 11発目のミサイル
- 二万人ニート失踪事件
- ジョニー狩り
- 60発のミサイル
- 世間コンピューター
- 『東のエデン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 火浦:「その君が過去を捨ててまで新しい自分に賭けたわけだから、そのままの君でいればいいんじゃないか」
- 平澤:「俺はニートであるが凄腕のニートであることを自負してきた。ニートではないものの手は借りたくない。持たざる者の、持てる者への嫉妬と思ってくれ」
- 滝沢:「ニートってのは、あがりを決め込んだおっさんたちに対抗するために、一人一人が自発的に始めたテロ行為だろ」
- 滝沢:「あいつらは直列に繋いでやれば、結構なポテンシャルを発揮するんだ。きっと「迂闊な月曜日」の時のように、すごい奇跡を思いつく。」
- 滝沢:「この国には頭のいい連中がいっぱいいるのに、損な役回りをやる奴がいないんだ。できれば、俺だってあんまりやりたくないけれど、一人だけ信じてくれた子がいたから」
- 咲:「自分にとって都合のいい噂で、簡単に自分の意見を変えてしまう無責任な大多数。滝沢くんは一番守りたかった人達に裏切られ、絶望し、記憶を消すしかなかったんだよ」
- 『東のエデン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 監督が同じ作品である『攻殻機動隊S.A.C』シリーズとの繋がりがある
- 登場人物のモデルが『ハチミツとクローバー』の登場人物であるものが多い
- 『東のエデン』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):OASIS『FALLING DOWN』
- ED(エンディング):school food punishment『futuristic imagination』
- 挿入歌:Brenda Vaughn『Reveal the World』