愛してるぜベイベ★★(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『愛してるぜベイベ★★』とは、少女漫画家の槙ようこによって2002年から2005年まで『りぼん』に掲載されていた、イジメなど社会問題や虐待や親の死など家庭問題をテーマに描かれた作品であり、原作をもとにしたアニメ作品である。主人公で高校生の片倉結平が、母親に置き去りにされてしまったいとこで5歳の坂下ゆずゆの母親代わりとして奮闘しながらゆずゆの成長を見守っていく日々の中で、クラスメイトの徳永心との子供ながらも真剣に恋愛をする模様が描かれている。

『愛してるぜベイベ★★』の概要

『愛してるぜベイベ★★』とは、2002年4月号から2005年1月号まで漫画雑誌の『りぼん』で連載されていた現代の東京を主な舞台とする槙ようこの少女漫画である。単行本として全7巻、集英社文庫版として全5巻が発売された。
また、2004年4月から10月までアニマックスで土曜日の19時からの30分間放映される。その後ディズニーチャンネル・tvk・KBS京都・群馬テレビにて、全26話のテレビアニメが放映されたことがきっかけに、全国各地でイベント「ベイベアニメフェスタ」が行われた。アニメ収録のDVDが発売・レンタルされるなど、『愛してるぜベイベ★★』がブームになった。

こどもへの虐待やいじめなどの社会問題について盛り込まれている箇所が多い。しかし、物語内では5歳児や高校生の子供目線で描かれていることから、子供から大人まで楽しみながら読める作品である。

ある日、姉の片倉玲子に呼ばれ東栄高校から帰宅した主人公の片倉結平は、玄関で出迎えた小さな女の子と出会う。その女の子は、結平のいとこの坂下ゆずゆだった。何が起きたかと驚く結平に、母の片倉美沙子が自分の妹である、ゆずゆの母の坂下都が5歳のゆずゆを置き去りにして、姿をくらませてしまった事を説明する。ゆずゆの父親は既に亡くなっているため、片倉家でゆずゆを預かる事になった。
姉の玲子に頭が上がらない結平は、ゆずゆの身の回りの世話をするよう言いつけられてしまう。翌日から結平は、ゆずゆを通う事になったあそう幼稚園への送り迎えや慣れない手つきで弁当を作るなど、母親代わりを必死にやり始めた。そんな日々の中で、結平への恋心からゆずゆに危害を加えようとする女子生徒が現れたり、ゆずゆの友達の虐待を目の当たりにするなど、結平は小さなゆずゆの傷ついた心に必死に寄り添う。そんな結平のことを見守っていた同級生の徳永心もまた、母親と死別し父親の再婚をきっかけに結平に対する気持ちの変化が現れ始め、結平も心に恋心を抱き始める。結平と心がお互いに惹かれあっている様子に気づいたゆずゆは、二人への複雑な気持ちを抱え始める。

『愛してるぜベイベ★★』のあらすじ・ストーリー

片倉家の新たな家族

ゆずゆ(右)の面倒を見ることを決心した結平(左)

片倉結平(かたくら きっぺい)は、東栄高校に通う高校生。成績こそあまり良い方ではないがイケメンな上に気遣い上手で、複数の女の子と同時に付き合うプレイボーイである。
ある時、結平はいとこである坂下ゆずゆ(さかした ゆずゆ)という5歳の少女が自宅に1人でいるのを発見する。ゆずゆの母である坂下都(さかした みやこ)は夫と死別し、自分だけで娘を育てる自信を持てなかったことから、姉一家の暮らす片倉家にゆずゆを置き去りにして失踪してしまっていた。

片倉家の人々は都の無責任な行動に怒ると共に、ゆずゆを自分たちで育てることを決め、結平に当面の世話役を押し付ける。普段から女の子を取っ換え引っ換えしている結平に、子供の世話を押し付けることで灸を据えようという意図からの決定だった。
困惑する結平だったが、新しい環境に戸惑い、急に母親がいなくなってしまったことを不安がるゆずゆを見て、彼女を家族の一員として受け入れようと本気で向き合っていく。

結平とゆずゆと心

生来の天真爛漫さを発揮したゆずゆは、片倉家の環境にもすぐに慣れ、結平のことも兄として、あるいはそれ以上の存在として慕うようになっていく。
そんな折、結平の人間関係にも大きな変化が訪れる。クラスメイトの徳永心(とくなが こころ)と惹かれ合った結平は、やがて彼女をこそ自分の唯一のパートナーだと感じるようになり、それ以外との女友達との関係を断つようになっていく。

「結平のお嫁さんになる」とまで言っていたゆずゆは、心が結平の恋人となることに複雑な想いを抱くものの、互いが打ち解けようと努力した末にこれを受け入れていく。
父子家庭育ちだった心は、父の再婚を機に独り暮らしするようになるも、結平はこれを見兼ねて家族に相談。双方の保護者に許可を取った上で、心を片倉家に居候させる。

紡がれる絆と失われていく想い

同じ屋根の下で過ごす内、心も次第に結平やゆずゆを含めて片倉家の人々と打ち解け、家族の一員となっていく。結平たちの前にはイジメや恋愛など様々な問題が立ちはだかるも、彼らは協力してこれを乗り越え、その都度絆を強くする。
一方、そうやって片倉家の一員としての想いを重ねていくたび、まだ幼いゆずゆは母親である都の顔を思い出せなくなっていく。戸惑うゆずゆを励まし、優しく見守りながらも、結平は彼女が自分を捨てた母親を忘れることが良いことなのか悪いことなのか分からず、自身もまた思考の袋小路に囚われていく。

母との再会

ゆずゆの6歳の誕生日、片倉家に唐突に都が現れる。ゆずゆを片倉家に押し付けた後、彼女は新しい生活基盤を作るために努力を続けていた。就職し、結婚前提の新しい恋人も作り、相手の家族から自分の娘を引き取る許しを得た上で、ゆずゆを取り戻そうと片倉家にやってきたのだった。
「身勝手な話であることは百も承知だが、どうか娘を返してほしい」と泣きながら訴える都。「ゆずゆに“母親に捨てられる”という心の傷を作っておいて勝手過ぎる、あの子にはもう我々や周囲の人々と築いた新たな絆がある」と激怒して追い返そうとする片倉家の人々。互いに頭を冷やそうと、一度そのまま帰ってもらうことになるものの、そこで心と一緒に2階で待機していたゆずゆが下りてきてしまう。

「ママ、行かないで」と言って都にすがりつくゆずゆ。それを見た結平は、ゆずゆに靴を履くように言って、彼女を都の下へと送り出す。ゆずゆが都の下へと駆け寄っていく様を見届けた結平は、彼女への別れの言葉を告げて、振り返ることなく自分の部屋に戻っていく。どれほど家族として愛していても、どれほど離れがたく思っていたとしても、母親の都と一緒にいるのがゆずゆの一番の幸せなのだと考えた結平の、彼女への最後の贈り物だった。
7年後。社会人となって心と結婚した結平の下に、ゆずゆからの手紙が届く。そこには近況報告と、かつて自分のために様々に心砕いてくれたことへの感謝と、「結平お兄ちゃんのことが今でも大好き」という言葉が綴られていた。手紙の内容について心から問われた結平は、言葉少なに応じつつ、かつてゆずゆが片倉家で過ごした日々に思いを馳せるのだった。

『愛してるぜベイベ★★』の登場人物・キャラクター

出典: buhitter.com

主人公とヒロイン

片倉 結平(かたくら きっぺい)

出典: prcm.jp

CV:藤田大助

身長:177 cm
体重:55 kg
誕生日:2月14日
血液型:A型
好きな食べ物:れんこん
将来の夢:結婚

『愛してるぜベイベ★★』の主人公。東栄高校に通う高校生で、片倉家の長男。成績はあまりよくないが、学校では女子生徒にもてているイケメンのため、特定の恋人を作らずに複数の女子生徒と遊んでいた。そのため、何かと頭が上がらない姉の鈴子に、いとこの坂下ゆずゆの母親代わりを押し付けられる。
ゆずゆの世話を通して様々な経験を経て、徐々に良き保護者へと成長する。そんな中、クラスメイトの徳永心の家庭環境を知ったことをきっかけに、心に惹かれ始め恋人同士になる。作品の後半では、一人暮らしをしていた心を家族の承諾を得て自宅に住まわせる。最終巻では、高校を卒業した後も心と一緒に自宅から通勤する様子が描かれている。

少女漫画雑誌の『りぼん』の特集では、最終巻から7年後には心と結婚2年目を迎え、子供も生まれている様子が描かれている。

坂下 ゆずゆ(さかした ゆずゆ)

出典: twitter.com

CV:黒葛原未有

身長:107 cm
体重:17 kg
誕生日:1月26日
血液型:O型
好きな物:ヨーグルト、お絵かき
嫌いな食べ物:漬け物

『愛してるぜベイベ★★』のヒロイン。結平の母方のいとこで5歳児。母親の坂下都に置き去りにされてしまったため、片倉家に預けられることになりあそう幼稚園に通うことになる。自分で描いた絵を結平に褒められることが好き。母親代わりの結平が徳永心と恋人同士になったことに複雑な感情を抱いていたが、徐々に心にもなついていく。
幼稚園で知り合いになった梨谷翔太へ恋心を抱くが、家庭の事情で引っ越すことになった翔太と離れ離れになってしまう。しかし、最終巻で小学生に成長したゆずゆのもとに翔太が訪ねてきたと思われるシーンが描かれている。
連載初期のころの付録では名字が坂下ではなく「五十嵐」となっていた。
漫画版では母親の元に戻る設定になっているが、アニメ版では片倉家に住んだままで終わっている。

徳永 心(とくなが こころ)

出典: anime.dmkt-sp.jp

CV:原史奈

特徴:口数が少ない、ミステリアスなイメージ、料理が上手、寂しがり屋、結平のことが大好き

結平のクラスメイトで『愛してるぜベイベ★★』のもう一人のヒロインである。普段から無口で周囲からは近寄りがたいと思われている。実の母親が6歳の時に亡くなっているため、父親と二人暮らしをしている。高校の後輩によるゆずゆへの嫌がらせをきっかけに、結平と急接近する。その後、恋人同士になる。自分にも母親がいないということもあり、母親に置き去りにされたゆずゆを気にかけていた。その後、少しずつ結平の彼女としてゆずゆにも認められていく。
そんな中、父親の再婚をきっかけに一人暮らしをし始め、寂しさから体調を崩しがちになる。心配した結平の提案で、片倉家の家族の合意のもと、片倉家で一緒に暮らすことになる。

作品の最終巻では、高校卒業後も片倉家から通勤する様子が描かれている。また、7年後には、結平と結婚し子供も生まれている。

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