きらめきのライオンボーイ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『きらめきのライオンボーイ』とは、2016年から2019年まで少女まんが雑誌『りぼん』にて槙ようこが連載した恋愛少女漫画。高校1年生の高野瀬 みわ(たかのせ みわ)が、中条 桐敦(なかじょう きりあつ)というイケメン男子に出会ったことをきっかけに、過去のいじめによるトラウマを克服する。そして、恋愛を通して、人としても成長していくみわの姿を描く。みわ以外のキャラクターたちの恋愛事情も盛り込まれ、主要キャラ以外のストーリーも豊富である。作品名の通り、キラキラとした世界観に包まれた作品となっている。

『きらめきのライオンボーイ』の概要

『きらめきのライオンボーイ』とは、2016年8月号から2019年8月号まで少女まんが雑誌『りぼん』にて、槙ようこが連載した漫画である。コミックスは全10巻。

作者の槙ようこは1999年に高校生でデビュー。その後『りぼん』を代表する作家として活躍するようになる。
2019年に20周年を迎え、引退。代表作に『愛してるぜベイべ★★』『ロマンチカクロック』などがあり、特に人気作となった『愛してるぜベイべ★★』はアニメ化もされている。
『初めて恋をした日に読む話』の作者・持田あきは槙ようこの実の妹であり、2019年に発売したイラスト集『Graduation』で、他の漫画家も交えて対談。姉妹による共作として『ピカ☆イチ』『zen zen』といった作品を発表している。その際、持田あきがシナリオ、槙ようこが作画を担当した。

ストーリーは湘南に住む高校1年生の高野瀬 みわ(たかのせ みわ)が、中条 桐敦(なかじょう きりあつ)というイケメン男子に出会うことから始まる。過去のいじめによるトラウマで恋愛に消極的なみわに対し、桐敦が大胆にアプローチすることで徐々にトラウマ克服を促すこととなる。そして、みわは自身の恋愛に一生懸命向き合うことができるようになっていく。
みわ以外のキャラクターたちもそれぞれ恋愛を楽しんでおり、いろいろなカップルのお話も盛り込みながらストーリーは進んでいく。
神奈川県の湘南を舞台に繰り広げられるストーリーとなっているため、藤沢や江ノ島、みなとみらいなどの描写もあり、そういったところも読者が楽しめる要素となっている。

『きらめきのライオンボーイ』のあらすじ・ストーリー

ドジっ子みわと桐敦(きりあつ)

主人公の高野瀬 みわ(たかのせ みわ)は漫画の世界に恋をする高校1年生。自身のバイブルである漫画『きらめきハート』を常に携帯し、日々過ごしていた。そんなみわの前に、漫画の中に出てくる星(せい)様似のイケメン男子、中条 桐敦(なかじょう きりあつ)が現れる。彼はみわが階段から落ちてしまったところを助け、みわに一目惚れ。学校が同じだったことから、マイペースにアタックし始める。みわは小学生の頃男子にいじめられた経験があり、男子に対して苦手意識を持っていた。そのため、桐敦と関わることに戸惑っていたが、今までとは何かが違うと感じていた。

そんなある日、小学生の頃にみわをいじめていた猪倉(いのくら)が現れる。小学生以来の再会となり、「会いたかった」と言う猪倉。しかし、みわは「私はもう会いたくなかった」と返し、それを聞いてイラついた猪倉から漫画を取り上げられてしまう。そして、「キモイんだよ」と心ない言葉を浴びせられることになるのだった。
そこへ桐敦が現れ、みわと猪倉の間に入り、「男が女いじめるんじゃねぇ」と注意。桐敦の登場で猪倉は撤退し、みわは桐敦にお礼を言ってその場から離れようとするが、桐敦に止められる。泣きながら自分の現実について話すみわ。「まんがの中のヒーローは私を傷つけたりしないから」と、自身のバイブルである『きらめきハート』がいかに大切であるかを話す。すると、桐敦はそのヒーローに自分がなると宣言。そして、みわに告白するがあっさり振られてしまうのであった。

その後、桐敦はみわとの距離を縮めるべく、更にアタックを開始する。先生から頼まれたクリーンフェスタという清掃ボランティアにみわを誘ったり、川に落としてしまったケータイを直すという理由をつけて、デートの約束を取り付ける桐敦。デートでは横浜のみなとみらいまで足を伸ばすことになったのだが、そこでみわが漫画雑誌の新刊発売に気を取られ、迷子になってしまう。自分のダメなところに嫌気がさし、みわは泣きそうになる。しかし、桐敦に嫌われたくないという思いが込み上げ、街中を探し回る。なんとか桐敦を見つけることができたみわは、「中条君に嫌われると思ったらすごくかなしくて…」と自分の気持ちを素直に伝える。そんなみわに対し、「そんなんありえないから」「一緒にいて」と再度告白する桐敦。そして、2人は晴れて付き合うこととなるのであった。

みわの決意

桐敦と付き合い始めたみわは、やっと前向きに進んでいけるように思えたが、また猪倉が現れることとなる。猪倉は勝手にみわのケータイから連絡先を探し、「今度から呼び出したら絶対に来いよ」と命令する。その出来事からネガティブモードに入ったみわの元に、桐敦が突然やってくる。みわが疲れているように感じた桐敦は、みわのことを気遣いながらも「自分のこと好きになれ」と応援。そんな桐敦の存在に助けられ、みわの中に強くなりたいという気持ちが芽生えるのであった。

桐敦の存在を心の支えに、猪倉と対峙することを決意するみわ。ずっと無視していた電話に出ると、既に後ろには猪倉がいた。2人で話すことになると、猪倉はみわに桐敦と別れるよう命令する。そんな高圧的な猪倉に対し、みわは「私にだって気持ちがある」「猪倉君の言うとおりには動かない」と、やっとの思いで自分の気持ちを伝えることに成功する。そして、その場を去るために階段を登り始める。しかし、猪倉に声をかけられて驚いたことで、階段を踏み外し転落。猪倉がクッションとなり、みわは怪我をしないで済んだものの、猪倉から「嫌いじゃない」と言われキスをされそうになる。全力で拒否をし、「ひとりじゃ立てない…?」と言い始めるみわにイラだった猪倉は、はっきりと「好きだっつってんだよ!」と告白するのであった。

その後、猪倉の言う「好き」の意味を考え続けるみわ。今まで嫌がらせしか受けてこなかったため、全く意味が分からずに悩み続けることとなる。親友の岡崎 笑心(おかざき にこ)から、猪倉のことを「もはや呪い」と言われたみわは、猪倉の気持ちを確かめなければいけないと自分に言い聞かせる。そして、桐敦に「行きたいところがある」と伝え、「私がピンチの時は中条君を呼んでもいい?」とお願いしてから、1人猪倉の元へ向かうのであった。

猪倉のいる高校に着くと、男子校ということもあり、みわは注目の的になってしまう。それに気がついた猪倉は、すぐにみわに駆け寄り、なぜいるのかと問いただす。猪倉が腕に怪我をしていることに気づいたみわは、「もしかして昨日の…!?」と質問するが、猪倉からは「勘違いすんな」「だまれバカ」と言われてしまう。そんないつも通りの猪倉に対し、みわは自分の気持ちを素直に伝える。「猪倉君の気持ちは私にはわからない」と話し、本当の気持ちを教えてほしいとお願いするみわ。そんな2人の周りに小学生時代、猪倉と一緒になっていじめていた男子たちが集まってくる。彼らは小学生の時のノリでまたみわに絡もうとしたため、みわは急いで桐敦に電話をかけようとする。猪倉も男子たちの悪ノリを止めようとするが、タイミングよく桐敦が登場し、みわを助け出すのであった。そして、猪倉に「もう何もすんな」と牽制。猪倉は「もう会わねぇよ」と言って、その場から立ち去ってしまう。しかし、みわは猪倉とちゃんと話がしたいと感じ、桐敦と一緒に猪倉の自宅まで行くことにする。

猪倉の自宅に着くと、出迎えてくれたのは猪倉の姉だった。彼女はみわを見た途端、「みわたろう!」と反応し、「唯一あいつの思い通りにならなかった人なんだって」と教えてくれる。そこへ猪倉が帰宅する。みわ達が姉と話していることに気づくと、猪倉は踵を返してどこかへ行こうとする。みわは全力で猪倉を追いかけ、なんとか猪倉のいる駅まで辿り着くが、最後の最後で派手に転んでしまう。それを見ていた猪倉は、みわの元に戻って話をする。猪倉の気持ちには応えられないこと、今まで向き合わずにいたことを謝罪することができたみわは、猪倉へのトラウマに対しての区切りをやっとつけることができたのであった。

親友・笑心(にこ)の恋心

みわの親友・笑心は、小学生の頃みわがいじめられていたことで、ずっとボディガードのような役割を担ってきた。そんな笑心も、みわが桐敦と距離を縮める一方で、桐敦の幼馴染である佐野 静輝(さの しずき)に恋をし始める。佐野から思わせぶりな態度を取られることで、どんどん好きになっていく笑心。みわには桐敦がいるという安心感もあり、自身の恋に向き合い始めるのであった。

ある日、笑心は桐敦に佐野の好みのタイプを質問する。そのせいで桐敦に自分の好きな人がバレてしまうのだが、「たぶん好き」と話しているところを他の女子たちに目撃されてしまう。そして、みわの彼氏を略奪しようとしているという噂が流れ始める。みわはまだ噂話の内容を知らなかったが、笑心の様子がおかしいことに気づいていた。
その後、笑心は自分のリュックが隠されていることに気がつく。しかし、みわに心配をかけたくないという思いから、何も話そうとはしなかった。そして、「私がみわを裏切るなんてことは死んでも絶対にないからね」とだけ伝え、1人で解決しようとするのであった。結局、笑心のリュックは佐野が発見する。リュックを持っていた女子たちは、佐野から「正義ぶってるけど、こういうことって悪だから」と言われ、素直に反省する。佐野はリュックを探していた笑心と合流し、何事もなかったかのようにリュックを手渡し、笑心の話を聞く。桐敦のことが好きだと誤解されていることを話す笑心。そんな笑心に佐野は、「笑心が好きなのは俺だよな」と返し、笑心を固まらせる。「冗談だよ」と言いつつも、「この先誰のことも傷つけんなよ」と釘を刺す佐野に、笑心は一気にどん底まで突き落とされるのであった。

一方、みわは笑心のことが心配になり、学校に残った笑心の元へ戻ることにする。しかし、笑心は既に帰宅してしまっており、会えたのは佐野だった。「俺、笑心にひどいこと言ったし」と報告する佐野に、みわは涙ながらに「佐野君だって笑心のこと思ってるよね?」と訴える。すると、佐野は「笑心の気持ちいちばん知りたいの俺だから」と返すのであった。その言葉を聞いて希望を抱くみわであったが、笑心と連絡が取れなくなってしまったため、心配度は限界を越える。
翌朝、桐敦と共に笑心の自宅に向かったみわは、笑心の部屋まで行き「一緒に学校行こう」と呼びかける。「笑心にも私がいることわすれないで」と伝えると扉が開き、ようやく笑心と話ができるようになった。自分の気持ちを素直に話せるようになった笑心。そんな笑心に対し、桐敦は告白することを勧めるのであった。

その後、一緒に登校した3人の前に佐野たちが現れる。笑心はみんながいる前で急に告白してしまい、場を凍らせることになる。恥ずかしすぎてその場にいられなかった笑心は、みわを残して1人帰ってしまう。笑心からのラインが届いたみわは、1人どうしようかと悩み始める。そこに佐野が登場し、勝手に「今からそっち行くね!」と返信をして笑心の自宅へ突撃する。急に来た佐野に驚きつつも、部屋で一緒に過ごすこととなった笑心は、「私は誰のことも傷つけようなんて思ってないよ」と話し始める。それを聞いた佐野は笑心にキスをし、桐敦と仲がいいことに嫉妬していたこと、好きであることを伝える。そして、2人はやっと結ばれるのであった。

凌空(りく)の反抗期

12月はみわの誕生日。みわの希望で、東京の原宿までデートをしに行くこととなったみわと桐敦。理由はみわの心のバイブル、『きらめきハート』に出てくる聖地巡りのためであった。詳しい場所を知らないみわは、桐敦のおかげでなんとか目的の場所に辿り着くことができる。しかし、記念写真を撮ろうとしたところで突然の土砂降りとなり、2人は急遽桐敦の自宅まで戻ることになった。中条家の飼っている犬(ディラン)と初めて会ったり、笑心たちも合流して楽しい誕生会をすることとなったのだが、その様子を見ていた人物が1人いた。それは桐敦の従兄弟である凌空(りく)。凌空は両親の離婚という経験から「女はばけもの」と考えており、桐敦の家に女が来ていることをよく思っていなかった。

ある日、学校帰りのみわはディランの散歩をしている凌空と遭遇する。凌空はみわが桐敦の彼女だと知らず、ディランが飛びかかったことでできてしまった怪我の手当てをするために、自分の父親が経営しているカフェへと案内した。そこにはバイト中の桐敦がおり、凌空は2人が付き合っていることを知ることとなる。みわと2人きりになった凌空は、「全然似合ってないと思う」と攻撃的な態度を取る。みわは初対面で嫌われてしまったことに戸惑うが、桐敦が弟のように大事に思っていることを知り、「大丈夫」と自分に言い聞かせるのであった。

その後、放課後にまた凌空と遭遇するみわと笑心。「やんちゃな反抗期男子にはかかわんない方がいいよ」と言い残してその場を去ってしまった凌空が気になり、みわは勢いで追いかけることにする。すると、知らない女性たちと遊びに行こうとしている凌空を発見する。みわは一緒にいる人たちについて質問するが、「店のお客さんだよ」「別に悪いことなんてしてないよ」と全く悪びれることなく話す凌空。そんな凌空に、「今日は帰ろう、もう暗くなるもん」と諭すようにみわが言うと、子供扱いをされてイラついた凌空は「わかんない!?壁作ってんの!」と怒鳴ってしまう。しかし、みわも負けじと「私は凌空君にそんなのない」と返し、凌空をびっくりさせるのであった。
そこに桐敦や笑心たちが登場する。佐野にゲンコツで説教を受けた凌空は泣きながらみわに抱きつき、「俺だって心配かけたり、怒られたいんじゃないよ…」と呟く。
そして、一旦桐敦の家に移動し、みわは凌空の話を聞くこととなる。「好き」という感情が分からないと話す凌空に、「大切って思ったり、一緒にいたいって思ったり、そういうの全部で好きって思うんじゃないのかな」とみわは伝えるのだった。その言葉で凌空の心は自然と軽くなり、わざとみわの胸を触っておちゃらけてみせる。そこに凌空の幼馴染である恵(けい)が現れ、母親のようにみわに謝罪する。そして、自分が凌空の面倒をちゃんと見ると伝えて、凌空を連れて帰るのだった。

桐敦にライバル登場

2年生に進級したみわは、桐敦の幼馴染である桜太(おうた)と同じクラスになる。最初は桐敦に頼まれてみわの世話を焼いていた桜太だが、みわとの仲が良くなるにつれて、みわのことを好きになってしまう。しかし、みわは桜太のことを初めてできた男友達としてとても喜んでおり、桜太の気持ちなど全く気がついていなかった。

そんなある日、桐敦が体育祭実行委員になったことを知ったみわは、一緒に実行委員になった女子にヤキモチを焼いてしまう。それに気づいた桜太は、自分たちも体育祭実行委員になることを決めてしまう。みわは自分が運動音痴なことを理由に、「委員をやるべきではないのでは」と悩み始める。しかし桐敦に「桜太はみわのこと思って言ってるとおもう」という言葉に後押しされて、実行委員になることを決意する。それから実行委員として2人で過ごすことが増えていくみわと桜太。全く自分のことを意識していないみわに痺れを切らした桜太は、「(男女の)友情はあるって思ってる、けどみわちゃんのことはわかんない」と伝えてしまうのだった。

体育祭当日。みわは自分なりに実行委員の仕事をこなしながら、桜太に言われた言葉について考える。「真の友達としては認めてない」という風に解釈するみわ。一方、桜太は桐敦に自分がみわと友達になったことが嫌ではないのかと質問していた。桐敦から「桜太のこと信じてるし」と言われた桜太は、自分の気持ちは無しだと感じ始める。しかし、リレーで走っている時にみわの声援だけが聞こえたことで、蓋をしようとした気持ちが溢れ出てしまい、リレー終了後すぐにみわを連れて中庭へ移動する。そこでみわのことを抱きしめてしまう。そんな桜太に、みわは「私も桜太君のこと、ちゃんと支えられる友達になりたいって思ってるよ」と自分の気持ちを伝えるのだが、それを聞いた桜太は、自分に脈がないことをはっきり理解した上で告白する。急な展開に動揺するみわであったが、「私はきっとこの先いっしょう永遠に中条君のものだよ」と桜太のことを振ってしまう。そんな2人の前に佐野が現れる。佐野は「俺らの仲、ブチ壊す気?」と桜太を威嚇。すると、桜太はそんなつもりはないこと、桐敦には謝ることを約束し、みわにも「ごめんね」と伝えてその場から去ってしまう。
教室に戻ってきたみわは、泣きながら「私は桜太君の友達失格だ」と桐敦に話し始める。そんなみわの様子を見た桐敦は、1人桜太の元へ向かう。桜太の気持ちを素直に受け入れた桐敦は、「いいよ、好きなままで」「桜太の気持ちがかるくなるなら」と桜太に伝える。そして、桜太のことを大事な友達だと思っていることも伝え、2人は和解するのであった。

その後、みわと桜太はなんとなく距離のある状態で過ごしていた。そんな状況にみわは焦りを感じ、どうにか仲直りがしたいと考え始める。そんな時、みわは桜太のために持ってきていた漫画を先生に見られてしまい、没収されることになってしまった。それに気づいた桜太は、自分が何でもする代わりに漫画を返してほしいと先生に頼み込む。なんとか漫画を取り戻した桜太が教室に戻ると、そこには桜太の席で寝ているみわの姿があった。桜太に起こされたみわは、漫画を取り戻してくれたことを知り、桜太に持ってきたのだと伝える。普通に会話ができたことで安心したみわは「友達なのにいちばん側にいれなくてごめんね」「いちばんに応援してあげられなくてごめんね」と自分の正直な気持ちを話す。それを聞いた桜太は、「みわちゃんのこと好きになってよかった」と言いながら額にキスをして、笑顔でその場を去るのであった。

凌空と恵(けい)の関係性

凌空の幼馴染にである恵(けい)は、小さい頃から凌空のことが好きであったが、凌空に「女子とあそぶのはてれくさい」と言われてしまい、ボーイッシュな格好で一緒に過ごすようになる。それ以来、凌空から女子として認識されていないことに毎日悩んでいた。そんな時にみわと出会い、自分も女の子らしくなりたいことを打ち明ける。みわから、「恵ちゃんはどうなっても恵ちゃんだから、恵ちゃんのなりたい女の子になっていいんだよ」と言われ、やっと安心して自分に素直になれるようになる。

それ以降、恵は髪の毛を伸ばし始め、少しずつ女の子らしい雰囲気になっていった。それを間近で見ていた凌空は、恵の変化に戸惑いつつも、自分の気持ちの変化にも戸惑い始める。

夏休み、恵は凌空と一緒に、みわたちがバイトをする海の家に顔を出すようになる。そこでみわに相談したいことがあると伝える。そして、みわが桐敦の家にお泊まりをした朝に突撃訪問する。動揺する2人に「カラダで愛しあうってどうするの?」と質問する恵。みわと桐敦は更に動揺し、なぜそんなことを聞くのかと逆に質問する。恵は、みわと桐敦が幸せそうに付き合っているところを見て興味が湧いたと話す。みわと桐敦は凌空と何かあったのではないかと考え、バイトをしながら2人の様子を見守ることにする。何かに一生懸命取り組む姿である「みわたろう」と化したみわは、タイミングを見て恵と2人で話すことにし、朝の質問についての返答をする。恵はみわが自分のことを心配してくれていることに気づき、「さいきん凌空にさけられてる気がするんだ」と悩みを打ち明けるのであった。

勉強が終わり、1人帰宅しようとする恵であったが、恵に目をつけていた3人組の男性に絡まれてしまい、逃げられなくなる。その様子に気づいた凌空はすぐ助けに入るが、3人組から子供扱いされてしまう。そこに桐敦と佐野が登場する。3人組はそそくさとその場を離れるのであった。その後、凌空に「大丈夫だから行こ」と手を伸ばした恵に対し、凌空も手を伸ばすが間違えて恵の胸を触ってしまう。「謝ってくれたら許すよ」と大人の対応をする恵であったが、凌空は謝罪を拒否する。そして、最近の恵の変化に触れ、「こんなの俺の恵じゃない」と言ってしまう。それを聞いた恵は「私は変わりたいの、それを否定するなら凌空とは絶交だよ」と啖呵を切ってしまうのだった。

その後、みわは傷心の恵を連れて、桐敦の自宅へ行くことになる。そして、笑心も呼んで女子会を開き、恵の気持ちを全部吐き出させることにする。自分の気持ちを正直に話す恵に、みわは「恵ちゃんの気持ちが届いてほしい」と思いを募らせるのであった。

翌日、海の家で凌空は恵を見つけ追いかけようとするが、みわに止められてしまう。そして「恵ちゃんはいて当たり前じゃないの」「他にどこにもいない、たったひとりの女のコなの。もっと大切にしてよ」と説教を受けることになる。その言葉に凹んでしまった凌空は、その場から逃げてしまう。凌空が海岸を歩いていると、昨日の3人組と遭遇し遊びに誘われる。凌空は自暴自棄になり、3人組についていくことにする。凌空のことを気に入った3人組は、自分たちにはお役立ち情報があると持ちかけ、お金になるから恵を紹介してほしいと話し始める。その話に凌空は怒り、3人組の1人を海に突き飛ばしてしまう。すると、残りの2人に抱え込まれ、凌空も海に放り投げられてしまう。クラゲに刺された経験から、海に入ることに対して極度の拒否反応がある凌空。海から自力で出てくることができずにいると、誰かが手を引っ張って救出する。それは凌空のことが気になって探しにきていた恵であった。恵が来てくれたことに安心した凌空は、「恵がいないとどうしていいかわかんないし、もう全部どうなったっていいってなる」と自分の思いを告白。そんな凌空に、「…それって、私のこと好きって言ってる?」「私は凌空のことが好きだよ」と恵も思いを告げる。好きの意味をまだ理解できていなかった凌空は、恵のことを「好き」よりも大きくて大事な存在であると主張する。そして、どう大事にするべきかわからないこともはっきりと伝える。凌空の気持ちをやっと聞くことができた恵は、「私が離れないように抱きしめればいいんじゃない」と伝え、2人は海の中で抱きしめ合うのだった。
その後、晴れて両思いとなった凌空と恵。凌空は周りの高校生たちから恋愛を学んでいき、徐々に恵との関係性が恋人のように変わっていく。

天敵・猪倉(いのくら)との最終決戦

夏休みが終わり新学期になると、文化祭に向けての準備が始まり、みわも気持ちが高まっていく。そんなみわに大事件が起こる。桐敦が休学して、海外にいる母親の元に行ってしまうことになったのだ。桐敦は両親が離婚し母親と暮らしていたが、母親は海外を飛び回る医者でほぼ家にいない状態であった。そんな母親が怪我をしてしまい、現地まで看病をしに行くこととなった桐敦。みわに期間など詳しく話そうとするが、「いなくなる」という情報だけで抜け殻状態になってしまったみわは話が頭に入らず、勝手に何年も離れ離れになってしまうと思い込むのだった。
翌日、学校中で桐敦が休学することが話題になる。みわにきちんと話がしたい桐敦は、凹んでいるみわの元へ向かう。泣きそうになっていたみわは、桐敦に行かないでほしいことを素直に伝える。そんなみわの様子を見て、桐敦は笑顔で待っていてほしいことを伝え、一ヶ月という短い期間で帰ってくることを話すことにやっと成功する。みわは、勝手に長期間の遠距離恋愛になると勘違いしていたことを恥じ、桐敦を待つと決意する。
そして、桐敦の出発当日。みわたちは学校で桐敦を見送ることとなる。そこでみわは、「私浮気はしません!」と大胆に宣言し、桐敦は過去一番の笑顔で出発する。

その後、笑心と佐野に文化祭の買い出しに付き合ってもらうことになったみわは、1人でお店を見ている時に猪倉と遭遇する。「久しぶり」と言いながら微笑む猪倉に、動揺を隠せないみわ。猪倉から桐敦のことを聞かれ、旅に出ていると説明する。別れ際、「声かけてくれてありがとう」と伝えるみわに、「やっぱ忘れんの無理だった」と猪倉は呟くのであった。
そんな2人の様子を見ていた人物が1人。それは、猪倉のことが好きな優莉(ゆうり)であった。彼女は猪倉に告白してフラれてしまうが、猪倉が初恋の相手を思い続けていることを知って、協力することを決める。

優莉のアドバイスのもと、猪倉はみわとの接点を作ることに成功する。優莉の思いつきで、自分は優莉と付き合っていると嘘をつき、女の子の気持ちを教えてほしいとみわに頼みこむ猪倉。みわは猪倉から頼りにされたことを純粋に嬉しく思い、自分の体験談を実際に行った場所へ案内しながら話すこととなる。小雨が降る中、2人は次の場所に移動しようとするが、桐敦の話ばかりするみわに、猪倉はタオルで髪の毛を拭くフリをしてキスをしようと顔を近づける。全く避けないみわに、「よけろよ」と言って現実に戻る猪倉。今までのことは全てみわと会うための嘘だと告白し、「俺が最初っから素直なら何か変わってた?」と質問する。そんな猪倉に、みわは「あの猪倉君がいなかったら今の私はいないです…」「中条君に見つけてもらえなかった」と伝える。みわのその返答で、猪倉は気持ちに区切りがつき、「高野瀬みわの中で俺のいた意味少しでもあるんだったらよかった」「幸せになって」と言ってその場を去る。今度こそ本当に2人の関係性に区切りがついてホッとしたみわ。すぐ桐敦に電話をかけるが、その電話が繋がることはなかった。

桐敦との再会

文化祭が始まり、みわは自分が提案したメイクルームの担当で大忙しとなる。桐敦からの連絡は相変わらずなかったが、笑心から「余裕じゃん?」と言われるほど、みわは落ち着いていた。その後、遊びにきた恵からも「みわちゃんはつよい」と言われる。

その後、1人休憩に入ったみわは、笑心たちに言われたことを考えながら、完結したばかりの『きらめきハート』を読み返す。そして、今までは自分のさみしさを埋めるものだったが、完結したことで本当の宝物になったのだと実感する。
そんなみわの元に桐敦が現れる。急に現れた桐敦に驚き、目も合わせずに固まるみわ。電話もラインも繋がらなかったと話すみわに、桐敦はケータイが水没して壊れていたことを説明する。やっと桐敦のことを見ることができたみわは、泣きながら「話したいことがいっぱい…」と伝え、2人は抱きしめ合う。みわがいろいろなことを話そうとすると、桐敦はキスで遮り、「淋しかった?」と質問する。それに「ぜんぜんっ」「ぜったい帰ってくるって思っていたし」と返すみわ。そして、みわは初めて自信を持って「大好き」と桐敦に伝えることができ、お話はエンディングを迎えるのであった。

『きらめきのライオンボーイ』の登場人物・キャラクター

主要人物

高ノ瀬 みわ(たかのせ みわ)

漫画の世界に恋をしている高校1年生。小学生の頃に男子からいじめられていたため、基本的に男子のことが苦手で、性格も控えめなタイプ。自身のバイブルである漫画『きらめきハート』には不登校になってしまった時に出会い、ヒーローである星様の数々の言葉に勇気づけられたことから学校に行けるようになる。桐敦と付き合い始めてからは少しずつ明るい性格になっていき、自分の気持ちを素直に伝えられるようになるなど、成長する姿が見られる。

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