血界戦線(BBB/B3)のネタバレ解説・考察まとめ

『血界戦線』は、内藤泰弘の読み切り漫画を基に生まれた、SF伝奇アクション漫画である。2010年から『ジャンプSQ』で連載を開始。その後、幾度もの連載先の移動を繰り返しながらも連載を続けている。舞台は異界と人界が入り混じった元NYの「ヘルサレムズ・ロッド」。そこで世界の均衡を守る為に暗躍する秘密結社「ライブラ」の日々を描く物語となっている。「技名を叫んでから殴る漫画」というコンセプトに加え、無法地帯なんでもアリな突飛な世界観と色濃い性別年齢人種豊かなキャラクター達に、多くの反響が寄せられている。

アニメ『血界戦線』に登場するアニメオリジナル組織。正式名称は「League of High Order Spirituals」。その頭文字をとって「LHOS」と呼ばれている。「術士」と呼ばれるPSI保持者が構成員の大半であり、術士の協会とも呼ぶべき組織となっている。世界各地に支部が存在しているらしく、「NY(ニューヨーク)大崩落」の際にヘルサレムズ・ロッドに張られた「結界」の管理をNY(ニューヨーク)支部が行っている。

『血界戦線』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

クラウス「光に向かって一歩でも進もうとしている限り 人間の魂が真に敗北する事など断じて無い」

原作・アニメ『血界戦線』、第1話『魔封街結社』でのセリフ。

かつて自分の妹の視力を犠牲にしてしまった自分のことを悔やみ、泣きながら卑下したレオナルドに向けてクラウスが放った言葉。レオナルドの過去語りの後、堕落王フェムトの起こした事件に巻き込まれた事が原因で周囲を警察に包囲されることになったその時、事件を収束させる為の道をレオナルドとザップへ切り開く為に、己の決闘術を使用したクラウスが、その直前にレオナルドへ向けて返した台詞となっている。
兄として妹を守る為に動けなかったことを悔やみ、その視力を取り戻す為に一人単身でヘルサレムズ・ロッドに乗り込んで来たレオナルドの行動に対して、クラウスなりの敬意、そして彼という人物が持つ正義感が強く宿っている。クラウスという人物の人となりがよくわかる台詞といえよう。

クラウス「征け!! 手始めに世界を救うのだ!」

同じく、原作・アニメ第1話「魔封街結社」でのクラウスの台詞。
周囲を包囲する警察に、己の決闘術を使って道を切り開いたクラウス。その直後に、レオナルドとザップに向けて放った台詞となっている。
「世界の均衡」を守る為に暗躍するライブラのリーダーらしい台詞でありながら、血界戦線という物語のあらましを一言で表した台詞という印象も受け取ることができる。ただ単純に「世界を救う」ではなく、「手始めに」といった予想外の言葉がついていることから、この作品が他の世界を救済することを目的としたタイプの物語とは一線を画した、独特な世界観をもつことが感じられるだろう。その為か、アニメ『血界戦線』の公開時の宣伝では、キャッチコピーの一つとしても扱われることとなった。

スティーブン「それでいいんだよ、化け物のお嬢さん 千年かかろうが千五百年かかろうが 人類は必ず君達に追いつく 不死者を死なせるという矛盾を御する日がきっと来る そう、これは大いなる時間稼ぎだ」

原作ストーリー『BLOOD LINE FEVER』、アニメ『血界戦線』第3話『世界と世界のゲーム』でのセリフ。

血界の眷属のギリカとの戦闘中にスティーブンが口にした台詞。
「長老級」と呼ばれる、眷属の中でも高位の存在にあたるギリカとの戦闘は、ライブラ主要構成員であるスティーブンの力をもってしても互角に戦うことが難しく苦戦を強いられる。あまりの力量差にボロボロになった彼とその仲間達の姿を前に、己達人間を侮るような物言いを始めたギリカに対してスティーブンが口にしたのがこの言葉である。
普段は何事にも飄々としているスティーブンであるが、自分達が彼女を倒せる程の力がないことを自覚した上で、それでもなお、倒せるべきいつかの時の為に死力を尽くすさまは、彼もまたクラウス率いるライブラメンバーの1人であることを再認識させるものとなっている。彼の胸の中に宿る、ライブラメンバーとしての強い信念を垣間見れる瞬間だ。

クラウス「目を凝らすのだスティーブン 光はある 諦めて引き返すにはもう半歩ある たった半歩だっと思うか? 違う 我々が全身全霊を賭ける半歩だ」

原作・アニメ『血界戦線 & BEYOND』第2話『幻界病棟ライゼズ』でのクラウスの台詞。
このストーリーはヘルサレムズ・ロッドが生まれた大きなきっかけである、NY(ニューヨーク)大崩落に纏わる話をしている回である。3年前に起きた大崩落。共にNYにいたクラウスとスティーブンは大崩落に巻き込まれてしまう。その際、2人が避難したブラッドベリ総合病院が血界の眷属に襲われてしまう。
病院を見捨てて逃げるか、それとも眷属と戦い病院を守るかの選択を迫られる2人。スティーブンは前者を取るが、クラウスは後者を取る。スティーブンの実力を信じ、己が血界の眷属と戦える限界である100秒という時間の中で病院を救い出すようにと指示をする。その案に渋るスティーブンにクラウスが告げた言葉が、この台詞となっている。
血界の眷属という絶対的な力を持った敵を前に、それでも人々を助けることを優先し、そして小さな可能性にも全身全力で挑み掴もうとするクラウス。その姿勢にはスティーブンだけではなく、読者の胸にも響くものがあるはずだ。

ザップ「だから何だ 相手によって怒り方を変えんのかてめぇらは」

原作・アニメ『血界戦線 & BEYOND』第7話『鰓呼吸ブルース』での、ザップ・レンフロの台詞。
ツェッドが地上で生きる為に必要な呼吸器「エアギルス」が奪われてしまった事件を描く『鰓呼吸ブルース』。エアギルスはツェッドが地上で生きる為に必要な呼吸器。半魚人である彼は他の人々や異界の存在とは違い、鰓で呼吸をしている。「エアギルス」はそんな彼が地上でも呼吸ができるようにと開発された呼吸器だ。しかしそれをレアなヘッドフォンと勘違いした、軍需産業「ヴァルハラ・ダイナミクス」の総帥ミラが奪い取ってしまう。
この台詞は奪われたエアギルスを取り戻す為に、レオナルド、チェイン、ザップの3人がヴァルハラ・ダイナミクスに乗り込む際にザップが口にしたものである。「エアギルス」を取り戻そうにも、相手はいわゆる戦争事のプロ。レオナルド達3人の内2人は非戦闘要員の為、どのように乗り込もうかと算段をしている内にザップが一人正面突破で乗り込もうとする。慌ててそれを止めるレオナルドとチェインにザップが返したものが、この台詞となっている。
直感と本能で動くザップらしい台詞であると同時に、日々、ツェッドと文句悪口言い争いばかりな関係でありながらも兄弟子として、一ライブラメンバーとして仲間である彼のことを大事に思う側面があることがわかる台詞ともいえる。

ミシェーラ「知ってますか? 亀はその構造上後ろに下がる事が出来ないんだそうです。昔これを聞いた時真っ先に兄を思い浮かべました 足がすくんで動けなかったり 途方に暮れて立ち尽くしてもこの人は絶対に逃げない うずくまってじっと耐えていつかまた歩き出す 私の亀の騎士」

原作・アニメ第2期『血界戦線 & BEYOND』第12話、第13話にあたる『妖眼幻視行』でのミシェーラの台詞。
結婚報告を兼ねて、自分と自分の婚約者に取り憑いていたDr.ガミモヅの存在をレオナルドに伝える為、ヘルサレムズ・ロッドにやってきたミシェーラ。そんなミシェーラをDr.ガミモヅから命がけで守った結果、ボロボロになったレオナルドは幻界病棟ライゼズに運ばれる。これはそんな彼が治療を受けてベッドで静かに眠っているその時、ミシェーラがクラウスとした会話の一端である。ミシェーラにとってのレオナルドという人物への印象、思い、そしてウォッチ兄妹の強い絆の一端を感じ取れる台詞となっている。
またアニメ第1期放送時には、原作内に実在する「亀の騎士(トータスナイト)」であるレオナルドを描いた落書きが、ED内の映像として使用されている。第1期にミシェーラが深く関わることはないが、ウォッチ兄妹の境遇と似たものがあるマクベス兄妹を助ける為に身体をはりボロボロになるレオナルドの姿は、正しくこの「亀の騎士」像を彷彿とさせるものがある。レオナルドというキャラクターの真髄を語るに相応しい、妹の言葉である。

『血界戦線』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

スティーブン、ツェッド、チェインのモデルとなった人物達がいる

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