トライガン(TRIGUN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『トライガン』は1995年から『月刊少年キャプテン』で連載された、内藤泰弘による漫画作品。同誌が休刊したことで、1997年に連載休止をしたが、同年に続編『トライガン・マキシマム』の連載を開始。『ヤングキングアワーズ』にて2007年まで続いた。過酷な自然の中で人々が暮らしている砂漠の星を舞台に、主人公のヴァッシュがガン・アクションを繰り広げる。五つ目の巨大な月に大穴を穿った「フィフス・ムーン」事件後、ショックを受け2年間行方不明になっていた。しかし、相棒のウルフウッドのおかげで再び立ち上がる。

『トライガン』の概要

『トライガン』は1995年から『月刊少年キャプテン』で連載された。内藤泰弘による漫画作品で、全3巻刊行されている。同誌が突如休刊したことで、1997年に一度連載休止をした。しかし、同年に続編『トライガン・マキシマム』の連載を開始。『ヤングキングアワーズ』にて2007年まで続いた。中断部分からは再開せず、一旦ストーリーが区切られている。単行本は全14巻。2010年には完全版が発行され、こちらは全7巻。
アニメはテレビ東京系で1998年4月から9月まで全26話にて放送され、深夜アニメの先駆として成功した。基本は『トライガン』と『トライガン・マキシマム』を元に作られているが、原作とキャラクターの設定やストーリーなどが大きく異なっている。当時『トライガン・マキシマム』の連載が開始されて日が経っていなかったこともあり、オリジナル脚本の部分が大多数である。
過酷な自然の中でどうにか人々が暮している砂漠の星を舞台に、主人公のヴァッシュがガン・アクションを繰り広げる。五つ目の巨大な月に大穴を穿った「フィフス・ムーン」事件後、彼はショックを受けて2年間行方不明になっていた。しかし、相棒のウルフウッドのおかげで再び立ち上がる。
2009年度星雲賞コミック部門を受賞した。公式スピンオフ作品として、GUNG-HO-GUNSの1人である雷泥・ザ・ブレードを主人公にした『雷神-RISING-』や、内藤泰弘の大ファンであるBoichiが描いた『TRIGUN』がある。作者がアメコミ好きということもあり、欧米にもファンが多い。映画『マトリックス』シリーズのデザインを手掛けたアメコミ界のベテラン、ジェフ・ダロウも読者の一人である。

『トライガン』のあらすじ・ストーリー

『トライガン』編

世界を放浪する男・ヴァッシュ

ここはホーム(地球)より遥かに巨大な大きさを持つ5つの月と砂漠の星。人々は砂だらけの荒れた大地にしがみつき、細々と生きている。ささやかな暮らしの中、第三都市ジュライが住人とともに消失した。
その過酷な世界に1人、赤いコートにトンガった金髪の青年がいた。名前はヴァッシュ・ザ・スタンピードという。彼は荒涼としたこの世界を放浪している。分かっているのは凄腕のガンマンで、筋金入りの平和主義者だということだけ。ヴァッシュはジュライを消した張本人として、殺人と器物損壊の犯人として人々に追われる。お人好しな性格と強い信念ゆえに、騒ぎを大きくしてしまい、そんなトラブルメーカーぶりに付いたあだ名が「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」。600億$$(ダブドル)の賞金首になった。人々の脅威になり得るとのことで、保険会社から命じられたメリル・ストライフとミリィ・トンプソンが、お目付け役として同行する。

ヴァッシュの目的

ヴァッシュにはある目的があった。それは、双子の兄ミリオンズ・ナイブズの暴走を止めること。ナイブズは人間たちを強く憎み、この星から人々を排除しようとしている。ヴァッシュとナイブズは、幼い頃にレム・セイブレムと移民船で過ごしていた。そこでは、数世代に渡ってプラントを惑星間通信に回しながら地球との接触を試みている。移民船で暮らしていたヴァッシュとナイブズは、自分たちを育てたレムを信じていた。しかし、先に生まれていた同胞が人間にひどい仕打ちを受けていることを知り、現在まで人間を憎んでいるのだ。ヴァッシュもナイブズと同じように動揺し、自殺しようとしていたが、レムが身体を張って止め、「人はどこでも行ける」と人間の可能性について語る。その出来事がきっかけでヴァッシュは人間を信じるようになり、一人も殺さずに切り抜けている。
各地でナイブズの情報を集めているところ、ある町で彼の部下であるレガート・ブルーサマーズが現れる。これからヴァッシュの前に12人の刺客、GUNG-HO-GUNS(ガンホー・ガンズ)が訪れると告げ、その場から立ち去った。それ以降、ヴァッシュはメンバーのNo.1のモネヴ・ザ・ゲイルや、No2.のE.G.マインなどのメンバーと激闘を繰り広げる。

兄弟対決

長らく旅をして、ようやくナイブズを見つけたヴァッシュ。ナイブズがヴァッシュに触れた瞬間、ヴァッシュの右腕は天使や女を思わせる、巨大な砲へと変化した。ナイブズ曰く、ジュライを消滅させたのもこの力だという。ヴァッシュは当時の記憶を失っていた様子で、動揺しつつも必死の抵抗で砲口を空へと向ける。人類の消滅は免れたものの、巨大な岩が3分の1が消失。そして、上空にあった五つ目の月に大きな穴を空ける結果になった。人々は恐怖し、自分が持つ力の強大さにショックを受けたヴァッシュは姿を消してしまうのだった。

『トライガン・マキシマム』編

フィフス・ムーン事件後

地球とは異なる砂漠だらけの荒涼とした惑星にて、天空に浮かぶ5つの月のうちのひとつに一筋の光が撃ち込まれ、大穴が穿たれた。世に言うフィフス・ムーン事件後、ヴァッシュは突然姿を消す。その2年後、ヴァッシュはエリクスと名を変え、姿も生き方も変え、助けてくれた少女・リィナやその祖母と一緒に暮らしていた。
しかし、街は偽者のヴァッシュ率いるガンマンたちに襲われていた。そこへ、旅の途中で出会った巡回牧師のニコラス・D・ウルフウッドが訪れる。聖職者ながら巨大な銃器・パニッシャーを扱う彼とヴァッシュで偽者一味を壊滅させる。「ついてこい、とにかくおまえの力が必要なんや」というウルフウッド。彼はこの2年間、ある目的のためにヴァッシュを探していた。それを拒否するヴァッシュに、奇妙な連続集団失踪事件を話す。
生活の風景を残し、住人だけが忽然と消えた街。そのモニュメントにはナイブズの名が残されていた。仇敵のナイブズが関わっているとなれば放っておけない。復讐に来た偽者一味の残党を脅し、家族と街の平和を約束させたヴァッシュは、ウルフウッドと共に旅立つ。

GUN-HO-GUNS(ガン・ホー・ガンズ)との戦い

一方、ヴァッシュが復活を果たしたことは、GUNG-HO-GUNS(ガン・ホー・ガンズ)の一人であるレオノフ・ザ・パペットマスターの耳にも入っていた。その報告を受けたレガートは、メンバーたちに対してヴァッシュに最高の苦しみを与えるように指示する。彼の実力に興味を示した雷泥・ザ・ブレードは、ヴァッシュと戦いたい一心から真っ先にアジトを飛び出す。
ウルフウッドと連続集団失踪事件の現場に到着すると、雷泥が待ち構えていた。彼に決闘を挑まれ、不殺を貫くヴァッシュは嫌がっていたが、雷泥からGUNG-HO-GUNSが近いうちにヴァッシュと縁の深い里を襲撃することを聞かされる。するとヴァッシュは、自分が勝ったら雷泥が人斬りを廃業するという条件で、彼との決闘に応じる。
愛銃や左腕の義手に内蔵されたマシンガンなどのギミックを駆使し、この戦いはヴァッシュの勝利に終わった。雷泥はヴァッシュのとてつもない戦闘センスに感心しつつも、二度と剣を振るえなくなることをどうしても認めることができない。その動きを警戒したウルフウッドが雷泥を射殺した。最悪の事態は免れたものの、ウルフウッドから、命を奪わないことに固執することは「甘さ」であると指摘されてしまう。
その後も、ヴァッシュはさまざまなGUNG-HO-GUNSのメンバーと戦うことになる。

ウルフウッドの死

旅を続ける中、ウルフウッドは同じ孤児院で育ったリヴィオ・ザ・ダブルファングと再会する。本来優しい性格の彼だが、どうして超人暗殺集団の「ミカエルの眼」に身を寄せているのか疑問を持つ。それは、幼い頃に孤児院で虐待を受けた影響で「ラズロ」という冷酷な人格が生またからだという。これを聞いたウルフウッドは「このままではダメだ」「リヴィオをミカエルの眼から解放したい」と思い、戦う覚悟を決めて代謝機能を限界まで促進させる薬を使用する。
激戦の末、ウルフウッドはリヴィオに説得し続け、ラズロを封じ込ませることに成功。しかし、薬の副作用で瀕死の状態に陥ってしまう。そして、ヴァッシュに見守られる中で死を迎えた。
次の日、気絶していたリヴィオは目を覚まし、ヴァッシュからウルフウッドの弔いを済ませたことを伝えられる。リヴィオはウルフウッドを失った悲しみを感じつつも、ヴァッシュが自らを気遣ってくれていることに気づく。その夜リヴィオは、ヴァッシュがA・ARM(エインジェル・アーム)の力を使い、ナイブズが方舟という飛行機械から、あらゆるエネルギー源として使えるプラントの吸い上げを防ぐときに出る音を聞いていた。ウルフウッドへの恩を返すため、ヴァッシュと共に戦うことを誓う。

ナイブズとの最終決戦

ナイブズの最大の目的は、この世にいる人間をすべて抹殺すること。彼にとって、ヴァッシュは計画の最大の障害であるため、やむなく殺めることを決意した。ヴァッシュも今いる世界を終わらせたくないという信念を胸に、ナイブズと最後の決着をつけるべく立ち上がる。
激しい戦いを続ける中、ヴァッシュは自身をケーブルとして利用し、プラントへの呼びかけを続けることを思いつく。これによって、ノーマンズランドの住民たちの心が一つになり、プラントとの共存を望む意思がはっきりと示された。搾取されることを願っていたナイブズと一体化していたプラントたちは、もう一度人間と長いあいだ寄り添ったヴァッシュを信じる決意を固め、ナイブズから分離する。ナイブズは、プラントから見放されたと思い、せめてヴァッシュの手で自分を終わらせてもらうことを望む。しかし、レム・セイブレムから「ナイブズを一人にしないで欲しい」と言い残されていたヴァッシュは、彼を殺さずに生かすことにした。
ヴァッシュとナイブズは、死闘を通じて相互理解を果たした。しかし、お互い身体がボロボロで瀕死の状態。そんな中、ナイブズは力の大半を注いでヴァッシュの傷をふさぎ、メサ・プロブ教会で暮らしているカリートとカリートの父親に対してヴァッシュを匿うように頼み込む。カリートはナイブズにヴァッシュときちんと話すよう勧めるが、ナイブズの身体は限界を迎えていたため、そのまま消滅する。

その半年後、地球軍治安部隊は指名手配されているヴァッシュが、メサ・プロブ教会にいることを掴む。カリートたちは隠された抜け道からヴァッシュを逃がそうとするが、その最中に治安部隊が突入しようとしていた。巻き込みたくないと思ったヴァッシュは、自ら姿を現して治安部隊を引き付けようとするが、そこにヴァッシュの賞金を狙う賞金稼ぎたちが乱入。治安部隊と賞金稼ぎによる唐突な取り合いに呆然とするヴァッシュだったが、そこにメリルとミリィが現れる。ヴァッシュは彼女たちと協力して事態を収めようとしたが、メリルは「ノーマンズランド・ブロードキャスト」と呼ばれる放送会社のアナウンサーとして勤務していることを語る。そして、凶悪犯とも英雄とも呼ばれるヴァッシュの素顔が、人間そのものであることをアピールするために、彼とそれを追う勢力が、面白おかしく騒ぎ立てる様子をレポート。こうして、滅亡の危機を乗り越えた当事者たちは相も変わらず賑やかな日々を過ごしていた。

『トライガン』の登場人物・キャラクター

主要人物

ヴァッシュ・ザ・スタンピード

CV:小野坂昌也(少年時代 :宮田幸季)
本作の主人公。「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」と呼ばれている伝説のガンマン。数千万人規模の大都市を消滅させた「ロスト・ジュライ」事件、五つ目の月に大穴を開けた「フィフス・ムーン」事件をきっかけに600億$$(ダブドル)の賞金首にされた。真っ赤なコートに金髪の逆立ちした髪型が特徴の青年。
ウルフウッドからは「トンガリ」と呼ばれ、「ラブ&ピース」を信念に不殺を貫いている。相手が悪人だろうと決して命は奪わない。しかし、お人好しな性格が災いして各地でトラブルをおこしてしまう。
見た目は普通の青年だが、150年以上姿が変わらず生きている。その理由は、プラントの突然変異した「自立種」だから。双子の兄ナイブズがすべての人間を殺そうとしているのを止めるべく、各地で戦っている。
アニメでは女好きな面が強調されており、原作よりナイーブな性格。

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