ビフォア・サンセット(Before Sunset)のネタバレ解説・考察まとめ

『ビフォア・サンセット』とは2004年公開のアメリカの恋愛映画である。監督はリチャード・リンクレイター。本作はビフォアシリーズ3部作の2作目にあたり『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(1995年)の続編となっている。前作から9年が経ち、再会したジェシーとセリーヌ。会話を通して9年前の恋心が互いの間に残っていることが明らかになっていく。しかしジェシーには妻と息子がおり、以前とは状況が変わっていた。大人のリアルな感情が描かれている切ないラブストーリーである。

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吹替:不明
ジェシーの暮らすアパートの中庭で開かれていたパーティーに参加していた白髪に半ズボンの男性。中庭の女性がジェシーをパーティーに誘えなかった原因が、その男性の半ズボンのせいだと八つ当たりされていた。ブラウンの半ズボンであるが、そのズボンのどこが悪かったのか彼は納得がいっていないようである。女性は男性を気に留めることなく、パスタを持ったまま彼の前を通り過ぎていった。

ジャーナリスト(演:ルイーズ・レモワン・トレス)

吹替:五十嵐麗
ジェシーの本のサイン会で最前列にいた黒髪の女性。発売された書籍がジェシーの自叙伝であるのか、話に登場する列車に乗った女性は実在するのかを積極的に質問していた。曖昧な回答をすることもあるジェシーから、はっきりとした回答が得られた時は嬉しそうな様子を見せていた。以前にもインタビューを行っていたことがジェシーの話す内容で語られている。

ジャーナリスト(演:ロドルフ・ポリー)

吹替:平川大輔
ジェシーの本のサイン会で最前列にいた眼鏡をかけている男性。物語が曖昧な状態で終わっていることに着目していた。半年後の2人の約束は果たされたのか、そして次の新作の内容がどのようなものであるのかを彼は質問する。どのような話がジェシーから聞けるのか、口元に笑みを浮かべながら耳を傾けていた。

フィリップ(演:ディアボロ)

吹替:根津貴行
ジェシーの送迎を担当しているスーツ姿の男性。遊覧船に乗った際に、ジェシーがセリーヌの携帯を借りて彼を船の到着地点で待機するようあらかじめ連絡を入れていた。2人を車に乗せ、セリーヌの提示したプティトゼキュリー通り10番地に向かう。2人が車内でどんなに声を荒げても、彼は冷静な運転を続けた。目的地に到着し、セリーヌを玄関まで送ってくるとジェシーに言われた彼は車内で待機をしていた。

船の係員(演:デニス・エブラール)

吹替:不明
2人が遊覧船に乗る際に、受付に立っていた帽子を被っている男性。2人が乗る時と降りる時の両方で会っている。2人はすっかり会話に夢中であり、係員とはまだ搭乗時間に間に合うかどうかを尋ね、挨拶を交わしたくらいである。2人は係員の前でセリーヌの今の恋人である戦場写真家の話をしていた。ジェシーが唐突に彼を愛しているのかとセリーヌに訊いたのである。その唐突さにセリーヌは怪訝そうな表情を見せながらも、もちろんであると返答した。

『ビフォア・サンセット』の用語

ウイリアム・シェイクスピア(1564〜1616年)

イギリスの詩人、劇作家。世界でも有数の劇作家の1人とされている。没後400年が経った現代でも多くの人に支持されており、彼の作品の中でも有名なものが四大悲劇と言われる『ハムレット』『マクベス』『リア王』『オセロー』の4つの作品である。彼の作品は舞台に留まらず、映画や音楽、絵画など様々な方法で後世に語り継がれていった。

ネオコン

環境問題を改善しようと実際に行動しているセリーヌに対し、ジェシーは自分も含めて大半の人間は環境問題への文句を言うだけだと主張する。そんな彼の言葉を聞いたセリーヌはジェシーがネオコンでなくてホッとしたことを伝えた。「ネオコン」はアメリカの新保守主義を指す言葉である。ベトナム戦争や公民権運動などを巡る議論の中で民主党のリベラルな政策に疑問を抱き、自由主義や民主主義を重視するようになった思想や、その支持者を表している。

SUV車

環境問題について2人が話していた際、ジェシーが一例として挙げた問題の中にSUV車による環境問題の話があった。SUV車とはSport Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の略称であり、日本語ではスポーツ用多目的車と言われている。アウトドアレジャーやキャンプなどに利用されることが多い。環境への影響の点で言えば車高の高さから空気抵抗を受けやすいため、燃費が悪い傾向にある。車体が大きいため二酸化炭素の排出量の問題が取り上げられていた。

『ビフォア・サンセット』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ジェシー・ウォーレン「時間はまやかしだ。これは常に起きてることで、ある瞬間が別の瞬間も含んでて同時に存在してる。」

ジェシーはサイン会で次回作の内容を尋ねられた。彼はインタビュアーに説明を続けていく。そしてパッと視線をインタビュアーから周囲へ向けた時、彼は「時間はまやかしだ。これは常に起きてることで、ある瞬間が別の瞬間も含んでて同時に存在してる。」と口にしながら、視界に9年ぶりに会うセリーヌの姿を捕らえる。それまで何度も思い出していた9年前の姿を頭に描きながら説明をしていたジェシー。今のセリーヌが目の前に現れたことで、9年の時が一瞬にして塗り変わった瞬間であった。

ジェシー・ウォーレン「僕はあの本を書くことで君と過ごした時間のすべてを保存したかった。あの出会いをいつでも思い出せるように。あれは本物の出会いだった。」

出典: ameblo.jp

遊覧船に乗り、話題はセリーヌの恋愛観へと移っていった。9年の間に様々な男性と付き合ったセリーヌ。その一人一人だ大切であり、代わりになる人はいないと言う。彼女の話に感化されたジェシーは何故自身が本を出版したのか、その理由を話し始めた。

セリーヌとの9年前の思い出を忘れないために作家になり本を執筆し、サイン会まで開催したジェシー。彼はセリーヌと止まない会話を続けながら遊覧船に乗ったところで「僕はあの本を書くことで君と過ごした時間のすべてを保存したかった。あの出会いをいつでも思い出せるように。あれは本物の出会いだった。」と、どれだけセリーヌとの出会いを大切に思っているのかを打ち明ける。話を聞いたセリーヌは自分だけが過去を引きずっていたのではないのだと安堵の表情を見せた。結婚し妻と息子ができてもなお本物の出会いをセリーヌに感じているジェシー。そして何人もの恋人ができても、ジェシーほどの恋心を抱けずにいたセリーヌ。話すことで互いの想いが分かるほどに、過去の後悔が強くなっていく。新しい会話を重ねながらも頭の中には過去の出来事が浮かび上がる。それでも過去を変えることはできず進んでいくしかなかった。

セリーヌ「 恋する気持ちをあの一晩で使い果たしもう何も残ってない。あの夜が私の感情を奪い、あなたが私の心を持ち去ってしまった。」

フィリップの運転する車の中で、セリーヌの自宅へ向かっている最中。それまで抑えていた感情が一気に溢れ出したセリーヌは、ジェシーが押されるくらいの勢いで想いを吐き出した。

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