BADON(バードン)のネタバレ解説・考察まとめ

『BADON』とは、2019年より『月刊ビッグガンガン』にて連載された、オノ・ナツメによる漫画作品である。前科持ちの男たち四人が刑務所で出会い第二の人生を歩もうと意気投合し奮起していく群像劇として、バードンで開店した高級煙草店「プリミエラ」を中心に繰り広げていく、男たちの再起と絆の物語である。

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バードン大学が取り組んでいる活動の一つ。地域の子どもたちに大学を開放し、特別授業や講演会など様々な行事が開催される。
6歳から18歳までの子どもなら誰でも参加は可能。

『BADON』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

チーロ・ハート「大丈夫だ 心配ない」

先に出所したハートは他の三人の出所を待ちながらバードンへの移住計画を進めていた。周囲に厳しい言葉をかけられるもハートが発した「大丈夫だ 心配ない」という台詞は、何があっても自分たちは困難を乗り越えられるという強い意志と安心感をもたらすものである。作中で度々口癖のように発せられる「心配ない」というハートの言葉は周囲に安心感を与え鼓舞するもので、ハートを象徴する台詞でもある。

レニー・タットラー「いい一日だった!」

酔って上機嫌のレニー(左)とアレン(右)。

ある日の休日、アレンは「若者らしいことをしよう」とレニーを誘って街中へ繰り出す。しかし二人とも若者のような青春を送ってこなかったため何をするか困り果ててしまう。仕事のことを考えずにのんびりと過ごす二人であったが、最終的にルーからラズの面接試験の慰労会に誘われ、酒を酌み交わしながら煙草業界の今後について語らうひと時を過ごす。
酔いが回り、普段は見せない楽しげな笑顔でアレンと歩くレニーが発した「いい一日だった!」という言葉は、充実した休日を過ごせたことの表れである。

ダリオとリリーの再会

手作りのサクランボパイを持ってくるリリー(右)と、俯くジャコモ(左)。

ジャコモの正体が父であるダリオだとハートから説明を受けたリリーは、「母が得意だったケーキです」とサクランボパイを差し入れる。一緒に食べたいという申し出にただ俯くだけで言葉が出ないジャコモの姿は、自分を気遣うリリーの優しさが心に染みていることが読み取れる。
天涯孤独とされていたリリーが父と再会するという、静かな感動が呼び起こされる場面。

『BADON』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『ACCA 13区監察課』との関係性

物語は『ACCA 13区監察課』より後

他の囚人の世間話に耳をすませるリコ(左)とラズ(右)。

本作は『ACCA 13区監察課』と同じドーワー王国を舞台とした作品であり、第一話でハートが出所する前夜に他の囚人が「国王が代替わりだ」と発言していることから、『ACCA 13区監察課』より年月が経過していることが判明している。
『ACCA 13区監察課』作中では国王が99歳と高齢であったため、数年程度で代替わりしたと思われるが具体的に何年経過したかは不明である。

人気洋菓子店「ハチクマ」の存在

「ハチクマ」の洋菓子。

『ACCA 13区監察課』に登場する監察課では10時と3時におやつの時間が設けられており、「ハチクマ」のロールケーキが登場している。また、手みやげとしてクッキー詰め合わせが登場するなど、バードン区民にとって馴染みのある洋菓子店であることが描かれていた。
本作においても「ハチクマ」は人気店として描かれており、リリーには「こんな可愛いお菓子はじめて見ました」と称賛されている。「プリミエラ」では何かにつけてホールケーキを購入し全員でケーキを食べている。

ヤッカラ以外の地区の存在

エルモの土産を見て「すごいな」と感想を口にするリコ。このポテトチップスは『ACCA 13区監察課』でも登場している。

カード会社のCMに出演したエルモはマリカが住む街で撮影を行い、土産として買ってきたポテトチップスに「JUMOKU」と書かれていることから、マリカはジュモーク区という場所の出身であることが判明している。ジュモーク区は人も農産物も大きいことで有名な区で、『ACCA 13区監察課』では「ジャガイモの平均サイズが20センチを越えた」と言われている。料理もサイズが大きく、『ACCA 13区監察課』連載時点ではジュモーク区で育った若者の平均身長は約2メートル22センチである。
『BADON』6巻の表紙でマリカとリリーが手に持っている大きな果物はジュモーク区の特産と思われる。

コラボレーションカフェの開催

コラボレーションカフェのキービジュアル。各作品のキャラクターが思い思いのひと時を過ごしている。

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