魔法少女サイト(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『魔法少女サイト』とは佐藤健太郎による日本の漫画作品である。不幸な女の子たちが、魔法少女サイトという謎のWEBサイトと契約し魔法のステッキを手にする魔法少女作品。
学校ではいじめられ、家庭でも兄の虐待を受ける朝霧彩。どこにも居場所がなく毎日死ぬことばかりを考えている不幸な女の子であった。そんな彼女はある日魔法少女サイトと契約して魔法のステッキを手にする。その日から魔法少女として数多くの戦いや世界の命運のかけた運命に翻弄されていく。

『魔法少女サイト』の概要

『魔法少女サイト』とは佐藤健太郎による日本の漫画作品である。秋田書店のウェブコミック配信サイト『Champion タップ!』にて連載された後、『週刊少年チャンピオン』に移籍して連載。全16巻。作者の前作である『魔法少女・オブ・ジ・エンド』に続く魔法少女シリーズであり完結編である。今までの魔法少女モノの型を破るようなダークな展開は人気を博し、公式スピンオフである『魔法少女サイトSept』も連載。2018年4月には「アニメイズム」枠にてTVアニメも放送された。全12話。アニメ版は彩達の物語である第1部を中心とした展開がされ、終盤は原作と異なるオリジナルストーリーが描かれた。アニメのキャッチコピーは「抗わず生きるか、抗って死ぬか。」

学校ではひどいいじめを受け、家では兄から虐待を受けている不幸な少女朝霧彩。「もう…死のうかな」そんな考えがよぎった時、魔法少女サイトと名乗るWebサイトから魔法少女に選ばれた彩は、銃の形をした魔法少女のステッキを授かる。エスカレートしていくいじめに対して、彩は遂にいじめる相手にステッキを使用。ステッキを使用し難を逃れるが直後、ステッキを使用した相手が電車事故で死亡しているのが発見される。罪悪感を感じる彩の元に同じ魔法少女でありクラスメイトの奴村露乃が現れた。この出会いから彩の魔法少女として過酷な運命に翻弄される物語が始まる。魔法少女としての力を手に入れた不幸な少女達の友情や愛、やがては地球の命運すらもかけた戦いが描かれた。

『魔法少女サイト』のあらすじ・ストーリー

第1部 朝霧彩

魔法少女サイトとの出会い

朝霧彩(あさぎりあや)は学校ではクラスメイトの雫芽さりな(しずくめさりな)からのいじめに遭い、家では兄の朝霧要(あさぎりかなめ)に虐待される日々を送っていた。毎日死ぬことばかりを考えていた彩は、ある日魔法少女サイトというWebサイトに出会う。不幸なキミに魔法の力を与えると言われた彩は、登校した下駄箱に銃の形をした魔法のステッキがおかれているのを見つけた。彩は、荒井翔太(あらいしょうた)と貝島えりか(かいじまえりか)にいじめられ、ついにステッキの引き金を引く。彩のステッキの能力は瞬間移動だったようで、翔太とえりかは彩の前から姿を消した。直後電車の人身事故が発生。轢かれたのは彩をいじめていた翔太達だった。ステッキを使った彩は目から血が出る。髪も赤くなっていた。ステッキで二人を殺してしまった事におびえ、彩は罪悪感に苦しんだ。

翌日、えりかが死んだ事をさりなに問い詰められる彩。カッターナイフで脅されている彩の元に奴村露乃(やつむらつゆの)が現れる。奴村もまた魔法少女サイトと契約し、ステッキを授かった魔法少女だった。奴村はステッキの力で時間を停めて彩をその場から連れ出す。奴村を自分の家に案内する彩。奴村はステッキをUSBでPCに繋ぎ再びサイトにたどりつく。サイト内の隠しページでは、テンペストまでのカウントダウンが始まっており、1か月後の8月11日に何かが起こるという。奴村はステッキを使うと寿命が減っていく事を彩に教え、ステッキを持つ魔法少女を狙う魔法少女狩り(マジカルハンター)に気を付けるようにと警告する。

次の日、下校中の彩は魔法少女狩りに襲われる。前のように人を殺したくないと思う彩はステッキを使う事をためらうが、奴村に「あたしを信じないさい」と言われてステッキを使った。奴村の時間停止を使い魔法少女狩りを捕まえる。魔法少女狩りの正体は以前に奴村と協力していた情報屋の潮井梨ナ(しおいりな)であった。以前会った時と容姿が違うと驚く奴村。潮井は他の魔法少女から奪ったステッキで容姿を変えていたのだ。「テンペストが起きれば全員死ぬ」と言う潮井は急に吐血して倒れてしまう。テンペストの情報をさらに聞き出すために、昏睡状態の潮井を回復させるステッキを持つ魔法少女を探す事を提案する彩。潮井の持っていたさつりく帳を見ると人気アイドル穴沢虹海(あなざわにじみ)の姿があった。

穴沢虹海に接触するべく、虹海の所属するアイドルグループのいぬあそびの握手会へと向かう彩と奴村。虹海は自分が魔法少女である事をあっさり認め、二人を自宅に招き入れる。虹海の下着型のステッキには、相手になんでもいうことをきかせる力があった。魔法少女狩りの情報を聞き出そうと潮井の写真をみせると、虹海の態度が豹変した。虹海は親友であり魔法少女であった池股みかど(いけまたみかど)を、魔法少女狩りによって殺されていた。「魔法少女狩りに出会ったら絶対に殺す」と言う虹海と潮井を会わせてはいけないと考えた彩と奴村は、潮井の存在をごまかしてその場を引き上げる。

一方、奴村に切られた怪我で入院していたさりなは、自分の姉にそっくりの姿をしている潮井が入院している事を知る。さらにはその見舞いに彩が来ていた事を知り、今までの事に疑問を持った。するとさりなの元に、サイト管理人・漆(なな)が現れる。漆はステッキを集める新たな魔法少女狩りへとさりなを誘う。魔法少女サイトからテンペストの事を知ったさりなは、ステッキの回収と自分の首の傷と親友の復讐を誓った。

虹海はいぬあそびを脱退し、芸能活動を休止。虹海のファンである直戸圭介(なおとけいすけ)はショックのあまりにバイト先のコンビニで倒れてしまう。偶然そこに居合わせた彩の兄の要は、圭介を病院へ運んだ。一方、彩たちのクラスには退院したさりなが登校、さらに魔法少女狩りに復讐をするため虹海が転校してきた。事情を聞いたさりなは、虹海に潮井の眠る病院の場所を教える。

学校を休んでいた奴村を心配し、彼女の住むマンションを訪れる彩。そこへ彩の後をつけていたさりなが現れた。サイト管理人から得たステッキで復讐しようと、さりなは彩と奴村に襲い掛かる。彩は必死に奴村を守ろうとした。すると虹海からさりなへ電話がかかってくる。「潮井を殺そうと思ったが、障壁に守られていて殺せない」と虹海は言った。奴村があらかじめ潮井の集めていたステッキの力で潮井に障壁をほどこしていたのだ。

さりなの攻撃で奴村の住むマンションが崩落する。彩と奴村はステッキの光の壁に守られて一命をとりとめたが、病院に運ばれる。一方自宅にいる要の元には、潮井を殺し損ねた虹海が尋ねてきていた。虹海は要を見て一目ぼれをする。彩達と一緒に崩落にまきこまれたさりなは彩のステッキに助けられていた。一命をとりとめたさりなは管理人に疑問を持ち漆を詰問する。漆はさりなを射殺した。

もうひとつの魔法少女サイト

潮井が目を覚ますと、目の前には雨谷小雨(あまがいこさめ)と名乗る少女がいた。彼女は自分のステッキの治癒の力で潮井を治したのだ。小雨は「別のサイト管理人から力を授かった」と語る。彩も奴村も小雨の力で回復した。小雨は「テンペストの本当の意味は人類の選別であり、生き残るためにはステッキを使い不のエネルギーを満たす事である」と言う。その話を聞いた彩は、ステッキを使い続ける事で寿命を削る事が生き残る条件なのはおかしい。誰も生かす気がないのではと思う。テンペストの真の意味を聞き出そうと、サイト管理人の捕獲を考える小雨。そのために彩たちに協力を仰ぐ。

彩は帰る家のなくなった奴村を家に連れていく。重症だった傷が治り、彩の両親は驚いた。彩の周りにおかしな事が起こる事に疑問を持った要は、彩のPCを調べて魔法少女サイトの存在を知る。
学校に登校する彩。今度は潮井がクラスに転校してくる。潮井を見て逆上した虹海はステッキの力を教室で使おうとするが、奴村と彩が協力してパンツ型ステッキを脱がす。虹海を落ち着かせて、潮井と4人で学校近くの公園へと移動する。小雨の連れてきた燐賀紗雪(りんがさゆき)、水連時清春(すいれんじきよはる)、泉ヶ峰みかり(いずみがねみかり)、滝口あさひ(たきぐちあさひ)といった魔法少女達に会う。

要は虹海と再会する。仲良く話し込んでいる所を見た圭介は要に殺意を持つ。要は虹海から魔法少女サイトの事やステッキの事を上手く聞き出し、テンペストやステッキの力、虹海がステッキを失くして困っている事を知る。
彩は仲良くなった魔法少女の皆と一緒に海へとやってきていた。小雨から奴村の残りの命が少ないと聞かされた彩が思い出作りのために皆で海に行くことを提案したのだ。束の間の休息を楽しむ一向。帰り道、更衣室のロッカールームから虹海のステッキが盗まれる。盗み出したのは要であった。要の元に包丁を持った圭介がやってくる。「虹海がアイドルをやめたのはお前のせいだ」と襲い掛かってくる圭介。要は手に入れたばかりの虹海のステッキの力を使い圭介を自殺させた。その一部終始を見ていた彩は恐怖する。

圭介の遺体は警察に回収された。事件を担当する警官・美炭貴一郎(みすみきいちろう)は、遺品の写真から虹海と要が何か事件に関連しているのではないかと調査を始める。彩と奴村、潮井はサイト管理人の戦いで、家族を危険にあわせないために燐賀の実家である燐賀組に身を隠す事にした。要は海から帰った虹海にコンタクトをとる。無事にステッキの力を手にした要は、虹海を「用済みだ」と言いステッキの力で支配する。要は虹海から彩達の居場所を聞き出し、彩達のいる燐賀組へと乗り込んできた。要は、ステッキの力で彩達を行動不能にする。清春は虹海の洗脳を上書きする。正気を取り戻した虹海は逆上して要に襲い掛かるが返り討ちにされた。しかし、最期の力をふり絞って要に致命傷を与える。彩達は無事であり清春も助かったものの、虹海が犠牲になってしまった。要は美炭によって連れ去られる。警察官の表の顔とは別にサイト管理人・漆と協力してステッキの回収をしていた美炭は要を監禁する。

サイト管理人との戦い

彩は虹海の死を受け入れられずに学校を休んでいた。落ち込む彩の元に行方不明となっていたさりなが現れる。さりなは彩に自分の持っていたステッキを渡す。一度はサイト管理人・漆に殺されたさりなであったが、魔法少女である禍沼アリス(まがぬまありす)の時間を戻す力によって、難を逃れていた。全てを独りで背負おうとする彩。それを見たさりなは不幸を生み出さないためにも魔法少女サイトを討つべきだと諭す。
虹海の死は全国的に報道され、大規模な告別式が行われた。彩は告別式に参列し虹海の遺体に花をそえ、もう誰も傷つけさせないと誓う。
改めて戦う覚悟をした彩は、さりなとアリスと協力してサイトを討つことを決める。アリスは「今度はこちらから奇襲をかける」と言ってサイト管理人を捕まえる作戦を立案。管理人が新たな少女にステッキを与えるという瞬間を襲うという作戦であった。

次の魔法少女候補であった住倉湯華(すみくらゆか)の元へ向かった彩達。学校にサイト管理人の一人である弐がやってくる。途中で気づかれて抵抗されるものの、何とか弐を撃退する彩達。突如弐の姿が変異して現れたのは、少女の遺体であった。弐から現れた少女の遺体を調べるアリス。少女の正体は、かつて魔法少女であった越智沈果(おちしずか)であった。管理人の正体は、元魔法少女だったのだ。

全員の寿命を見せ合い、奴村の命があと2日だとわかった。日付は7月23日。8月11日のテンペストまでは生きられない。だから彩は残りの命が少ない奴村と最後の思い出作りにでかけた。原宿の竹下通りで二人でデートする彩と奴村。デートの終わり彩は「ずっと一緒にいたい」と奴村を見て泣く。奴村もずっと一緒にいたいと思いながら「幸せだった」と涙する。二人はデートの別れ際に静かにキスをした。
要は隙をついて美炭の元から逃げだす。美炭の抵抗を喰らいながらも逃げ出した要は一命をとりとめた。
再びサイト管理人を奇襲する彩たちであったが作戦は失敗。みかりが死亡。アリスのステッキで時間を戻そうとするものの、戦いの場からアリスは忽然と姿をくらましてしまう。絶体絶命の中、奴村は彩を逃がすために最後のステッキを使用した。

第2部 湖村花夜

殺人鬼の子供

妹をリンチ殺人事件で亡くした湖村花夜(こむらかよ)。花夜の父親は花夜の妹の復讐のために、容疑者である少年達を制裁した。そのため花夜は学校で殺人鬼の子供といじめられていた。そんな花夜の元に、魔法少女サイトが現れ、新たなステッキを与える。翌日、花夜の下駄箱にはステッキとさつりく帳と呼ばれる魔法少女達の写真が貼られたノートが入っていた。その夜、花夜をいじめている主犯格の蜜白メリッサ麻衣菜(みつしろめめりっさまいな)が、花夜の幼馴染の少年の拓馬(たくま)を捕らえ、花夜を罠にはめる。絶対絶命の危機をクラスメイトであり魔法少女の酒木さくら(さかきさくら)に助けられる。酒木は花夜の妹の愛里(あいり)が、不良にリンチされて亡くなった過去の事件にも魔法少女サイトとステッキが関わっていると指摘。花夜のステッキは、触れた魔法少女のステッキの力を1度だけコピーするものであった。酒木は「今のままではステッキは使い物にならない。さつりく帳にいる魔法少女たちから魔法をコピーしろ」と言う。酒木もとある魔法少女を探すために花夜のコピーを手伝おうとする。

花夜は拘置所にいる父親に事件の詳細を聞きに行った。父親は事件を起こした不良達が死に際にAという人物からステッキを貰い、それを使って犯行に及んだと言い残したと語る。父の話を聞いた帰り道に、花夜は魔法少女である霰矢透子(あられやとうこ)に襲われた。それを酒木のコピーステッキでなんとか撃退する。透子を捕らえた花夜はAについて尋ねた。透子もAからステッキを貰ったと語る。透子は魔法少女サイトの存在を知らなかった。魔法少女サイトとは別にステッキを与えているものがいる事を知った花夜は、透子と協力関係を結ぶ。

Aの手がかりを探しつつも、酒木と一緒に能力をコピーするために各地の魔法少女の元を訪れる花夜。その様子を見た拓馬は花夜に「何がおこっているのか?」と尋ねる。花夜は拓馬にサイトやステッキの事、Aの事を打ち明ける。Aを捕まえた時、父親のように感情のままAを殺してしまうのではないかと怯える花夜。拓馬は「お前の身体にはお前の血しか流れていない」と励ます。またAを捕らえた時の立証のためにも警察である父親にもサイトやAの事を話すべきだと拓馬は提案した。父親にも本当の事を話し力を貸してほしいと頼む花夜。父親は自分の部下である美炭の元を尋ねろと言った。

酒木は美炭が信頼できるか調査に出向く。美炭の家に忍び込み、調査をする酒木。酒木は美炭の家の隠し部屋に大量のステッキと、さつりく帳に似た魔法少女達のデータがあることを見つける。酒木はさつりく帳を作成している美炭はサイト側の人間だろうと分析した。また禍沼アリスが美炭の妹であり、本名が美炭アリスだったことが判明する。より詳しい情報を聞き出すため透子は美炭に接触した。透子は美炭に秘密をバラされたくなければ知っている事を全て話せと脅すが、その場にサイト管理人の漆が現れて透子を射殺する。漆はサイト管理人からも目の上のたん瘤であったAの正体を突き止めて葬りさった美炭を評価して仲間に引き込んだのであった。

美炭と漆の会話からAの正体が安城磯子という人物である事、すでに1年前に亡くなっている事を知る花夜。ステッキの力で透子の亡骸を回収し、その場から逃げ出した。何もできなかった上に透子を失い、仇のAすら死んでいたと失意の暮れる花夜。魔法少女サイトの秘密を知った自分達は管理人に狙わる。そう考えた花夜と酒木は自分達の死を偽装して行方をくらました。

彩と花夜の出会い

8月1日。アリスの裏切りにあった戦いを生き延びた彩達は依然サイト管理人と戦っていた。以前に比べて格段に連携やステッキの使い方を修練した魔法少女達。さりなとあさひは管理人蜂(はち)を。潮井と燐賀は拾肆(じゅうし)をそれぞれを撃破する。サイト管理人が2人も撃破された事で、他の管理人たちにも動揺がひろがっていた。また美炭がステッキと共に行方不明になったことにより漆の立場も悪くなっていた。人間と手を組んでいた漆を疎む声は管理人の中にも多く、ついには漆を処分しろという王(おう)直々の命が下る。
さりなや潮井達の元には生まれ変わった弐と最強の管理人・十陸(じゅうろく)が迫っていた。家族や友人にも管理人が差し向けされるが、さりな達の危機に花夜と酒木が助けにくる。花夜は管理人から逃れるために死を偽装し身を潜めていた。その中で管理人と戦う彩達の存在を知り、接触を試みたのだ。花夜と酒木の二人は彩がいる隠れ家へとやってくる。彩は奴村を失ってから声が出なくなっていた。彩のみんなを守りたいという思いにより、ステッキの能力が引き上げられ、物体だけでなく記憶や寿命までも移動できるようになっていた。
ステッキの能力で花夜のこれまでの戦いを知った彩は、これまでの自分達に何があったのかを花夜に見せる。奴村の犠牲で時を止めて難を逃れて生き残った彩達は、ステッキの力で残りの寿命をお互いに分け合い、サイト管理人との戦いを決意する。彩の記憶を共有した花夜は彩とともに戦うことを誓う。さりな達は彩に先ほど戦った弐が時を止める能力を持っていた事を彩に伝える。復活した弐の中は奴村である可能性が高い事を知る彩。

自分の立場が危うくなっていると知った漆は要に接触。要を仲間にしようとした。漆はテンペストの存在と後10日で世界が終わるという事を要に伝える。そこへサイト管理人の追手として陸(ろく)と拾伍(じゅうご)がやってきた。「君には生きてもらわなければ困る」と言って漆は要を逃がし「ステッキを手にいれろと」指示する。
要は母親が家に持って帰ったステッキの回収とサイト管理人の襲撃から母を守るために帰宅する。しかしそこには既にサイト管理人拾弐(じゅうに)が迫っていた。遅かったと思う要だが、その時父である次郎がやめろと拾弐を静止させ、追い返す。父の次郎がパンツステッキを手にしていると理解する要。父はステッキの力で要に勉強しろと机に向かわす。

清春の母親が管理人に殺された事がわかる。自分達だけではなく家族や親友にまで手が及び始めている事を知った彩達。清春の母親を助けるためにも時を戻すステッキを使おうと彩達はアリスの元へ赴く。彩はアリスからステッキを奪取し時を戻す。皆の家族や友人を守るために魔法少女達はそれぞれの場所へと赴いた。
燐賀の家にはサイト管理人伍(ご)が襲来していた。交戦中に燐賀の危機を知らされた彩はアリスのステッキで時間を戻そうとするが壱の力によって阻止される。燐賀の捨て身の戦いで伍を無事に撃退するものの、燐賀は伍と刺し違え、死亡。彩たちはサイト管理人を相手にもう絶対に死ぬことのできない戦いを強いられることになった。

ステッキを失ったアリスの前に、美炭と磯子が現れる。Aの正体であった磯子は生きていて美炭と協力関係にあった。美炭の目的はもう一人の妹・ルイスを探す事であった。ルイスはかつて魔法少女となり行方不明になっていた。美炭の目的を知った磯子は、力を使い果たした魔法少女がサイト管理人になる事を伝える。そして漆がかつての自分の親友・長月雹花(ながつきひょうか)であること、長月の意識が漆に残っている事を伝える。この話を聞いた美炭は磯子と協力することに。磯子の死を偽装し、Aを捕まえた事実を土産に漆の手下となったのだ。

彩の秘密

彩は家族を救いに家に帰宅する。しかしそこには勉強に向かう要と父と、それを見守る母がいた。彩は危険が迫っている事を知らせようとするが父は彩の姿を見て、ステッキの力で彩を黙らせる。父は自分が彩を嫌っているのは、彩は本当の娘ではなく養子だったからだと語った。「私たちの子供じゃない、子供面するな」と彩を切り捨てる父。彩の秘密を話した父に母は激怒する。言い争いになるその最中、ステッキの効力の切れた管理人・拾弐が再び襲来、もう一度ステッキで黙らせようとする父はステッキの副作用で吐血してしまう。その事で父のステッキの力が解けた彩は家族を転移させて拾弐の攻撃から守る。彩は血がつながってなくても家族を守ろうとした。そんな彩に、管理人は「お前の唯一の血のつながった人物はもう死んだ」と言う。拾弐は彩と奴村が双子の姉と妹であると話す。奴村は彩の双子の妹であった。奴村と運命でつながれていたことを喜び、誰も不幸にしたくないと思う彩の決意は固まる。彩は拾弐の攻撃を逆手に取り撃破した。

陸(ろく)と拾伍の追手を退けた漆には最強の管理人である壱(いち)が立ちはだかる。「貴様は人間の事が好きになっている」と漆に問う壱。漆はその考えを完全に否定できないでいた。「バグが起きている」と判断した壱は、漆を不純物と扱い排除しようとする。圧倒的な力を前に苦戦を強いられる漆を救ったのは美炭達であった。美炭と磯子の言葉で長月雹花の時の記憶がよみがえる漆。「テンペストを阻止したい。新たな人類などおもしろくない」記憶を取り戻した漆は美炭達と共闘関係を結ぶ。

彩の父はステッキの副作用のせいで息を引き取る。父を看取った病院で彩は要からあと10日でテンペストは発動すること、テンペストで人類が作り変えられる事を聞く。彩は花夜と協力して他の魔法少女の救援に向かう。彩は拾捌(じゅうはち)と戦う潮井の元へ駆けつけた。潮井を安全な場所に避難させた彩は拾捌を撃破、魔法少女を分離させる。花夜も小雨と酒木の元に救援に向かい、サイト管理人の参(さん)を撃破する。犠牲を出しながらも管理人の襲撃から家族を守った彩達。その時世界に異変が訪れた。王が目覚めたのだ。世界中の人達が精子の姿になり王の元へ集まる。王による人類総受精が始まった。せっかく守った家族たちも精子化し王の元へと連れ去られてしまう。ステッキを使った事のある人間以外は王により取り込まれてしまった。悲観に暮れる一同、その時彩が声を取り戻す。「希望は捨てない、皆で絶対に救いだそう!」とテンペストから皆を取り戻す決意をする。

テンペストの発動

声を取り戻した彩は美炭や漆達の元へ。彩は漆から魔法少女サイトの全ての記憶を引き出す。地球は一度核戦争で滅びた後に、人類を再生した。秘密結社の管理の元で人類が再び滅びの道を辿らないように進化させようとした。しかし、人間の手による管理では、どうやっても滅びしかない。そのために人類はAIで地球を管理をすることにした。AIは地球にとって不要なのは人類であると結論をつけて人間を滅ぼし、地球はAIの星になる。だがそれをよしとしなかった地球の実体である王はAI達を消滅させて元の地球に戻す。しかしこのままではまた滅びの道を歩むと思った王は人類を試すため、3年の時間を設ける事にした。王は魔法少女サイトを作り、不幸な少女達に魔法を与える。この時に使用される不のエネルギーが規定の数値に達しなければ人類を存続させる、もし達してしまえば新人類として人類を再生させる。この期限がテンペストだった。

サイトの全貌を知った彩達に漆は王の弱点を伝える。「本来ステッキを使う事のない人物、魔法少女でない男がステッキを使えば王にダメージを与えられる」と語る漆。美炭が接触してきた時に手をむすんだのも、新たに要と接触したのもステッキを使った事のある男をテンペストの際に生き残らせるためであった。テンペスト阻止のために戦いを始める彩達に管理人がたちはだかる。既にここにいる魔法少女以外は全て殺し終えたと語る管理人たち。弐の時を止める力を使われてはまずいとあさひが自らの命とひきかえに、皆を逃がす。彩は弐の中に眠る奴村を救い出すために管理人と戦う。そこにさりなが助けに来る。今までの贖罪の気持ちで彩を援護するさりなの犠牲もあって彩は無事に奴村を救い出す。奴村を救い出した彩の前にクラスメイトの火本が現れる。テンペストが始まった中で生き残っている事に驚く彩だが、火本は「お前たちの事をじっと見守っていた」と語り「星を護れ」と言って寿命を差し出す。ステッキの力で火本の記憶を共有する彩は、王が地球の核(コア)である地球の宮とともに今の地球を捨て去ろうとしている事を知る。同時に火本の姿をした人物が自分と奴村の父親である事を知る。火本と別れて彩も皆の元へ急ぐ。逃げ延びた花夜達はテンペストを阻止するために作戦を開始していた。花夜達のピンチに今までステッキとかかわったために精子化せずに生き残った山井、燐賀の父、母、拓馬に花夜の父が現れる。要や清春、性別変換のステッキを使った花夜の力で王にダメージを与える事に成功。ついに王を倒したと思ったのも束の間、既に地球の宮が地表からでた事によりバランスをたもてなくなった地球は崩壊しようとしていた。

地球の崩壊を防げないと思った彩は肉体の全てと寿命と引き換えに自分の意識を過去へと飛ばす。過去にさかのぼり皆にステッキがわたらないように皆を不幸から救う彩。地球から不幸な少女がいなくなり不のエネルギーが集まらなくなっていた。しかしそんな中でもただ1人不幸な少女であった朝霧彩に管理人壱はステッキを渡そうとする。その時ステッキを手にした彩が壱を連れ出す。壱が連れてこられたのは何百人の彩がいる場所であった。過去に飛んだ彩は過去の自分と協力して時間を遡り続けていた。何度ものやり直して王に近づこうとする彩であったが要のかけた「自分1人だけが不幸になるのは許せない」という兄・要の言葉により王にたどり着けずにいた。最後の手段として壱の力で地球を再生させようとする彩。「人間はこの星に必要か?」壱の問いに彩は一度だけ心から幸せを感じた事があり、機械である壱にも幸せを感じてほしいと答える。壱は自分の身を地球のためにささげる事が幸福だと思い、新たな地球の宮となる。彩と壱の力により地球は再生。人々の記憶を書き換えられる。再生された地球、彩の元に本当の父親が現れる。彩の母親が生きている事を伝え、居場所を教える。彩は「今の自分には必要ない」と答える。再生された世界で彩は奴村と一緒に生きていく。

『魔法少女サイト』の登場人物・キャラクター

主人公

朝霧彩(あさぎりあや)

CV:大野柚布子
中学2年。4月8日生まれ、身長145cm、A型。
本作の主人公。学校でいじめられて家では兄に虐待されていたところを魔法少女サイトに出会う。人見知りで相手に感情を伝えるのは苦手だが誰よりも人を想う心優しい性格である。魔法少女となった頃は人を傷つけたくないという罪悪感からステッキの使用をためらうほどであったが、虹海の死や兄との戦いで成長、魔法少女サイトの不幸の連鎖を断ち切りたいと思うようになる。戦いの中で一番の友達であった奴村を失い一時は声を失うが、テンペストが発動する中で家族や大切な人を救いたいと思い声を取り戻す。要を始めとした家族とは養子関係で血が繋がっていない。奴村とは幼い頃に生き別れた双子の姉妹であった。対象を自分の感情に強く変化が起きた場所へ飛ばす拳銃型のステッキを使う。奴村を失ってからはステッキの能力が引き上げられて、記憶の共有や寿命の受け渡しもできるようになっていた。デリケートでストレスを感じやすい性格のため夜に眠れないことが多い。そのため目の下のクマがなかなかとれないのが悩み。趣味は読書。好きなものはチョコレート、ぬいぐるみ、お肉。髪と肌が綺麗で奴村いわくすごくいい匂いがする。肌の色は地黒。

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