3月のライオンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『3月のライオン』とは、羽海野チカによる将棋を題材とする漫画、および漫画を原作とするテレビアニメや実写映画などのメディアミックス作品である。
15歳でプロ棋士になった孤独な青年・桐山零が、川本三姉妹や個性豊かなライバル棋士たちとの交流を通じて、棋士として、人間として成長していく姿が描かれる。
プロ棋士・先崎学監修による臨場感あふれる棋士たちの熱い対局に加え、彼らの生き様を表す様々な名言が注目を集めている。

零の対局を解説していた二海堂が、テレビ越しに零に語りかけた言葉。

不調に陥り、自身の将棋のペースを見失っていた零は、その日の対局でも相手の挑発に乗ってしまい、悪い局面を迎えていた。投げやりな姿勢で将棋を指す零を見かねた二階堂は、「カッコつけんな桐山っっっ!!!本当に勝ちたいんなら粘れっっっ。攻めるだけじゃなくちゃんと守れっっ。『潔い』のと『投げやり』なのは似ているけど違うんだ!!」と、テレビ越しで必死で零に呼びかける。

幼少期からのライバルである二階堂の、攻めるだけではなく守って現状維持することの大切さを説くこの言葉は零の心を動かし、その後の別の対局中にも何度も思い返すほど大切な言葉となった。

「出るさ。絶対にタイトルに挑戦する。そう決めている そう思わないでどうしてやっていける」

島田のタイトル戦を見学しに来た零に、二階堂がかけた言葉。

関係者がごった返す会場で、二階堂は零に、「この雰囲気を少しでも味わって慣れておいた方がいいぞ。いざその時に舞い上がって集中力を欠いたりしないですむように」と助言する。零は、まだ棋士としては駆け出しのランクにいる二階堂が、すでに自分がタイトル戦に出ることを想定していることに驚く。しかし二階堂は真面目な顔で、「出るさ。絶対にタイトル戦に挑戦する。そう決めている。そう思わないでどうしてやっていける」と強い決意を垣間見せる。

零は、自分より一つ下のランクにいる二階堂が、自分よりもよっぽど真剣にタイトル戦に出る将来を想定していることを知って動揺する。体の弱い二階堂の精神面の強さが感じられる名言である。

「将棋でまで 『弱い人間扱い』されたら もうボクは どこで生きて行ったらいいんですか!?」

幼少期の二階堂が、島田との対局で手加減をされた際に泣きながら言い放った言葉。

肝臓の持病を抱える二階堂は、将棋への高い能力とやる気を持ちながらも、体調を酷く悪化させて連敗を重ねていた。そんな二階堂を勇気づけようと、島田は二階堂との対局で手加減をしてしまう。しかしそれを二階堂に見透かされ、「そういう手加減はしないで下さいっ。将棋でまで『弱い人間扱い』されたらもうボクはどこで生きて行ったらいいんですか!?」と泣きじゃくった。

生まれつきの難病を抱え、「弱い人間」として見られてきた二階堂の、「将棋でだけは強くありたい」という願いが垣間見える名言である。

三角龍雪(スミス)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「100%勝敗が決まっている対局もまたプロ同士絶対にないのだ」

圧倒的な実力差のある後藤との対局を控えたスミスが、心の中でつぶやいた言葉。

対局前、スミスは将棋会館で後藤と島田の棋譜をコピーする零の姿を見ていた。零の次回の対戦相手は島田であり、島田の次にあたる後藤の棋譜も印刷しているということは、零が格上の島田を破った時のことも想定していることを意味していた。スミスは、「俺にはねーよ。後藤を破って島田さんとむかい合うビジョンなんて」と舌を巻いた。

「勝てるかもしれないと思える人間がそのまま勝つ可能性のある人間だったりするのだ」と考えるスミスは、後藤を破るビジョンが見えない自分のことを「つまりそーゆー事だ」と自虐しながらも、「100%勝敗が決まっている対局もまたプロ同士絶対に無いのだ」と覚悟を持って対局に臨んだ。

実力差がある相手に対しても諦めずに勝利を追い求めるプロの在り方を示してくれる名言である。

田中太一郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「口だけ出して責任はとらない奴の言うことなんてきかなくていいんだよ」

「仕事を諦めたくない」と涙を流す妻の敦子に向けて、田中がかけた言葉。

共働き家庭で、2人の子供が病弱という事情を抱えていた田中は、編集者で多忙な妻と協力しながら家事育児と将棋を両立させていた。周囲の人々は敦子に「仕事をやめてダンナを支えろ」と言ったが、敦子は「本を作ることが夢だった」と仕事をやめるのを嫌がって涙を流した。

田中は、「口だけ出して責任は取らない奴の言う事なんてきかなくていいんだよ」と妻を諭し、子供たちが立派に育つまで共働きの状態のまま将棋と家庭の両立を果たした。

「自分の弱さから目をそらすやつがするのが憂さ晴らし。弱さを見つめる人間がするのが立て直し」

教え子である野火止が零に敗れた際に、田中が呟いた言葉。

必死の努力の末に年下の零に敗れ、悔し涙を流した野火止を周囲の人々は心配するが、田中は「自分の弱さから目をそらすヤツがするのがウサ晴らし。弱さを見つめる人間がするのが立て直し。彼はきっと走って帰って勉強するよ」と教え子をあたたかく見守っていた。

野火止の将棋への執念を信じる師弟の信頼関係と、負けた後に自棄にならずに自身の弱さと向き合うことに大切さを教えてくれる言葉である。

柳原朔太郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「これは俺が絶対に手離しちゃ いけねぇもんだ!!オレが担いで届けるものだ!!」

現役最年長棋士である柳原が、周囲からの期待に重圧を感じながらも、その重圧を糧に自分は戦い続けることを決意した時の言葉。

長く現役を続ける中で、同世代の棋士は「俺達の分も頑張ってくれ」の言葉を残して引退していった。仲間達から託されたたすきは、重圧となって柳原に絡みつき、縛り付けるようになる。

島田との対局で負けを意識した柳原は、これまで自らを縛りつけてきたそのたすきから解き放たれるような感覚を味わうが、これまで応援してくれた人々の言葉が頭を駆け巡った瞬間、「駄目だ!!」と思い直す。「これは俺が絶対に手離しちゃ いけねぇもんだ!!オレが担いで届けるものだ!!」と、再びたすきを手繰り寄せる。

年齢を重ね、それでも勝ちに執着し続けることを決意した柳原の覚悟が現れた言葉である。

「好きなヤツも 嫌いなヤツも 山程いたが 間違いねえ ――今の俺はその 全部のカケラでできている」

sho
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