諸星あたる(うる星やつら)の徹底解説・考察まとめ

諸星あたるとは漫画『うる星やつら』の主人公である。友引高校に通う男子高校生であり、クラスメイトの三宅しのぶと付き合っていた。ある日、地球を侵略しに来た女型宇宙人のラムと地球の命運を賭けた鬼ごっこをする事となり、これに勝利する。その際に勘違いからラムに惚れられ、彼女やそれを取り巻く個性的な人々と共に騒がしい日常劇を展開。ラムに言い寄られる一方、生来の浮気性で多くの女性を口説きまくり、怒ったラムから電撃を喰らっていた。最後はラムと喧嘩しながらも、本心では互いを想い合う温かい関係を築き上げた。

ラムの人形に泣き付くシーン

ラムはある日、諸星に自身を形取った手作り人形を手渡す。そして突然姿を消してしまった。当初、彼は強がっていたものの、次第に寂しくなっていき、遂には人形を抱きしめて大泣きしてしまう。

一方でラムはパスポートの書き換えをしに母星へ一時里帰りをしていただけであった。またこの人形には小型の盗聴器が仕掛けており、諸星がラムを恋しがっている事が、彼女に筒抜けであった。

ラムはその後地球へ戻ってくる。強がる諸星であったが、その胸ポケットには涙で汚れたラムの手作り人形があるのであった。

普段は浮気性の諸星であるが、裏ではラムの事を本気で想っている不器用さが描かれている。

ランとキスをするシーン

ランは幼馴染にして宿敵のラムに復讐すべく、彼女の最愛の相手である諸星にハニートラップを仕掛ける。ランはキスをして相手の若さを吸い取る能力を持っており、これにより彼を骨抜きにしようとしていた。

諸星が保健室で寝ている際、ランは隙を見て彼にキスをする。諸星はこれを喜んで受け入れていた。だがこの時の彼は錯乱坊が自作した若返りの薬を飲んでいた為、ランのキスが効かず、彼女の作戦は失敗していた。

諸星の浮気性を現すシーンである。

「もう少し着てる…」

ある日、諸星は望という少女の幽霊とデートをする事になる。彼女は生前病弱で、病院のベッドから快活に動き回る諸星を見て、彼に惚れていた。想いを伝える前に病死してしまった為、それが未練となって幽霊となってしまったのである。諸星は彼女を成仏させる為、デートをする事となった。尚、いつも彼が浮気をすると怒るラムであったが、この時ばかりは事情を察してデートの許可を出している。

望は諸星に作りかけの防寒具をプレゼントした。これは彼女が生前、諸星の為に作っていたものである。完成間際の冬場に亡くなってしまったので未完成のままであった。季節は暖かくなってきていたが、諸星は彼女に気を遣ってこれを身に付ける。暑さや周囲の好奇の目線に晒されながら、彼は望とのデートを楽しんだ。最終的に望は満足し、無事に成仏した。それでも、諸星は「もう少し着てる…」と暑さに汗を流しながら望の想いを尊重する。

諸星の不器用ながらの優しさが描かれている。

「いまわの際にいってやる。」

物語終盤ラムは諸星に最後の鬼ごっこ勝負を仕掛ける。彼に「好きだ」と言わせられなければ、地球人の記憶から自分に関する記憶を全て消そうと決意していた。だが、諸星は意地を張って「好きだ」と言おうとしない。そんな彼に、ラムは「自分の事が嫌いになった」と思い、悲しんでしまう。だが最終的に諸星の想いがラムに伝わり、2人は無事に和解を果たす。「一生をかけて、諸星に好きだと言わせる」というラムに対し「いまわの際にいってやる。」と諸星は最後まで意地を張るのであった。

物語のラストシーンを飾る言葉であり、諸星とラムの関係を象徴する名言である。

諸星あたるの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

諸星の声優は古川登志夫(旧作)・神谷浩史(新作)

諸星あたると神谷浩史(画像右の人物)

諸星あたるの声優は旧作(1981年から2008年まで作成されたテレビアニメ及びOVA、関連シーリーズ)と新作(2020年以降に作成されたテレビアニメシリーズ)で異なる。

古川登志夫(ふるかわ としお)は1981年に、アニメ『うる星やつら』で諸星の声優を務めた人物である。彼は栃木県の出身であり、父親の反対を押し切って俳優の道を志した経緯がある。元々は俳優志望であった為、殺陣やアクションを経験している。だが俳優だけでは収入が乏しく、声優のオーディションを紹介された事がきっかけとなり声優としてのキャリアを歩み出す。当初は海外ドラマ等のアテレコがメインであったが、次第にアニメのアテレコも始めた。『ドラゴンボール』のピッコロ(マジュニア)、『機動戦士ガンダム』のカイ・シデン、一時は『ルパン三世』のルパンの声を演じた事もある。日本を代表するアニメ作品に主役、脇役問わずに出演しており、今も尚活躍し続けるレジェンド声優となっている。

2020年に制作された『うる星やつら』のリメイクアニメで、古川は諸星の父親役で出演を果たす。諸星とその父親役という、親子2代の役を演じた稀有な例となった。一時、インターネットではその事が話題となっている。

神谷浩史(かみや ひろし)は2020年に制作されたアニメ『うる星やつら』の諸星役を演じた人物である。元々は芸術系の大学を目指していたが挫折し、声優学校へと進む事となる。そのまま順調にキャリアを歩み、1994年に声優デビューを果たした。代表作には『さよなら絶望先生』の主人公糸色望(いとしき のぞむ)、『マクロスF』の主人公早乙女アルト(さおとめ アルト)等があり、脇役から主役まで幅広く活躍している。

高橋留美子に影響を与えた『ハレンチ学園』

『うる星やつら』の原作者高橋留美子は、漫画家永井豪原作の『ハレンチ学園』に影響を受けている。

『ハレンチ学園』は『週刊少年ジャンプ』で連載されていた学園コメディである。少年誌初のオールヌードを描いた作品でもあり、後世の漫画家達に大きな影響を与えている。学園を舞台に倫理観の欠片も無い教師達や奇抜なコスチュームを着た生徒達が登場し、お色気やバイオレンス等の過激な物語を展開した。一方で過激すぎるその作風が当時のPTAに目を付けられ、大きなバッシングも受けている。因みに原作者の永井豪は『ハレンチ学園』第一部連載後、ロボットアニメの金字塔『マジンガーZ』の原作漫画を描いた。

『うる星やつら』のお色気や学園コメディ等の要素が『ハレンチ学園』と共通している。

『うる星やつら』の原型となった『勝手なやつら』

漫画『うる星やつら』には、原型と呼べる漫画が存在する。それは原作者高橋留美子が描いた読み切り作品『勝手なやつら』である。当作品は新聞配達に熱心な青年が半魚人、宇宙人、地球人に爆弾を埋め込まれ、大騒ぎを引き起こす物語である。主人公のケイは新聞配達を続けようとするのだが、それぞれの勢力が三者三様に策略を巡らせた結果、ケイがそれぞれの勢力にとって非常に危険な爆弾と化してしまう。この為自らの思惑でそれぞれが爆弾をケイに埋め込んでおきながら、身勝手にも三者は彼を手厚く保護する様になっていった。

主人公が様々な種族や厄介な人々に絡まれドタバタな日常を展開していく展開は、『うる星やつら』の原型的なものとなっている。

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