革命機ヴァルヴレイヴ（VVV）のネタバレ解説・考察まとめ

『革命機ヴァルヴレイヴ』の概要

『革命機ヴァルヴレイヴ』とは、サンライズが原作とアニメーション制作を手がけたオリジナル作品である。キャラクター原案は「D.Gray-man」の作者・星野桂、監督がは『ローゼンメイデン』で知られる松尾衡、シリーズ構成は『コードギアス 反逆のルルーシュ』の脚本家・大河内一楼など、豪華な製作陣が名を連ねている。
サンライズのプロデューサーである池谷浩臣らの「サンライズでロボットアニメを作りたい」という思いから計画が発足した。プロデューサーの丸山博雄は、オリジナル製作のロボットアニメはかなり時間と労力を要し、企画スタートから放送まで約3年間もの時間を費やしたと語っている。

アニメは2シーズンで構成され、第1シーズンは2013年4月11日から6月27日、第2シーズンは2013年10月10日から12月26日の期間で全24話が放送された。
アニメ以外の展開として小説や漫画にもなっており、キャラクター担当声優によるWebラジオも配信されていた。

物語は、宇宙都市開発により地球の人口の7割が宇宙で暮らす時代が舞台となっている。主人公の時縞ハルト達が暮らすモジュール77が突然攻撃を受け、偶然手に入れた人型兵器「ヴァルヴレイヴ」を使い、戦いに身を投じることとなる。戦いの中で描かれるロボットの華麗な戦闘シーンや学生同士の人間ドラマなどが見どころで、キャッチコピーでもある「世界を曝く」という壮大な世界観が魅力の作品である。

『革命機ヴァルヴレイヴ』のあらすじ・ストーリー

平和の崩壊

真暦71年、人類の総人口の約7割は地球を出て宇宙都市「ダイソンスフィア」で暮らしていた。その中で「ドルシア軍事盟約連邦」と「環大西洋条約機関アルス」の2大勢力が対立し、主人公・時縞ハルト（ときしまハルト）たちが暮らしている「ジオール」は、中立国として平和を保っていた。
ハルトたち学生は、ジオールの「モジュール77」にある咲森学園に通いながら平和に過ごしていたが、ある日突然ドルシアに侵攻され一変する。ハルトは同じ学校に通う幼馴染の指南ショーコ（さしなみショーコ）や3年の先輩・犬塚キューマ（いぬづかキューマ）、1年の流木野サキ（るきのサキ）、櫻井アイナ（さくらいアイナ）と共に逃げていた。その最中に人型兵器の「ヴァルヴレイヴ」を発見する。ヴァルヴレイヴは今回ドルシアが攻撃してきた理由であり、咲森学園に潜入していたドルシアの軍人・エルエルフたちの目的だった。
目の前でショーコがドルシア爆撃を受けるのを見たハルトは怒り、仇を取るためにヴァルヴレイヴに乗り戦うことを決意する。コックピットのモニターには謎の少女が映っており、「ニンゲンヤメマスカ？」という質問が表示されていた。覚悟を決めたハルトは「Yes」のボタンを押す。するとヴァルヴレイヴが起動し、ドルシアの兵器を凌駕する力を発揮し退けた。戦いを終えハルトが機体から降りるとエルエルフが待ち伏せしており、ハルトを殺すためナイフで刺し銃撃する。ヴァルヴレイヴに乗ったことで人ではなくなってしまったハルトは立ち上がり、エルエルフの首を噛んだ。ハルトは他人の身体を噛むことによって相手の体に乗り移るという能力を手に入れていた。
そこへエルエルフと同じドルシア軍特務大尉のアードライ、ハーノイン、イクスアイン、クーフィアが現れヴァルヴレイヴを渡すように言う。意図せずエルエルフの体に入ってしまったハルトは戸惑いながらアードライの左目を撃ち逃亡する。その結果エルエルフはドルシア軍を裏切ったことになってしまった。

逃げたせいでドルシア軍に身体とヴァルヴレイヴを奪われたハルトは、まずは両方を取り返すことにする。キューマやアイナ、サキに協力してもらい、エルエルフの身体能力を駆使しながらドルシア軍基地に侵入して身体とヴァルヴレイヴを取り戻した。最初にエルエルフを噛んで体に乗り移ったように、今度は自分の身体を噛んでみるとハルトは元の体に戻ることができ、エルエルフに意識が戻る。
ハルトはヴァルヴレイヴでドルシア艦隊を攻撃してジオールから出て行かせようとする。しかしアードライやイクスアインの乗る重戦術兵器「イデアール」で出撃し、戦うことになった。戦闘初心者のハルトは手も足も出せないが、死んだと思っていたショーコが生きていたことを知り、勝って必ず帰ると誓う。
ヴァルヴレイヴは熱限界100％に達して停止してしまうが、100を超え666に到達すると機体は黄金の光に包まれた。腰にさした剣で自らの腹を刺すと剣は光を纏い、凄まじいエネルギーの斬撃を飛ばし、アードライの機体は戦闘不能となる。この攻撃は後に「ハラキリ・ブレード」と呼ばれる。そしてアルスの艦隊が現れてドルシア軍はジオールから撤退した。

ドルシア軍が去った後、モジュール77にはジオールの友好国であるアルスが支援に来ていた。そこに来ていたアルスの政治家・フィガロの提案で、生徒たちはアルスに避難することになる。生徒たちは校舎の外で避難船を待っていたが、校舎内に人影を見つけたショーコは1人校舎に戻る。人影を見た辺りを探していると、2年生の連坊小路アキラ（れんぼうこうじアキラ）がいるダンボールハウスを発見する。中ではアキラがアルスの通信をハッキングしていた。同じ頃エルエルフは、ハルトにドルシアを革命するための契約を持ちかける。自分と組めば学園を丸ごと救ってやると言うが、ハルトは信用できないと拒んだ。しかしエルエルフは「お前は必ず契約する」と自信の表情を浮かべる。
その時、再びドルシアからの攻撃を受ける。予想より早い攻撃に焦ったフィガロは、ヴァルヴレイヴを持って自分たちだけで逃げようとする。アキラがアルスの通信を傍受していたおかげでそのことを知ったショーコは、ハルトと協力してフィガロを止めた。しかし外はドルシアに包囲され、家族を人質に取られているという危機は変わらない。
悩んだ末、ショーコはヴァルヴレイヴを人質として、ドルシアが自分たちの家族に手を出したらヴァルヴレイヴをアルスに渡し、アルスにはヴァルヴレイヴをドルシアに渡されたくなければ一緒に戦ってもらうと交渉に出る。そしてモジュール77は、ドルシアやアルスと対等の独立国家になることを宣言し、ヴァルブレイヴでダイソンスフィアからモジュールを切り離し、独立したのだった。

独立国家 新生ジオール

独立宣言から1週間、ドルシアとアルスは睨み合いとなってモジュール77は平和だった。しかしある日、モジュール全体が停電し雪が降るトラブルが発生する。咲森学園に残っている唯一の教師で物理学担当の貴生川タクミ（きぶかわタクミ）によると、環境整備システムの不調が原因で機械に詳しい霊屋ユウスケ（おたまやユウスケ）が修理して無事復旧した。
その後もっとモジュール内を把握しておくために調査することになり、ハルトが記録係のサキと共にヴァルヴレイヴで最下層へ向かう。そこには何体ものヴァルヴレイヴが格納されていた。サキは目を輝かせていたが、ハルトは自分のような存在をこれ以上増やさないために、みんなには秘密にするようサキにお願いする。サキは承諾するが、自分はヴァルヴレイヴに乗り込もうとする。ハルトが必死に止めるのも聞かずパイロットになったのである。一連の様子を監視カメラで見ていたエルエルフは、サキが適合したことを確認して咲森学園全体がヴァルヴレイヴに乗れるよう仕組まれていたのだと考えていた。
翌日のドルシアによる攻撃には、サキが真っ先にヴァルヴレイヴ4号機で出撃した。その結果他にも機体があることが知られることになる。イクスアインの乗るイデアールに苦戦するも4号機の誇る機動力を発揮してイデアールを撃破した。ドルシアはあっさり撤退したが、実は今回の攻撃はアードライが単独でモジュール77に潜入するための陽動であった。

しばらくドルシアからの攻撃もなく、生徒たちが束の間の平和を謳歌している中、エルエルフはショーコにモジュール77を新生ジオールとして軍事国家にする計画を持ちかけた。しかしショーコはすぐに断る。するとエルエルフは学校の防衛システムを作動させ、全校生徒に向けて、国を占領したことをアナウンスした。一方その頃ハルトは、ヴァルヴレイヴが格納されているピットでアイナと話をしていた。アイナは人間で亡くなったハルトのことを「神が憑いている」という意味の「カミツキ」だと表現し、ハルトを励ますのだった。
そんな2人の元へもエルエルフの放送が入る。ハルトは国を占領したというエルエルフに怒り、すぐにヴァルヴレイヴに乗り込もうとするが、その行動は読まれており、エルエルフに阻止された。それと同時にモジュール内に潜入していたアードライが現れ銃撃してくる。さらにクーフィアがドルシアの量産兵器「バッフェ」に乗って登場し、エルエルフを捕まえろというアードライの指示も無視して、攻撃を開始する。近くにいたアイナはその弾幕に巻き込まれ命を落としてしまった。
ヴァルヴレイヴとエルエルフの作戦でなんとかドルシア軍を退けたが、アイナの死により生徒たちの中に恐怖心が生まれることとなる。

4人のパイロット

度重なるドルシアとの戦闘と仲間の死は、キューマや3年生で不良グループのリーダー・山田ライゾウ（やまだライゾウ）などのヴァエルヴレイヴパイロットへの志願者を増やしていた。他の生徒たちの間でも戦争をするべきかしないべきかで意見が対立し始める。そんな中でまたしてもドルシアが攻撃を仕掛けてきた。ハルトとサキがヴァルヴレイヴで応戦するが、モジュール内にも侵入され内側からも攻撃され始める。イデアール戦に手を焼きどうしても危機を打開できないハルトは、エルエルフと手を組むことを決意した。そしてエルエルフの作戦によりドルシアを撃退する。
手を組むことになったエルエルフは、生徒たちを広報・砲術・通信・電探・機関・防壁の6つに分けて配属を決定した。キューマは砲術、3年生の二宮タカヒ（にのみやたタカヒ）などは防壁班に配属される。

モジュール77は再び危機に瀕していた。カインの采配によりヴァルヴレイヴはモジュールから引き離され、別のドルシア艦隊がモジュールを狙う。このピンチを救ったのはキューマとライゾウで、2人はそれぞれヴァルヴレイヴ5号機と3号機に乗り、ドルシア艦隊を破壊した。これでヴァルヴレイヴパイロットは4人となった。

中立地帯の月へ向かう中、咲森学園に教育自習に来ていた七海リオン（ななみリオン）が、ジオールのちゃんとした代表を選ぶため、総理大臣選挙の開催を決定する。生徒たちが選挙で盛り上がる中、ハルトはカミツキの狂暴化する発作に間隔が短くなっていることに不安を覚えていた。これまでなんとか未遂で終わっているが、エルエルフやタカヒを襲っていたのである。
選挙当日、開始直前になってハルトはショーコの姿がないことに気づき、探しに行く。ショーコは学校近くの祠にいた。ジオール総理大臣の父を持つショーコにとって、今回の選挙は、父が過去のものになるようで複雑な気持ちを抱いていた。しかしハルトとの会話でユウキと元気を取り戻し、選挙に出ることを決意して演説へ向かう。その様子を陰から見ていたサキは、ショーコが去ってからハルトの元へ行く。ハルトがショーコのことを好きであると知っているサキは、カミツキと人間では上手くいかないと話した。その時ハルトに発作が起こる。同じカミツキであるサキは平気だからと自分を噛むように言うが、今回の発作はいつもと様子が違っていた。ハルトはサキにのしかかり服を破いて犯してしまう。ハルトに襲われながらサキは、これはヴァルヴレイヴの呪いなのだと悟っていた。

最後のパイロット

新生ジオールの総理大臣はショーコが選ばれた。その他の大臣たちも決まり内閣が発足する。もう少しで月へ到着するというところで、ドルシアがこれまでより遙かに多い数で攻めてくる。エルエルフはルートを変更し逃げるように指示する。敵はモジュール77をおって陣形が崩れて一直線になっており、ヴァルヴレイヴ1号機のハラキリ・ブレードで一気に殲滅できる形となった。
100％を超えて666まで充電が溜まり、ハラキリ・ブレードによって敵は7割が消滅した。道が開き、月へ向かうことができるようになったが、ドルシアに捕まっていたショーコの父も一緒に命を落としてしまったのである。
安心したのも束の間、カインの乗るイデアールがモジュール77に突撃し、ドルシア軍に内部へ侵入されてしまった。モジュールの外で戦うヴァルヴレイヴはイデアールに足止めされて戻れない状態である。ハラキリ・ブレードを使ったことで動けなくなったハルトは、モジュールに戻って生身で戦うために、サキに運んでもらう。去り際に「頑張ってショーコさんを助けてきなさい」とサキに言われ、ハルトは踵を返し先の元へ行って「流木野サキさん、僕と結婚してください」とプロポーズした。発作のせいとは言え襲ってしまったことを自分の人生をかけて責任を取りたいのだという。しかしサキは平静を装い優しく突き放した。

モジュール内では、イデアールから発射されたドリルが学校に迫っていた。ドリルは毒ガスを撒きながら上昇しており、地上に出ると毒がモジュール全体に広がって全滅してしまう。ショーコは1人学校にいるアキラを助けに向かった。
ハルトと合流したエルエルフは、ヴァルヴレイヴを囮にして敵の懐に入りこもうと考えていたが、カインに先読みされ阻止された。ドルシアのカルルスタインという特務機関で訓練を受け、超人的な強さを持つエルエルフでもカインには敵わず、ハルトと共に捕まってしまう。
アキラの元へ向かっていたショーコは、ドリルが突き抜けてきたことで倒れてしまう。アキラはショーコを助けるために意を決してダンボールハウスを飛び出した。床が破壊されて道が閉ざされていたが、地中に埋もれているヴァルヴレイヴ6号機を発見し乗り込んだ。ショーコの無事を確認し、6号機の武器を使ってドリルを止めることに成功する。アキラのおかげで捕まっていたエルエルフとハルトは解放され、1号機に乗って生身のカインを攻撃する。しかしなぜか避けられており、カインの体は淡い緑の光に包まれていた。
そしてカインは聞き取れない謎の言葉を発し、どこかへ飛び去る。動かないヴァルヴレイヴが保管されている場所へ向かい、体が欠損している2号機に乗り込んだ。卵のようなものを懐から取り出し声をかけると、モニターに少年が表示される。1号機にいる少女が反応し、「お兄ちゃん！」と嬉しそうに叫んだ。
カインの乗り込んだ機体は人型になり、カインは「我々はマギウス。世界の裏側になるもの」と呟くのだった。

『革命機ヴァルヴレイヴ』の登場人物・キャラクター

主要人物

時縞ハルト（ときしまハルト）

CV：逢坂良太
咲森学園の2年生で、ヴァルヴレイヴ1号機のパイロット。
争いが苦手で心優しく穏やかな性格の持ち主であり、正義感が強い。
ヴァルヴレイヴに乗り戦うようになってからは、守りたいもののために手段を選ばないという強い意志を見せるようになる。
それでも自分以外の人がカミツキになってしまわないように他のヴァルヴレイヴの存在を隠そうとするなど、人を思いやる気持ちは失っていない。

初めは自分を殺そうとしていたエルエルフを信用できず手を組むことを拒んでいた。しかしエルエルフの有能さを知り、アイナの人を信じる心に影響を受けて信じることに決める。
幼馴染のショーコのことが好きで、ドルシア侵攻前に告白しようとしていたが、カミツキになってしまったため思いを告げることは諦めてしまった。

エルエルフ

CV：木村良平
ドルシア軍の特務機関所属のエージェントだった軍人。
ヴァルヴレイヴを奪うという任務で咲森学園に潜入するが、ハルトに体をジャックされアードライを銃撃したためドルシアを追われることになり、モジュール77に留まる。
実は元からドルシアを革命することを目論んでおり、自分の計画に必要な人材をハルトと認め契約を持ちかけた。
頭脳明晰で常に冷静であり、まるで予言のような先を見据える力を持つ。ドルシアのカルルスタイン機関で訓練を受けたエージェントで、高い戦闘能力を誇り、「一人旅団」という異名で恐れられている。
また目的のためなら手段を選ばない冷酷さもある。ドルシアに父を人質に取られているショーコに対し、見捨てなければジオールは敗北するという事実を淡々と伝えた。

指南ショーコ（さしなみショーコ）

CV：瀬戸麻沙美
咲森学園の2年生であり、ハルトの幼馴染。
明るい性格で男女ともに友達が多い。
リーダーシップに優れ行動力もあり、ドルシアによる侵攻でピンチの時でも斬新なアイディアで乗り切る力がある。
前ジオール総理大臣・指南リュージ（さしなみリュージ）は父であり、自分も新生ジオールの総理大臣に就任した。

流木野サキ（るきのサキ）