コードギアス 亡国のアキト（アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ

『コードギアス 亡国のアキト』の概要

『コードギアス 亡国のアキト』とは、2012年〜2016年にかけて全5話が劇場イベント上映されたサンライズ製作のSFロボットアニメである。監督は『機動戦士ガンダム』でお馴染みの赤根和樹。
第1章は2012年8月4日、第2章は2013年9月14日に公開された。当初は全4章構成だったが、2015年5月2日に第3章が公開されると同時に、最終章（第5章）を追加制作することが発表された。その後、2015年7月4日に第4章が、2016年2月6日に最終章が公開されている。
本作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』と同じ世界を舞台とするスピンオフ作品で、『反逆のルルーシュ』第1期と、第2期『R2』の間という時系列になっている。主人公はルルーシュから日向アキト（ひゅうが アキト）に変わっており、本編ではあまり描かれていなかったヨーロッパ方面の国家「E.U.」を舞台としている。
世界の3分の1を支配する大国・ブリタニア帝国に祖国を奪われた日本人の少年少女たちは、遠く離れたヨーロッパの地に流れ着き、尚も過酷な戦争に身を投じていく。

コードギアスシリーズの時系列について

本作『コードギアス 亡国のアキト』は、前シリーズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』の間に生じた「空白の1年間」に起こった出来事である。
同じ世界感でありながらも舞台をヨーロッパ方面へ移し、『反逆のルルーシュ』で描かれなかったE.U.軍の戦況を軸に物語が展開される。

世界の情勢を左右する「三大勢力」について

コードギアスの世界には「神聖ブリタニア帝国」「E.U.（ユーロピア共和国連合）」「中華連邦」の三大勢力が存在する。
中でも圧倒的な戦力を誇るのが、日本を侵略した「神聖ブリタニア帝国」。
E.U.や中華連邦はブリタニアに対抗し、これによって世界中で戦争が勃発している。

また、祖国の名を「エリア11」と変えられ「イレヴン」として虐げられる日本人たちは、国内のみならず世界各地に散らばり、何とか戦火の中を生き延びていた。

「ユーロ・ブリタニア」とは

「ユーロ・ブリタニア」はE.U.と対立する勢力。いわば「神聖ブリタニア帝国」のヨーロッパ支部のようなものだが、皇族の管理下に無い事や、「聖ミカエル騎士団」の4人の総帥が率いる戦力が本国に匹敵することから、ブリタニア本土は強く「ユーロ・ブリタニア」を警戒している。
ブリタニアに亡命した欧州貴族の末裔である彼らの目的は「祖先の地を取り戻す」である。

各シリーズにおける戦況の違い

『コードギアス 反逆のルルーシュ』とその続編『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』では、ルルーシュ扮する仮面のテロリスト「ゼロ」が率いるイレヴンVSブリタニア帝国だったのに対し、『コードギアス 亡国のアキト』ではイレヴンを含むE.U.軍VSユーロ・ブリタニア軍による戦いが勃発。
ユーロ・ブリタニア軍の猛攻を浴びるE.U.軍は、劣勢に立たされている。

特殊能力「ギアス」とは

「ギアス」とは、作中における特殊能力の呼称。
”王の力”と言われるギアスは、与えられた人物の根底にある欲求を超能力として発現させる。例えば、人を強制的に従わせる「絶対遵守」のギアス、「記憶削除・改ざん」のギアス、「人の心を読む」ギアスなど、その能力は所有者により様々である。

無敵の万能能力に見える一方で、使いすぎると力の暴走が引き起こり、制御出来なくなるのが欠点。
物語の行方を大きく左右する「人智を超越したギアスの能力」は、要注目ポイントのひとつだ。

『コードギアス 亡国のアキト』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

日本が神聖ブリタニア帝国に占領されてから7年が経過した皇歴2017年。日本は「エリア11」と呼称され、日本人は「イレヴン」と蔑まれていた。「エリア11」が植民地としてブリタニアの圧政を受ける中、遠く離れたE.U.（ユーロピア共和国連合）も、ユーロ・ブリタニアとの攻防を繰り返すうちに徐々にその力を弱めていた。
E.U.はイレヴンの少年少女達によって構成される特殊部隊「wZERO」（ダブルゼロ）を編成。「wZERO」は市民の戦死を避けたいE.U.の意向により、使い捨てとして最前線に送り出される運命にあった。
「wZERO」に所属する日向アキト（ひゅうが アキト）は、守るべき国も居場所もない状況の中、生存率の低い戦いに身を投じていく。

翼竜は舞い降りた

日向アキトは最悪の戦場にいた。ブリタニア軍に包囲されたユーロピア共和国連合（E.U.）132連隊を救うための「ナルヴァ撤退作戦」。
ナイトメアフレーム・アレクサンダに取付けられた自爆装置と、 カミカゼをあてにする無能なwZERO部隊隊長によって死んでいく仲間。
アキトは、その逆境の戦場で終わるあてのない戦いを繰り広げる。そして誰もが部隊の全滅を予想した時、wZERO部隊参謀レイラが動く。

ブリタニアに占領され“エリア11”となった祖国日本。その余波を受け、E.U.領内の多くの日本人は収容所に収容された。
アキトに残されたのは、E.U.の地でイレヴンと蔑まれながら生きるための戦いを続ける道だけ。
アキトは己を一つのナイフのようにとぎすませることで、その日々を生き抜いている。 だが、牙を失わず、生きるための戦いを続ける若きイレヴンは彼だけではなかった。 佐山リョウ（さやまリョウ）率いるグループは、自由を勝ち取るためある計画を仕掛ける。
様々な思惑が渦巻く中、アキトはこのE.U.で生き抜くことが出来るのだろうか。

引き裂かれし翼竜

激戦の中一人生還したアキトは、司令官のレイラ=マルカルと共にアンダーグラウンドで生きるイレヴンの3人組・佐山リョウ、成瀬ユキヤ（なるせユキヤ）、香坂アヤノ（こうさかアヤノ）を捕縛する。
レイラの計いで仲間に迎え入れられた彼等を含め、「ワイヴァン隊」は新たな作戦を実行する事になる。

一方、ユーロ・ブリタニアでは恩人を謎の力“ギアス”で自死させたシン・ヒュウガ・シャイングが、ユーロ・ブリタニアの聖ミカエル騎士団の総帥に任命される。自らの野心のために着々とあゆみを進めるシンと、配下のアシュラ隊に出動命令が下る。

イレヴン3人組の反乱にあうも、突如現れた真の敵であるユーロ・ブリタニア軍の猛攻に、「ワイヴァン隊」はたった5人で応戦。それぞれが強力な敵と交戦しながら作戦を続行するのだった。
作戦中、アキトがギアスの恐るべき力を暴走させ、優勢になるも、シンの登場によってアキトたちは危機に陥り戦闘不能になってしまう。シンに謎のギアスをかけられ身動きの取れないアキト。そんな彼を救ったのはイレブン3人組の1人リョウだった。
結果的に作戦は成功し、E.U.のワルシャワ駐屯地に辿り着いたwZERO隊だったが、レイラは10年ぶりに再会したシンに対して感情を露にするアキトの豹変ぶりを目撃する事となる。
一方、ユーロ・ブリタニアの地にはブリタニア本国から派遣された謎の軍師ジュリアス＝キングスレイが到着する。

輝くもの天より堕つ

作戦を終え、ワルシャワ駐屯地に合流したアキトたちワイヴァン隊。しかしある人物の嫌がらせによりID登録を抹消され、 駐屯地に戻れなくなってしまう。路頭に迷ったアキトたちは、偶然旅の生活をする個性豊かな老婆たちと出会い、 思わぬ平和なひとときを過ごす。老婆たちに尻をもまれるなどセクハラを受けたリョウは威嚇するものの、老婆たちは懲りない。
そして、そこで互いの過去を知るアキトとレイラ。リョウ、ユキヤ、アヤノたちとも次第に打ち解けていく。
老婆たちとの別れ際、群がってくる老婆達に対してリョウは「好きなだけ触ってけ」と涙を流していた。

アキトはレイラに自身の過去を話した。10年前、シンはギアスを使って一族全員を抹殺した。その中にアキトも入っていたのだが、自分だけが生き返り、今に至っているのだと。
レイラもまた、老婆の占いで自身の過去を思い出した。レイラの実父はブリタニア貴族で、E.U.に亡命した後、両親はテロに巻き込まれ死亡する。命からがら逃げ出したレイラは湖に落ちたところをC.C.に拾われ、ギアスを与えられていたのだった。

一方、神聖ブリタニア帝国皇帝シャルルの直属の騎士団、ナイトオブラウンズの一人である枢木スザク（くるるぎスザク）を従え、謎の軍師ジュリアス・キングスレイがユーロ・ブリタニアに着任する。ジュリアスはシャルル皇帝の威光の下に、対E.U.戦線の全権を掌握する。
冷静な目で対ユーロピア戦線を指揮する彼の姿を見つめるシンだったが、ついにジュリアスの正体が反逆者ゼロであることを暴く。咄嗟にシンに銃を突きつけ発砲するスザクだったが、後ろで待機していたミカエル騎士団の妨害を受ける。
完全に決裂した両者は、凄まじい戦いを繰り広げるのだった。