この世界の片隅にの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『この世界の片隅に』とは、こうの史代による日本の漫画、及びそれを原作としたドラマ・アニメ映画である。第二次世界大戦の広島・呉を舞台に、北條周作の元に嫁いだ主人公・浦野すずの日常生活を淡々と時にコミカルに、時に残酷に描く。戦争を題材に生活が苦しいながらも工夫をこらし、乗り切る姿や前向きなセリフには老若男女問わず多くの人の心を動かし、勇気づけられるものが多い。

「もったいない。塩分がね」

買い出しに出る刈谷(右)とすず(左)

終戦を迎えたある日、刈谷は買い出しの後、すずと言葉を交わす。
刈谷は夫と弟が戦死し、息子にも赤紙が届き兵隊にとられてしまう。
広島に原爆が落とされた後に息子の行方がわからなくなり、後日、隣保館にもたれ掛かっていた身元不明の遺体が息子であると判明した。被爆の火傷で顔が酷くただれていたとはいえ実の息子の顔も分からなかったことを刈谷は嘆き悲しむ。しかし「泣いてばかりでは塩分がもったいない」とすずと笑いあう。気丈にふるまうこのセリフには戦争を生き延びた人々の強さが感じられる。

広島の少女の名言・名セリフ/名シーン・名場面

すずを母親のようにしたう戦災孤児

すず(中)に懐く戦災孤児の少女(左)

元々は広島市の市街地近くに母と住んでいた小学校低学年くらいの少女だった。原爆に巻き込まれ、一緒にいた母は右手を失い、半身にガラスが突き刺さる重症を負う。幸い少女は無傷であったが、負傷した母親は途中で力尽きてなくなってしまう。戦災孤児としてさまよっていたところを、すずと周作に保護された。右手を失ったすずが母の姿と重なり、すずの優しさもあって少女はすずにすぐに懐いた。すずと周作は北條家に少女を招き、養女として迎えることとなる。年端もいかない少女が「居場所」をさまよい、すず達北條家という居場所を見つけた。そうそう居場所はなくならない、という白木リンの言葉どおり、この少女にも居場所がみつかった。亡くなった晴美の衣装を引っ張り出してきて少女に着させる径子の姿が特に印象的で、暗い過去を明るい未来で塗り替え、引き継いでいくような感じがする。

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