トーマの心臓(萩尾望都)のネタバレ解説・考察まとめ

『トーマの心臓』とは、萩尾望都により1974年から『週刊少女コミック』にて全33回連載された、ドイツのギムナジウムを舞台に少年たちの迷いやふれ合いを描いた少女漫画である。閉鎖的なギムナジウムの中で迷い愛を知る少年たちが繊細描かれており、根強い人気を誇る少女漫画の不朽の名作である。その冬最後の雪の日、ひとりの少年が死んだ。主人公・ユーリの元には一通の短い遺書が届く。儚く美しい少年達の信仰、愛、友情を描く。

ユーリの祖母であり、シェリーの母。白人至上主義的な差別思考があり、黒髪のユーリを疎んでいる。

エリザベート・バイハン

8歳になるユーリの妹。
病弱でベッドから出られないが、純粋で優しい少女。金髪のため祖母から可愛がられている。

ベルンハルト・ヴェルナー

トーマの父でシュロッターベッツの元教諭。トーマを失った妻を心配している。

アデール・ヴェルナー

トーマの母でエーリクの実父のいとこ。優しくトーマを溺愛していた。

トーマの兄

思慮深い青年。母思いの優しい青年。

『トーマの心臓』の用語

ギムナジウム

ヨーロッパにおける高等教育の準備段階として用意された中等教育機関。本作の舞台であるドイツでは大学入学のための8年制の教育機関である。旧東ドイツには存在していない。日本における中高一貫校、フランスのリセ、イギリスのグラマースクールなどに相当する。古代ギリシアの「ギュムナシオン」が語源である。
地域によって異なるが、ドイツでは10〜11歳の時点で進路を決める必要がある。大学教育を目指すギムナジウムを選択する生徒は優秀で裕福な家庭と思われる。そのほかに職業訓練校やマイスター資格(国家資格)取得校がある。
作中では全寮制の男子校として扱われるが、共学や通学制も普通である。

ギムナジウムもの

少女漫画革命期を代表する「花の24年組」(萩尾望都・竹宮惠子・大島弓子・山岸凉子など)が好んで描いた設定。竹宮惠子の『風と木の詩』も本作にならぶ代表作である。
少女漫画におけるギムナジウムは全寮制の男子校で毎朝ミサが行われることが多い。制服はリボンタイが定番である。
未成熟な少年たちの成長をテーマに描かれる。閉鎖的な世界に良家の少年たちが集まっており、儚げな美少年や、酒やタバコを嗜む大人びて不良な先輩などが登場する。少年愛が描かれることも多く、現在のボーイズラブの原型でもある。
小説ではエーリヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』(萩尾望都によりコミカライズされている)がある。

多用されるドイツ語のルビ

フロイライン(Fräulein)はドイツ語で未婚女性の名前の前につけられる呼び名。例:フロイライン・トーマ
ル・べべ(le bébé)はフランス語で赤ちゃんの意味だが、愛着を持って恋人にも使われる。
その他、作中の文にマイネ・ムテ(ぼくのママ)、アムール(恋の神)、アルット(医師)、フェッヒテン(フェンシング)、アルコホル(アルコール)、リーベ(好き)など様々なドイツ語のルビが振られている。

ヤコブ館

寮から離れたところにある別館のような建物。二階の端の部屋を使い、上級生がお茶会を開いている。明るく大きなソファが置かれている部屋。
サイフリート放校以前は、暗く不良の溜まり場となっておりボヤ騒ぎなども起きていた。
ユーリが折檻を受けた部屋で立ち入ることを拒否していたが、信仰を取り戻したのちバッカスに招待されて入ることができた。ユーリのわだかまりの象徴ともなっている。
その他にヨハネ館、シモン館がある。

『トーマの心臓』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

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