ポーの一族(萩尾望都)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポーの一族』とは、1972年から続くバンパネラ(吸血鬼)の少年・エドガーを主人公とした萩尾望都による少女漫画、およびそれを原作としたメディアミックス作品の総称である。その耽美さと人間に受け入れられず孤独に過ごさなければならないバンパネラ達の哀愁に、根強いファンがいる。親和性の高い宝塚歌劇団で2018年に舞台化された。エドガーが永遠に歳をとらない少年として各地をさすらい、仲間を失くしながら一人生き延びて行く物語。

『ポーの一族』の概要

『ポーの一族』とは、萩尾望都によるファンタジー漫画、およびそれを原作としたメディアミックス作品の総称である。18世紀初頭から21世紀にわたる長い時間を背景に、永遠に少年の姿のまま生きる吸血鬼一族「バンパネラ」の物語を描いている。
本作は吸血鬼伝説を萩尾望都流に解釈した作品で、少年の姿で永遠の時を生きる寂しさやひとときの平穏を見事に描ききっており、根強いファンが多い作品である。
『別冊少女コミック』にて1972年から1976年まで断続的に連載があったが、一度『トーマの心臓』を描くために連載を中断している。
『トーマの心臓』も少年同士の心の揺らぎを描いた名作だが、当時は『ポーの一族』『ポーの一族』の人気が強く、編集者にも「早くポーの続きを描いてくれ」と催促されたと萩尾望都自身が言っている。
1974年にシリーズを再開し、1976年の5月に連載が終了した。

2016年5月に、いまだ冷めやらぬポー人気を受け、『月刊フラワーズ』にて40年ぶりの新作『春の夢』という掌編を掲載。書店では売り切れが続出し、たちまちのうち掲載誌は重版した。
その後2017年1月から5月までシリーズ連載の運びとなった。
少女漫画の枠を超えた文学的な評価を受け、1976年に第21回小学館漫画賞少年少女部門を受賞している。
2018年からは宝塚歌劇団で舞台化され、その完成されたビジュアルは多くのファンをうならせた。

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『ポーの一族』のあらすじ・ストーリー

主人公であるエドガーは、1744年に妹のメリーベルとともに森に捨てられる。
それを拾った老ハンナ・ポーによって二人は育てられる。
老ハンナの手によってエドガーとメリーベルは成長するが、エドガーは11歳の時に一族の秘密を知ってしまう。一族はバンパネラ(吸血鬼)の集団であった。
メリーベルをバンパネラの手から守るために、成人後一族の仲間として加わることを約束し、メリーベルだけはなんとか無事に過ごさせようと町へ養女に出す。
しかしエドガーは14歳になった時に、一族から逃れて自由の身になろうとし、結果ポーの一族を怪しんでいた村人の手によって、エドガーを追った老ハンナは胸に杭を打たれて灰になってしまう。
老ハンナのパートナーであった大老(キング)ポーから直々に仲間に加えられ、エドガーは14歳の姿のまま時を止め、バンパネラとなることとなった。
メリーベルは何も知らずに過ごしていたが、彼女が13歳の時にエドガーと再会する。
エドガーが自分を守るためにバンパネラになったことを知り、自ら望んでメリーベルも「エドガーと離れたくない」とバンパネラになる。
人間と同じように生活し、一族を増やすのが彼らの目的であったため、エドガーはポーツネル男爵とその妻・シーラとともに、家族として各地を転々とする。
とある街にやってきた時に、エドガーは同じ年頃の誰かを仲間に加えようと決心していた。
見初められたのはアラン・トワイライトという貿易商会の子息で、初めは反発するアランだったが、エドガーと接するうちにふたりは友達になる。
アランにはメリーベルそっくりの婚約者がいたが、海の事故で亡くなっていた。
病気を患っていた母親が亡くなった際、ひとりで生きていくとアランは決心したが、エドガーはその「一人は寂しい」という心の揺れを見逃さなかった。
その頃ポーツネル男爵達は、知り合いになった医者とその婚約者を一族の仲間に迎え入れることを決める。
ポーの一族は厳選した人間を仲間に加えることを目的にしており、シーラは医者と二人で港近くにいたが、落雷にとまどったシーラは近くの小屋に医者とともに避難する。
落雷を恐れるシーラを抱きしめた医者は、シーラに人間と同じ脈がないことを知ってしまう。
シーラのことをバンパネラだと知って怯えた医者に農具で胸を刺され、傷を回復する間も無くシーラは消滅してしまう。
それを知ったポーツネル男爵も馬車を暴走させてしまい、その下敷きとなって消えてしまう。
メリーベルもバンパネラ狩りに率先した医者に銀の弾丸を撃たれ、消滅した。
本当にひとりぼっちになったエドガーは、アランを一族に加え、流浪の民として各地を転々とする。
拾った女の子を育てたり、寄宿舎のある学校に入学したりと旅を続けるが、1976年にアランはエディスという古物商の娘に恋し、彼女を火事から助けて死亡する。
エドガーはまたひとりぼっちになり、さすらう日々に戻る。

『ポーの一族』の登場人物・キャラクター

バンパネラ(吸血鬼)

エドガー・ポーツネル

本作の主人公。登場人物で血が繋がっているのは妹のメリーベルのみ。
作中強気で狡猾な少年として描かれているが、記憶喪失になる回などは美少年ぶりを発揮し儚さも漂わせている。
バラの刺を気にせずに手折る癖があり、手を掻き傷だらけにしてしまうのをメリーベルに注意されていた。

メリーベル・ポーツネル

エドガーの妹。
生まれてすぐに4歳のエドガーとともに森の奥に捨てられるが、老ハンナ・ポーに拾われ成長する。
一度町に養女に出されるが、肉親であるエドガーがバンパネラになることを知り、自らも志願する。
アランの婚約者に面影がよく似ていて、体が少し弱い。

アラン・トワイライト

港町の貿易商の息子。エドガーと交流するうちに親しくなる。
家族に恵まれず、エドガーの誘いに乗りバンパネラとなり、100年以上もの間をふたりでさまよった。

フランク・ポーツネル男爵

エドガーとメリーベルの養父。
シーラを妻に迎える時は、一族の女としてふさわしく状況を整える、計画的に物事を進める人柄。
慎重すぎるほどに慎重だったが、バンパネラであると暴かれた時に、逃げようと焦って馬車の下敷きになり消滅する。

シーラ・ポーツネル男爵夫人

エドガーとメリーベルの養母。
15歳の時にポーツネル男爵に出会い、20歳になるとふたりで駆け落ちして一族に加わった。
港町で出会った医者を仲間に加えようとポーツネル男爵と計画するが、苦手な落雷に驚いて医者に抱きついた時に、脈がないことがバレてしまう。
その後医者に胸を農具で突き刺され消滅。

老ハンナ・ポー

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