花の24年組〜少女漫画の在り方を根底から変えた女性作家達

今では全く珍しくなくなっているBL・耽美表現や、文学的な素養をも含む内容、繊細な絵柄など、それまでの少女漫画にはなかったアプローチをして1970年代に活躍した女性作家達。そろって昭和24年生まれだったことから、彼女達は「花の24年組」と称されています。筆者の世代にも懐かしい作家達のまとめをしてみました。

萩尾望都(はぎおもと)

数々の傑作を描いた押しも押されもせぬ大作家の一人。「ポーの一族」「トーマの心臓」「11人いる!」「残酷な神が支配する」など、耽美、繊細、ファンタジーに溢れた唯一無二の世界を構築しています。文学的な要素を多分に含み、「少女漫画の神様」と称されることも。

青池保子 (あおいけやすこ)

「エロイカより愛をこめて」!面白かったなぁ。この作品は怪盗エロイカ(ドリアン・レッド・グローリア伯爵)と、鉄のクラウス(NATOの将校、エーベルバッハ少佐)を中心に描かれた、コメディセンス溢れるスパイ活劇漫画。長期連載され、スピンオフ作品もいろいろと出ています。ちょうどスパイドラマが流行っていた頃でもあったので、筆者もこういう世界に憧れました。

竹宮惠子(たけみやけいこ)

1976年から「週刊少女コミック」で連載が始まった「風と木の詩」は、少年同士の恋愛を耽美に描いて、当時の漫画界ではかなりの衝撃だったようです。翌年竹宮氏は「月刊マンガ少年」にSF漫画「地球へ…」の連載をスタートさせました。当時は少女漫画家が少年雑誌で連載を持つことがとても珍しかったそうで、そういう意味でも革新的な作家だったと言えるでしょう。

大島弓子(おおしまゆみこ)

ねこみみのついた可愛い女の子の絵が印象的な「綿の国星」。小泉今日子が主演した映画「グーグーだって猫である」は彼女の作品がもとになっています。大島氏はこの作品で講談社漫画賞を受賞しました。

木原敏江(きはらとしえ)

旧制高等学校を舞台にした「摩利と新吾」は、「LaLa」に7年間連載された作品。「はいからさんが通る」の世界が好きな人には絶対おすすめです。兄弟のように育った美貌の青年摩利(ハーフという設定)と、純日本男児な信吾。摩利は信吾を愛するようになりますが、それを知っていてもノンケの信吾はその気持ちに応えることは出来ず、やがてある女性と熱烈な恋に落ちる…というBL好きには「どこかで聞いたことがある」ようなストーリー展開です。

山岸凉子(やまぎしりょうこ)

日本人なら誰でも知っている超有名人「聖徳太子」。彼を主人公に据えた「日出処の天子(ひいづるところのてんし)」ですが、この作品内での聖徳太子は「美貌の持ち主」であり「超能力・霊能力者」であり、なおかつ「同性愛者」でもある、という大胆な設定!日本史で習った聖徳太子のイメージからはまったくかけ離れていて、もちろん発表当時はかなりの話題になりました。山岸氏の他の作品では、当時「ソ連」と呼ばれていた現在のロシアを舞台にしたバレエ漫画「アラベスク」も記憶に残る1作です。

樹村みのり(きむらみのり)

24年組の中ではあまり目立たない存在だけれども、登場するキャラクターの感情の動きを緻密に描き出す作風で知られています。

ささや ななえこ(旧名:ささやななえ)

個人的には「ささやななえ」の方で覚えています。ホラーもの、サスペンスものに独特の味がある作風です。また近年は児童虐待を防ぎたいと、自作の漫画で虐待の実情を描き、「児童虐待防止法」制定への後押しをしました。

山田 ミネコ(やまだみねこ)

SF/ファンタジー色の強い作風が特徴。代表作は「最終戦争シリーズ」。現在も創作活動を行っており、別名義でオリジナルの球体関節人形即売会を開いたりもしているそうです。

こうやって見て行くと、後の「やおい」や「BL」同人活動につながるものを感じるんですが…。
意外な程古くからそういう「息吹」はあったということですね。

matsurika
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