本好きの下剋上(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』とは、香月美夜が『小説家になろう』に投稿したweb小説である。「TOブックス」より書籍版が発売され、その後、漫画化・アニメ化された。シリーズ累計発行部数850万部を突破する人気作品である。本が大好きな主人公が、マインとして異世界に転生してしまう。その世界でマインは本を入手することができず、自分の手で本を作るために奮闘する。マインが成長していく姿や、家族を大切にする姿が丁寧に描かれており、読者の心を打つ。

グルトリスハイト

ユルゲンシュミットの初代国王が、英知の女神メスティオノーラの書を書き写して作った本。
しかし本来のグルトリスハイトとは、メスティオノーラの書を体内に取り込んだ王が、シュタープをメスティオノーラの書に変形させるための呪文。
過去の王が普段の業務に必要な知識のみを抜き出した魔術具の本を作成し、それがグルトリスハイトと呼ばれるようになった。以降、大量の魔力を神に捧げてメスティオノーラの書を得なくても、グルトリスハイトがあれば良いと考えられるようになり、メスティオノーラの書を得る方法の伝聞が途絶えた。また、王族はシュタープに写しとることでグルトリスハイトを継承していたが、その事は王と後継者しか知らず、政変で後継者だった第2王子が殺害され、グルトリスハイトも消失する。
ローゼマインがメスティオノーラの書を得た後、フェルディナンドは他の者を王位につかせるため、1代限りで消失してしまうグルトリスハイトを作成した。そのグルトリスハイトを与えられ、エグランティーヌが王位につく。

メスティオノーラの書

王になる条件を満たした次期王候補が、エアヴェルミーンから与えられるメスティオノーラの英知。
一定以上の魔力を持つ者が死んだとき、知識として内容に加えられる。
メスティオノーラの書を得た者は、「グルトリスハイト」と唱えることでシュタープを変形させることができる。形状は、使用者のイメージによって変わる。フェルディナンドの場合は本の形で、ローゼマインの場合はタブレットPCの形をしている。

政変

十数年前、王位を巡って起こった出来事。
当時の王は第2王子を後継者に選び、グルトリスハイトを継承させていた。しかし、それに反発した第1王子が第2王子を殺害する。それによってグルトリスハイトは失われた。
その後、第1王子と第3王子で王位を争い、共に倒れる。さらに、第4王子と第5王子で王位を争うことになるが、第5王子のトラオクヴァールがマグダレーナと婚姻を結び、ダンケルフェルガーが後ろ盾についたため、トラオクヴァールが王位について終結する。
一連の王位争いで、第1〜4王子を支援していた貴族は処分され、貴族の数を激減させることになった。それにより、ユルゲンシュミット全体で魔力が不足する事態になる。

名捧げ

自分の名前を刻んだ「名捧げの石」と呼ばれる魔石を主人に捧げ、忠誠を誓う行為。
魔力によって主人に縛られるため、主人の命令には絶対に従わなければならない。また、主人が死ぬと道連れになる。
互いを深く愛している者同士が、互いに名を捧げ合うこともあり、貴族女性の憧れになっている。

アダルジーザの実

ランツェナーヴェからユルゲンシュミットに捧げられた姫が産んだ子供のこと。
その中で最も魔力量の多い男児はランツェナーヴェに返され、ランツェナーヴェの王になる。その他の子供は、洗礼式までに処分されて魔石となり、ランツェナーヴェのために使われる。

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

マイン「手に入らないなら、どうする?自分で作るしかないでしょ?こうなったら、手段は選ばない。絶対に本を手に入れてやる!」

本須麗乃からマインに転生した主人公は、現状に戸惑うが、本があればどんな状況でも受け入れられると考える。しかし、この世界で紙は非常に高価なもので、本は貴族のもの、というのが常識だった。本が読めないことに絶望するマインだったが、「手に入らないならどうする?自分で作るしかないでしょ?こうなったら、手段は選ばない。絶対に本を手にいれる!」と本を作る決意を固める。以降、マインは周囲の人間を巻き込みながら本作りを始める。その過程で様々な人と出会い、たくさんの出来事が起こる。
この物語の原点となるセリフである。

マイン「わたし、名前も変わるし、もう父さんのこと、父さんって呼べないけど…父さんの娘だから。だから、わたしも街ごと皆を守るよ」

マインが領主の養女となるために家族と離れる時、ギュンターへ言ったセリフ。
街の門番をしてるギュンターは、マインが貴族から狙われていると知ると、即処刑される可能性があるにもかかわらず、貴族相手に身を挺してマインを守った。しかし、結果としてマインは事件を丸く収め、家族を処刑させないために、別人として領主の養女になることを選んだ。その別れ際、マインはギュンターに「わたし、名前も変わるし、もう父さんのこと、父さんって呼べないけど…父さんの娘だから。だから、わたしも街ごと皆を守るよ」と涙ながらに約束する。このセリフからは、家族と引き離されるマインの辛さと、別れても家族であることに変わりはないという絆の強さが伝わってくる。そして、マインがローゼマインになってからもこの約束を守るため、貴族や王族を相手に奮闘する。
ローゼマインの原動力であり、精神的支柱になっているセリフである。

フェルディナンド「アレキサンドリアの領地ごと君を守る」

フェルディナンドがローゼマインに送る婚約の魔石に刻んだ言葉。
アーレンスバッハの礎を奪ったローゼマインは、新領地アレキサンドリアの領主になることが決まった。同時にフェルディナンドとの婚約も決定する。
家族の愛情に人一倍飢えていたフェルディナンドは、家族を何より大切にするローゼマインと家族になりたいと願った。その願いが叶い、フェルディナンドはローゼマインへ送る婚約の魔石に「アレキサンドリアの領地ごと君を守る」と刻んだ。それは、「街ごと皆を守るよ」とギュンターに約束したローゼマインを、ずっと見守ってきたフェルディナンドだからこそ言える言葉だった。また、できないこと、やる気のないことは言葉にしないフェルディナンドの決意の現れでもある。この魔石を見たローゼマインは、嬉しさのあまり思わず涙をこぼす。
ローゼマインを大切に思う気持ちの強さが伝わってくるセリフである。

ローゼマイン「ただいま、皆!マインだよ!」

ギュンターたち一家の家に突然帰ってきたローゼマインが言ったセリフ。
ローゼマインがアレキサンドリアの領主になり、ギュンターたちもアレキサンドリアへ移住した。移住先の家には、フェルディナンドが作った転移陣があり、ローゼマインはお忍びで家族の元へ帰ることができる。また、家族としての交流を禁じていた契約魔術も、アレキサンドリアでは範囲外になるため、本当の家族として接することができる。
初めて転移陣を使って帰宅したローゼマインは「ただいま、皆!マインだよ!」と言って皆の前に現れる。ギュンターたちのいる場所がローゼマインの「ただいま」と言える場所であること、引き離されてから様々な困難を乗り越え、ようやく家族との幸せな時間を過ごせることが伝わり、読者の涙を誘う。
読者に感動を与え、物語をハッピーエンドで締めくくってくれるセリフである。

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

演じるのが大変だったキャラクター第1位「フェルディナンド」

9bty_0603_2011
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