ハッピーピープル(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハッピーピープル』とは、釋英勝によって描かれた青年漫画。1983年から1992年頃まで集英社『週刊ヤングジャンプ』にて、1993年から1994年まで集英社『月刊ベアーズクラブ』にて連載された。1997年には映画化され、VHSビデオ化もされている。少年犯罪やストーカー、詐欺や人身売買などの人間の闇を色濃く描いている反面、心温まるストーリーも何話か含まれている。人間社会が抱える様々な問題を皮肉なストーリーと独特なイラストで描いた、1話完結の短編集である。

大学生のマコは、恋人アケミとのドライブ中に立ち寄った自販機で、奇妙なコインを手に入れる。そのすぐ後から、落下物に当たりそうになったり、ヤクザの車に衝突されるなど立て続けにアクシデントに合う。その夜、昼間のヤクザが家に押し入り、事故の慰謝料を請求される。命からがら逃亡し、車に轢かれそうになるもコインのお陰で逃げ切ることが出来た。コインの力に気付いたマコが自宅へと戻ると、アケミがヤクザたちに捕らわれていた。コインを信じ、ヤクザに立ち向かうマコは銃撃すら回避して返り討ちにする。しかし、外へと逃げ出したヤクザのズボンの裾にコインが挟まってしまう。後を追い掛けたマコは、ヤクザがトラックに轢かれた現場を見て、コインの力ではなかったことに気付き戦慄した。

50万分の1からの脱出

倉木(くらき)には自慢の美人妻千枝子(ちえこ)と、可愛い息子春信(はるのぶ)がいた。しかし、誰に春信の写真を見せても倉木に全く似てないと言われる。そんな時、隠されていた男の写真が出てくる。不信に思った倉木は、千枝子の親友から男が千枝子の幼馴染で元恋人であることを聞く。そして、春信の本当の父親であることに気付く。倉木は千枝子に問いただし、家を出ていく。しかし実母から、結婚前に千枝子から聞いていたこと、千枝子は倉木の子供だと思っていたことを聞く。千枝子の倉木への愛情を思い出し帰宅すると、千枝子は春信と共に自殺を図っていた。病院で目覚めた千枝子は、医者から血液検査にて春信は倉木との子供であると聞かされる。泣いて喜ぶ千枝子を支える倉木は、振り返って医者に会釈した。

これも愛

プレイボーイな茂(しげる)は、社内の女性たちにいつも優しく接していた。外見にコンプレックスを持つ真理(まり)は、唯一優しくしてくれる茂に恋をする。茂は真理から「断られたら、私死にます」と書かれた告白の手紙をもらう。冗談かと思いきや、同僚たちから不穏な噂が次々と出る。なんとか穏便に断ろうとするも、真理には通じない。すると昼休み、会社の向かいのマンションの屋上に真理が現れる。急いで向かう茂は、真理に本心を話す。振られた真理は激怒し、茂をマンションから突き落とそうとした。しかし風に吹かれ、茂と真理は2人して落下する。真理は茂の下敷きとなり、茂は一命を取り留める。病院で安堵する茂であったが、看護師から手紙を預かった。そこには「元気になったらつきあって下さいネ♡」と書かれていた。

鴨フラージュ

カメラマンの西川口(にしかわぐち)は、同僚の東町(ひがしまち)と共に話題の鴨を撮影しに行く。鴨は何者かによって首に矢を刺された状態で生きていた。帰社後、フィルムの入れ忘れで撮影出来ていなかった西川口は、再び撮りに行くように命じられる。クビがかかった西川口は東町の協力の下に、鴨を探す。しかし、偶然にも見つけた鴨の矢を引き抜いてしまった。飛び立つ鴨を見て絶望する西川口に、東町はある提案する。2人は食用の鴨を購入し、話題の鴨と同じように首に矢を差そうとした。しかしことごとく失敗し、鴨は苦痛に悶えながら死んでいく。そこに電話が入る。どこかの記者が、西川口が鴨の矢を引き抜くシーンを撮影したのだ。そして、西川口は鴨を救った英雄として時の人となった。

想い出の中の犬

小学生の昇(のぼる)は、猟好きの父親と共に猟犬ポチを引き連れて山へと出かけた。しかし、臨月を迎えていたポチは猟に出た後、行方不明となる。後日、知り合いの家でポチが見つかる。ポチは死産しており、子犬の死体を守るようにして小屋から出ず、気性が荒くなっていた。しかし、次第に昇とはかつてのように懐くようになった。ある日、猟に連れて行こうとした父親はポチに嚙みつかれる。その事が原因で、ポチは保健所に連れて行かれることになった。そうとも知らない昇は、父親に言われて逃げ出すポチを追い掛ける。そんな昇をポチは悲しそうな顔で見つめる。家に連れ帰ってから事実を知った昇は、泣いて抵抗する。しかしポチは保健所の車で、まるで自殺したかのように舌を噛んで死んでしまった。少年は大人になった今でも、ポチの悲しそうな顔を忘れられないでいた。

ザ・ボス

あるお寺の池の中、様々な水生生物がいる中で一際大きい黒ゴイがボスとして君臨していた。黒ゴイは力を誇示して、餌を独り占めしていた。ある日、住職が拝観料を儲けるために、人面ゴイを購入して池に放つ。餌をもらい食べようとしている人面ゴイに、黒ゴイが襲い掛かる。しかし、住職に邪魔をされてしまう。それ以来、ボスは人面ゴイとなる。それから黒ゴイは、ずっと岩に頭をぶつけ続けるようになった。しばらくして、黒ゴイの頭に人面こぶが出来る。見物客はそれを見て喜び、黒ゴイに餌をあげた。しかし、頭を打ち過ぎたせいで力が弱まった黒ゴイは、フナに倒される。フナは自分がボスであると主張し、餌を独り占めしようとした。すると住職が現れて、フナを池から出してしまう。この池の本当のボスは、住職であるのだ。

うさぎの牙

14歳の古田(ふるた)は、同級生の薄井(うすい)が3人の男子生徒に暴行を受けている場に遭遇する。3人に見つかった古田は、薄井を殴るように強要される。嫌々加担した後、薄井にビニール袋を被らせて、ゴミ箱に逆さに入れたまま放置させられる。翌日、薄井は死亡した状態で発見される。学校側は、いじめの事実を否定する。古田は事実を警察に話し、3人とともに事情聴取を受けるが、少年法により釈放される。そこに薄井の幽霊が現れて、古田に3人を殺すように依頼してきた。殺人を否定する古田であったが、口止めのために弟まで暴行を受けたことで決意する。3人を夜中に呼び出し、車で引き殺そうとするが近くにいた事務員に止められて逮捕された。しかし、古田もまた少年法により釈放され、3人の男子生徒は幽霊の薄井により頭が狂ってしまった。

正義の味方

ある老人が、電車内で酔っ払いの男に荷物をぶつけてしまい暴行を受ける。周りの乗客は見てみぬ振りをしている。咄嗟に停車駅で降りた老人を、男は執拗に追いかける。ある青年が止めに入り男が襲い掛かる。駅員が現場に着くと、青年が男の顔に傘を突き刺しており、周囲から悲鳴が起きた。青年は事情聴取を受ける。知人の証言から、過去に飼っていた鳥を襲った大家の猫を殴り殺した等、様々な過剰な行動が露になる。また、目撃者の証言から青年に殺意があったと判断され、起訴されてしまう。記事を読んだ老人は警察署に訪れた。青年が救ってくれなければ殺されていたと抗議する。「見て見ぬふりをしていた乗客は罪にならないんですか?」と疑問を口にした。裁判当日、裁判官として現れた男は、老人の助けを無視した男であった。

『ハッピーピープル』の登場人物・キャラクター

意味もなくみんなで笑おうハッピーに!!

男性教師

ある中学校の数学教師。2年前に赴任したばかりで、不良生徒にタバコを注意したことが原因で暴行を受けて大怪我をする。それ以来、いつか復讐をするときの為にストレスを溜め続けていた。殺害がバレないように、いつも笑顔の優しい教師を演じている。

幸ちゃんはちょっとイカした憎い奴

幸一(こういち)

小学生の男の子。勉強が嫌いで、いつも掃除をサボるやんちゃな少年。仲の良い友人と3人でつるんでいる。連続で0点を取ったことで、父親に有名なスパルタ校へ入学させられそうになる。

扇木コウ
扇木コウ
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