ハッピーピープル(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハッピーピープル』とは、釋英勝によって描かれた青年漫画。1983年から1992年頃まで集英社『週刊ヤングジャンプ』にて、1993年から1994年まで集英社『月刊ベアーズクラブ』にて連載された。1997年には映画化され、VHSビデオ化もされている。少年犯罪やストーカー、詐欺や人身売買などの人間の闇を色濃く描いている反面、心温まるストーリーも何話か含まれている。人間社会が抱える様々な問題を皮肉なストーリーと独特なイラストで描いた、1話完結の短編集である。

駅のホームで、暴行を受ける老人を見て救いの手を差し伸べる。その際、相手の男を傘で刺し殺してしまう。

老人

酔っ払いの男に絡まれて、暴行を受ける。青年のお陰で助かるも、殺人罪で起訴されたことを怒り警察に訴える。

『ハッピーピープル』の用語

子塚ヨットスクール(こづかよっとすくーる)

スパルタ教育で有名な学校。生徒の何人かが殺されたとニュースで流れていたという噂がある。大人も入学可能。

集英国人(しゅうえいこくじん)

集英国という架空の国の人間。日本人は敵であると教育され、憎んでいる。密かに日本人を拉致して集英国人と入れ替わらせ、日本を乗っ取ろうとしている。

相撲協会(すもうきょうかい)

相撲を盛り上げるため、連勝中の東京乃海を家城山と戦わせて勝たせるよう、提案する。

『ハッピーピープル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

角南「本当に狂ってるのは、俺がやられてるのを見て見ぬふりをしたり、いじめをしてよろこんでいるおまえらだ」

ボーガンを手に学校へ向かう角南(中央)と驚愕する通行人

第2巻「鬼退治」でいじめた不良達に復讐をしようとする角南が吐いた言葉。いじめにより頭を打った角南は、狂った振りをして不良達を殺そうと試みる。自殺を考えていたが、それでは意味がないと感じたのだ。角南は殺人を止めようとした友人の大内すら殺し、いじめを見て見ぬふりをした教師達を殺そうと歩み出す。そして「本当に狂ってるのは、俺がやられてるのを見て見ぬふりをしたり、いじめをしてよろこんでいるおまえらだ」と、狂ったように笑いながら学校へと向かった。いじめの問題点を直球的に述べた一言である。

一志「皆が願えばベルリンの壁も崩せるし、核戦争も防げるし、エイズの治療法も見つかるんだ。絶対そうだ、そうなんだ…」

第6巻「ベルリンの壁」でベルリンの壁の崩壊をニュースで見た一志が、心の中で呟いた言葉。カーレースの事故や怪我を負う野球選手のホームランなど、周囲の思考と偶然同じ結果となった出来事を見て、気付き始める。そして、全員で見たスプーン曲げの番組で、「曲がれ」と信じて唱えた者のみ曲がった様子を見て確信する。その後、ベルリンの壁崩壊という大ニュースが報道される。一志は「皆が願えばベルリンの壁も崩せるし、核戦争も防げるし、エイズの治療法も見つかるんだ。絶対そうだ、そうなんだ…」と報道を見つめた。世界中の様々な困難に対して、人類が想いを1つにすれば成し遂げられるという作者の希望が反映されているような言葉である。

家城山「証明したいんです。自分の価値を」

第7巻「千秋楽」で、年寄株欲しさに必死になっていると親方に思われた家城山が放った言葉。相撲を盛り上げるために、負けなしの東京乃海を全勝で横綱にさせたい相撲協会に、家城山は八百長を持ち掛けられる。悔しさから、東京乃海を徹底的に研究し、膝の痛みを我慢して稽古をする。試合当日、膝の痛みが悪化した家城山は、痛みだけでも抑えてくれと医者に懇願した。親方は、「年寄株をほしい気持ちはわかるが、その体じゃムリだ。あきらめろ」と言う。カッとなった家城山はそれを否定し、「証明したいんです。自分の価値を」と親方に告げた。圧力に屈せず、自分を信じて突き進む熱い一言。

少年「大丈夫だよ。その時はまた警察が守ってくれるさ」

扇木コウ
扇木コウ
@go-102145970292803946394

目次 - Contents