世界最速のインディアン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『世界最速のインディアン』とは2005年のニュージーランド・アメリカ合衆国の伝記映画である。実在のライダであるバート・マンローの話を元にした伝記作品であり、監督はロジャー・ドナルドソン、出演はアンソニー・ホプキンスが務めた。初老のライダー、バート・マンローは、愛機「1920年代インディアン・スカウト」で世界最速記録に挑戦することが長年の夢であった。ある日自身の老い先が短いことを悟ったバートは、人生最後のチャンスとしてバイカーの聖地「ボンネビル塩平原」へ向かう決断をする。
吹き替え:不明
「ボンネビル・スピードウィーク」の運営スタッフ。出場手続きの未登録、インディアン・スカウトの安全性の低さや年齢オーバーによりバートのレース参加に許可を出さなかった。多くの出場者からの説得で試走を許可し、素晴らしいスピードを誇ったインディアン・スカウトに感動して特例でのレース参加を認めた。
『世界最速のインディアン』の用語
1920年型インディアン・スカウト
バートが若い頃に購入したオートバイ。赤いロケットのようなボディに先住民族インディアンのペイントと「35」の番号がトレードマーク。1920年代に製造されたものであり、劇中の時代設定1960年代から見ても幻と言われる存在である。世界最速のスピードを追求するため40年以上掛けて改造されており、通常90km前後のスピードのものを324.847kmまで出せるようにした。しかし使われている部品は身近にある日用品であり、ブレーキはほとんど機能せず安全性は皆無に近い。バートの並々ならぬ執念と長年の試走や分析によって世界最速スピードを可能にするバイクである。
ボンネビル塩平原
アメリカ・ユタ州にある塩で覆われた広大な平原。世界でも数少ないスピードを測る場所として最も適しており、世界最速を求めるスピード狂には聖地として崇められている。
毎年「ボンネビル・スピードウィーク」というレースが開催されており、バートにとって憧れの地であり旅の最終目的地である。
ボンネビル・スピードウィーク
ボンネビル塩平原にて毎年開催されるレース。インディアン・スカウトが属する1000cc以下のオートバイからロケットカーなど多くの車種がスピードを競う。事前登録制で危険を伴う競技であるため、安全性や年齢制限などが徹底されており、バートが出場できたのは特例中の特例である。
『世界最速のインディアン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
バート「このマシンでスピードに挑む時は5分が一生に勝る。一生よりも充実した5分間だ」
アメリカへの渡航費に目処がつき、出発の準備をするバートに少年トムは命に関わるような事故が怖くないのかと問う。その時、彼は「このマシンでスピードに挑む時は5分が一生に勝る。一生よりも充実した5分間だ」と答えた。悔いなき人生を全うすることに重きを置くバートの行動原理であり、この言葉により少年トムはインディアン・スカウトの可能性を心から信じることができた。
港での暴走族たちからの餞別シーン
アメリカ渡航の当日、見送りにフラン以外いないことに不満を漏らすバート。ガソリンスタンドに立ち寄ると、いつぞやの誕生日パーティでレース勝負を申し込んだ暴走族の一団が現れ、バートに餞別として幾らかの金を渡すのだった。時代遅れのバイクに跨る老人として最初こそ嘲笑っていたが、レースで見せた圧倒的スピードは同じバイカーとして衝撃的であったのだ。昨日の敵は今日の友を体現するような心温まるシーンであり、同じバイカーにしか分からない奇妙な友情が感じ入る。
マイク「時には規則を曲げないとな。今日がその時だ」
ボンネビル塩平原に到着するも規則により出場できないバート。多くの人の説得により運営は試走の許可を出し、インディアン・スカウトは皆の期待に応えるように素晴らしい結果を残すのだった。運営スタッフであるマイク・マクファーレンはその走りに感動を覚え出場の許可を了承し、その際発したのが「時には規則を曲げないとな。今日がその時だ」である。危険を伴う競技なので徹底したルールは必要不可欠であるが、バートとインディアン・スカウトという奇跡の存在の前に人々は何かを期待し、好奇心が勝ってしまうことを感じさせるセリフである。
ボンネビル塩平原での最速記録挑戦シーン
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目次 - Contents
- 『世界最速のインディアン』の概要
- 『世界最速のインディアン』のあらすじ・ストーリー
- 渡米の決断
- アメリカ上陸
- 世界最速への挑戦
- 『世界最速のインディアン』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- バート・マンロー(演:アンソニー・ホプキンス)
- インバーカーギルの住人
- トム(演:アーロン・ジェームズ・マーフィ)
- フラン(演:アニー・ホイットル)
- 道中に出会う人々
- ティナ・ワシントン(演:クリス・ウィリアムズ)
- フェルナンド(演:ポール・ロドリゲス)
- ジェイク(演:サギノー・グラント)
- エイダ(演:ダイアン・ラッド)
- ラスティ(演:パトリック・フリューガー)
- レース関係者
- ジム・モファット(演:クリストファー・ケネディー・ローフォード)
- ロリー(演:ウィリアム・ラッキング)
- マーティ(演:ウォルトン・ゴギンズ)
- マイク・マクファーレン(演:ギャヴィン・グレイザー)
- 『世界最速のインディアン』の用語
- 1920年型インディアン・スカウト
- ボンネビル塩平原
- ボンネビル・スピードウィーク
- 『世界最速のインディアン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- バート「このマシンでスピードに挑む時は5分が一生に勝る。一生よりも充実した5分間だ」
- 港での暴走族たちからの餞別シーン
- マイク「時には規則を曲げないとな。今日がその時だ」
- ボンネビル塩平原での最速記録挑戦シーン
- 『世界最速のインディアン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 多くの映画で使われるボンネビル塩平原
- 素の自分で演じたアンソニー・ホプキンス
- 過去にドキュメンタリーを撮影したロジャー・ドナルドソン
- J・ピーター・ロビンソンが手掛けたオリジナル・サウンドトラック
- 『世界最速のインディアン』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:Jimmie Davis and Charles Mitchell「You Are My Sunshine」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Burt And Tom」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Bike Shop」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Departure」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Beach Race」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Disppointment」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Eggs For Fran」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Memories」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Road Encounters」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Jake」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Burma Shave」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Bonneville Salt Flats」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Trial Run」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Refusal/Heart Attack」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Rusty」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Sportsman Of The Year」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「World's Fastest Indian」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Burt's Triumph」
- 挿入曲:J・ピーター・ロビンソン 「Back to My Shed」