お~い!竜馬(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『お~い!竜馬』とは、武田鉄矢(原作)・小山ゆう(作画)による漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。1986年から『少年ビッグコミック』、1987年からは『ヤングサンデー』で連載された。幕末の英雄・坂本龍馬(竜馬)の生涯を描く歴史漫画である。少年期から青年期は土佐の身分制度を背景に、竜馬、武市半平太、岡田以蔵を中心とした若者たちの友情と成長が描かれる。成年期以降は、幕末の風雲の中で薩長連合や大政奉還などを主導し、時代を動かしていく竜馬の姿を虚実ない交ぜて描く。1992年にテレビアニメ化された。

坂本龍馬の名前の表記には「竜馬」「龍馬」の両方が見られるが、通常は「龍馬」とされることが多い。
これは「竜」が常用漢字(新字)で「龍」が旧字であるためで、どちらが正しいというわけではない。

坂本龍馬を描いた作品の代表として司馬遼太郎の『竜馬がゆく』があげられるが、これは「竜馬」を採用している。
司馬が「竜馬」としたのは「自分なりの坂本龍馬を描きたかったため」とする話がよく知られているが、これは俗説であり、実際の理由はよくわからない。
原作者の武田鉄矢は『竜馬がゆく』を読んで坂本龍馬のファンになったと公言するほど影響を受けており、今作でも「竜馬」の表記が採用されている。

英雄としての竜馬を描く今作の歴史認識

従来の坂本龍馬に対する英雄的な評価は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』によって印象づけられた部分が大きい。
しかし、21世紀に入ると歴史研究が進み、従来の坂本龍馬像に疑問を持つ意見が多く見られるようになった。現在では明治維新における坂本龍馬の業績はそれほど大きいものではなかったとして、教科書から「坂本龍馬」の名を削除しようとする意見も多くなっている。

今作はそのように評価が変化する以前の1980年代後半から90年代にかけて発表された作品であり、坂本龍馬を従来通りの英雄として描いている。

史実と違う作品独自の設定

今作では坂本龍馬をその少年時代から描き、上士から差別的な扱いを受けたことが、竜馬(龍馬)やその仲間たちが尊王攘夷運動へと突き動かされる原動力になったとされている。
これを強調するため、竜馬が子どもの頃から武市半平太や岡田以蔵と親友であり、上士である後藤象二郎、乾(板垣)退助、福岡孝弟(藤次)らとは子どもの頃から因縁があるという設定になっている。
上士を悪役とするためにその親玉である土佐藩主・山内容堂を特に酷薄で残虐な人物として描いており、子孫からクレームがあったという。

その他にも、アメリカ人の漂流者であるジョン・エリックとの交流、竜馬の上海行き、青春時代の吉田松陰や長州藩士との交流、新撰組や14代将軍・家茂との交流、池田屋事件に竜馬が居合わせるなどといった作品独自の設定がみられた。

また、登場人物の大半は実在した人物であるが、オリジナルキャラクターである「佐々木加代」は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』における「お田鶴さま」、史実における平井加尾に該当するキャラクターとなっている。

オリジナルの最終回を迎えるアニメ

今作は1992年4月から1993年3月にかけて、NHKでテレビアニメ化された。
放送時はまだ原作の連載中だったため、アニメでは竜馬の上海行きまでが描かれた。その後、大政奉還までをダイジェストで描き、最終回で竜馬が暗殺されるというオリジナルの展開となっている。
オープニングテーマの『くそったれの涙』、エンディングテーマ『風の一歩』は原作者である武田鉄矢が自ら担当している。

原作者・武田鉄矢の竜馬愛

原作者の武田鉄矢は、坂本龍馬の熱烈なファンとして知られる。
武田の代表作である『3年B組金八先生』の主人公は「坂本金八」だが、「坂本」は坂本龍馬から、「金八」は第一シリーズが金曜8時からの放送だったことによる。また、武田と同じく坂本龍馬を尊敬しているという設定となっている。

今作では、竜馬が生まれる直前の場面で、父・八平と兄・権平から一字ずつ合わせて名前を「権八」にしようとする八平に対し、姉・千鶴が「それなら金八はどうでしょう」と提案、「なんだか学校の先生みたい」と家族一同がしらけるという描写がある。

武田のバンド「海援隊」は坂本龍馬が結成した海援隊から名づけられた。
また、ドラマ『幕末青春グラフィティ 坂本竜馬』『幕末青春グラフィティ 福沢諭吉』『奇兵隊』、映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』で坂本龍馬を、大河ドラマ『龍馬伝』では坂本龍馬の師である勝海舟を演じている。

『お~い!竜馬』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):武田鉄矢『くそったれの涙』

ED(エンディング):武田鉄矢『風の一歩』

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