ミステリと言う勿れ(田村由美)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ミステリと言う勿れ』とは田村由美により『月刊フラワーズ』2017年1月号に読み切りとして掲載され、2018年1月号より連載を開始したミステリー漫画である。2022年1月より、菅田将暉主演でテレビドラマ化された。心理学を学ぶ大学生・久能整(くのうととのう)が様々な事件に巻き込まれ、会話から事件の本質をあぶり出していく。ミステリー漫画でありながら、謎解きよりも登場人物の悩みを解決することに重きを置いており、整が話す内容に読者は共感したり既成概念に疑問を持つこととなる。

『ミステリと言う勿れ』の概要

『ミステリと言う勿れ』とは田村由美が『7SEEDS』を連載中に読み切りとして『月刊フラワーズ』2017年1月号に掲載し、『7SEEDS』の連載終了後である2018年1月号より連載を開始した漫画。
マンガ大賞2019の第2位、『このマンガがすごい!』(オンナ編)では2019、2020、2021、2022とランクインしている。
2022年1月より、菅田将暉主演でフジテレビにてテレビドラマ化された。
主人公の久能整(くのうととのう)は、おしゃべりな天然パーマを気にする心理学部に通う大学生。整は様々な事件に巻き込まれ、取調室やバスの中などの閉鎖空間で登場人物との会話から事件の本質を見つけ出していく。
ミステリー漫画でありながら、タイトルでは『ミステリと言う勿れ』とミステリーと言うことを禁じており、謎解きよりも登場人物の悩みや既成概念への疑問に重きを置いている。
田村は1巻のあとがきで、舞台劇のような閉鎖空間で主人公がただしゃべりまくる話だと書いている。整はおしゃべりで、沢山のうんちくと疑問を持っており、「どこからがゴミ捨てか」など、いくつもの身近な話題が出てくる。整が話す内容に読者も一緒に考えさせられ、既成概念に疑問を持つこととなる。問題提起する整のセリフに「名言が刺さる」とSNSでも話題となっている。
ミステリーとして事件と謎があり謎解きもしっかりやりつつ、人間の本質を問うようなヒューマンドラマ的要素もある作品である。

『ミステリと言う勿れ』のあらすじ・ストーリー

容疑者となった整

冬のある日、アパートでカレーを作っていた大学生の久能 整(くのう ととのう)の下に大隣署(おおどなりしょ)の藪 鑑造(やぶ かんぞう)警部補と池本 優人(いけもと ゆうと)巡査が訪ねてくる。家の近所の公園で起きた殺害事件の被害者である寒河江 健(さがえ けん)と大学が一緒という理由で、整は任意同行を求められる。取り調べに当たる藪と青砥 成昭(あおと なりあき)巡査部長とのやり取りから、整は自分が犯人として疑われていることを察し犯行を否認する。しかし目撃者がいたことから受け入れて貰えず、連日取り調べを受けることとなる。
整は池本や乙部 克憲(おとべ かつのり)巡査、大隣署一係で唯一の女性刑事である風呂光 聖子(ふろみつ せいこ)巡査が抱えている悩みに私見を述べ、池本と風呂光と打ち解けていく。しかし被害者の血痕と整の指紋が付いた果物ナイフが発見されたことで、整の容疑は深まり家宅捜索されることになる。
家宅捜索が行われている間、整は取り調べ室に青砥と取り残される。青砥は過去に週刊誌に載るような冤罪事件を起こしている。整は青砥の「真実は一つ」という考え方に、そんなだから冤罪事件を起こすのだとなじった。
家宅捜索の結果、整のノートパソコンから寒河江から金を借りるための借用書のテンプレートが発見された。そのことを知った整は、無実を証明するために風呂光に調査を依頼する。
取り調べに来た藪に、整は自分の推理を話した。藪の妻子を轢き殺したのが寒河江だと知った藪が寒河江を殺して、罪を整に着せたのだ。整の推理に藪は犯行を認めた。
整に依頼された風呂光が本当の轢き逃げ犯を見つけたことで、寒河江が無実だったことが判明する。
無実が証明され帰宅する整に青砥は、昔の冤罪事件を見直していることを報告するのだった。

整とガロとの出会い

整が乗ったバスがバスジャックに合う。犯人は乗客達に「おしゃべりでもしようや」と言い、名前等を質問する。
バスは公園でトイレ休憩となる。整はトイレの横に、池本の電話番号とバスジャックの詳細を書いた紙を置く。だがそれは、誰かによって破かれてしまう。
再び動き出したバスの中では、犯人主導のおしゃべりも再開される。犯人は「どうして人を殺しちゃいけないんだ!?」と問いかける。それに対し整は、自分は殺されたくないのに殺したいのはただの劣等感の裏返しだと答える。その言葉に犯人が激昂するも、乗客の1人に制圧される。しかしその乗客は犯人の兄で、バスジャック犯の一味であった。
大隣警察署では、連続殺人事件の捜査本部が設置されていた。4人が生き埋めによる窒息死で発見されており、被害者に共通項は無い。だが青砥は、被害者達の自宅近くのバス停がある路線バスのルートであることに気付く。
バスは山の上の犬堂家へとやって来る。犬堂家の廊下には、着物を着た若い女性の写真が飾られていた。
乗客達は食事の用意された部屋に案内される。整は部屋を脱出して、池本に連絡することに成功する。
整の連絡を受けてやって来た大隣署の面々に犯人達は、特に抵抗もせずに名乗り出る。そんな彼らを見て整は、乗客の1人にまだ仲間がいると告げる。その人物は犬堂 ガロ(いぬどう がろ)。連続殺人事件の最初の被害者の弟であった。そして他の犯人達はいとこであった。廊下に飾られていた写真が被害者の犬堂 愛珠(いぬどう あんじゅ)だ。
ガロ達は連続殺人事件の犯人が乗客達の中にいると考え、運転手の煙草森 誠(たばこもり まこと)の協力の下で今回のバスジャックを行った。だが連続殺人事件の犯人は、他ならぬ運転手の煙草森であった。

ある日、またカレーを作っている整の下にガロから煙草森の腕が届く。ガロは一線を超えたのだ。
整はガロがこっそり会いに来ることを願うのであった。

広島で遺産相続事件に関わる整

ガロから広島で行きたい展覧会が行われることを教えられた整は、新幹線で広島に向かう。整は、隣の席に座る女性が文面ではなくイラストで警告をする意味深な手紙を持っていることに気付く。その女性、紘子(ひろこ)は京都に実の親に会いに行く途中であった。こっそりと着いて来ていた養母から実母とは幼なじみで、実父の暴力から守るために託されたのだと整は紘子から明かされる。
整は新幹線の降り際の養母に、実母と共謀して実父を殺したのではないかと問いかける。手紙にはそう読み取れる部分があったのだ。しかし養母は、否定も肯定もせずに下車するのだった。

整は広島でガロに紹介されたという高校1年生の狩集 汐路(かりあつまり しおじ)の依頼で、一族の遺産相続問題に関わることになる。
狩集家の遺産相続では過去に何人も亡くなっており、孫達のそれぞれの親である4人兄弟も事故死している。汐路も怪我しそうになるが、それは父親を遺産相続問題のせいで亡くしたと思いたい汐路の自作自演であった。そんな汐路に孫達は苦言を呈しながらも許し、協力することとなる。
整は一族の写真から、天然パーマで色素の薄い人ばかりが早死にしていることに気が付く。そしてその条件に当てはまる汐路の父親は本当に殺されたのではと考え、汐路の父親の生前の足取りを追う。そして一族が実は、別の一族が成り代わっていたという秘密を知ってしまう。
汐路の父親は元の一族の行方を探していた。そこで本当の一族の情報が入っているであろうUSBメモリーを皆で探すことになる。そして整がその隠し場所に思い至り、皆に知らせる。だがそれは罠であった。
罠に釣られてやって来たのは、狩集家の顧問弁護士の孫で汐路が信頼していた車坂 朝晴(くるまざか あさはる)であった。朝晴は狩集家の秘密を守るために、汐路の父親達を殺していた。
汐路達は情報を元に、本当の狩集家の子孫に会いに行く。そこで父親達が石のアクセサリー作成を生業としている本当の狩集家の子孫に、家族のためのブレスレットを注文していたことを知るのだった。

病院でのライカとの出会い

12月の雨のある日。整は雨にも関わらず、傘もささずに土手に座り込んで歌っている男と出会う。男は記憶喪失であったが、救急車を呼ぶことを嫌った。男が「話していると思い出せる気がする」と言ったため、整は男と会話する。すると男は突然、「爆弾を仕掛けたような…気がする」と言い出す。整はどこに爆弾があるかよりも、なぜ爆弾を仕掛けたのかを聞く。だが、男ははっきりと答えない。その様から整は、男が記憶を取り戻したことを確信する。男との会話から整は、爆弾の設置場所は男の母校の中学校だと気付き池本に連絡する。爆弾は爆弾処理班により危機一髪で止められ、男も連行された。
整は男の携帯を拾おうとして土手から転落し、入院することとなる。病室には汐路の名でガロからお見舞いと意味深な指輪が届くのだった。

整のベッドの隣には、『自省録』を読む牛田 悟朗(うしだ ごろう)という元刑事の老人が入院していた。牛田はかつて自分が担当した事件を、整に問題として出題する。3問出題したが、3問目は未解決事件であった。売春婦を次々と殺す羽喰 玄斗(はぐい げんと)という男が、牛田の相棒である霜鳥 信次(しもとり しんじ)に大怪我を負わせて消息不明となった事件だ。
整は牛田に、霜鳥が羽喰に罪をなすりつけている可能性を伝える。牛田はそれを驚かなかった。牛田はそれに気付いていて黙っていたのだ。
牛田は整に、『自省録』を託す。
翌朝整は、牛田が昨日の朝には亡くなっていたことを知り呆然とする。そこに霜鳥がやって来る。そして牛田から連絡を受けた後輩刑事もやって来る。霜鳥の箱根の別荘の花壇から羽喰の骨が見つかったのだ。牛田が黙っていることをやめたのは、見舞いに来た霜鳥が牛田の性格を忘れていたからであった。

整は病院に掲示されている貼り紙に、暗号があることに気が付く。その暗号を仕込んだのがガロかもしれないと期待した整は、読み解いて温室に行くも誰もいない。だがそこには数字が記されていた。その数字を『自省録』と照らし合わせると「夜 三時 もどって 来るがよい」との言葉になった。夜3時の温室で整は、またもや数字で指示をされる。その指示に従って温室を歩いた整は、温室の管理人が隠した鞄を発見する。鞄は管理人が親しくしていた患者の遺品で、処分されるのを厭い隠してしまった物であった。しかしそれは、患者が管理人に宛てた物だった。

暗号を残していたのは、ライカと名乗る入院患者であった。整はライカの指示で、2カ所の放火現場を巡る。放火現場には共通した落書きがあり、ライカから病院にも同じ物があると教えられる。整はそれを池本に教える。池本はその落書きの意味を知っていた。その落書きは天使を呼ぶマークだ。天使は放火殺人犯で、マークは虐待児童が自分の親を天使に殺してもらうために書く。警察はその天使が井原 香音人(いはら かねと)という前科のある男ではないかと考えている。
整は病院で、赤い物を見ると痛みを感じるという病気の男と知り合う。男と男の先輩は火事について調べており、火事現場で先輩が整を見かけたため話したかったようだ。火事について聞かれ整はありきたりな内容のみ答えた。
整は男から真夜中に、クリスマス行事のボランティアに来るよう頼まれる。だがそれは罠で、整は男に襲われる。しかしライカからクリスマスプレゼントで貰った赤いオーナメントのお陰で、逆に男を追い詰めることに成功する。そして整は男に、自分を先輩の元に連れて行くよう脅迫する。だが男に連れて行かれた先には、先輩は居なかった。
男の先輩である香音人は天使であったが、天使を辞める決心をする。だが辞めて欲しくなかった男は発作的に香音人を刺し殺してしまう。それから男は香音人を殺した現実を受け入れられず、香音人が生きている幻覚を見ていた。そのため男はずっと、香音人と自分の一人二役を演じていた。それを整は、池本へと電話を繋げてずっと聞かせていた。男はその後すぐ逮捕され、整は厳重注意を受ける。
ライカも天使に助けられた1人だった。ライカは最近の放火が天使の仕業ではないと思い、調べて欲しかったのだ。

整はライカを誘い、初詣へと行く。2人で初めての初詣を楽しんだ帰り、ライカの提案で焼肉屋に寄る。新年に変わったばかりの夜中にもかかわらず、焼肉屋は開いていた。
焼肉屋には娘と父親がおり、娘はひどく緊張していた。整とライカはそのことに違和感を抱くも、普通に焼肉を楽しんだ。会計後に店の外で整はライカと別れ、警察に電話して店へと戻る。忘れ物と称し店に入ってきた整と同時に、沢山の客に扮した警察官も入店する。父親を装っていた男は、指名手配の強盗犯であった。
整とライカは娘のSOSに気付いていたが、確実に犯人を捕まえるために普通を装っていたのであった。

ガロが横浜で関わった事件

整が広島に行っていた頃、横浜では連続殺人事件が起きていた。その容疑者として羽喰の名前が浮上していたが、横浜港警察署の名物刑事である備前島 操(びぜんじま みさお)警部は違うと考えていた。
横浜港警察署の女性刑事である猫田 十朱(ねこた とあけ)はホームレスへの聞き込みで、猫(ねこ)と名乗る男と知り合う。それはホームレスに扮したガロであった。
海外に逃亡していたガロといとこ達だが、愛珠の遺書のような手紙をきっかけに再び愛珠について調べるのであった。そして情報を求めて、ガロは横浜でホームレスに扮することになる。
ガロは愛珠が闇カジノで働いていたことを突き止める。そして連続殺人事件の被害者も闇カジノで働いていたことを知り、猫田に通報するのだった。
ガロ達は愛珠が持っていた寄木細工の箱を開けてもらうために、横浜の寄木細工ミュージアムへと赴く。学芸員の辻󠄀 浩増(つじ ひろまさ)は愛珠と顔見知りで、ガロのことも知っていた。
ガロは不注意で連続殺人事件の容疑者になっており、通報されるも逃げることに成功する。
警察はガロの他に、闇カジノで占いをしていた女装の男も探していた。その男こそ辻󠄀であった。
女装した辻󠄀は、事情を聞きに来た猫田を刺す。辻󠄀は自分のことを羽喰 十斗(はぐい じゅうと)と名乗り、羽喰 玄斗の息子だと主張した。事件は父親を思い出して欲しい辻󠄀の犯行であった。
ガロ達は猫田を助け、話を聞くために辻󠄀を船へと連れ去った。そこで連続殺人事件の詳細と愛珠とのことを知る。
愛珠は辻󠄀に紹介されたカウンセラーのカウンセリングを受けていた。
自立出来ない自分に失望して死にたかった愛珠は辻󠄀の生い立ちを知り、彼に自分を殺すように頼んでいた。愛珠が煙草森に殺された日、辻󠄀が愛珠を殺すはずであった。
薬で眠らせた辻󠄀を港に縛り付けガロ達は、箱根へと向かった。箱根には愛珠と親しくしていた寄木細工職人の月岡 桂(つきおか かつら)の工房がある。愛珠が持っていた寄木細工の箱から、愛珠がカウンセラーから貰った山羊座のマークが掘られたシルバーリングが出てくる。
ガロは入院した整に、お見舞いとして辻󠄀が持っていた射手座の指輪を送るのだった。

山荘での謎解き会にやって来た整

整は大学の准教授で昔からの知り合いである天達(あまたつ)の誘いで、山荘での謎解き会の手伝いに行くことになった。山荘には天達の高校からの友人である蔦 薫平(つた くんぺい)と橘高 勝(きつたか まさる)、整と同じく手伝いの大学生、そして蔦がネットで知り合った男が2人来ていた。蔦は山荘の家主で、橘高はあらゆる物を持参する潔癖症であった。
謎解き会で蔦は、過去にこの山荘で亡くなった女性が自殺か他殺か推理して欲しいと話す。だがその事件は、蔦の創作であった。その創作に橘高は怒った。なぜならこの山荘では天達の恋人だった喜和(きわ)が、5年前にストーカーに殺されているからだ。
翌日、整は前日からずっと抱いていた違和感の正体に思い至る。それは橘高であった。
謎解き会に参加していたネットで知り合った男2人は刑事であった。市役所で働く橘高には、ストーカーに被害者の居場所を教えている疑惑がかかっていた。そこで刑事達は蔦と天達の協力の下、橘高の動向を伺っていたのである。
橘高は容疑を認めた。橘高がストーカーに被害者の居場所を教えるようになったのは、喜和の事件がきっかけであった。
喜和が殺された日、橘高はストーカーを喜和の友人と勘違いして居場所を教えてしまったのだ。橘高はずっとそのことを悔やんでいた。そして悔やみ疲れてストレスで、ストーカーに被害者の居場所を教えるようになってしまった。
橘高の話を聞いた整は納得する。それは、橘高が山荘に居る皆を殺そうとしていたからだ。橘高が極度に潔癖だったのは、居た証拠を残さないためであった。

美術館で起きた事件と明かされるライカの秘密

整はライカを連れて、病院から1番近い美術館に来ていた。そこでお互いをアルファベットで呼び合う、人を襲う若い集団と遭遇する。彼らの親方が意識不明で倒れたため、彼らも知らない下の句を言える仕事の取り引き相手を探していた。
整は誰も下の句が分からないことがばれたら命が危ないと考え、下の句を推理する。そして答えと引き換えに、集団に命の保証を頼むのであった。
整が謎を解いて見つけた先には、2枚の同じレンブラントの絵があった。しかしどちらも偽物である。
そのことを素知らぬふりをしていた美術館スタッフの黒松(くろまつ)こそ、下の句を知る人物であった。
集団は親方に引き取られた子供達であった。そして親方と黒松は、子供達や孫のために金を求めていた。そこで大隣美術館から絵が盗まれたと思わせて、偽物の絵を売る計画を立てたのだ。だが黒松に親方の子供達と計画の続きをするつもりが無かったので、整達は解放された。

整はライカが解離性同一性障害で、千夜子(ちやこ)が父親から受ける虐待を身代わりするために生まれた人格だと知る。そのため、ライカが会っている整のことを千夜子は知らない。そしてライカの人格は、春には統合されて無くなる。
整はライカのことを考えながら、店の行列に並んでいた。しかし整の思考は、漏れ聞こえる様々な話へと散る。
整は痴漢冤罪を起こした女が突き落とされた話をしていたテーブルに、「犯人は女性だと思います」とだけ言いおいて店を去った。そんな整を追いかけて来た女性に、風呂光への自首を勧めるのだった。

鳩村家の双子を見分けるよう依頼を受けた整

整は汐路から、鳩村家の双子を見分けて欲しいと依頼される。だがそれはガロからの依頼であったが、整は知らない。
双子の両親は既に亡くなっており、双子の叔父である瓜生 晃次(うりゅう こうじ)は入れ替わる双子を見分けることが出来ない。瓜生 晃次はそのことで困っていた。
整は家庭教師となり、鳩村家へと通う。そこで双子が双子ではなく、三つ子であることに気付く。上から有紀子(ゆきこ)、実都子(みつこ)、藍糸子(あいこ)だ。三つ子の母である一葉(いろは)が持っていたアレキサンドライトの指輪に、それぞれの名前の読みがアレキ、サンド、ライトと対応している。
一葉は鳩村家に、三つ子の末子は殺すというしきたりがあると思い込んでいた。そのため、三つ子の存在を隠したのだ。だがそれは5歳までと言っていたが、三つ子が小学生になっても入れ替わったままであった。入れ替わりが延長したのは、瓜生の殺人を有紀子が目撃したからであった。
瓜生は会社のお金を横領しており、それを発見した経理部長を殺していた。そしてその現場を、有紀子に目撃されていた。だが瓜生は有紀子が誰なのか区別がつかず、口封じ出来ずにいた。
双子が三つ子だったという連絡を受けた瓜生は、傷があって確実に有紀子ではない藍糸子だけを家に残した。そして他の家に居た全員を、海の真ん中に置き去りにした。
海に置き去りにされた整達は、瓜生の部下である楡崎(にれざき)のおかげで助けを求めることが出来た。
通報を受けて鳩村家にやって来た青砥達に、藍糸子は瓜生の殺人を告げる。瓜生の殺人を目撃したのは「有紀子」と呼ばれた藍糸子であった。そして瓜生は一葉が乗っていた飛行機に細工したことも認め、楡崎に刺される。楡崎の息子は、一葉と同じ飛行機事故で亡くなっていた。
助けを待つ整の下にガロがやって来て、整に共に行かないかと誘う。だが整はその誘いを断る。その後、整達は無事救出される。
瓜生が捕まったことにより、三つ子はもう入れ替わる必要が無くなった。

ガロが汐路を通して整に鳩村家の件を頼んだのは、愛珠と辻󠄀のカウンセラーでもあった鳴子 巽(なるこ たつみ)の診察を一葉が受けていたからであった。
ガロは鳴子の自宅に潜入捜査もしていた。

誘拐事件に巻き込まれる整と青砥

金曜日のお昼、整は1人の男性を道案内する。男性の様子に誘拐事件を疑うが、公衆電話で指示をする「してんちょう」は仲間内の罰ゲームだと伝えてくる。
男性に見覚えのあった整は、池本経由で青砥に連絡をする。だが青砥は別れた妻との間にいる12歳の娘と会うために、帰宅していた。そしてその娘が「してんちょう」に誘拐される。
誘拐犯は青砥に娘の無事と引き換えに、少年の誘拐を指示する。青砥は連絡を貰っていた整に会い、「してんちょう」の話を聞き共に行動することとなる。
青砥が過去に起こした冤罪事件は鍵山(かぎやま)事件と呼ばれ、連続幼女殺人事件であった。その事件が誘拐と関連していることが発覚する。
青砥が誘拐を指示された少年は、犯人が指定した場所で亡くなっていた。だが犯人からはその少年を連れて、冬場は閉鎖されている奥多摩のキャンプ場のコンテナ風のプレハブ小屋に来るよう指示される。その小屋に設置されたモニターから、リモート会議が開始される。
会議の参加者は全員、鍵山事件の関係者であった。そして、お互いの子供を誘拐するように指示されており、青砥達が誘拐させられた少年も、関係者の子供であった。
犯人の望みは、鍵山事件の真相解明であった。そして関係者達は、当時明かさなかった秘密を次々と告白し懺悔する。
リモート会議の仕組みから、整は犯人に気付く。誘拐犯は少年の父親である井口 虎雄(いぐち とらお)で、鍵山事件の真犯人だ。そして神奈川西部で発覚した、殺害遺棄事件の犯人でもあった。
息子の死と神奈川西部の事件の発覚が重なった井口は、全てを清算しようと今回の事件を起こしたのだ。
井口は全員を道連れに、自死しようとした。だが駆け付けた大隣警察署の面々によって事なきを得る。

無事に事件が解決し、整はライカに事件のあらましを話す。整とライカは今までの犯人達が何かしらの星座入りアクセサリーを持っていて、星座が被っていないことを疑問視するのだった。

『ミステリと言う勿れ』の登場人物・キャラクター

主要人物

久能 整(くのう ととのう/演:菅田 将暉)

asigalu
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