ハムナプトラ/失われた砂漠の都(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』とは1999年に公開されたアメリカのアクション・アドベンチャー映画。監督はスティーブン・ソマーズ、主演はブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ。『インディ・ジョーンズ』を彷彿とさせる胸躍る冒険活劇に当時のVFXによる迫力ある映像技術が話題となった。エジプトを舞台に3000年の封印から目覚めた邪悪な高僧イムホテップに、勇敢な傭兵リックと女性考古学者エブリンが立ち向かう。

『死者の書』

死者を蘇えらせる呪文が記されている

漆黒の黒に拵えた鍵付きの書物。死者を蘇らせる呪文が綴られており、その危険性から罠と共にハムナプトラ奥地で厳重に保管されている。『死者の書』を納めた箱を開けた者に呪いが降りかかると云われており、作中アメリカ人グループが掘り出した為、復活したイムホテップに狙われることとなる。

『アメン・ラーの書』

イムホテップへの唯一の対抗手段である

黄金に拵えた鍵付きの書物。邪悪な者の魂、力を奪う呪文が綴られており、ホムダイの呪いから目覚めた者に対抗できる唯一の武器でもある。ハムナプトラのホルス像の下に保管されており、リックたちはこの書物を利用しイムホテップの不死身のパワーを奪った。また表紙に綴られた呪文は近衛兵を呼び寄せることができる。

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

冒頭のホムダイの刑執行シーン

ショッキングな内容だが物語の始まりを飾るに相応しい

大人も子供も楽しめるアクション・アドベンチャー映画として成立しているが、肉食虫スカラベや生きたままの生き埋めなどショッキングな要素も多い本作。特に冒頭のイムホテップがホムダイの刑に処されるシーンは観る人に最も衝撃を与える場面である。生きたまま包帯を巻かれて棺に納められ、その中に大量のスカラベを投入された際のイムホテップの断末魔、そして身動きのとれない状態で未来永劫苦しみを味わい続ける絶望感は想像しただけでもゾッとする衝撃的なシーンである。

飛行機を襲うイムホテップによる砂の魔術シーン

大スケールで描かれる砂の魔術は一見の価値あり

映像技術の進歩によって迫力のある映像表現が可能となり、本作が公開された1999年はちょうどVFXが注目されはじめた時期でもあった。その先駆けといえる程本作はVFXを駆使しており、特にイムホテップがリックたちが乗る飛行機を砂を扱った魔術で襲うシーンは最も注目するシーンである。上空を覆う程そそり立つ砂の壁が立ち塞がり、やがてイムホテップの顔の形に形成され襲いかかる様はスクリーンを通して圧倒される。砂の魔術を具現化したこの表現力はその後の映像技術の発展に貢献したといえる。

ベニー「あんた頭はないけど度胸はあるよね」

セリフ後のコントのような展開が見どころである

本作はアクション・アドベンチャー映画であるがコメディの要素も含まれている。それぞれのキャラクターが魅力的であり、卑劣な悪党として描かれるベニーもその一人だ。ハムナプトラへ向かう船上にて険悪な再会を果たしたリックとベニー。その時ベニーがリックに何故もう一度ハムナプトラへ戻るのかを尋ね、エブリンに命を救われた事が理由だというリックに何かを感じたベニーが発言したのがこの「あんた頭はないけど度胸はあるよね」だ。学者の卵で器量良しのエブリンとリックがまさに「美女と野獣」の構図に見えたのか嫌味とも皮肉とも捉えられるベニーらしいセリフといえる。その後リックが笑いながらベニーを船の外に投げ飛ばす流れは秀逸で、本作におけるコメディ要素が伝わるセリフとシーンでもある。

エブリン「死は始まりに過ぎない」

本作における生と死を代弁したようなセリフである

リックたちがイムホテップを収納した棺を開けた際、その蓋に遺されていたメッセージがある。そして最終決戦でイムホテップを倒した時にエブリンが呟いたのが「死は始まりに過ぎない」だ。ホムダイの刑に処され死ぬことが許されない呪いを受けたイムホテップが遺した言葉であり、現世への憎しみとも生への執着、絶望からくる諦めとも様々な解釈が出来る。そして『死者の書』で蘇らせたのもエブリン、また『アメン・ラーの書』で不死の力を奪ったのもエブリンだからこそ、イムホテップ打倒後にエブリンがこの言葉を発言したのが皮肉っぽく最後にふさわしい印象的なセリフだと捉えられる。

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

過酷な撮影環境

過酷な環境だからこそリアリティな映像を得られた

当時エジプトは政情不安で撮影が不可能であった為モロッコ・マラケシュで17週間撮影が行われた。砂漠での撮影は過酷を極めるものであり、脱水症状を防ぐため医療スタッフがキャスト・スタッフ用に2時間おきに飲む飲料水を用意した。またヘビ、クモ、サソリによる被害に悩まされ、噛まれた多くのスタッフは現場を離れる事態があった。撮影にはモロッコ国立軍が協力しており、キャスト・スタッフ全員には誘拐された場合に備えて保険が掛けられており、撮影終了まで監督のスティーブン・ソマーズはそのことを伝えなかった。

制作初期段階はホラーテイストが強かった

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