劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲(EVOLUTION)のネタバレ解説・考察まとめ
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は、2019年7月12日公開の『ポケットモンスター』の劇場版映画第22作目。第1作目『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を全編フル3DCGで描いたリメイク作品。人間に造られたポケモンであるミュウツーが、自身を生み出した人間への憎悪に駆られ、主人公サトシやポケモンたちと対立を繰り広げる。”命”や”自己の存在意義”をテーマにしたストーリーは『ポケモン』映画の中でも評価が高く、市村正親や小林幸子など旧版に登場したキャストも再登壇したことで話題を集めた。
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の概要
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は、2019年7月12日公開の『ポケットモンスター』の劇場版映画第22作目。第1作目『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を全編フル3DCGで描いたリメイク作品。正式タイトルに『劇場版ポケットモンスター』がついていない異例の作品となった。キャッチコピーは「最強とは何か――」「原点にして最高峰」。
人間に造られたポケモンであるミュウツーは、自身を生み出した人間を恨み、自身と同じ「コピー」のポケモン達を率いてサトシやポケモンたちと対立を繰り広げる。”命”や”自己の存在意義”をテーマにしたストーリーはポケモン映画の中でも特に評価が高く、「ミュウツーの逆襲」という副題にも「クローンや遺伝子研究への問いかけ」が暗に含まれている。総じて子供向けの映画とは思えないシリアスなテーマを掲げた本作は、今なおミュウツーというポケモンの立ち位置と併せて「原点にして頂点」と呼ばれることも多い。
リメイクに伴い、旧版での矛盾の解消や後に追加された設定の反映、さらにサトシのポケモン達にもよりスポットを当てられている。主な変更点は以下の通り。
・キャスト、BGMが一部変更されている。
・フジ博士の娘、アイツーに関わる場面がない。
・「こおりのつぶて」や「リーフストーム」など当時にはなかった技が存在する。
・最初にサトシが戦う海賊トレーナーやミュウツーのアーマー、コピーポケモンを製造するマシンなどのデザインが変更されている。
・ポケモンセンターで働くジョーイが行方不明になった経緯が明確に描かれている。
・ロケット団の船が木製ボートからラプラス型足漕ぎボートに変更。
・サトシが石化するシーンでコピーピカチュウが泣くシーンが追加されている。
・エピローグでミュウツーがコピーポケモンたちと一緒にピュアズロックに向かうシーンがあり、スピンオフアニメ『ポケットモンスター ミュウツー! 我ハココニ在リ』に直接繋がる演出がなされた。
また、本作はプレスコ(先に台詞や音声を収録してから映像を作っていく、アフレコと逆の手法)という手法で制作された。2018年に逝去した石塚運昇もプレスコ手法を以て出演しており、彼にとっての遺作の一つとなった。
旧作と同じく俳優の市村正親や主題歌を歌う小林幸子が特別出演しており、本作では山寺宏一やレイモンドが特別出演に加わった。一方で『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ』から特別出演を続けていた中川翔子は主題歌のみ担当で、声優としては初めて不参加となった。
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のあらすじ・ストーリー
ミュウツー誕生の経緯と逆襲の始まり
発掘チームにより、南米の山脈地帯にある盗掘現場にて、幻のポケモン・ミュウのまつ毛の化石が発見された。これを元に、遺伝子を研究する科学者・フジ博士は研究チームと共に遺伝子操作を行い、戦闘能力などを強化させた人工ポケモン・ミュウツーを完成させた。しかしミュウツーは暴走し、研究施設を粉々に破壊してしまった。
その圧倒的な力を見込んだ悪の組織ロケット団のボス・サカキにより、ロケット団の活動に加わることになったミュウツー。しかしミュウツーは、その不純な生立ちから自身の存在意義を見出せず、答えなき自問自答に苦しんでいた。
やがてミュウツーはロケット団からも離反し、ポケモンを統制するシステムへの反発や自分を利用するためだけに作り出した人間たちへの失望からある計画を企てる。それは、自分のように通常のポケモンより優れた「コピーポケモン」の軍団を作り、人間や通常のポケモンを淘汰するというものだった。
サトシ達とミュウツーの対峙
一方、旅を続けるサトシ達の前に、一通の招待状を携えたドラゴンポケモン・カイリューが現れた。招待状は謎の女性の姿を映し出し、優秀なトレーナーたちをポケモン城へ招待したいと説明する。
サトシはすぐさまポケモン城へ向かうことを決めたが、港には大きな嵐が近づいており、船の出向が禁止されていた。サトシと同じく招待状を受け取り、港へ来ていたウミオ、ソラオ、スイートの3人のトレーナーは、自分のポケモンに乗って嵐の海を渡っていく。自分たちが乗れるような大型のポケモンを持っていなかったサトシ達は、船乗りに声を掛けられボートに搭乗する。しかし船乗りがロケット団のムサシ・コジロウ・ニャースであることに気がついた瞬間、ボートは転覆してしまった。サトシ達は水ポケモンを取り出して海を越えて行き、ニューアイランドにあるポケモン城改めミュウツー城へたどり着いた。
案内の女性に連れられ、地下から大広間へと連れて行かれたサトシ達。そこには先に出立していたウミオ、ソラオ、スイートの3人もおり、それぞれのポケモンを自由に遊ばせていた。そこへ、彼らを招待した城の主が現れる。その主は誰も見たことのないポケモンだった。ミュウツーと名乗ったポケモンは、自分が伝説のポケモン・ミュウから人工的に生み出されたポケモンであること、人間への逆襲を目論んでいることを告げる。また、サトシ達を案内した女性は、港で行方不明になっていたジョーイであったことが判明する。ジョーイはミュウツーにより、催眠術で操られていたのだった。怒ったトレーナーがミュウツーに攻撃を仕掛けるが、返り討ちに遭ってしまう。するとミュウツーは、ポケモンのコピーを造り出す、と言い出し、サトシ達の手持ちポケモンを次々に捕まえていった。
全員のポケモンが捕まっていく中、しぶとく逃げ続けたサトシの相棒ポケモン・ピカチュウもミュウツーに捕まってしまうが、サトシはピカチュウが入ったボールを掴み、一緒に地下へ落ちていった。
一方その頃、サトシを追ってポケモン城にやってきたロケット団のムサシ・コジロウ・ニャースは、城の地下に広がるコピーポケモンの製造所に迷い込む。彼らはそこでコピーポケモン達が作られる過程を目の当たりにし、さらには全てのポケモンの始祖と言われるポケモン・ミュウの存在を知った。
「本物」と「コピー」の対決
サトシはピカチュウを取り返すためコピー装置に抵抗し、装置を破壊する。同時にポケモン達を解放することにも成功した。人間への復讐のために関係のない者を巻き込むミュウツーに憤ったサトシは彼の元に向かう。
ミュウツーとトレーナー達は城の奥にあるバトルフィールドに移動していた。サトシが解放されたポケモン達を引き連れて戻ってくると、ミュウツーは「コピーポケモンはオリジナルよりもはるかに強く造り出されている」と告げ、それを証明するためにポケモンバトルを挑む。受けて立ったサトシ達だったが、ソラオのフシギバナ、スイートのカメックス、そしてサトシのエースであるリザードンまでもが敗れてしまう。
そんな中、ミュウツーの前に彼のオリジナルであるミュウが現れた。自分の「本物」であるミュウに敵意を露にし「本物」であるミュウと「コピー」の自分のどちらが強いかを決めようと戦いを挑むミュウツーに、ミュウはある提案を持ちかける。それは、自分達だけでなくコピーポケモン達とそのオリジナルのポケモン達を戦わせることで「本物」と「コピー」のどちらが強いかを決めるというものだった。ミュウは「技など使わず体と体でぶつかれば、本物はコピーに負けない」とミュウツーを煽り立てる。
こうしてポケモン同士の戦いが始まった。ポケモン達が次々と倒れる中、ミュウツーとミュウだけは空中を凄まじいスピードで飛び回りながら激戦を続ける。二匹を止めない限りポケモンたちの闘いも止まらないと考えたサトシは自ら身を投じるが、ミュウツーとミュウの挟み撃ちに遭い石像と化してしまう。電撃を浴びせてもピクリとも動かなくなったサトシを見て、パートナーであるピカチュウは涙を流す。戦いをやめたポケモンたちも、本物もコピーも関係なく悲しみを露わにした。すると、ポケモン達が流した涙はサトシの元に集まり、サトシは息を吹き返した。
戦いの終わり ミュウツーの出した答え
コピーとオリジナルが一緒になって涙する様子を見たミュウとミュウツーは、自分たちは皆同じ生き物であると悟る。コピーポケモンたちのために自らを犠牲にしたサトシを見たミュウツーは戦いをやめる。そして、自分たちコピーポケモンの生が認められるその日までこの世界で生き続けることを誓ったミュウツーは、ミュウやコピーポケモン達とともにどこかへと去っていった。悲劇が繰り返されないよう、ミュウツーはその場にいた者たちからこの日の記憶を消していった。
サトシたちは、気がつけば近くのポケモンセンターに戻っていた。嵐が収まり、雲の間からミュウが飛び去るところを見たサトシ達は、いつか幻のポケモンに巡り会える日が来ることを願い、旅を続けるのだった。
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の登場人物・キャラクター
メインキャラクター
サトシ
声:松本梨香
本作の主人公。ポケモンマスターを目指し修行の旅を続ける10歳のポケモントレーナー。最強のポケモントレーナーと名乗る謎の人物から招待を受け、ポケモン城へと向かう。物語終盤でポケモン同士の戦いを止めるべくミュウツーとミュウの攻撃を受け石化してしまうも、戦いをやめたポケモンたちの涙を注がれて復活した。
旧版では年齢差の近いトレーナーにはタメ口だったが、リメイクでは大人のトレーナーには敬語を使っている。また、手持ちポケモンのリザードンはサトシの指示をしっかり聞くようになっている。
手持ちポケモン…ピカチュウ、フシギダネ、ゼニガメ、リザードン
カスミ
本作のヒロイン。世界一の水ポケモン使いを目指してサトシと一緒に旅をしている少女。
リメイクではきょうあくポケモン・ギャラドスが苦手な描写が追加され、タケシと共に石像と化したサトシを悔んだ。
手持ちポケモン…トゲピー、ヒトデマン、コダック
タケシ
声:うえだゆうじ
世界一のポケモンブリーダーを目指してサトシ達と共に旅をするトレーナー。年上の美人女性好きだが、女運は皆無。ミュウツーの召使いの女性が行方不明になったジョーイだと見抜いた。
リメイクでは新たにスイートをナンパする途中にカスミに止められたり、ミュウのことを知っていたことが新たに追加された。
手持ちポケモン…ロコン
ムサシ
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目次 - Contents
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の概要
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のあらすじ・ストーリー
- ミュウツー誕生の経緯と逆襲の始まり
- サトシ達とミュウツーの対峙
- 「本物」と「コピー」の対決
- 戦いの終わり ミュウツーの出した答え
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクター
- サトシ
- カスミ
- タケシ
- ムサシ
- コジロウ
- ニャース
- ジュンサー
- ジョーイ
- ゲストキャラクター
- ウミオ
- ソラオ
- スイート
- ボイジャー
- 海賊風トレーナー
- ゲストポケモン
- ミュウツー
- アーマードミュウツー
- ミュウ
- カイリュー
- オニドリル
- イワーク
- ケンタロス
- その他
- オーキド・シゲル
- サカキ
- フジ博士(ドクトル・フジ / クラマ・フジ)
- 科学者
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の用語
- ニューアイランド
- ミュウツーボール
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ミュウツーが逆襲を宣言するシーン
- ムサシ・コジロウ・ニャース「なんだか気の毒で、自分で自分をいじめてる。昔の自分を見るようで、今の自分を見るようで、やな感じ~」
- カスミ「さあ、いるんだからいるんでしょうねー」
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ミュウツーの映画主演は3度目
- 「逆襲のミュウツー」配布
- 映画版ミュウツーの外部出演
- 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):松本梨香『めざせポケモンマスター'98(2019 Remaster)』
- 主題歌:小林幸子&中川翔子『風といっしょに』