アシュラ童子／酒天丸（ONE PIECE）の徹底解説・考察まとめ

アシュラ童子／酒天丸の概要

アシュラ童子（アシュラどうじ）／酒天丸（しゅてんまる）とは、集英社の発刊する『週刊少年ジャンプ』の大人気海賊漫画『ONE PIECE（ワンピース）』の登場人物。

過去にはワノ国の無法地帯・久里（くり）で最も危険な人物として名が知れ渡っており、「怪物」や「鬼」と呼ばれて恐れられていた。しかし光月おでんに敗北してからその人柄に惚れ込み、家臣となる。以降、おでんに忠誠を捧げ、他の家臣共々立派な侍となって赤鞘九人男の一人に数えられるようになる。

おでんが黒炭オロチと百獣のカイドウによって処刑された後、おでんの妻・光月トキの言葉を信じ、20年後のモモの助の帰還を待っていた。しかし10年ほど経った頃、襲撃や病気や空腹に耐えきれなくなった同志達が捨て身の覚悟でカイドウの居城・鬼ヶ島に討ち入りをする事件が起きる。アシュラ童子は必死で止めたが、それは叶わず多くの犠牲者が出た。それほど20年という時間は長く辛いものだった。トキの言葉を信じていたアシュラ童子も次第にやさぐれていき、名を酒天丸に変えて各地で略奪を行う盗賊になる。ワノ国に絶望はしていたものの、港に船を集めたり、カイドウの屋敷の図面を入手していたりと、討ち入りの準備だけはしていた。

赤鞘九人男のリーダー的存在・錦えもん（きんえもん）達の懸命な説得により、オロチとカイドウを倒すために討ち入りに参加。戦いの中、仲間を爆発から守るためにその身を呈し、戦死した。

アシュラ童子／酒天丸のプロフィール・人物像

本名：アシュラ童子
年齢：享年56歳
身長：544cm
好物：きんちゃくもち
乗り物：巨大な牛
所属：ワノ国光月家家臣、赤鞘九人男、頭山盗賊団棟梁、忍者海賊ミンク侍同盟
出身地：偉大なる航路 新世界 ワノ国 九里
血液型：X型
誕生日：月10日
覇気：武装色（流桜）、見聞色

CV：飛田展男

5メートルを超える大きな体を持っており、両肩に桜吹雪の入れ墨をしている。常に眉間にシワを寄せており、表情が険しい。カーリーパーマのような長いピンク色の長い髪をしており、頭頂部に髪の一部を髷のように一つにまとめている。見た目は小さな桜の木が頭から生えているようにも見える。

忠義心は厚いが、それはあくまで”光月おでん”個人に向けられたものであり、”光月家”に対してではない。20年越しにおでんの子・モモの助と再会した時もモモの助を侮っているような発言をしている。赤鞘九人男の中で最もワノ国に向き合っており、20年ワノ国が荒れていく様を見てきている。そのため初登場時は打倒オロチ・カイドウへの反逆の心が折れかけているように見えた。しかしワノ国の状況に絶望しながらも船を集めたり、カイドウの居城・鬼ヶ島の屋敷の図面を手に入れたりと準備はしていた。盗賊という生業を長きに渡ってしていたこともあって、粗暴な性格で、用意周到に準備をする様なんて見たことがない錦えもんや同じ赤鞘九人男のイヌアラシには、20年の時を経てすっかり変わった様子を気持ち悪がられていた。

凄まじいパワーの持ち主で、戦力が高い。その力は百獣海賊団の大幹部”大看板”のジャックと同等である。カイドウもアシュラ童子の力を買っており、自身の部下にしたいと考えているほどだ。

アシュラ童子／酒天丸の武器

花の形をした鍔を持つ刀を武器として使う。刀の名前や位列は不明。

アシュラ童子／酒天丸の必殺技

おでん二刀流 桃源十拳（とうげんとつか）

かつての主君・光月おでんの技「おでん二刀流」を再現した技。二本の刀で相手を十字に斬りつける。20年前の戦いでカイドウに傷を残した強力な技であり、鬼ヶ島での戦いでは、アシュラ童子の他に錦えもん・傳ジロー（でんじろー）・イヌアラシが同時に放ったが、カイドウに致命傷を与えるには至らなかった。

アシュラ童子／酒天丸の来歴・活躍

過去

新世界編から41年前。アシュラ童子は当時荒くれ者のたまり場となり無法地帯と化していたワノ国の久里という地方でその名を轟かせていた。「怪物」や「鬼」という呼び名にふさわしい強さを持っていたアシュラ童子は久里で最も危険な人物とされており、人々を怖がらせる。そこへやってきたのが光月おでんだ。当時18歳だったおでんは、その破天荒さにいよいよ実父である当時の将軍スキヤキにもさじを投げられ絶縁を言い渡される。アシュラ童子は都を追い出されたおでんと戦い、激戦の末に敗北した。しかしおでんはアシュラ童子のような無法者を見捨てることをしなかった。そのおでんの人柄に惚れ込んだアシュラ童子はおでんの家臣となり、他の家臣・錦えもん達と共におでんを支える立派な侍へと成長していく。

おでんが四皇”白ひげ”エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団にくっついてワノ国を出た後、アシュラ童子は久里の山賊やヤクザが暴れないようにその頭となって手綱を締めた。そのためおでんが一時帰郷した際には城を不在にしていた。

やがておでんは白ひげ海賊団や後の海賊王ゴール・D・ロジャー率いるロジャー海賊団達との旅を終えて、ワノ国へと戻る。しかしその時既に、光月家に恨みを持つ黒炭家の生き残り・黒炭オロチやオロチと手を組んだ海賊・カイドウの手によってワノ国は支配されつつあった。おでんはすぐさまオロチを討とうとしたが、多くの民を人質に取られて手が出せない。おでんは民の解放とオロチ達がワノ国を出ていくまでの5年間、オロチの城の前で毎日欠かさず裸踊りをするという約束を取り付け、その約束を守った。

5年後、おでんはオロチに裏切られる。怒髪天を衝いたおでんはアシュラ童子達・赤鞘九人男を引き連れてオロチとカイドウを討ちに出た。しかし無念にも敗北。おでんやアシュラ童子達は公開処刑されることになる。公開処刑の当日、おでんは自分の命をかけてアシュラ童子達家臣を逃し、「ワノ国を開国せよ」という遺志を託した。アシュラ童子も涙を流しながら逃げ、以降、おでんの妻・トキの言葉「月は夜明けを知らぬ君。叶わばその一念は 二十年（はたとせ）を編む月夜に 九つの影を落とし まばゆき夜明けを知る 君と成る。」を信じて、モモの助や錦えもんの帰還を待っていた。

おでんの死から10年ほど経った頃、しびれを切らした同志達がカイドウの居城・鬼ヶ島へ討ち入りを決行した。アシュラ童子はその時点での戦力では勝率は低く、行っても死ぬだけであると必死に同志達を止める。だが同志達の意志も固く、結局多くの侍達が犠牲となった。多くの同志を止められず死なせてしまったことがきっかけか、アシュラ童子の心は次第にやさぐれていく。20年という歳月は待つには長すぎたのだ。アシュラ童子の心は少しずつ折れていったが、それでも来るべき討ち入りの日のために廃港に船を集めたり、鬼ヶ島の屋敷図面を入手したりと着々と準備を進めていた。

ワノ国編

錦えもん達との再会

おでんの死から20年。主人公モンキー・D・ルフィらが活躍する新世界編の時間軸に、おでんの子・モモの助は、赤鞘九人男の錦えもん、雷ぞう、カン十郎、菊の丞と5人、母であるトキの悪魔の実「トキトキの実」の能力で20年の時を超えてやってきた。オロチとカイドウを討つための仲間を探してモモの助達は海に出て、ルフィ達と出会う。そしてモモの助はルフィ達多くの仲間を引き連れてワノ国へと帰還した。アシュラ童子はその時、酒天丸と名を変えて盗賊家業に勤しんでいた。貧しい村々からも容赦なく食べ物などを略奪し、トキの死に際の言葉を信じる村人にも冷たく当たる。その気だるげな様子からは最早決起に対する闘志は感じられなかった。しかし百獣海賊団の大幹部”大看板”のジャックと遭遇し、百獣海賊団へ勧誘された時にはその勧誘をきっぱりと断っている。そしてカイドウが久里に現れた時には関わるつもりはないと早々にその場から撤退した。

酒天丸がアシュラ童子であることを突き止めた錦えもん達とアシュラ童子は再会。アシュラ童子は錦えもん達から討ち入りへの助力を請われた。しかしアシュラ童子の答えは否。自分はあくまで”光月おでん”個人に仕えていたのであって、”光月家”に仕えていたのではないとかつての同志を突き放し、一緒にいたモモの助を侮るような発言をする。しかし錦えもん達にはどうしてもアシュラ童子の強さが必要だった。錦えもんは百獣海賊団の団員に略奪の犯人がアシュラ童子／酒天丸率いる頭山盗賊団だという嘘の情報を与える。そしてまんまと錦えもんの策に乗せられた百獣海賊団は、酒天丸達がアジトにしていた頭山に火をつけた。その借りを返そうとアシュラ童子／酒天丸は町へ向かう。アシュラ童子はそこでかつて白舞（はくまい）という地方を治めていた大名・霜月康イエ（しもつき やすいえ）／トの康（とのやす）が公開処刑される映像を見た。

アシュラ童子はその後、錦えもんから真実を聞かされ激怒する。錦えもん達はアシュラ童子に懸命に謝罪し、そしてあらためてアシュラ童子の力が必要だと訴えた。アシュラ童子は錦えもん達を同志の墓へと連れて行く。アシュラ童子は20年という歳月がどれほど長かったか、そしてその間にどれほどの同志が死んでいったかを錦えもん達に見せつけた。錦えもん達はその光景に言葉をなくす。そしてその墓の前でアシュラ童子は錦えもん達に協力することを約束し、密かに準備していた船や屋敷の図面を錦えもん達に共有するのだった。

火祭りの夜

ワノ国で年に一度行われる”火祭り”の夜。錦えもん達はその日を討ち入り決行の日と決めて準備を進めた。そして無事にカイドウの居城・鬼ヶ島への潜入を潜入する。アシュラ童子達・赤鞘九人男は島の裏口から城内に侵入する計画を立てており、敵を撹乱するために潜入時に別れていた面々と無事に合流を果たす。しかしそこには赤鞘九人男の一人だった裏切り者の黒炭カン十郎が待っていた。カン十郎を打ち破り、アシュラ童子達は城内に侵入。カイドウのいるイベント会場・ライブフロアの高台を目指す。そして赤鞘九人男全員でカイドウに不意の一撃を食らわせ、反撃の狼煙を上げた。

おでんの敵を取るために、鬼ヶ島の屋上で赤鞘九人男達とカイドウの戦いが始まる。赤鞘九人男達は研鑽を積んできた20年間の力を出し切って戦い、それぞれカイドウに傷をつけることに成功する。アシュラ童子は、イヌアラシ、傳ジロー（でんじろー）、錦えもんらと共におでんの技「おでん二刀流 桃源十拳（とうげんとつか）」を放った。しかしおでんのようにカイドウに深手を与えることはできず、赤鞘九人男は次第にカイドウに押され始め、敗北した。そしてその後屋上にやってきたルフィ達にカイドウとの戦いを託し、アシュラ童子達は一時戦線離脱する。

アシュラ童子達が城内の一室で体を休めていると、そこにおでんが現れた。おでんはトキの悪魔の実「トキトキの実」の能力で過去からやってきたと言い、カイドウを討ちに行くぞと声を上げる。錦えもん達はそれに涙を流して喜び、おでんについていこうとした。しかしアシュラ童子はおでんが偽物であることに気がついた。現れたおでんは描いたものを実体化させる能力を持つ悪魔の実「フデフデの実」の能力者・カン十郎が作った偽物だったのだ。アシュラ童子はおでんに刀を向ける。するとおでんもアシュラ童子に攻撃をしかけてきた。腹を刺されたアシュラ童子は偽物のおでんが爆弾を持っていることに気が付き、錦えもん達仲間をかばって、偽物のおでんを抱えて部屋を飛び出す。そして大爆発に巻き込まれて、帰らぬ人となってしまった。

戦いはルフィがカイドウに勝利し、幕を閉じる。モモの助が新たな将軍の座に就き、ワノ国に平和が戻ったのだ。鬼ヶ島での戦いで死亡したアシュラ童子は、その他戦死を遂げた同志達と共に、ワノ国の鈴後（りんご）という地方に祀られることとなった。

アシュラ童子／酒天丸の関連人物・キャラクター

光月おでん（こうづき おでん）

CV：石丸博也

ワノ国の氏族・光月家の人間。オロチやカイドウがワノ国を乗っ取らなければ、時期将軍になっていた男である。アシュラ童子を始めとする赤鞘九人男の主君。産まれた時から様々な騒ぎを起こす問題児で18歳の時に実父であり当時の将軍だった光月スキヤキに絶縁を言い渡されて、花の都を追放になった。その際スキヤキも手に負えずに放置していたワノ国一番の無法地帯である久里で最も危険な男と言われていたアシュラ童子と戦い勝利する。この一件でアシュラ童子は自分達のような無法者も見捨てなかったおでんの人柄に惚れ込み、おでんの家臣となった。