虐殺器官(Project Itoh)のネタバレ解説・考察まとめ

『虐殺器官』とは、作家・伊藤計劃(いとう けいかく)による小説、およびそれを原作とした漫画・アニメ映画の事である。ジャンルはSF。実在する国・ボスニア・ヘルツェゴビナの首都であるサラエボが、テロによりクレーターとなったIF世界観の現代が舞台となっている。アメリカの特殊部隊に所属する主人公・クラヴィスが、世界各地でテロを起こす虐殺の王・ジョン・ポールを捕獲するまでの様を描く。SFのプロが選ぶ「ベストSF2007」の国内篇と「ゼロ年代SFベスト」国内篇で第1位を獲得した、日本SF界を代表する作品。

i分遣隊がフライングシーウィードやフライングピックのような軍用機から降下する際に使用する、架空の装備。棒状のポッドで人工筋肉で作られている。中の人間を落下の衝撃から守る通常型に加え、着地地点にいる敵を排除する用の機銃と街路制圧用UAV(無人機のこと)が備わっている物、潜水航行機能が備わっている物が作中には登場している。

環境追従迷彩

環境追従迷彩の機能が備わっている装備を身につけているクラヴィス。

周囲の環境(風景)にあわせて、着用している者の姿を見えづらくする架空の光学迷彩装備の名前。クラヴィス達i分遣隊も特殊任務中には基本的に着用している。PMFの特殊部隊員の間でも使用されている。

肉旅客機(ミートプレーン)

クラヴィスとウィリアムズがチェコへ向かう際に利用した、架空の短距離離着陸機ジェット旅客機の愛称。クラヴィスがつけたものの為、公式的な愛称ではない。主翼に人工筋肉を使用している為、このような愛称がつけられた。衝撃緩衝モードを備えた高分子素材製シートが設けられている為、着陸時のG負荷が少ない。

SNDGA(ソーシャル・ネットワーク・ダイレクテッド・グラフ・アナリシス)

作中で登場する、架空の情報追跡システムの名前。
NSA(アメリカ国家安全保障局)やNCTC(国家テロ対策センター)、DARPA(国防高等研究計画局)が共同で開発した。和訳すると「社会網有向グラフ解析」という名になる。各国・地域の通信傍受システムの情報を基に、グラフ理論を使って計算された地域社会的ネットワークの流れを観測する事ができる。内戦やテロの中心となっている要人を特定する際に使用される。

USA(ユナイテッド・スクープ・アソシエイション)

アメリカの情報関係者のみが使用できるネットの愛称。正式名は「国家防衛情報共有空間」である。アメリカの情報コミュニティが、共同データを共有する為に使用している。小説内では、「覗き魔たちの慣れ合いの場」とクラヴィスから評されている。

ID

個人情報認証システムのこと。 テロ対策の為、先進国では人々の網膜や指紋といった個人情報のデータを情報セキュリティ会社を通して管理している。『虐殺器官』では、専門のデバイスでこの個人情報を読み取って本人確認をすることで、金銭のやり取りを行ってもいる。後進国では、チップ型のID(作中では旧式技術という扱いになっている)を利用しているところが多い。

計数されざる者たち

計数されざる者たちの1人であり、リーダー格であるルーシャス。

ルーシャス率いる、反情報管理社会主義者達のグループの名前。情報管理社会に抗う為、網膜・指紋といったIDに情報を全て偽証して暮らしている。そのため、情報セキュリティ上では本人の情報検出が不可能となっており、その様から「名なしの群れ」といった呼称も作中ではされている。

ペインデバイス

架空の軍用ナノマシンの一種。人体に注入すると、末梢系の毛細血管に貯まる。これを外部から専用の機械を使って操作する事で、ナノマシンが注入された対象に痛みを与える事ができる。作中では、クラヴィスが計数されざる者たちから使用された。

少年兵

実際の紛争地帯に存在する少年兵達。

後進国で行われているテロや内戦にて、ゲリラ勢力などに拉致されて兵に仕立て上げられた子ども達のこと。『虐殺器官』では、少女の兵士の場合は戦闘以外に勢力幹部との性的行為を強要されている。また麻薬を用いて感覚を麻痺されている為、敵への恐怖心はなく猛攻撃を仕掛けてくる傾向にある。仲間を助けるといった倫理的行動も一切取らず、捨て身覚悟で突っ込んでくる。

SWD(シリー・ウォーク・デバイス)

架空のデバイスの一種。正式名は不明で、SWDは愛称である。「バカ歩きデバイス」(シリー・ウォーク・デバイス)の略称となっている。対象の後頭部に貼り付けると、専用の機材を通して相手の身体を自由に動かす事ができる。その様がぎこちない為、バカ歩きをしているように見えるという事から、前述した愛称が誕生した。

鳥脚ポーター

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