リコリス・リコイル(リコリコ)のネタバレ解説・考察まとめ

『リコリス・リコイル』とは、リコリスこと犯罪抑止を目的に活動する少女たちの活躍を描いた、2022年夏のオリジナルアニメ作品である。丁寧に作り込まれた世界観とキャラクター、さらに波乱のストーリーで話題となった。通称“リコリコ”。
平和の維持のために暗躍する秘密組織DA。そのエージェントとして育成された少女、通称リコリス。任務でミスを犯した井ノ上たきなは、歴代最強のリコリスと呼ばれる錦木千束と共に活動するよう命じられる。奔放な千束と生真面目なたきなは、デコボココンビとして様々な事件を解決していく。

『リコリス・リコイル』の概要

『リコリス・リコイル』とは、リコリスこと犯罪抑止を目的に活動する少女たちの活躍を描いた、2022年夏のオリジナルアニメ作品である。通称は“リコリコ”。
『ベン・トー』などの著作で知られるライトノベル作家のアサウラが原案、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『宇宙兄弟』などの話題作を世に送り出してきた「A-1 Pictures」が製作を担当。実力派スタッフによる作品ということで放送前からコアなアニメファンの注目を集める。放送後には丁寧に作り込まれた世界観とキャラクター、さらに波乱のストーリーで同期のアニメの中でも特に評価されることとなった。

平和の維持のため、犯罪者や犯罪組織への秘密裏の先制攻撃を実行する秘密組織DA。そのエージェントとなるべく育成された少女たちは、リコリスというコードネームで呼ばれていた。
そのリコリスである井ノ上たきな(いのうえ たきな)は、任務達成を重視するあまり上官の指示に逆らい、仲間の命をも危険に晒す。この罰として異動を命じられ、リコリコという喫茶店に赴いたたきなは、そこで錦木千束(にしきぎ ちさと)という少女と出会う。“歴代最強のリコリス”とも称される千束は、実力こそ確かながらエージェントらしからぬ奔放な性格の持ち主だった。そんな千束と生真面目で融通の利かないたきなは、時に衝突し、少しずつ互いのことを理解しながら様々な依頼を解決し、やがて日本を揺るがす大事件に巻き込まれていく。

『リコリス・リコイル』のあらすじ・ストーリー

喫茶リコリコの新たな仲間

喫茶店リコリコでたきな(右)と千束(左)が出会うシーン

旧電波塔が倒壊しかけるほどのダメージを受けた大事件から10年。新たに作られた“平和の象徴”延空木(えんくうぼく)が完成間近となった東京では、犯罪者や犯罪組織に先制攻撃を加えることで平和を維持する秘密組織DAが活躍していた。
孤児たちから育成されてDAのエージェントとなった少女たちは「リコリス」というコードネームで呼ばれており、銃を手に日々日常の裏で暗躍するのだった。

そんなリコリスの1人である井ノ上たきなは、犯罪組織との銃撃戦の最中、「この方が早い」という判断から人質にされた仲間ごと敵を撃つという暴挙を実行。“仲間には弾を当てない”という自信があったがための行動だったが、当然これは上官たちから問題視され、罰としてたきなは喫茶店のリコリコに異動を命じられる。ここはDAの息のかかった店で、歴代最強のリコリスと呼ばれる人物が籍を置いているらしい。
それほどの人物がいるなら学ぶべきを学ばせてもらい、早々に手柄を挙げてDAの本部に戻ろうと考えるたきなだったが、リコリコで彼女が出会った錦木千束というリコリスは秘密組織のエージェントらしからぬ奔放さを持つ少女だった。その評価に相応の実力を持ちながら、護衛対象どころか敵対する者の命までも守ろうとする千束に振り回されつつ、たきなのリコリコでの新たな日々が始まる。

伝説のハッカーの依頼

喫茶店リコリコは、DAの本部では拾い切れない、市井の人々の個人的な依頼を引き受けては解決することを主な行動の指針としていた。ある時、ここに「伝説のハッカー」として裏社会で名高いウォールナットという人物からの依頼が届く。彼は「才能ある若者への支援」を目的に活動するアラン機関という組織から狙われていた。自身のハッカーとしてのライバル心からアラン機関に与したロボ太という人物によって追い詰められ、ついに国外逃亡を計画したのである。国を脱出するまでの護衛をしてほしいというのが、ウォールナットからの依頼の内容だった。
早速接触したウォールナットは、「正体を隠すため」といってリスの着ぐるみにすっぽり身を包んだ奇妙な人物だった。自分たちにも素顔を見せないウォールナットの用心深さに呆れつつ、彼の護衛を開始する千束とたきな。しかし「ウォールナットを排除して自らが日本最高のハッカーとなる」ことに執着するロボ太からの執拗な追撃を受け、ドローンや傭兵部隊による攻撃に苦しめられる。千束とたきなはなんとかこれを切り抜けていくが、当面の敵を排除したと安堵したウォールナットが迂闊に2人から離れ、待ち構えていた傭兵たちから銃弾の雨を浴びて倒れ伏す。

ウォールナットを仕留めたと確信して引き上げていくロボ太のドローンと傭兵部隊。護衛対象を死なせてしまったと意気消沈する千束とたきなだったが、実はリスの着ぐるみは防弾仕様で、中にはリコリコで働く元DAの情報部員中原ミズキ(なかはら ミズキ)が入っていたのだった。本物のウォールナットはミズキが後生大事に運んでいたスーツケースの中に隠れており、「自分が死んだことにしてそれ以上の追撃を防ぐ」ための作戦だったのである。
騙されたと不愉快な顔を隠さない千束。結果として任務は達成できたのだから問題ないと涼しい顔のたきな。本物のウォールナットはクルミという名の千束やたきなと同年代の少女で、当面の間身を隠すためにリコリコで生活することとなる。喫茶店としても普通に営業しているリコリコの常連客の1人である吉松シンジ(よしまつ シンジ)がアラン機関の一員であることは知らないまま、千束たちの日常は続いていく。

一方、たきながミスをした任務の最中、DAの作戦の中枢を担うAIラジアータがハッキングされていたことが明らかとなる。たきなが異動させられたのは、その事実を隠蔽するための工作という一面もあったのだ。自分の処分に上層部の思惑が入っていることを知り、DAへの復帰が生中な道ではないと悟って肩を落とすたきなを、千束は「失うことで得られることもある。まだ遅くない、復帰のチャンスはきっと巡ってくる」と励ますのだった。

新たなる脅威

買い物ついでに水族館に立ち寄る千束とたきな。そのたきなから「それだけ優秀なのにどうしてDAから離れたのか」と尋ねられた千束は、「会いたい人がいる」との言葉を返す。千束はかつてアラン機関から支援を受けていたことがあり、「幼い頃の自分を支えてくれた恩人に会ってみたい、探してみたい」という想いから、彼女はより時間を自由に使える環境を選んだのである。
その“千束の恩人”である吉松シンジ(よしまつ シンジ)は、実はすでに彼女の周囲に顔を出すようになっていた。アラン機関の一員でもある吉松は、「支援した者に干渉してはならない」という組織のルールを順守し、正体を隠したままただの客として喫茶店リコリコを訪れる一方で、ミカとなんらかの密約を結び、目的は不明ながら大規模なテロの準備を進めていた。

その最初の事件は、吉松に雇われた真島(まじま)という男が、仲間のテロリストたちと共に地下鉄を襲撃し、大きな被害を出したことに始まった。リコリスたちの活躍によってテロリストチームは壊滅するも、リーダーである真島には逃げられ、さらにクルミをも一度は出し抜いたロボ太が彼に接触。リコリスの存在を目障りだと判断した真島は、さらなる大規模なテロを進める前に、彼女たちを個別に襲撃することを計画する。
何人ものリコリスが倒される中、千束も真島の標的とされ、軽装備で1人歩いていたところを真島率いるテロリスト部隊に襲撃される。ペイント弾でこれを返り討ちにしていく千束だったが、多勢に無勢で次第に追い詰められていく。さらに真島が自分の食らったペイントを拭い、それを千束の顔面にかけたことで視力を封じられ、いよいよ後が無くなったところでクルミの支援によりたきなやミカたちが到着。彼女たちの援護でからくも窮地を脱する。千束を仕留め損なった真島だったが、彼女を“これ以上なく活きのいい得物”だと捉え、集中的に追い続けることを決意する。

過去との再会

千束とたきなによって“リコリスを襲撃していた人物”こと真島の情報がDAにもたらされる中、千束はミカが吉松と密かに会っていること、彼こそが自分が探し続けた恩人であることを知る。かねてからの悲願だったお礼を伝えようとするも、吉松は「アラン機関のルールで、“自分が千束の支援者である”と認めることはできない」とそれを拒絶し、その才能をより輝かせることを期待しているとだけ告げて千束の前から去っていく。
一方、ロボ太と共にDA本部への攻撃の準備を進めていた真島は、かつて自分が千束と出会っていたことを思い出す。真島こそは10年前に旧電波塔を占拠してこれを破壊したテロリストの生き残りであり、当時彼らを撃退したのがまだ幼い頃の千束だったのだ。自身もアラン機関から支援を受けて育った真島は、「千束はどのような才能を見出されたのか」と思案しながら、10年越しのリベンジに心躍らせる。

千束に迫る危機

真島が千束のお気に入りのセーフハウスにまでやってきたことを知ったたきなは、敵が彼女をピンポイントで狙っていると知って危機感を募らせる。当の千束は自分の実力に自信があるだけにそれほど焦っていなかったが、アラン機関の魔の手はすぐそこまで迫っていた。ロボ太ですらまだつかんでいないDA本部に、吉松の息のかかった工作員を送り込んでいたのである。
定期健診に訪れた千束を麻酔で眠らせると、工作員は彼女を手術台に固定。千束が電話に出ないことから、「定期健診に向かった彼女に何かあった」と察したたきなは、銃を手にDA本部へと急行する。しかし時すでに遅く、たきなが駆けつけた時には、千束はその体を動かす人工心臓に高圧電流を流し込まれてしまっていた。

これにより人工心臓は一部機能が故障し、2か月後には千束は命を落とすことが確定。人工心臓の修理法もしくは新しいものを手に入れる方法はアラン機関しか知らず、そこにつながる唯一の手掛かりである吉松は行方をくらませたままだった。ショックを受けるたきなの前で、「もともとこの人工心臓の寿命も数年後に迫っていたし、それが少し早まっただけ」と千束は強がる。
同じ頃、DAによる真島とその一派の掃討作戦が計画される。戦力の補充のためたきなもDAに戻されることとなるも、彼女は「千束の側にいてあげたい」との想いからこの転属命令に従うことを躊躇する。しかし「アラン機関に接触するなら、現状もっとも派手に動いている真島から辿っていくのがもっとも建設的だ」とのクルミの意見から最終的にはこれを承諾し、喫茶リコリコの一員として過ごす最後の1日で千束と遊びに出掛ける。そこに“優秀なリコリスであること”だけに価値を見出し焦っていたかつての彼女はおらず、代わりにあったのは「友を想うからこそひとまずの別離を受け入れた、優しくも不器用な少女」の姿だった。

一方、自分の包囲網が狭まりつつあることを知ってか知らずか、真島もまた独自の動きを見せ始めていた。ロボ太に命じて吉松の居場所を突き止めさせると、部下と共に彼らを襲撃したのである。銃を突きつけられて降伏する吉松の前で、真島は不敵な笑みを浮かべるのだった。

延空木の攻防

自分が死ねば、自分のリコリスとしての支援金で回していたリコリコも営業できなくなると考えた千束は、今が潮時だと判断してリコリコの閉店を決意。ミズキやクルミにも新たな道と居場所を探すようアドバイスして送り出し、自身はミカと共に店を閉める準備を進めていく。
一方、DAに戻ったたきなは、千束を救うわずかな可能性にかけて吉松や真島のことをフキたちと共に追い続けていた。その真島は吉松を捕らえてアラン機関についての情報を聞き出すも、「アラン機関が見出した君が、その才能を発揮した結果自分が死ぬのなら本望だ」とまで語る彼に辟易とする。吉松は幾人かを経由した上での雇い主はあったが、真島は彼やアラン機関の思惑に乗せられることにも、孤児を兵士として鍛え上げて非合法な治安維持活動に従事させるDAという組織にも、そうして守り続けられる日本の平和にも嫌気が差しており、その全てをブチ壊すことを画策していく。

千束の余命がいよいよ少なくなった頃、旧電波塔の代わりに建てられた新しい電波塔「延空木」が完成。そのセレモニー会場に乗り込んだ真島は、電波ジャックして日本中に犯行声明を行うと、「東京のあちこちに拳銃をバラ撒いた」と宣言する。突然“拳銃”という力を手にした人々が暴走することを見越し、それによりDAのやってきた治安維持活動も「平和な日本」という評価も幻想のものでしかなかったと証明するのが真島の狙いだった。
「延空木への直接攻撃」を想定して準備していたたきなたちが後れを取る中、千束は楠木からDAの作戦に参加するよう要請を受ける。しかし同時に真島の差し金でロボ太からの連絡を受け、吉松を人質にしたことを告げられ、彼を助けたければ延空木に近づくなと脅される。身綺麗にして死を待つのみの心持ちだった千束だが、もう一度吉松に会って話を聞きたいとの思いを抱き、ミカと共に彼の救出に向かう。

一方、クルミは密かに吉松についての調査を進め、彼が新たな人工心臓を調達していたことを突き止める。クルミは即座に「これを手に入れれば千束を救える」とたきなに連絡するが、この時には千束とミカはスマホをリコリコに残したまま吉松の救出に出発していた。千束の身に何かが起きたことを察したたきなは、フキに「2度とDAに戻れなくなるが、それでもいいのか」と案じられつつ、持ち場を離れて千束の救援に向かう。
真島の策略によってリコリスの存在は世間に大々的に暴露され、大きな混乱が巻き起こる。そんな中、ロボ太から指定されて旧電波塔までやってきた千束は、「1人で大丈夫だから」とミカに伝えて単身その内部に突入。因縁深いこの地で待ち構えていたテロリストを排除し、シャッターを下ろした展望台で真島との直接対決の時を迎える。真島は「音の反響などから、聴覚だけで周囲の状況を把握する」という特殊な技能を有しており、暗闇の中で頼みの視覚を封じられた千束を追い詰めていく。しかしそこにたきながシャッターを突き破って突入し、窮地に陥った千束を救う。2人は協力して真島を追い詰め、ついにこれを捕らえるのだった。

喫茶リコリコの復活

真島を退けた千束は吉松を救出するも、たきなは彼に銃を突きつけ人工心臓を渡すよう迫る。しかし吉松は、千束の“殺しの才能”を花開かせるべく、自分の心臓を新たに入手した人工心臓と入れ替えるという驚愕の手段に出ていた。生き永らえるために自分を殺してみせろと千束に命じる吉松、そんなことできないと嘆く千束。ならば自分が代わりにとたきなは吉松に銃を向けるが、千束は「吉松の命を奪って生き延びても、それはもう私じゃない」と彼女を止める。千束の意志を変えられないと悟った吉松は、彼女たちの前から去る。

その頃、DAでは世間にその存在が暴露されたリコリスを処分することが決定していた。これに納得できなかった楠木は、密かにミカに連絡を取り、リコリスの救援を要請。千束とたきなはもちろん、クルミやミズキも加わって、ここに“DAの下部組織としてどんな依頼も引き受ける”喫茶リコリコが復活することとなる。
延空木で待機中だったリコリスの排除のため、男子版のリコリスであるリリベルが投入され、フキたちは窮地に陥っていた。ここに千束たちが乱入し、さらにクルミのハッキングによる情報操作で真島のテロはただの茶番として処理され、居場所を突き止められたロボ太も逮捕。状況が変わったことで、リコリス全体への処分命令は撤回される。

しかし延空木から撤退する中、拘束から逃れた真島が一行を襲撃。仲間たちと分断され、千束は1人で彼と対峙する。真島はあくまで“かつて唯一恐怖を味わわされた相手”である千束との1対1の決着にこだわり、謎の装置を起動。爆弾らしきもののカウントダウンが迫る中、千束は彼と最後の戦いを繰り広げる。真島の執念の前に追い詰められる千束だったが、自分ごと彼を延空木から突き落とすことに成功。駆けつけたたきなに救われる中、カウントはついに0を刻み、空には花火が打ち上がる。自分に本気を出させるために真島に一杯食わされたことを知って、千束は毒づく。
一連のテロはクルミの情報操作を利用して「新しいテーマパークの宣伝」だったことにされ、千束はミカが吉松から回収した新しい人工心臓によって生き永らえることとなる。もう自分に先が無いと思い込んでいた千束は何をしていいか分からず困惑するが、たきなの「今まで諦めていたたことをやればいいんじゃないですか」との助言に吹っ切れ、ハワイに行こうと騒ぎ出す。たきな、ミカ、ミズキやクルミと共に、千束は生まれて初めての海外旅行を楽しみ、ハワイでのバカンスを満喫するのだった。

『リコリス・リコイル』の登場人物・キャラクター

喫茶リコリコ

renote.net

錦木千束(にしきぎ ちさと)

CV:安済知佳

歴代最強と称されるリコリス。その評価に相応の高い実力を持ち、銃弾すら見切って回避することができる。人死にを嫌い、護衛対象ばかりか敵対する相手も殺さないよう努めている。
自由奔放な性格で、リコリコでは「看板娘」を自称して笑顔を振りまきつつ、新たな仲間となったたきなやクルミをかわいがる。

YAMAKUZIRA
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@YAMAKUZIRA

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