ザラブ(シン・ウルトラマン)の徹底解説・考察まとめ

ザラブとは、『シン・ウルトラマン』の登場人物で、地球人を「地球の害獣」と見なして絶滅させることを目論む外星人。
「体の前半分の皮膚以外が透明」という奇怪な姿をしている。電子機器を操る生体器官を有しており、外見をまったく別のものに変える擬態能力を持つ。ウルトラマンこそは自身の計画の最大の障害だと判断し、禍特隊の神永新二と融合していた彼を監禁する一方、自身はウルトラマンの姿になって都市を攻撃。人類の間に疑念と互いへの敵意を植え付けて大戦争を巻き起こそうと画策した。

禍特隊の分析官。神永の姿で行動するウルトラマンから、彼からマルチバースに格納している本来の力を取り出すためのアイテムであるベーターカプセルを委ねられる。
ザラブの工作でウルトラマンと神永が同一存在であることが世間に知れ渡り、多くの者が動揺する中、禍特隊の仲間たちともども「自分たちにこれを預けたということは、彼は助けを求めているのだ」と察し、そのSOSに応えるために奮闘。ザラブに監禁されていたウルトラマンを救出する。

ザラブからすれば無視して問題ないような未熟かつ弱小の知的生命体でしかない浅見たち地球人が、だからこそ“群れ”という巨大な存在の中で個々が助け合う性質を持つことへの理解が不足していたことが、彼の致命的な敗因となった。

滝明久(たき あきひさ)

禍特隊に所属する非粒子物理学者。自身の見地から禍威獣の能力や有効な攻撃を推測し、これを提案するのが役割。
本部の自分用のスペースに趣味のアイテムを持ち込むなど、公私の切り分けができていないところがある。ザラブとの最初の接触の際、彼の能力で作業中だったパソコン内部のデータが完全に消去してしまった時には絶望の声を上げるも、直後に彼がそれをあっさり復元してみせたことには驚嘆していた。

ザラブ(シン・ウルトラマン)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

殺陣に取り入れられた原作オマージュ

『シン・ウルトラマン』はウルトラシリーズの第1作である『ウルトラマン』を現代の技術と発想でリメイクした作品である。そのため作中のほぼ全てのエピソードは原作である『ウルトラマン』にも登場し、それを現代風に洗練したものとなっているが、中には余程のマニアでなければ気付かないような演出も存在する。
本作でのザラブとウルトラマンの戦闘中、偽者のウルトラマンに扮したザラブがウルトラマンの頭部にチョップを食らわせるも、相手の頑強さにかえって自分がダメージを受けてしまったのか痛がって手を振るシーンがある。実はこれは原作のウルトラマンと偽ウルトラマンが戦うシーンにも登場しており、それを再現したものとなっている。

当時の着ぐるみは今のものほどの柔軟性が無く、特にマスクは非常に硬い素材でできていた。偽ウルトラマンのアクターが演技の中でこれを攻撃した際、当たり所が悪くて自分の手を傷めてしまい、咄嗟に手を振ってそれを紛らわせたというのが真相で、これを「おもしろい」と現場が考えたこと、そもそも取り直す余裕がなかったことなどからそのまま採用された。言ってしまえば撮影現場で起きたちょっとしたアクシデントだが、「卑劣な作戦でウルトラマンを貶めようとしたザラブが不意に人間らしい仕草をする」ことの意外性や、「相手の攻撃を食らってもまったく怯まないどころか、攻撃してきた敵の方がダメージを受けるというウルトラマンの圧倒的な強さ」を表す名シーンとしてファンには認知されている。
1秒程度しかないごく短いシーンではあるが、特撮ファンの間では有名なこのエピソードをわざわざ取り入れるのは、『ウルトラマン』の熱烈なマニアとして知られる庵野秀明らしいアイデアだといえる。

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