ベルサイユのばら(ベルばら)のネタバレ解説・考察まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子原作の漫画作品である。通称「ベルばら」。1972年から1973年にかけて、『週刊マーガレット』(集英社)で連載された。フランス王妃マリー・アントワネット、男装の麗人オスカル、スウェーデンの貴族フェルゼンの三人を中心に、ルイ15世末期からアントワネット処刑の頃までを描いている。1974年に宝塚歌劇団でミュージカル版が上映されると、続々とテレビアニメ化・劇場版アニメ化され、爆発的な人気となった。発行部数2,000万部を突破するなど、愛され続ける作品である。

マリー・アントワネット

オーストリアの女帝マリア・テレジアの末娘として、1755年11月2日に誕生。愛くるしい容姿と無邪気な性格で、周囲を虜にする魅力を持っていた。勉強が苦手で、唯一の特技はダンス。将来の夫・ルイ16世(ルイ・オーギュスト・カペー)の趣味は読書だと知った時も、「本なんてだいきらい」と発言している。1770年、長年覇権争いをしてきたフランスのブルボン家との同盟締結の為、皇太子・ルイ16世のもとに嫁ぐ事となる。当時の年齢は14歳だった。異国の地での慣れないしきたりにうんざりしながらも、王太子妃という地位を存分に利用して贅沢三昧の暮らしをする。ルイ15世崩御により、夫のルイ16世が王となった後はその生活に拍車がかかり、国民の憎悪の対象となってしまう。
近衛士官であるオスカルの事は気に入っており、王妃に即位して真っ先に彼女の昇進を願い出たほどであった。しかし豪勢な生活に対する度重なるオスカルの忠告には、聞く耳を持つことはなかった。さらに夫がいながらも、仮面舞踏会で出会ったフェルゼンと恋に落ちてしまう。
長男ルイ・ジョゼフの死後、葬式のお金すらない現状にようやくこれまでの己の愚行に気づくも、時既に遅く1789年にフランス革命が勃発。「国庫を浪費した」などの罪に問われ、1793年断頭台の刑に処された。享年37歳だった。

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン

スウェーデンの上院議員の家に長男として生まれた青年であり、実在する人物である。1755年9月4日に、この世に誕生する。留学の為にやってきたフランスの仮面舞踏会にて、マリー・アントワネットとオスカルの2人と知り合う。マリー・アントワネットに惚れ、以降ベルサイユに出入りするようになる。次第にマリー・アントワネットとの仲を噂する者が増え、フェルゼンの行く末を憂慮したオスカルの助言によってスウェーデンへ帰国する。だがその後、結婚相手を探しに再びフランスへ戻ってくる。数々の結婚の申し出がされるも、マリー・アントワネットへの思いが吹っ切れない事から全て断ってしまう。最終的に一生独身である事を誓い、再びスウェーデンへ帰国する。しかしその後に起きたフランス革命の事を知ると、マリー・アントワネットを助ける為にフランスへ向かう。国王一家の亡命を計画するが失敗に終わり、自らの首にも賞金がかけられてしまう。絶望に打ちひしがれたまま祖国へ帰国した後は、マリー・アントワネットを死に至らしめた民衆たちを強く憎むようになる。冷徹な権力者として君臨し続けた結果、1810年暴徒に襲われ惨殺される。享年55歳だった。
『ベルサイユのばら』作中では、物静かでおべっかを使わない男らしい美貌を持った青年として描かれている。オスカルの事は、大切な友人と思っている。

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ

『ベルサイユのばら』に登場する、架空の人物。1755年12月25日、フランス王家の軍隊を統率してきたジャルジェ家の6女として生まれる。だが跡継ぎを望んでいた父により、男として育てられる。作中では「男装の麗人」として、描かれている。女性として性を自認した後も、王家を守る近衛隊でマリー・アントワネットの護衛に従事する。階級は准将。主君であるマリー・アントワネットから気に入られており厚遇を受けるも、常にフランスの財政を懸念し、冷静な助言を彼女に行い続ける。だが、最後まで聞き入れられる事はなかった。一方でかなりの激情家で、従兄弟であり幼馴染であるアンドレにたしなめられることも多い。多くの貴族や平民と接する内に、近衛兵の在り方に疑問を抱き始める。その後、貴族の屋敷に忍び込み盗みをはたらく「黒い騎士事件」をきっかけに、貴族の在り方に違和感を抱いて平民出身者も多いフランス衛兵隊へと転属する。また男として育てられたのに家から縁談の話が持ち上がった為、自分自身の存在意義にも思い悩むようになる。しかし転属した先で平民達の苦しい暮らしを目の当たりにし、民衆を蔑ろにする国家のあり方が間違っていると確信。爵位を捨て、フランス革命では民衆のために立ち上がる。だが、1789年民衆と共にバスティーユで戦闘していた最中に、銃弾に撃たれ倒れる。享年33歳だった。

作中では女性としてフェルゼンに惹かれる様も描かれており、彼女の恋の動乱も本作の魅力となっている。最終的には、フェルゼンへの想いは捨てる事を選ぶ。従兄弟のアンドレから想いを寄せられている事には気づいていなかったが、黒い騎士騒動をきっかけに彼に惹かれ始め、最後には両思いとなった。

アンドレ・グランディエ

オスカルの家の乳母・マロン・グラッセの孫にあたる青年。8歳の頃に両親を亡くし、祖母に引き取られる。オスカルとは従兄弟にあたる関係で、幼馴染同然の関係で過ごしてきた。成長してからもそれは変わらず、同時にオスカルの護衛として彼女に付き従う。それ故に、平民でありながらも特別に宮廷への出入りを許されていた。オスカルがフランス衛兵隊へ転属した際も、彼女の父・ジャルジェ将軍の計らいでフランス衛兵隊へ入隊する。またオスカルの事を慕っており、彼女の為ならどんな事でもする。「黒い騎士事件」にて偽の黒い騎士を演じる為、オスカルに無理やり髪を切られた。その時に本物の黒い騎士に鞭で打たれ、左目を失明する。後に右目も失明し、全盲となる。
一時は貴族であるオスカルと平民の自分は結ばれることができないと苦悩していたが、黒い騎士事件をきっかけにオスカルの方がアンドレに惹かれ始める。その結果、2人は両思いとなる。だがその翌日に行われたテュイルリー広場での戦闘で、銃撃からオスカルを庇った事でアンドレは亡くなる。

ロザリー・ラ・モリエール

下町育ちの少女。母と姉のジャンヌの3人で暮らしていたが、ある日、ジャンヌが貴族の華やかな生活に憧れて家を飛び出てしまう。さらにその後、母が貴族の馬車に轢き殺される事件が発生する。さらに母の最期に、自分は母の本当の娘ではなく、貴族の生まれだということを知る。貴族への復讐を誓ったロザリーは、母の仇を取る為にオスカルがいるジャルジェ家の屋敷に忍び込む。だが、ジャルジェ家は母の件に関わっていなかった事が発覚。代わりに本当母の仇、そして自分の本当の母親を探す為、オスカルのもとで社交界へ出る為の勉強に励むようになる。
ベルサイユに出入りできるようになってしばらくした頃、自分の本当の母親が、育ての母を轢き殺したポリニャック伯夫人だということを突き止める。苦悩の末、ポリニャック伯爵家の娘となるが、無理やり結婚させられそうになった事で家を飛び出す。その後、再びジャルジェ家で生活することとなった。その折、オスカルが捕らえた黒い騎士もといベルナール・シャトレの介抱をする。後にベルナールが、育ての母を亡くした時世話になった新聞記者であると知り、次第に親密な関係へと発展。彼と結婚して、ジャルジェ家を後にする。なお、その前はオスカルの事を慕っており、結婚してからもその気持ちは色褪せず残っていた。その為、度々ベルナールを嫉妬させている。またマリー・アントワネット裁判時は、彼女の身の回りの世話を行った。

マリー・アントワネットをとりまく人々

ルイ16世(ルイ・オーギュスト・カペー)

ブルボン王朝第5代のフランス国王。前国王・ルイ15世の孫にあたる人物であり、実在した人物でもある。ルイ15世の崩御と同時に、齢19の若さで王の座につく事となった。マリー・アントワネットの夫でもある。趣味は読書と狩猟、錠前造り。
贅沢三昧なマリー・アントワネットは真逆に質素で倹約家な人物で、民衆からの人気も高かった。だがマリー・アントワネットの行動を咎めずに彼女を甘やかしていた為、その点から民衆の不満を買ってしまう。マリー・アントワネットの事は心の底から深く愛していた。だが自分の容姿に自信がなく、気弱で引っ込み思案な性格が災いしてアントワネットに愛を囁く事さえできなかった。マリー・アントワネットとフェルゼンの関係を知った時も、それを止められなかった。なお2人の関係を知った後も、フェルゼンとは良き友人として接し続けた。1793年、フランス革命により断頭台の刑に処される。

ルイ15世

ブルボン王朝第4代のフランス国王。マリー・アントワネットの夫・ルイ16世の祖父にあたり、実在した人物でもある。度重なる浪費と妾を寵愛していた事から、民衆からは嫌われていた。マリー・アントワネットの母・マリア・テレジアやフランスのオーストリア大使・メルシー伯からは、「色気じじい」と呼ばれていた。美しい容姿のマリー・アントワネットの事も溺愛していた。
1774年、天然痘に罹患。64歳で逝去する。

オルレアン公(ルイ・フィリップ2世)

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