城ヶ崎さん/城ヶ崎姫子(ちびまる子ちゃん)の徹底解説・考察まとめ

城ヶ崎姫子とは、さくらももこ作『ちびまる子ちゃん』とその外伝『永沢君』に登場する、縦巻きパーマが特徴の美少女である。資産家の令嬢で、明るく社交的なクラスのマドンナ的存在だが、気が強く曲がったことを嫌う。癖のある女子や男子には厳しい一面もあるが、根は優しく真面目で、友人にお土産を配る等の気遣いも忘れない。アニメでは笹山さんと親しく、まる子らとも親交が深い。陰険な永沢君とは対極の存在だが、彼とは犬猿の仲でありながら複雑な因縁を持つキャラクターである。

永沢以外は問題外

ちなみに永沢以外は問題外

『永沢君』の作中では、品性下劣な欲望の権化ともいうべきモンスター「ゲヘ」が登場する。ゲヘは常にスケベ心をたぎらせているのだが、城ヶ崎さんは彼に興味を抱くどころか、むしろ不快感をあらわにしている。
彼女が被虐願望のマゾだったとしても、ゲテモノなら何でもいいというわけではないようだ。

校内には陶磁器さながらに上手(じょうて)と下手(げて)とが混在し、華やかな名物から泥臭い雑器まで、その器量性格は実にさまざまである。
ジェームズ・ディーンやアラン・ドロンのような人間もいれば、フランケンやブランドルフライのような人間もいる。
その中でなぜ、よりにもよって永沢なのか。

破調の美

調子を狂わすゆがみ具合に、手を焼き身を焦がす不可思議な佇まい。その冷熱あいまった有毒な毛色や形状から醸し出される滑稽味こそが至美至高の理想像。
彼女のいびつな趣味嗜好は、思春期にして既に極致を尽くしつつあるのだろう。

上述の通り、彼女は日頃からどこか常軌を逸した倒錯的なアバンチュールを求めている。
「由緒ある国宝の名器が、どこの犬の骨とも知れない奇妙な物体によって容赦なく、いんぐりもんぐりブッ壊される…」

高貴で高潔で高尚にして高慢、これまで当然のように座っていた「高」より落つることで、初めて究極の芸術が完成すると言わんばかりに。

出典: twitter.com

実は遡ること戦国後期、彼女と似通った感性の持ち主が存在した。
それがこの武将茶人・古田織部(おりべ)という人物。

かの信長や秀吉に仕える傍ら、わび茶や黒茶碗で有名な千利休に師事して茶の湯を学び、薫陶の末に「織部好み」なる大流行を世にもたらしたことで知られる。
茶人としての趣向が非常に独特で、陶器をわざと割って再接着することで生じたひび割れや、風変わりな文様や歪みを楽しむ「破調の美」を見出し、その異色の器を目にした人々からは「へうげもの(剽軽者)」と評された。
好んだ茶器は、『黒織部』『青織部』を始め、織部自ら傑作と称したらしき『破れ袋(やぶれぶくろ)』など、どれもこれも珍妙ぶりが際立つ。

ムダのない黒(エイリアン)を至上とした利休と、ムラのある奇(The Thing)を貴重にした織部。

城ヶ崎さんの絶対的な価値観は、へうげた未知の物体によって崩壊し、あらかじめ設けられた神聖な玉座から一転、永沢ともども予測不可能な紆余曲折を経ることとなった。

しかも、肝心の波長が一向に合わない。
なんと悲しくやりきれない幕切れだろうか。

その姿はまるで、どこぞの悪徳セールスマンに付け込まれ、どん底に突き落とされた被害者のようでもある。

最終回では永沢が受験した商業高校に進学するが永沢は落ちてしまった

才色兼備のお嬢様である城ヶ崎さん。これだけであれば人生イージーモードだろうに、中学生になって「汚されたい」という理由から永沢に惚れてしまった。さらに進学校行ける学力なのに、永沢と同じ商業高校受け、結果永沢が落ちてしまう。
一個の異形を恋うあまり、すっかり本分を見失ったうら若き令嬢は、おのずと業火に呑みこまれていくのだった。

『20年後の同窓会』

未来の永沢は喫茶店のマスター

さくらももこワールド随一のパーフェクトヒロインにして、稀代の珍品「永沢君」を追い求める業深き“数寄者”城ヶ崎さん。
どこまでも諦めが悪く、そして、いつまでも報われないのだった。

しかし、ちょっと待ってほしい。実は、「ちびまる子ちゃん ‐大野君と杉山君‐」という単行本のおまけエピソードに意外な話が収録されている。
そのタイトルは、『20年後の同窓会』。

この話では『ちびまる子ちゃん』の人物たちの将来の姿が描かれており、そこに出てくる大人の永沢は「タマネギおじさんの店」という、こぢんまりとした飲食店を営業している。
作者曰く「火事のときに色々面倒を見てくれた親戚がおり、開業資金もその人から借りたに違いない」とのこと。
しかし、経営状況はあまり芳しくないようで、おまけにお見合いを破談にされて落ち込んだりと、自分のことを理解し補ってくれる存在に心底飢えている状態。

“「何のお店を開こうかしら、あははっ、姫子のおっちょこちょい」”

なんという運命のイタズラ。彼女の『永沢君』における不憫な言動は、こんな重要な場面へと繋がっていくのだった。

これは単にすれ違いの悲喜劇を嘲笑うだけのものなのか。
だが少し考えてみると、「ほんのわずかな可能性くらいは残してやらんでもない」という、作者なりのささやかな救済措置にもとれるのではないだろうか。

どうせなら、前向きな彼女らしくポジティブに捉えていきたいところである。

永沢と城ヶ崎さんに関するSNSの声

出典: pbs.twimg.com

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