パンティ＆ストッキングwithガーターベルト（パンスト・PSG）のネタバレ解説・考察まとめ

『パンティ＆ストッキングwithガーターベルト（パンスト・PSG）』の概要

『パンティ＆ストッキング withガーターベルト』とは、2010年の10月から12月にかけて放送された日本のアニメーション作品、略称は「パンスト」。製作は『新世紀エヴァンゲリオン』や『天元突破グレンラガン』を生み出したGAINAXが手がけている。『天元突破グレンラガン』でテレビアニメ初監督を務めた今石洋之による2作目のテレビアニメ監督作品となっており、同作でキャラクターデザインを担当した錦織敦史、作画監督を担当したすしおなどが引き続き本作に携わった。

パンティとストッキング、二人の天使たちがゴーストと呼ばれる悪霊を退治する物語を描いたアクションコメディ作品。
基本的にAパート、Bパートに分かれて異なるエピソードが描かれる1話完結の物語構成となっており、1回の放送分を1話とした場合は全13話、全エピソードを含めた場合には全28話と表記されている。

本作の特徴は、アメリカのカートゥーンを彷彿させたコミカルな絵柄で表現されるパロディネタにある。キャラクターは4頭身で角ばったデザインにデフォルメされたものが主となり、街並みや背景なども同様にカートゥーンを思い起こさせるものとなっている。そのビジュアルを基調とした作風は、既存の国内外問わず映画やアニメなど多くの作品のパロディが盛り込まれ、パロディ元に応じて絵柄を変化させる演出が随所に施された。特に天使二人が敵と対峙しお決まりのセリフを口上するシーンでは、突然二人の頭身が上がり日本の美少女アニメ風の美麗なタッチとなった姿で描かれる印象的なものとなっている。このシーンは視聴者の間で「逆作画崩壊」と話題になり、その言葉を広く浸透させるきっかけとなった作品に位置付けられた。
その他に、敵であるゴーストが天使たちの攻撃を受けて爆破するシーンは特撮風に実写で爆破させており、アニメ以外の手法を取り入れる実験的な演出も取り入れられている。
また、もう一つの特徴として過度な下ネタ表現が挙げられる。公式から本作に登場する女性キャラクターは全て非処女であると銘打たれており、ビッチのパンティを筆頭に放送禁止用語や性的表現が行き交うカオスな作品となった。
そういった実験的な試みやエッジの効いた作風が話題を呼び、第15回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出されている。

製作したGAINAXの経営難に伴い2021年時点で本作の著作権はカラーが保有していた。しかし、2023年にその権利は本作監督の今石洋之が取締役を務めるアニメ制作会社TRIGGERに譲渡され、2024年に新作アニメ『New PANTY ＆ STOCKING with GARTERBELT』の制作決定が発表。放送・配信開始は2025年となっている。

『パンティ＆ストッキングwithガーターベルト（パンスト・PSG）』のあらすじ・ストーリー

蔓延るゴーストに立ち向かうビッチ天使たち

愛と欲望の渦めく街、ダテンシティ。
この街では、人々の心の隙間に巣食う闇がゴーストという悪霊を生み出し蝕んでいた。欲望の塊であるゴーストを退治することができるのは、天界からやってくる天使だけである。しかし、命令を受けてやってきた二人組の天使パンスト姉妹は、規則を守らない素行不良の落第生であった。

大の男好きでイケメンとマッチョなら誰彼構わずヤッてしまうビッチの姉パンティ、スイーツ好きでマゾヒストなゴス娘の妹ストッキング。彼女たちは落第を逃れるため、ゴーストを倒した際に入手できるヘブンコインを集めることを命じられている。パンティは履いているパンツを銃に、ストッキングは履いているストッキングを刀に、それぞれゴーストに有効な天界武器を用いて闘うが、自身の興味への自由奔放な振る舞いとゴースト退治へのやる気のなさが目立つ二人組である。
天界からのお告げを受ける謎の生物チャックとそれを伝える彼女たちの上司であり神父、ガーターベルトの叱責を受けながら、パンスト姉妹はゴーストの潜んでいる場所へとたびたび赴くことになるのであった。

ある日、ガーターベルトの命を受けてダテンシティ学園にいるゴースト退治の依頼を受けた二人は、学生になりすまし潜入調査を行う。学園生活の中で出会った気弱で冴えないギークボーイ、ブリーフはパンティに一目惚れ。彼の持つゴースト探知機を利用して、学園の女王として君臨していたクイーン・バービィの正体がゴーストであったことにたどり着く。彼女を撃退した姉妹は、その後も様々なトラブルに巻き込まれながらも、自由気ままにやりたい放題なゴースト退治ライフをおくることとなる。

デイモン姉妹の登場と暗躍する影

イケメンを装ったゴーストの酒池肉林パーティにパンティが誘われたり、ゴーストの作ったロールケーキによってストッキングが超肥満化してしまったり、紆余曲折あるパンスト姉妹の闘いは続く。

そんなある日、ダテンシティ学園に大量のゴーストが出現したという情報を受け再び学園に戻ったパンスト姉妹。現れるゴーストたちを次々に倒していくが、それはヘブンコインを獲得できない正体不明のゴーストであった。加えて彼女らがいない間に、新たな学園のクイーンとなったデイモン姉妹は自由な校風だったダテンシティ学園をがんじがらめにしていた。デイモン姉妹のスキャンティとニーソックスは厳しい規律とモラルを重んじて生徒たちを掌握、型にハマり統率された人格へと矯正させてしまっているのであった。

デイモン姉妹のクリーンな施策にイライラを募らせたパンティとストッキングは、彼女たちに喧嘩を吹きかけるが一蹴され学園の最下層クラスへと降格させられる。その先で大量のゴーストが製造されているゴーストプラントを見つけた二人。量産され続けるゴーストを生み出すゴーストストーンの破壊を試みるが、そこにデイモン姉妹が立ちはだかる。彼女たちの正体はゴーストの蔓延を目論む「悪魔ハイクラスコマンダー」であった。天使と同様、自身の衣服を武器に変える能力を持つ彼女たちとパンスト姉妹によるゴーストストーンの奪い合いが勃発する。
パンスト姉妹からゴーストストーンを託されたブリーフがデイモン姉妹に人質にされる窮地に陥るも、パンティたちの起点の効いた反撃でストーンの破壊に成功。ダテンシティ学園の地下にあった巨大なプラントも爆発し危機を逃れた。

退散したデイモン姉妹は、黒幕であるダテンシティの市長コルセットの元へと帰還する。学園のクイーンという表の立場と量産したゴーストを利用して裏で暗躍する勢力拡大作戦に失敗した彼女らは、コルセットによる拷問が待っていた。拷問をしながら怪しく笑う彼は、「これから楽しくなりそうですねぇ…」とつぶやく。

攫われたブリーフと力を失くしたパンティ

その後もデイモン姉妹の妨害は続くが、パンスト姉妹はこれらを退けていく。ゴースト出現の増加によって集まるヘブンコインは増えていったが、パンティは地上にいる間に1000人の男とセックスするという自身の掲げた目標を優先し、ストッキングにゴースト退治を任せっきりの生活を送っていた。
ついにヘブンコインを規定額まで集め、天界へ帰ることが決まるもそれを許されたのはストッキングのみ。パンティの素行の悪さは天界の怒りを買い、一人で引き続きヘブンコインを集める追試を言い渡されてしまう。

自分だけが取り残されたことに憤慨するパンティは、ヘブンコインを集めずに手当たり次第に男を食い漁り999人斬りを達成する。初登場時から彼女に好意を寄せるブリーフはそんなパンティに連れそうも、相変わらず見向きもされない。そんな矢先、ブリーフの元にロック財団が行うパーティの知らせが届く。

彼と同伴してパーティにやってきたパンティは会場で1000人目の男を捕まえようとするが、追試の指令でセックス禁止令が出されたことを伝えにきたガーターベルトの監視によって阻止されてしまう。イライラを募らせるパンティ、彼女の元にドレスコードに身を包み前髪を上げて整った顔があらわとなったブリーフが現れた。彼はロック財団の御曹司であり、このパーティは変装したスキャンティとブリーフの政略的な婚約を発表する場であったのだ。その発表を押しのけたブリーフは、公の場でパンティと結婚したいと思いを告げる。パンティに敵意を抱くスキャンティは、ニーソックスと共に正体を現し攻撃を開始。パンティはこれに応戦するも、突如天界兵器が発動しなくなり追い詰められる。

ブリーフに助けられパーティ会場を後にした二人は、逃走先の人気のない小屋で身を潜めることになった。何もうまくいかず疲弊したパンティは、これまで目を向けていなくともそばに居てくれたブリーフを1000人目の相手として選ぶことを決める。しかし、彼女は「リバイバル・バージン・シンドローム（通称：天使処女膜再結合症候群）」を発症しておりプレイをすることができない体になってしまっていた。天界兵器を使えなくなってしまったのもこの病が原因である。
そこに現れたコルセットたちは、股間の局部が光り輝き始めたブリーフをさらっていってしまう。彼らの目的はダテンシティにある「ヘルズゲート」の封印を解き、遥か昔に封印されていた究極のゴーストを蘇らせることにあった。その封印を解くためのカギ「ヘルズモンキー」はブリーフの局部に宿っており、パンティとのプレイで覚醒してしまったのである。

ダテンシティへの危機が迫る中、能力やビッチというアイデンティティを失ったパンティは失意の底に落ちていく。

コルセットたちとの最終決戦

セックス恐怖症となってしまったパンティは、ダテンシティを離れ田舎町の農村で老婆とサムの3人でビッチとは無縁のピュアな生活を謳歌していた。しかし、そこに山向こうの山賊が現れ老婆とサムは銃で撃ち抜かれてしまう。老婆は事切れぬ前、パンティに「お前を待っている人がいる」と説く。これを受けて奮起したパンティは老婆が若い頃に乗り回していたバイクに乗り、ダテンシティの「ヘルズゲート」へ向かうのだった。

コルセットは、ブリーフの「ヘルズモンキー」を「ヘルズゲート」へ差し込めるようしごきを与えていたが、彼は頑なに反応しようとしない。そこにパンティが到着し、自身が能力を失ったとしてもビッチであることを宣言。そしてブリーフにまたがり、やり残していた1000人目かつ再び処女となってしまった故の1人目としてプレイを再開する。パンティとのプレイに激しく反応したブリーフの「ヘルズモンキー」は、カギとしての効力を一気に放出して失うほどにみなぎっていた。事態を恐れたコルセットはデイモン姉妹に阻止を命じるが、天界から再び舞い降りたストッキングがこれを妨害。彼女の助力を得たパンティは、ブリーフの「ヘルズモンキー」で処女幕を貫通し、「リバイバル・バージン・シンドローム（通称：天使処女膜再結合症候群）」の克服に成功する。

天使としての力を取り戻し天界兵器も使えるようになったパンティは、ストッキングと共にデイモン姉妹との最終決戦に臨む。しかし彼女たちとの闘いに気を取られている内に、ブリーフの「ヘルズモンキー」が鍵穴に差し込まれてしまい、ダテンシティの土地全体を使った「ヘルズゲート」が開門。封印が解け現れた男性器を思わせる超巨大ゴースト、ジ・アザー・ゴッズが街を破壊し始める。ゴーストを止めるために応戦するパンティたちだったが、圧倒的な力にそれを止める術を見出せずにいた。
一方、現場に到着したガーターベルトはコルセットと対峙。それぞれ体を縛って力を引き出し自身の緊縛プレイの価値に対する優位性を論じながら、激しい闘いを繰り広げる。デイモン姉妹を取り込んだコルセットの力は凄まじく、ガーターは心臓を抉られ爆散。勝利したコルセットはジ・アザー・ゴッズに縛られて一体化し、天界へと攻め込む準備を始めていた。

打つ手の見当たらないパンスト姉妹であったが、爆散したガーターのアフロからヘブンズエクスプレスのブラックカードを見つけ、高額の天界兵器を注文。真の姿を解放し巨大な獣となったチャックに乗りこみ、ジ・アザー・ゴッズの頂上にいるコルセットの元へとたどり着く。それと同時に天界から巨大な天界兵器が到着し、コルセットに向けて一撃をお見舞いする。しかし、放たれた光線は向きが逆であったため天へと発射されてしまった。
その瞬間、天から真っ白なヒールとストッキング、パンティを履いた巨大な下半身（実写）が出現。コルセットもろともジ・アザー・ゴッズを踏みつけて再び「ヘルズゲート」へと封印してしまった。
あっという間にその場を去った巨大な下半身に、パンスト姉妹は「ママ…？」と呟く。

ストッキングの裏切り

一難去った姉妹は、ブリーフや神の力によって復活したガーターベルトと共に、教会へと向かっていた。その帰路の途中、ストッキングはゴーストにのみ有効とされている天界兵器は、果たして天使にも有効なのかとパンティに問いかける。その直後、パンティに自身の刀を向けて彼女をコマ切りにしてしまった。

驚愕するガーターは何故か再び爆散、そしてブリーフの局部からは死んだかと思われていたコルセットが出現。呆気に取られているブリーフにストッキングは「ごめんなさい、私本当は悪魔なの」と衝撃の言葉を告げる。666個のかけらとなったパンティを袋に詰めたコルセットは、ブリーフに彼女のかけらを全て集めた上で隣町であるオテンシティの「ヘルズゲート」に自身の「ヘルズモンキー」を差し込め、そうすればパンティを復活させてやると言い残し、ストッキングと共にその場を去ってしまった。

再度神の力によって復活したガーターは、ブリーフとチャックに出撃要請を命じ、彼らの冒険が幕を開ける。

『パンティ＆ストッキングwithガーターベルト（パンスト・PSG）』の登場人物・キャラクター

主要人物

アナーキー・パンティ

CV：小笠原亜里沙

落第生として地上に舞い降りた姉妹の姉にして、本作の主人公。ブロンドで外ハネした髪と長い上まつ毛が特徴のキャラクターである。

天使とは名ばかりのやりたい放題な性格の持ち主で、基本的にルールやモラルを嫌い好奇心が旺盛。イケメンとマッチョの男に目がなく、すぐにセックスしてしまう自他共に認める正真正銘のビッチである。「Fu*k」や「Sh*t」が口癖であり、その他にも放送禁止である下ネタ用語を乱発するなど口が悪い。赤いワンピースドレスが象徴されるように、露出度の高い服を好んで着ておりラフな格好をしている。刺激的なものを好む性分からきているのか、辛いものが好きで甘いものが嫌いである。

履いてるパンティーを変成させ、「バックレース」と呼ばれる拳銃型の天界兵器を使用して闘う。落第生と呼ばれているが戦闘能力は非常に高く、純粋な戦闘においてはほぼ全てのゴーストを完封できるほど。早撃ちと力に特化した戦闘スタイルを得意としている。
彼女の能力は男性のパンツを利用することもできるが、その場合変成される銃の形状は、持ち主のイチモツの大きさや形状に影響されるため実践向きのものは非常に少ない。デイモン姉妹との対決の際には、ストッキングのパンツを借りて2丁拳銃を披露した。2つの銃を合わせることで、サブマシンガンやスナイパーライフルなど様々な種類の銃へと変成が可能となり、より強力な天界兵器となる。

アナーキー・ストッキング

CV：伊瀬茉莉也

パンティの妹。青みがかった色をベースにピンクのメッシュが入った髪色、尖った3本の下まつ毛が特徴のキャラクターである。

普段は落ち着いた雰囲気を醸し出しているが、激昂するとパンティも引くほど凶暴性を露わにする。甘いものが苦手な姉に反してとにかく甘いものが好き、劇中ではたびたび彼女がスイーツを食べているシーンや新作スイーツをチェックする様子が描写される。その他露出度を抑えたゴシックファッションをしていることや、パンティより巨乳であることなど姉とは対照的な部分が多い。故にパンティとは衝突することも多く、些細なことで言い争いへと発展する。
積極的に男を捕まえにいくパンティと比べるとそこまで性に対しての強い姿勢はないが、ゴーストの拘束技によって捕縛された際に赤面する様子が描かれたマゾヒストである。
基本的にパンティと同様に自身の興味を最優先させる性分だが、彼女よりかはゴースト退治に真面目に取り組む姿勢を見せる。

履いているストッキングを変成させて、二刀の剣とする天界兵器「ストライプⅠ ＆ Ⅱ」を使用してゴースト退治を行う。刀は状況に応じて一刀と二刀を使い分けており、力のパンティに対して技に特化した戦闘スタイルをとっている。彼女も高い戦闘力を誇り一人でもゴーストを難なく倒すことが可能だが、その戦闘スタイルの傾向からパンティのサポートを行うことも多い。普段の生活では歪み合うこともある二人だが、こと戦闘における連携は高く強力である。

ガーターベルト