リトル・ダンサー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『リトル・ダンサー』(原題『Billy Elliot』)は2000年にイギリスで公開されたヒューマン・ドラマ映画。スティーブン・ダルドリー監督のデビュー作である。舞台は1984年イギリスの炭鉱町ダラム。父の趣味であるボクシングを習っていた少年は、ある日バレエ教室に出会う。町は炭鉱不況の最中で、父と兄は炭鉱ストライキに参加していた。「男がバレエなんか。」と反対されながらも、少年はますます夢中になる。プロのバレエダンサーを目指す少年と家族と町の人々の物語。
ウィルキンソン先生(演:ジュリー・ウォルターズ)
日本語吹替:立石涼子(DVD版)、火野カチ子(BD版)
バレエの先生。バレエが好きだというビリーの気持ちを尊重し、無償で個人レッスンをつけてくれた。ビリーにロイヤル・バレエ学校のオーディションを勧めた人物。バレエに偏見を抱くビリーの父と兄と激しく対立し、兄の逮捕によって1度目のオーディションが受けられなかった時は、ビリーの前で激しい喧嘩をした。口調こそ厳しいがビリーの才能を見出し、それを伸ばそうと奮闘してくれる愛情深い先生。
マイケル・キャフリー(演:スチュアート・ウェルズ、メリン・オーウェン)
日本語吹替:11歳のマイケル→小出達也(DVD版)、高乃麗(BD版)/25歳のマイケル→河野智之(DVD版/BD版)
ビリーの同級生。ビリーのまわりには「男らしさ」を強調する人が多い中で、チュチュに興味を示したりこっそり女装をしているマイケルは、ビリーにとって唯一の相談相手でありバレエを応援してくれる良き理解者である。マイケルは、ビリーは自分と同じゲイだと勘違いし頬にキスをするが、ゲイではないと断られてしまう。それでもの彼らの友情は変わらず、ビリーが旅立つ日にはキスを返してもらえる。25歳になったビリーの公演には男性を連れておめかしをしたマイケルが観にくる。
11歳のマイケルをスチュアート・ウェルズ、25歳のマイケルをメリン・オーウェンが演じている。
デビー・ウィルキンソン(ニコラ・ブラックウェル)
日本語吹替:米丘ゆり
ウィルキンソン先生の娘。母のバレエ教室でバレエを習っている。母と同じく何かとビリーを気にかけて話しかける。バレエに興味を抱きつつもその気持ちに素直になれないビリーに対し、ウェイン・スリープという男性のバレエダンサーを引き合いに出して、バレエの魅力を教えた。ビリーのことが好きだが、バレエに夢中なビリーには伝わらない。
ジョージ・ワトソン(演:マイク・エリオット)
日本語吹替:天田益男
ボクシングの先生。ビリーの父と同じく炭鉱ストライキに参加している。ビリーがボクシングに来ていないのはお金が払えないからだと思い、ビリーの父に声をかける。それがきっかけで父はビリーがバレエをしていることを知る。体育館でビリーとマイケルが踊っていることに気づいて父に教えたのもジョージである。オーディションのためにお金が必要になった時は、ボクシング部員から集めたお金をビリーに届けに来てくれたり、合否の通知を待つビリーに「受かるよ。心配せずに待て」と声をかけ、父親のようにビリーを見守ってくれている人。
ジェニー・エリオット(演:ジャニーン・バーケット)
日本語吹替:鈴木紀子
ビリーの母親。既に亡くなっており、ビリーは母の形見のピアノをよく弾いている。昔は2人で狂ったように踊ったと祖母が話していることから、ビリーの好みは母親譲りのように思える。亡くなる前に18歳のビリーへ手紙を書いており、11歳のビリーはそれを暗唱できるほど読み込んでいる。「すばらしい方だったのね」と言う先生に対し、ビリーは「普通の母親だよ」と言う。一度、ビリーの前に幻覚として現れる。
『リトル・ダンサー』の用語
ストライキ
1984年3月12日から1985年3月3日にかけて、イギリスでは炭鉱の大幅な合理化案(採算性が低い炭鉱を閉鎖する計画)に反対し、全国炭鉱組合が大規模なストライキをおこなった。当時の首相マーガレット・サッチャーは2万人の失職につながるこの計画は炭鉱労働者が反抗をすると予測し、用意周到に準備をしてストライキに臨む。それにより、ストライキ中の炭鉱労働者は窮乏を耐え忍ばなければいけなくなる。年末頃には政権側の様々な切り崩し策により徐々に分断され、職場復帰をする者(スト破り)が増えた。約1年間続いたこの戦いは炭鉱労働者側の敗北で幕を閉じた。
ウェイン・スリープ
ロイヤル・バレエ団のバレエダンサー。ロイヤル・バレエ学校に入学し、ロイヤル・バレエ団のプリンシパル(トップの階級にいるダンサー)になる。ダイアナ妃とステージに立ったこともある、イギリスが誇る伝説のバレエダンサー。ビリーのモデルになった人。作中、デビーにウェイン・スリープの存在を教えてもらったビリーは父の反対に対して「ウェイン・スリープのように鍛える」と言う。
ロイヤル・バレエ学校
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目次 - Contents
- 『リトル・ダンサー』の概要
- 『リトル・ダンサー』のあらすじ・ストーリー
- バレエとの出会い
- 親の反対
- ビリーの決意と家族の支え
- ロイヤル・バレエ学校の受験
- 『リトル・ダンサー』の登場人物・キャラクター
- ビリー・エリオット(演:ジェイミー・ベル、アダム・クーパー)
- ジャッキー・エリオット(演:ゲイリー・ルイス)
- トニー・エリオット(演:ジェイミー・ドラヴェン)
- おばあちゃん(演:ジーン・ヘイウッド)
- ウィルキンソン先生(演:ジュリー・ウォルターズ)
- マイケル・キャフリー(演:スチュアート・ウェルズ、メリン・オーウェン)
- デビー・ウィルキンソン(ニコラ・ブラックウェル)
- ジョージ・ワトソン(演:マイク・エリオット)
- ジェニー・エリオット(演:ジャニーン・バーケット)
- 『リトル・ダンサー』の用語
- ストライキ
- ウェイン・スリープ
- ロイヤル・バレエ学校
- 白鳥の湖
- 『リトル・ダンサー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ビリーのダンスシーン
- 父「ビリーのためだ!才能を伸ばしてやるんだ」「俺たちに未来が?おしまいだ。だがビリーには未来がある」
- ビリー「さあ…いい気分です。最初は体が硬いけど踊りだすと何もかも忘れてすべてが消えます。何もかも。自分が変わって体の中に炎が…。宙を飛んでる気分になります。鳥のように電気のように。そう…電気のように」
- 家族愛
- 14年後のビリー
- 『リトル・ダンサー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 不自然にデビーがいなくなるカット
- 25歳のビリーを演じたアダム・クーパー
- 『リトル・ダンサー』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):T.Rex 「Cosmic Dancer」
- 挿入歌:Fred Astaire 「Top Hat White Tie And Tails」
- 挿入歌:T.Rex 「Get It On」
- 挿入歌:T.Rex 「Children Of The Revolution」
- 挿入歌:T.Rex 「I Love To Boogie」
- 挿入歌:Tchaikovsky 「Swan Lake」
- 挿入歌:Douglas Corbin 「A Child Is Born」
- 挿入歌:The Clash 「London Calling」
- 挿入歌:The Jam 「Town Called Malice」
- ED(エンディング):T.Rex 「Ride A White Swan」
- ED(エンディング):Stephen Gately 「I Believe」
- ED(エンディング):Eagle Eye Cherry 「Burning Up」