さらい屋 五葉(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『さらい屋 五葉』とは『月刊IKKI』(小学館刊)で連載されていた時代劇漫画、およびそれを原作としたテレビアニメである。時は江戸時代、藩主から暇を出され江戸にやってきた侍・秋津政之助は、誘拐組織「五葉」の頭である弥一の用心棒をすることになった。渋々、弥一の仕事を手伝う政之助だったが、この出会いをきっかけに人として成長していくのである。『ふたがしら』や『ACCA13区監察課』など人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、かどわかしを生業にした個性豊かな登場人物たちの時代劇エンターテインメントだ。

神社の参道で項垂れていた政之助に声をかけたときの弥一のセリフ。用心棒を解任され、自分の弱気な性格に悩んでいた政之助に、団子を差し出しながら「自分の用心棒をしてほしい」と言った弥一。今まで4人だった「五葉」が5人になる運命的な出会いだった。この一言が、政之助が成長していくきっかけになっている。

弥一「笑おうとすりゃいくらでも笑えるもんだぜ?」

武士でありながら暇を出され、沈んだ気持ちだった政之助に弥一が言ったセリフ。江戸に来て自らを鍛えなおす覚悟をした政之助に対し「頑張んな。」と言葉をかける弥一。その弥一の肩の力の抜けた感じや、余裕があるところに憧れている様子の政之助。「弥一のように余裕をもって笑いたい」といった政之助に放ったセリフで、弥一の物腰の柔らかさが出ているセリフとなっている。

政之助「腹が減っていればなんだってうまいでござる」

神社の参道で座り込んでいた弥一にかけた政之助のセリフ。かつての使用人・彌一の墓参りに行ったあと、神社を訪れた弥一。政之助と出会ったときとは逆の立場になり、同じく団子を差し出し声をかけてきたのは政之助だった。初登場時よりは成長した政之助と、過去の出来事に決着をつけた弥一の、これからの展開を予感させるようなセリフとなっている。

『さらい屋 五葉』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アニメと原作漫画では結末が違う

テレビアニメでは、弥一がかつての使用人・彌一の墓を訪れ、年が明けたらつとめをするという流れだった。しかし、原作漫画では、弥一は「五葉」の頭目として拐しの容疑で北町奉行所の八木に逮捕されている。その後、放免になったものの、江戸には近づかないように言いつけられている。そして、政之助も八木と手合わせをしたのち、刀を捨て武士をやめており、放免になった弥一と共に江戸を離れていった。また、アニメには未登場の政之助の弟・秋津文之助も原作には登場しており、所々で内容が異なっている。

飯テロシーンが多い

『さらい屋 五葉』では、オノ・ナツメ作品では定番の「飯テロ」シーンが多い。特に、梅造の居酒屋では、漬物やみそ汁といったおいしそうな料理が登場。匂いまで漂ってきそうなほどリアルな食べ物の演出が随所にある。ほかにも、梅造が作ったすっぽん鍋やみたらし団子など、見ているだけでお腹がすいてきそうな飯テロシーンが数多くみられる。

『ふたがしら』との関係

『月刊IKKI』(小学館刊)また増刊『ヒバナ』(小学館刊)で2016年9月号まで連載されていたオノ・ナツメ原作の漫画『ふたがしら』。『ふたがしら』は、『さらい屋 五葉』に登場するご隠居(仏の宗次)と鬼蜘蛛の弁蔵の若いころを描いており、並び頭をしていた盗賊一味「壱師」の物語だ。今作『さらい屋 五葉』では、仏の宗次は引退し「ご隠居」という形で登場しており、弥一たちが誘拐した人質を預かるなどの役割を担っている。弁蔵は、回想シーンに登場するが、弥一たちの時間軸では亡くなってしまい「壱師」も解散したという状況になっている。このようにオノ・ナツメの別作品同士も関係があるのだ。

『さらい屋 五葉』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):immi「Sign of Love」

テレビアニメ『さらい屋 五葉』のオープニング主題歌を担当したのは、エレクトロシンガーソングライターのimmi。江戸の街並みが流れていくのにあわせて、immi流の普遍の愛を歌った歌詞がマッチしている。時代劇とエレクトロソングの組み合わせは珍しい印象だが、immiの透き通るような声が江戸時代の華やかなイメージとあっている。

ED(エンディング):Rake「all I need is...」

テレビアニメ『さらい屋 五葉』のエンディング主題歌を担当しているのは、シンガーソングライターのRake。作詞・作曲・編曲は自身で手掛けており、楽器も自ら演奏している。曲調はポップでありながら、どこか洋楽のような雰囲気もある。江戸時代を舞台にした『さらい屋 五葉』ともうまくマッチしており、明るくもあり切なくもある歌詞となっている。

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