七福星(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『七福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督・主演のアクション・コメディー作品で、『福星』シリーズ第3弾。『あぶない刑事』の同時上映として公開された。前作『大福星』にてヤクザ撲滅に協力したキッド(演:サモ・ハン・キンポー)ら一同は、褒美としてパタヤ旅行へ行く事となった。またその先でも思わぬ魔の手が立ちはだかっていた。一方で香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)やリッキー(演:ユン・ピョウ)達は香港で捜査に乗り出していた。ジャッキー・チェンやユン・ピョウは『福星』シリーズ出演最後となった。

CV:小松政夫
キッドの仲間で彼やクレイジーらと共に共同の生活を送っていた。そこへフラワーが訪ねて来て、パタヤ旅行へ行くと言われ、急いで支度をして一同でパタヤ・ビーチへ向かいバカンスを楽しむ。そしてツアーで知り合った女性数人とレストランで食事の時を過ごす。ひげ達が女性陣を会話で楽しませたのに対し、自分は一つも面白い話が思い付いていなかった。やがてひげやクレイジー達は会話に紛れて女性達に抱きついたりする事で下心が見えてしえてしまい、彼女達に嫌われてしまう。
香港へ帰国後、そこへマーの手紙の送り先の住人であるウォンとベンが組織から逃れる為にフラワーによって連れて来られる。同居する事となったウォンへキッド達一同で様々なイタズラを行い、彼女を困らせた。後日、ウォンに誘われキッド達とカルチャーセンターへ向かい、ウォンやベンが参加する演劇『ロミオとジュリエット』の練習に付き添う。またカルチャーセンターの入口近くで日本人殺し屋と遭遇し銃を突き付けられ人質に取られる。間もなく駆け付けたマッスルとリッキーが来た解放される。日本人殺し屋を追うマッスルとリッキーを見守る。以降の登場場面は無し。
ちび役を演じたエリック・ツァンは、プロサッカー選手、スタントマンを経て1970年代終盤頃より俳優として活動を開始。その特徴的なキャラクターで、『男たちのバッカ野郎』 (1987年)や『インファナル・アフェア』 (2002年)等、数多くの作品に出演。また、『不夜城 SLEEPLESS TOWN』(1998年)や『無問題2』(2002年)といった邦画にも顔を出している。他にも『悪漢探偵』 (1982年)といった、数々の作品を監督・制作する等、マルチに活躍している。

ひげ(演:フォン・ツイファン)

CV:大塚明夫
キッドの仲間で同じ家で暮らす。そこへフラワーが訪ねて来て、突然パタヤ旅行へ行くと告げられ急いで支度をする。そしてパタヤ・ビーチへ向かいバカンスを楽しむ。またツアーで知り合った女性数人とレストランで食事を共にする機会を持ち、彼女達に様々な話をしその場を和ます。しかし会話に紛れて、女性達に抱きついたりする行為から、下心が露わとなり、彼女達に嫌われる。
香港へ帰国後は、パタヤで女性陣との関係が上手くいかなかった鬱憤をちびやロミオに八つ当たりしていた。そこへ、マーの手紙送り先の住人であるウォンとベンが組織の目から逃れようと、フラワーにより連れて来られる。同居する事となったウォンに対し、キッド達とあらゆるイタズラで彼女を困らせる。後日、ウォンに誘われキッド達共にカルチャーセンターへ向かい、ウォンやベンが参加の演劇『ロミオとジュリエット』の練習に付き添う。カルチャーセンターの入口近くで日本人殺し屋と遭遇し、ちびが人質に取られる。直ぐにマッスルとリッキーが来た事でちびが解放され、日本人殺し屋を追うマッスルとリッキーを見守る。以降の登場場面は無し。
ひげ役を演じたフォン・ツイファンは、『霊幻道士2キョンシーの息子たち!』(1986年)や『サイクロンZ』等、多くのヒット映画に出演。2000年代以降も、『アクシデント/意外』(2012年)や『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2013年)等に出演。

二枚目(演:チャールス・チン)

CV:喜多川拓郎
キッドの仲間であり、唯一フラワーからパタヤ旅行の件を告げられ知っていたが、自身は仕事で行けない為、(自分だけのけ者にされまいと)キッド達には内緒にしていた。しかしキッド達のもとへフラワーがやって来た事で、自分を除くキッド達とフラワーがパタヤへ行く事となった。その為に全編を通して登場しない。しかし本作品終盤にて、多くの集団と共に現れエンディングを迎える。
二枚目役を演じたチャールス・チンは、1970年代から台湾で多くの映画に出演。1980年代になると香港映画界にも進出し、サモ・ハン・キンポー監督の『福星』シリーズや、ユン・ピョウ主演の『オン・ザ・ラン 非情の罠』(1988年)等に出演。1992年の『五福星撞鬼』を最後に俳優業を引退、アメリカ・ロサンゼルスへ移住。表舞台から遠ざかっていたものの、2013年に開催された台湾の映画祭「第50回金馬獎終身成就獎」にゲストとして参加、久々に公の場に立った。

ロミオ(演:ミウ・キウワイ)

新しくキッド達に加わった仲間であり、職業不詳。キッド達のもとへ転がり込んできた若者で、彼等と共に暮らす一方、子分的扱いを受ける。今回出番が少ない二枚目のポジションを担っており、綺麗な女性に直ぐに声を掛ける行動は二枚目と共通している。一方で抜群の運動神経を持ち、本人曰くダンス経験あり。
フラワーが訪ねて来て、パタヤ旅行へ行くと言われ、急いで支度をする。旅行先のパタヤ・ビーチでバカンスを楽しむ。ツアーで知り合った女性数人とレストランで食事をする機会を持ち、初めは互いに楽しい時を過ごす。クレイジー達が会話の間でわざと女性達に抱きついたりして下心が見え、彼女達に嫌われてしまう。そんななか、マーを殺害した殺し屋に続き、キッドやフラワー達にも刺客達が彼等の宿舎で襲撃、キッド達が対抗していたところへ遭遇する。そしてキッド達に加担し、刺客達との対抗戦を展開。刺客達が撤退後、フラワーから滞在していたら危険だから帰国すると告げられる。
香港へ帰国後は、パタヤでの女性陣との関係が上手くいかなかったひげにより八つ当たりをされた。そしてマーの手紙の送り先の住人であるウォンが訪ねて来た際、彼女の美貌に惹かれ、玄関にいたキッドを押しのけて真っ先にウォンに声を掛け自己紹介をした。ウォンと同居する事となった際は、彼女に対し、キッド達と様々なイタズラで彼女を困らせた。
後日、ウォンに誘われキッド達共にカルチャーセンターへ行った際は、ウォンのみならず受付嬢にも声を掛け、手を怪我したと嘘をついて申し込み用紙を書いてくれる様に話した。カルチャーセンターではウォンやベンが参加する演劇『ロミオとジュリエット』の練習に付き添った。その後カルチャーセンターの入口近くで日本人殺し屋と遭遇、ちびが人質に取られる。間もなくマッスルとリッキーが駆け付け、ちびが解放され、日本人殺し屋を追うマッスルとリッキーを見守る。以降の登場場面は無し。
ロミオ役を演じたミウ・キウワイは、香港の大手テレビ局・TVBの養成所を経て、多くのテレビドラマに出演。同じTVBに所属していたアンディ・ラウやトニー・レオンら数人の俳優と共に「五虎将」の異名で人気を集める。ドラマのみならず、映画『仁義なき戦い 復讐・血の掟』(1988年)や『蒼き獣たち』(1991年)等に出演。

殺し屋集団

日本人殺し屋 (演:倉田保昭)

出典: i.pinimg.com

CV:高宮俊介
組織に依頼された殺し屋の一人で日本語しか話せないものと思われる。パタヤにて他の殺し屋と共にセイリングを楽しむマーを殺害する。香港へ向かい、依頼して来た組織から報酬を貰う。組織のボスからラウという男を消す事と、組織にとって不利な事が書かれてあるというマーが送った手紙の送り主も抹殺する様に依頼され、承諾する。他の殺し屋三人でバイクに乗り込み、ラウが乗る車まで追跡しラウを銃殺したうえ、車を炎上させて去る。
その後、マーが送った手紙の送り先であるウォンのアパートの向かいビルの女子トイレの窓からウォン(実際はアパートにいたフラワーをウォンと勘違い)を狙撃しようとする。そこへウォン本人が用を足しに来る。銃を構えている日本人殺し屋を見たウォンは、とっさに盲目のフリをした。殺し屋はそれに騙されて用を足した彼女を何もせずに帰した。改めて窓を見ると既にフラワーの姿はなかった。ビルの外へ出た時、キッドやウォン達と遭遇、ウォンはトイレで会った殺し屋だと告げる。キッド達が抵抗し始めた瞬間、ちびを人質に取る。そこへマッスルやリッキーが駆け付けた事でちびを解放する。
キッド達がいたカルチャーセンターの建物内のバーらしき所まで逃亡。後から来た金髪の殺し屋や口髭の殺し屋の銃撃により、負傷したマッスルに対し、サイを持ち容赦なく襲いかかる。そこへマッスルに応戦したキッドと対決、2本のサイで攻撃を仕掛けるのに対し、キッドがテニスラケットで対抗し、キッドによりそのテニスラケット二つで頭部を挟む様に叩きつけられる。更に割れたラケットで攻撃しされた挙句、蹴り飛ばされた。
日本人殺し屋役を演じた倉田保昭は、『悪客』(1971年)で香港映画デビューして以降、香港や台湾で多くのカンフー映画に出演。ブルース・リー主演作から始まるカンフー映画ブームにより自身の出演映画『帰ってきたドラゴン』(1973年)が公開され凱旋帰国し、日本でも活躍し始める。そしてテレビドラマ『Gメン'75』(1975~1979年(出演時))の刑事役で知名度が上がる。以降も、日本とアジアを交互に活動を続け、『フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳』(1994年)ではジェット・リーと、『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』(2006年)では千葉真一と、『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』(2010年)ではドニー・イェンといった、名だたるアクションスター達と共演を果たした。

金髪の殺し屋(演:リチャード・ノートン)

出典: kungfukingdom.com

組織に依頼された殺し屋の一人で英語しか話せない。パタヤにて他の二人の殺し屋と共にセイリングを楽しんでいるマーを殺害。香港へ向かい報酬を受け取った後に、組織のボスから次にラウという男を抹殺する事と、マーが送った手紙の送り先を探し受取人も消す様に依頼される。
他の殺し屋三人でバイクに乗り込み、ラウが乗る車まで追跡しラウを銃殺したうえ、車を炎上させて去る。そこへラウの警護の目的で来ていたマッスルとラッキーが車で追ってきて来て、マッスルが車から自分のバイクで飛び込んできた事で、マッスルと共に坂から転げ落ちる。マッスルから逃げる様に住宅街まで走り、マッスルも自分の事を追いかけ、彼と激しく格闘を行う。マッスルがスキを突いた瞬間に、割れた瓶で彼の顔を突き付け、腹を殴り逃亡。
その後、キッド達のいるカルチャーセンターある建物にて、日本人殺し屋と彼を追ったマッスルとリッキーが建物内のバーらしき所まで向かう。彼等を口髭の殺し屋と共に追跡し、銃撃しマッスルを負傷させる。そして今度はその場で遭遇したキッドを銃で狙うが、弾が切れたところで、キッドと素手で一対一の対決をする事となった。強力な拳技でキッドを追う込むが、逆にキッドからも拳技や蹴りを叩き込まれる。更に椅子を叩きつけようとした際、宙返りで避けられ、最後は飛び蹴りを受け倒れる。戦いが終わって、マッスル達により取り押さえられる姿があった。
金髪の殺し屋を演じたリチャード・ノートンは、オーストラリア出身の武道家である一方、ジャッキー・チェン主演『シティーハンター』(1993年)『ナイスガイ』(1997年)等、多くの西洋&アジア映画に出演。2015年の『マッドマックス 怒りのデスロード』では俳優としても出演の他、ファイトコーディネーターとして参加。

口髭の殺し屋(演:チュン・ファト)

組織に依頼された殺し屋の一人で広東語しか話せないものと思われる。パタヤにて他の二人の殺し屋と共にセイリングを楽しむマーを殺害。香港へ向かい報酬を受け取った後に、組織のボスよりラウという男を抹殺する事と、マーが送った手紙の送り先を探し受取人も消す様に依頼される。
他の殺し屋三人でバイクに乗り込み、ラウが乗る車まで追跡しラウを銃殺したうえ、車を炎上させて去る。
マーの手紙の送り先であるウォンのアパートに郵便局員になりすまし、ウォン本人と思い込んだフラワーを背後から銃殺しようとするが、キッドのもとへ行っていたベンがコンタクトを取りに戻って来た為に一旦その場を去る。
キッド達のいるカルチャーセンターのある建物にて、日本人殺し屋と彼を追うマッスルとリッキーが建物内のバーらしき所まで向かうなか、彼等を金髪の殺し屋と共に追跡し、銃を発砲する。マッスルやキッドらが日本人殺し屋や金髪の殺し屋と対決をするなか、リッキーとの激しい格闘戦を開始する。互いに蹴りや拳による攻防戦を繰り広げ、近くにあった椅子で対抗するも、リッキーが椅子を突き抜ける勢いで拳を自分の顔にぶつけたうえ、リッキーはその椅子を叩きつけた挙句、彼により力任せに顔面を殴り飛ばされた。戦いが終わり、マッスル達により取り押さえられる姿があった。
口髭の殺し屋を演じたチュン・ファトは、香港の俳優・武術指導・プロデューサーとして活躍し、ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーらとも長きにわたり仕事をし、『デブゴン』シリーズ、『霊幻道士2 キョンシーの息子たち!』(1986年)等、数多くの作品へ出演。

その他

ウォン・イーチン(演:ロザムンド・クワン)

ウォン・イーチン(写真右)。

MI19458
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