魔進戦隊キラメイジャー（Kiramager）のネタバレ解説・考察まとめ

『魔進戦隊キラメイジャー』の概要

『魔進戦隊キラメイジャー』とは、シリーズ第44作目のスーパー戦隊である。「乗り物」と「宝石」をモチーフに据えており、想像力やひらめきの力を駆使し、メンバーそれぞれの得意分野を生かして戦うのが特徴である。

初期メンバーの内4人はそれぞれの分野のトップを走るスーパースターであるが、主人公の充瑠は普通の高校生。絵を描くのが好きで、内気な文化系男子だ。だが、好きなことに熱中し、色々なことをイメージする能力に長けていることを指摘された充瑠は、その柔軟さや素直さも手伝い、メンバーをより輝かせるリーダーとなっている。

アクションシーンは、より華やかにするべく、変身前状態での戦いはほとんどせず、スーツアクターの高い技術力を見せる演出となっている。

また、ロボが超合体（メインとなる1号ロボに2号以降が変形合体して強化されること）をせず、4体が最後まで独立したまま出てくるのも特徴。キラメイストーンという宝石から成るその機体は、クリアパーツに電飾が仕込まれており、輝きを際立たせるため、夜戦も多い。ロボと怪獣の巨大戦にも注力した作品であり、同時期に放送されていた「ウルトラマンZ」のメイン監督、田口清隆を招き、ロボ4体vs怪獣4体の大スペクタルな回も作られた。

作風としては、「キラメイジャー」は古き良き戦隊の明るさや単純明快さを意識して作られていることが、メイン監督山口恭平とプロデューサーの塚田英明の対談で明かされている。
前作2020年の「騎士竜戦隊リュウソウジャー」が、マスターや仲間の死があるシリアスな展開だったこと、前々作2019年の「警察戦隊パトレンジャーVS快盗戦隊ルパンレンジャー」がシリーズ初の2つのヒーローが対立しながら敵を倒す三つ巴構造だったことなど、イレギュラーであったり、重い展開を含んでいたりした点、さらには、コロナウイルスの多大なる影響への反発から、ポジティブなイメージを持つ戦隊となった。

メイン脚本家は、「仮面ライダークウガ」や「海賊戦隊ゴーカイジャー」などを務めた荒川稔久。メイン監督は仮面ライダーシリーズにも多く関わる山口恭平がスーパー戦隊シリーズに初参戦している。

『魔進戦隊キラメイジャー』のあらすじ・ストーリー

クリスタリアの陥落とマブシーナの来訪

地球とは異世界にある宝石の国「クリスタリア」。そこは鉱石人間という、頭部がアクアブルーの宝石の人々が暮らしていた。統治するオラディン王は、民の幸せのために尽力する良き王だった。
しかし、オラディン王の弟ガルザは、兄オラディンに強烈な恨みを抱いていた。兄に匹敵する能力を持ちながら、弟であるという理由で王座につけず、納得できなかったのである。
遂にガルザは闇の帝国「ヨドンヘイム」と手を組み、兄オラディンをその手にかけ、クリスタリアを支配下においたのだった。

クリスタリアの唯一の生き残りとなった王の娘マブシーナは、5つのキラメイストーンを連れ、地球に亡命した。キラメイストーンとは、数万年の時を経て強力な力を得た、意思を持った宝石である。キラメイストーンは、輝く正義の心「キラメンタル」に反応し、より強いキラメンタルを持つ人を戦士に任命することが出来る。

マブシーナは、地球防衛組織「CARAT（カラット）」を組織する博多南無鈴（はかたみなみ むりょう）の助力を得て、自らキラメイストーンを連れて戦士を探す。
キラメイストーンは、戦士となる人間を見つけ出していく。キラメイイエローはeスポーツで活躍する射水為朝（いみず ためとも）。キラメイグリーンは陸上世界記録保持者の速見瀬奈（はやみ せな）。キラメイブルーは人気アクション俳優の押切時雨（おしきり しぐる）。キラメイピンクは若き天才外科医の大治小夜（おおはる さよ）。

しかし、リーダーを選ぶ役目を持つレッドキラメイストーンは、中々適合者を見つけられずにいた。

5人目の戦士の誕生

その頃ヨドン軍は、地球を次なる侵略地として侵攻を始めた。ヨドン軍幹部の1人クランチュラは、地球文明をモチーフに、巨大怪獣である邪面獣（じゃめんじゅう）を作り出すことが出来る。クランチュラは、蛇口をモチーフにしたジャグチヒルドンを使い、地球に侵攻するための門である魔法陣ゲートを作り出そうとしていた。

教室からジャグチヒルドンの姿を見ていた熱田充瑠（あつた じゅうる）のもとに、レッドキラメイストーンを連れたマブシーナがやってくる。レッドキラメイストーンに強引に連れ出された充瑠は、先にキラメイジャーとして活躍している4人の戦士と出会う。綺麗に戦うキラメイジャーの姿に興奮する充瑠だが、4人の正体がスーパースターだと知ると、萎縮して逃げ出してしまう。

後を追ったマブシーナは、充瑠の傍に置かれたスケッチブックを見る。充瑠は絵を描くのが好きで、先程見たキラメイジャーの姿が描かれていた。更にページをめくると、キラメイジャーの使う武器を組み合わせた、未知のアイテムが描かれていた。マブシーナは、充瑠の画力と想像力の豊かさに感嘆する
初めて絵を褒められた充瑠は、自分もきらめくような人間に変わりたいと思い、キラメイジャーとして戦うことを決意する。

オラディンに匹敵する充瑠の強い想像力によって、四角い宝石のままだったキラメイストーンは、乗り物の姿を与えられ「魔進（ましん）」となった。充瑠は魔進の攻撃を次々と思いつき、見事ジャグチヒルドンを撃破した。ようやく5人のキラメイジャーが誕生したのだった。

キラメイシルバーの参戦

連日ヨドン軍の襲撃に、慌ただしい日々を送るキラメイジャー。だが戦いを通して、メンバーの絆は着実に深まっていった。魔進たちも充瑠のひらめきにより、合体して戦うことが出来るようになっていた。

医師として山岳救助に向かった小夜は、帰り道に怪我をして遭難してしまう。途方にくれている小夜だが、現れた謎の青年に助けてもらう。青年はとあるお宝を探してると言い、宝に反応するレーダーなどを見せてくれた。道中に宝の反応が出て青年が岩場を掘ると、「モンストーン」という怪物化した宝石が現れた。青年は小夜を安全な場所に置いて、モンストーンの後を追った。

モンストーンは、充瑠達が交戦していた邪面師に取り憑いてしまう。邪面師は力を増大させ、充瑠達を追い詰めていく。そこに先程の青年が到着し、充瑠達を後輩諸君と呼んだ。青年は「クリスタリア宝路（たかみち）」と名乗り、「キラメイシルバー」に変身した。

キラメイシルバーは、一人で下級戦闘員・ベチャットの大群と邪面師を圧倒した。勝利を収め、小夜にお礼のキスをしてもらい浮かれる宝路だが、駆けつけたマブシーナにビンタされる。宝路はマブシーナの義兄であった。マブシーナは、ヨドン軍に攻め込まれた際にも、宝探しで不在だった宝路を責める。オラディンが亡くなったのも、宝路のせいだと嘆くマブシーナだった。

呪われたマブシーナの救出

宝路は、探し求めていたお宝・カナエマストーンのひとつ、デストリアをついに手に入れた。そして、宝路は宝探しの真の理由である、マブシーナにかけられた呪いについて打ち明けた。

かつてオラディンは、ヨドンヘイムに住む魔女「ヌマージョ」を倒しに行くが、止めを刺す前に呪いをかけられてしまった。呪いはオラディンの妻であるマバユイネにかけられ、マバユイネは7日後に滅んでしまった。
呪いが継続していたら、次に危険なのはマブシーナだと考えた宝路は、呪いを解呪しようとしていた。宝路は、4つ集めるとどんな願いも一つだけ叶うという、カナエマストーンを探していたのだ。

マブシーナに呪いの紋章が現れ、急いで残りのカナエマストーンを探しに行く宝路。偶然邪面師が手にしていた、2個目のカナエマストーン・イリュージョアを奪い取った。
それを受け、無鈴はマブシーナを救える方法を思いつく。それはヌマージョの毒液を浴びて力が封じられている、アクアキラメイストーンを使う方法だ。イリュージョアの過去に戻れる力を使い、ヌマージョの毒液を採取して成分を分析すれば、封印が解けるというのだ。

過去に戻り、ヌマージョの毒液を採取し、アクアキラメイストーンを復活させることに成功する。充瑠はアクアキラメイストーンを、サメをモチーフにした列車の姿を与え、魔進「ザビューン」が誕生した。
ザビューンの力で、マブシーナの呪いは見事に解呪された。宝路とマブシーナは、かつての仲睦まじい二人に戻れたのだった。

ヨドン軍秘書官ヨドンナの登場

マブシーナの呪いは解かれたが、クリスタリア復興のために、宝路はカナエマストーンを探していた。3つ目のヒントを元に山奥の神社に向かう宝路達。神社では不思議な雰囲気を纏う巫女が、弓を射っていた。ヨドン軍の襲来があり、宝路達は神社を後にする。
街で暴れるバクダン邪面を撤退させ、再び神社に戻る宝路達。そして、3つ目のカナエマストーン・エネルギアを発見した。しかし、続けて見つけたモンストーンに、うっかりエネルギアを取り込まれてしまう。

再びバクダン邪面が現れ、交戦するキラメイジャー。そこに神社に居た巫女が現れ、ヨドン軍皇帝秘書官「ヨドンナ」に変身した。ヨドンナは、強化したベチャットを使い、キラメイジャーを襲わせる。
ヨドンナは、バクダン邪面を悪漢鞭（あっかんべん）で5つに分裂させる。敵の数が増え窮地に陥る充瑠達だが、強化されたベチャットが自滅しだした。ヨドンナの強化は、対象者の寿命を代償にしていたのだった。怒りあらわにする充瑠達だが、ヨドンナには響かず退却してしまう。

CARATに戻った一同。宝路もモンストーンを撃破し、エネルギアを持って戻っていた。為朝がエネルギアを使い、自分たちもパワーアップすることを思いつくが、充瑠だけは強く反対した。充瑠は、負担が強すぎて命を失うことを危惧していた。そして、エネルギアを持って、出ていってしまう。
エネルギアを入手した神社を訪れた充瑠は、神主からキラキラの宇宙人（オラディン）の話を聞く。オラディンが強く引きすぎて、弓が壊れた話を聞き、「限界は超えないためにあるんだ」と理解する充瑠。

バクダン邪面と交戦していた仲間に合流した充瑠は、「キラフルゴーアロー」と名付けた弓を手にしていた。キラフルゴーアローを使い「キラフルチェンジ」することで、キラメイジャーはパワーアップすることが出来るようになる。だが、体の負担を抑えるため、強化変身できるのは100秒だけとなっていた。
限られた時間でキラメイジャーは、見事に連携して、バクダン邪面を倒すのだった。

オラディン王の復活

充瑠はまた、夢の中でオラディンに会った。オラディンは充瑠に謎の鍵を渡す。目覚めた充瑠の手には、夢でオラディンにもらった鍵があった。

謎の攻撃を受け、魔進たちはきらめきが淀んでしまい動けなくなる。魔進たちを治すには、聖地「アタマルド」にあるミラクルストーンが必要だった。アタマルドまで案内できる魔進「ハコブー」を、なんとか説得してアタマルドに向かう充瑠達。

一方ヨドンヘイムでは、ガルザがヨドンナから、オラディンを封じ込めた石版を見せられていた。ガルザは、未だ滅びぬオラディンに不安を感じていた。

アタマルドの外れで、異空間に繋がる扉を見つける充瑠達。充瑠は扉に鍵穴の絵を描く。すると、絵が本当の鍵穴となり、夢でもらった鍵が作動した。扉を開くとそこにはオラディンがいた。充瑠がオラディンを連れ飛び出すと、封印されていたオラディンの体が崩れ始める。オラディンはヨドンヘイムから抜け出し、ミラクルストーンに魂を転生させた。ミラクルストーンは不死鳥の姿に変わり、魔進たちも無事元に戻った。

充瑠とオラディンは、オラディンとハコブーを合体させた「グレイトフルフェニックス」を創造した。

ヨドン皇帝と2つの人格

ヨドンナはヨドン皇帝から、オラディンに会いに行けと命じられる。ヨドンナはグレイトフルフェニックスが出撃するのを待ち、対峙して舌を出す。すると、青い面が被されて体が巨大化し、ヨドン皇帝となったのだった。ヨドンナは、ヨドン皇帝の持つ別人格だったのだ。

ヨドン皇帝の一撃は、キラメイジンを戦闘不能にするばかりでなく、周囲の街ももろとも吹き飛ばした。よどみの少ない地球では長く活動できないヨドン皇帝は、すぐにヨドンナに姿を戻した。ヨドンナはヨドン皇帝にすり替わっている間の記憶がなく、事態を把握できずにいた。

後日、ヨドンヘイムではガルザとクランチュラが、ヨドン皇帝直々に命を受けていた。ヨドン皇帝は、赤い面から「シャドン」という人格を現し、ガルザとともに地球に行く。シャドンはスナイパーで、マブシーナを狙い狙撃し、守るキラメイジャーを順に撃ち殺そうとしていた。
シャドンは影の中を移動しながら、次々とキラメイジャーを泥団子に変えていく。だが、為朝の作戦とマブシーナの放つ強力な光によって、隠れ場所を失ったシャドンは撃破されてしまう。

クランチュラの裏切り

クランチュラは、作り出した邪面獣が次々とキラメイジャーに倒され、スランプに陥っていた。そんなクランチュラにヨドンナは、ヨドン皇帝が求めるのはひたすら強い駒だと言い放つ。

街中に、マネキネコ邪面師が現れる。攻撃を受けた充瑠と瀬奈、小夜は猫人間にされてしまう。マネキネコ邪面師も猫のように気まぐれで、どこかに行ってしまう。為朝達は瀬奈と小夜を回収してCARATに帰還するが、充瑠は様子を見に来ていたクランチュラに、ついていってしまう。クランチュラは充瑠のスケッチブックを見て、共感を寄せる。充瑠に刺激され、初心に戻るクランチュラ。

そこにヨドンナが現れ、再びクランチュラの気持ちを否定する。そして、クランチュラに粛清を下そうとすると、猫化した充瑠が庇った。クランチュラは、充瑠の猫化を解きヨドンナから逃がす。クランチュラは、忠誠よりも邪面使いの誇りを大事にしなければならないと、ヨドンナに言い放った。そして、現れたヨドン皇帝に処罰されてしまう。

クランチュラは、ガルザによって救出された。驚くクランチュラに、ガルザは協力してほしいことがあると言う。

充瑠とガルザの共鳴

充瑠は夢の中でまた、クリスタリアに来ていた。そこには絵を描く少年がいた。充瑠は、少年が描く「トルネードスクリュースラッシュ」という技に、胸踊らせていた。充瑠は少年がオラディンだと思っていた。

ガルザはヨドン皇帝に、シャドンの代わりに自分が意識の一つになりたいと申し出た。許可されたガルザは意識の部屋に入る。意識の部屋の王座に座ったガルザは、漲る力に打ち震えた。

市街ではクランチュラがガルザの作戦のため、潜んでいた。宝路に発見されるも、ガルザの作戦が始まる。黒い霧が溢れ、地上が一気に汚染されていく。
ヨドン皇帝の力を得たガルザは圧倒的で、キラフルチェンジをしてもなぎ倒されてしまう。ガルザと変わりヨドン皇帝が姿を現すと、潜んでいたクランチュラが爆弾を投げつけた。ヨドン皇帝は痺れて動けなくなり、意識の部屋の中ではガルザが人格を乗っ取り、「ロードガルザ」として君臨した。

魔進達が駆けつけるも、ロードガルザに撃破されてしまう。充瑠はグレイトフルフェニックスを召喚するも、ロードガルザの放ったトルネードスクリュースラッシュで、撃破されてしまう。その技は、充瑠が夢の中で見たものだった。オラディンは捉えられてしまった。

ガルザの真実