ハサウェイ・ノア(機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ)の徹底解説・考察まとめ
ハサウェイ・ノアとはアニメおよび小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』で主役を務めた、宇宙世紀ガンダムシリーズの登場キャラクターである。
初出は『機動戦士Ζガンダム』で、物心つく前の子どもとして描かれた後『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で初恋の少女クェス・パラヤと悲劇的な別れを経験。
それが元となって、世直しの大義を掲げテロリストの道へ走り、最後には処刑されるという数奇な運命を辿った人物である。
ジェガン
型式番号RGM-89。
宇宙世紀0093年における、最新型の連邦軍量産型モビルスーツ。
系統の異なる量産型モビルスーツ同士である「GM」系と「ネモ」系の技術を統合して誕生した機体であり、性能とコストの機体バランスがすこぶる良く、稼働に際しての信頼性も高い。
このため、それまでの連邦軍主力モビルスーツであった「GMIII」を置き換えるものとして配備が進んだ。
ガンダムのパイロットとして名を馳せたアムロ・レイ最後の乗機「νガンダム」さえも、この機体にも使われる規格品パーツを多数流用して稼働率を高めた事で、抜群の継戦能力を獲得しており、本機を製造できる連邦軍のサプライチェーン信頼性が非常に高い事を裏付けている。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、モブキャラの他、ケーラ・スゥとハサウェイの乗機としても登場。
ハサウェイはこの機体にのってクェス・パラヤを取り戻そうと戦場に出るが、その目的は果たされなかった。
Ξガンダム
「Ξ」は「クスィー」と読む。
型式番号RX-105。
テロ組織としてのマフティー・ナビーユ・エリンが極秘裏に軍需企業アナハイム・エレクトロニクス(以下アナハイム)に製造させた、宇宙世紀105年時点の最新鋭モビルスーツである。
特徴的な「Ξ」というギリシャ文字を用いた名称については、アムロ・レイの最後の乗機であるνガンダム(ニューガンダム)が同じくギリシャ文字を用いた名称であったため、これを引き継ぐ意図で付けられた(文字順がν→Ξの順になる。ただしνが小文字であるのに対し、Ξは大文字)。
アナハイムは建前として連邦に所属し、その大半の兵器を発注されている企業であるために、この機体の製造元は秘匿された。
具体的には機体に製造元を示す一切の物証が存在せず、アナハイム製であるという証拠は劇中で誰も掴めていない。
とはいえ、機械には「製造者のクセ」ともいうべき特徴が見られるもので、事実ケネスはΞガンダムがアナハイム製だと見抜いていた。また、ブライトも「このつくりはアナハイムのものだ」と断定しており、アナハイムの製品の特徴を知る人物なら、それほど労せず製造元であると推測できてしまう。
このため、事実上は製造元秘匿のための偽装をしていないも同然だった。
機体性能は高く、反重力推進装置ミノフスキークラフトを搭載しており、大気圏内を音速で飛行できる。宇宙世紀史上初となる「変形機構や特殊なオプションパーツ無しで飛行可能なガンダム」でもある。
火力面では大出力メガ粒子砲やファンネル・ミサイルなどの強力な火器を装備し、防御面でもビームバリアを展開する事が可能と攻守隙のない設計。
唯一の欠点はミノフスキークラフトの搭載により機体が大型化してしまっており、そのサイズは全高にして28mにも及ぶ。初代ガンダムことRX-78-2 ガンダムの18mから、じつに10mもの巨大化である。
ハサウェイ・ノアの戦歴・活躍
グリプス戦役期
『機動戦士Ζガンダム』での物語。
劇中の時代設定は宇宙世紀0087年、当時7歳。
当時の家族構成は父ブライト、母ミライ、本人、妹チェーミンの4人。
ミライに連れられ、チェーミンとともにホンコンへと渡っている。
そこで連邦特殊部隊ティターンズのベン・ウッダーに拉致され、母、妹共々人質とされてしまうも、ホンコンに滞在していたアムロ・レイにハヤト・コバヤシおよび、カミーユ・ビダンの手によって救い出されている。
この頃はまだ純粋そのものの子どもであり、チェーミンと一緒にグライダーの玩具で遊ぶあどけなさを見せていた。
第二次ネオ・ジオン抗争期
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』での物語。
劇中の時代設定は宇宙世紀0093年、当時13歳。思春期真っ直中の少年へ成長した。
当初は宇宙へ赴任している父ブライトを除き、一家で地球に居住していたが、ネオ・ジオンによる地球寒冷化作戦を受けて宇宙への疎開開始。疎開先をブライトのいるスペースコロニー・サイド1「ロンデニオン」と定めて、合流を試みる。
その際に乗船予定のあるスペースシャトルが駐機する宇宙港で、クェス・パラヤと運命の出会いを果たし、ロンデニオン到着後も交流を続けも、ネオ・ジオン総帥のシャアがロンデニオンに潜伏しており、クェスと共に彼と出会ってしまう。
この時、シャアに惹かれたクェスはそのままネオ・ジオン入りしてしまい、これを取り返すべくモビルスーツパイロットに志願しブライトが艦長を務める宇宙艦「ラー・カイラム」へ乗船。戦闘の激化で出撃が許されなかった事から、艦内のジェガンを奪って無断出撃する。
躍り出た戦場ではクェスとの再会を果たすが、ネオ・ジオンから戻ってほしいとする説得に難儀してしまう。
この時、無断出撃したハサウェイを追尾して半壊状態の「リ・ガズィ」に乗ったチェーン・アギが現場に到着するのだが、その瞬間はハサウェイのジェガンがクェスの大型モビルアーマー「α・アジール」に取り付いた状況だった。
このため、チェーンはこれをハサウェイの危機と誤認して援護のグレネードを放つものの、ハサウェイがその場から動かなかったために、クェスがα・アジールごと身代わりになり、そのまま爆死してしまう。
片思いの恋人を殺されたハサウェイは逆上、ジェガンのライフルを乱射してリ・ガズィを撃墜、チェーンを殺害してしまう。
その後、νガンダムによって地球に落ちようしていた小惑星アクシズが宇宙空間へ押し戻されていく光景を呆然と眺めつつも、自身の大切な人を失った絶望と、人殺しをした事、それも味方を手にかけてしまった事への罪悪感の両方に押しつぶされるかのごとく、嗚咽していた。
さらに続きとして『機動戦士ガンダムUC』の外伝漫画作品『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』に主人公ブライト・ノアの回想としても出演。
その回想によれば、ハサウェイは第二次ネオ・ジオン抗争における連邦とネオ・ジオンの最終決戦終結後、ロンド・ベル隊によって収容されていた事が明確になる。
しかし、クェスの死とチェーンを殺害のショックにより、ジェガンのコクピット内で茫然自失の状態となり、そのまま1ヶ月間もの間体験した事を喋れない状態が続いていたとされている。
なお、小説版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に繋がる物語は、正確には劇場版の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ではなく、その小説版にあたる『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』となっている。
こちらではハサウェイ自身がクェスのα・アジールを銃撃し、その一撃がコクピットを直撃してしまい彼女を殺害してしまうというものになっており、よりハサウェイの罪悪感が強まっている。
マフティーの動乱期
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』での物語。
この物語において、ハサウェイは主役に抜擢され、彼を中心にストーリーが展開していく事になる。
時代設定にして宇宙世紀0105年、25歳となった。
物語開始前には、先の戦争の経験からうつ病を発症していたものの、なんとかそれから回復したとされている。
ハサウェイは、初恋の少女クェスが死んだかつての戦場で、小惑星アクシズを地球から押し返すために、モビルスーツごとアクシズに取り付いて焼け死んだ幾多の人間の魂からいずる声を聴くという体験した。
そこから、戦争を起こしたネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの経歴を学ぶ内に、彼が提唱した「地球の滅亡を食い止めるためには、自然環境を保全する必要がある。そのために全人類は地球から旅立たねばならない」という思想の内容に共感を覚えていく。
また、同時に人の世を動かすための組織についても学びを深めていった。
そんな中、植物監査官候補としての任務で降下した地球では、初老の男で偽の医者という以外は謎に包まれたクワック・サルヴァーより、マフティーという組織の存在と、連邦が人狩り組織「マンハンター」を用い、特権階級でない人間を地球から追いだしては強制労働に従事させているという事実を教えられる。
マフティーの活動内容は、このような横暴を是正するどころか率先して行う連邦閣僚を狙い、粛清と称した殺戮を行って中央閣僚体制を転覆させる事であった。
ハサウェイはこのクワックを怪しみはするものの、地上でこのような活動が行われているにも関わらず未だに特権階級の1億人だけを地上へ移住させる予定のある連邦に愛想を尽かし、マフティーへの参加を決意。
組織構成員としてみるみる内に頭角を現し、表向きはマフティーの代表へと昇進していく。
マフティーに参加して一年が経つ頃にはハサウェイは組織中枢の戦闘員となっており、組織の表向きのリーダーへと上り詰めていく。
その途中で連邦の軍人ケネスと親交を深め、またギギとも出会い、惹かれ合っていく。
やがて、連邦閣僚会議は、地球を特権階級だけが私物化できる法案の可決を目指し始める。
ハサウェイは、これを強引に阻止するべく、Ξガンダムを使ってアデレード襲撃を実行。
だが、ケネス率いるキルケー部隊に妨害を受け、最終的には地上へ設置されたビームバリアーへ誘導された事で、Ξガンダムは機能を停止してしまう。また、これによってハサウェイは全身火傷と打撲の重傷を負い、そのまま捕縛される。
そして、病院に担ぎ込まれ最低限の治療を受けた後に、ケネスの指揮により処刑された。ハサウェイは刑執行の直前「地球を守る、健やかな精神」をきっと未来の人類が持ってくれるであろうと信じ、その可能性に希望を見いだして、この世を去った。
ハサウェイ・ノアの名言・名セリフ/名シーン・名場面
ハサウェイ「やっちゃいけなかったんだよ!」
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にて。
シャアについてネオ・ジオン入りしてしまったクェスを取り戻すため、ラー・カイラム配備のジェガンを強奪して戦場へ躍り出たハサウェイだが、彼を待っていたのはあまりにも残酷な運命であった。
戦場で再会したクェスは、ネオ・ジオンによって感知能力の強化手術を受けており、元よりヒステリックなところが、ほぼ情緒不安定となってハサウェイの事すらきちんと認識できない状態にあったのだ。
説得に応じないクェスに手を焼くハサウェイだったが、その最中に無断出撃した彼を追ってリ・ガズィに乗ったチェーン・アギが現場に到着。
ハサウェイが危機に陥っていると誤認し、リ・ガズィのグレネードを放った結果、クェスは乗機α・アジールごと爆散。帰らぬ人となってしまう。一瞬呆然としたハサウェイだが、次の瞬間、機体をリ・ガズィへ向けると怒りを露わにする。
ハサウェイは「チェーン…チェーンか、やったのは」という言葉と共に、ジェガンのビームライフルをリ・ガズィへ向けて連射をはじめたのだ。
この時、リ・ガズィは先の戦闘により半壊状態で修理が終わっておらず、まともな回避行動すら取れずに、ジェガンのビームを浴びてしまう。
チェーン「やめなさい、あなたのやっていることは」
ハサウェイ「やっちゃいけなかったんだよ! そんなこともわからないから、大人って、地球だって平気で消せるんだ」
その会話を最後に、チェーンのリ・ガズィは爆散した。
こうして、ハサウェイは想い人を失うと同時に、味方殺しの罪を背負う事になってしまったのである。
ハサウェイ「……死ぬぐらいは、みんなやってきたことだ。ぼくにだって、ちゃんとできるはずだ」
アデレード襲撃に失敗し、愛機Ξガンダムの機能停止と共に自身も重傷を負い、連邦に捕縛されたマフティーことハサウェイ・ノア。
重傷のため病院に担ぎこまれていたもの、目を覚ましたのは四日後だった。
だが、治療が終わればその身に待っているものは処刑なのだ。
もしΞガンダムごと爆散していれば、こんな、じらさせれるような死の恐怖に苛まれず済んだというのに、運命は残酷である。
そんなハサウェイが人生最後の時間を過ごす事になる病室での思いを、小説では以下のように表現している。
看護婦たちの気づかいに、ハサウェイは、感情的になってしまいそうなので、また天井を睨むようにして、最後ぐらいは、冷静すごすのだ、と自分にいいきかせた。
「……死ぬぐらいは、みんなやってきたことだ。ぼくにだって、ちゃんとできるはずだ」
そんな言葉を、呪文のようにとなえつづけた。
ハサウェイ「マフティーとしていいたいことはいった」
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目次 - Contents
- ハサウェイ・ノアのプロフィール・人物像
- ハサウェイ・ノアの関連組織
- マフティー
- 地球連邦
- ハサウェイ・ノアの関連人物・キャラクター
- ブライト・ノア
- クェス・パラヤ
- ギギ・アンダルシア
- ケネス・スレッグ
- ハサウェイ・ノアの搭乗した機体
- ジェガン
- Ξガンダム
- ハサウェイ・ノアの戦歴・活躍
- グリプス戦役期
- 第二次ネオ・ジオン抗争期
- マフティーの動乱期
- ハサウェイ・ノアの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ハサウェイ「やっちゃいけなかったんだよ!」
- ハサウェイ「……死ぬぐらいは、みんなやってきたことだ。ぼくにだって、ちゃんとできるはずだ」
- ハサウェイ「マフティーとしていいたいことはいった」
- ハサウェイ・ノアの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 遅れて正史に組み込まれた主人公
- 完全飛行できるガンダムを愛機とした初の人物