薔薇はシュラバで生まれる(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『薔薇はシュラバで生まれる』とは、漫画家笹生那実氏が32年ぶりに描いた漫画。1970年は、少女まんが黄金期と呼ばれ、その頃漫画家のアシをしていた著者は多くの名作と関わりを持っていた。全体の構成を各先生方に送りご承諾をもらい、ネームが出来ると再び先生方にチェックを受け、当時の作品を読み直し、思い出したことを漫画にしていったものである。著者は漫画家のシュラバと呼ぶ過酷な仕事場で、どのように名作が生み出されていくかを見続けた。本書は、その記録である。

スクリーントーンの事。柄の印刷されたフィルムを原稿に貼る。

カケアミ

カケアミ状の効果線のこと。1カケは直線を並べるカケアミ。2カケは縦横で交差するカケアミ。3カケは2カケに更にもう1本加えたカケアミ。

点描

Gペンなどを使って点で描く。背景などの効果に使用する。

ベタ

原稿中の黒で指定された部分を塗りつぶすこと。

『薔薇はシュラバで生まれる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

美内すずえ先生「ね、あなたあそこのカブトムシ見える?」

シュラバを巡ってきた著者にとって最もシュラバだと思う場所が美内すずえ先生の仕事場である。
美内すずえ先生はカンヅメ旅館で幻覚を見ている。美内先生は仕事中に上を見上げる。すると、天井にカブトムシが這っているのが見える。まさかと思い、そばにいたアシに美内先生は尋ねる「ね、あなたあそこのカブトムシ見える?」。すると尋ねられたそのアシはジッと先生の顔をみて「美内さん、寝たら?」と言う。天井にはカブトムシなどいないのである。それは眠気覚ましの薬を飲みすぎた美内先生の幻覚なのである。

美内すずえ先生「まんが家は3日徹夜、座りきり1か月、1日半の絶食くらい覚悟しなければならない。」

鈴木光明先生著作『少女まんが入門初歩からプロになるまで』の本の中に美内すずえ先生の名言が書かれている。美内先生曰く「まんが家は三日徹夜座りきり一か月一日半の絶食くらい覚悟しなければならない。」のである。

美内すずえ先生「15分したら起こして」

美内先生は椅子に座ったままで「15分したら起こして」とアシたちに頼む。そしてその一言を言うとすぐにその場で眠るのである。15分後にアシたちに起こされると直ぐに仕事を再開する。その15分間が美内先生の一日の睡眠時間である。

著者笹生那実先生「あっじゃあさ蘭丸団にしちゃえば」

「アマチュアロックバンド蘭丸団」の誕生にも著者はかかわりを持っている。くらもち先生の代表作の一つで「蘭丸団シリーズ」と言われる作品がある。作品名は、『わずか1小節のラララ』、『わずか5センチのロック』、『わずか1/4の冗談』、『わずか45回転のイブ』である。最初くらもち先生は作品に登場するアマチュアバンドの名を「蘭丸バンド」にしたいと思っていたが、残念なことに実在する「藤丸バンド」に似ているため使えず、しかたなくバンド名を「ブルーアップル」にすることに決めていた。しかし、原稿を書き上げ印刷にまわした後でもバンド名「ブルーアップル」に違和感があった。そんな時に、著者が軽く「あっじゃあさ蘭丸団にしちゃえば」と言った。これを聞いたくらもち先生は、この名前が非常に気に入り、印刷にまわされる直前に急遽バンド名を「ブルーアップル」から「蘭丸団」に変えさせたのである。「蘭丸団」という名は一度登場しただけではとどまらず、くらもち先生は「蘭丸団」というアマチュアバンドを主人公にしたシリーズ作品を描き、「蘭丸団」という名を使い続けた。

三原順先生「やってみよう」

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