スパルタンX(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『スパルタンX』(映画)とは、スペインのバルセロナを舞台に、トーマス、デヴィッド、そして探偵のモビーの三人が、謎の組織に誘拐された美女シルヴィアを救出すべく奮闘するコメディ・アクション映画である。また、この作品を題材にしたアーケード&テレビゲームが制作された。
本作のクライマックスで繰り広げられる、ベニー・ユキーデとの一騎打ちは、ジャッキー・チェン映画における名ファイトシーンとして多くのファンから絶賛されている。

モビー(演:サモ・ハン・キンポー)

日本語吹き替え:水島裕
明るく間抜けな一面がある反面、武術の達人でもある。私立探偵マットの助手であり、借金取りから逃がれようとしたマットにより所長代理に任命された。その後、間もなくして依頼がありグロリア&シルヴィア親子を探す。また友人のトーマス達にも会い、自分がシルヴィアを探している事を話す。ギャングに襲われていたシルヴィアを助けるも、その間に彼女に逃げられたり、自らの財布を盗られたりもする。それでも、改心する様になったシルヴィアと同行するトーマスやデヴィッドのサポートをする。
シルヴィアがモンテール伯爵率いるギャング達にさらわれた際は、トーマスやデヴィッドの後に続き、モンテール伯爵が住む城へ駆けつける。モンテール伯爵がフェンシングの剣を使い攻撃するのに対し、近くにあった鎧の剣を用いて応戦する。その後、それぞれの戦いを終えたトーマスやデヴィッドらも駆けつけ、三人でフェンシングの剣でモンテール伯爵に応戦、三人の剣先をモンテール伯爵の体に突きつけ、降参させる。物語終盤にてトーマス達のもとへ行き、正式に探偵のライセンスを取った事を報告。
モビー役を演じたサモ・ハン・キンポーは、1970年代頃から数多くのカンフー映画のアクション指導・監督を務め、手掛けた作品は数知れず。俳優としても『デブゴン』シリーズや『SPL 狼よ静かに死ね』(2005年)『イップ・マン 葉問』(2010年)等に出演、また『霊幻道士』シリーズといったヒット作の制作を手掛けた。

シルヴィア(演:ローラ・フォルネル)

日本語吹き替え:土井美加、園崎未恵
14歳の時に母親のグロリアが入院して以降、スリをし生活費を稼ぎ、トーマスやデヴィッド、そしてモビーもスリの被害に遭う。しかし心優しいトーマスとデヴィッドらと接しているうちに、真面目に生きる事を決心をし彼等から盗ったお金も返すと約束し、「スパルタン号」店で働くまでになる。
しかしその直後、モンデール伯爵率いるギャング達に誘拐されてしまう。その後モンデール伯爵が住む城まで助けに来たトーマス・デヴィッド・モビーらが激闘を展開し、モンデール伯爵を降参させる。後日、「スパルタン号」で仕事を行うトーマスやデヴィッド達のもとへやって来て、再会を喜び合った。
シルヴィアを演じたローラ・フォルネルは、1979年にミス・スペインで優勝し、同年のミス・ワールド、1980年のミス・ヨーロッパへスペイン代表として出場を果たす。以降は女優として活躍し、ジャッキーチェン主演映画『サンダーアーム / 龍兄虎弟 龍兄虎弟』(1986年)や『ライジング・スターの伝説 』(1987年) 等へ出演。

モンデール伯爵(演:ペペ・サンチョ)

日本語吹き替え:納谷六朗、大塚芳忠
ロバス伯爵の弟であり、亡くなった自分の兄がグロリア&シルヴィア親子へ財産を残していた事が分かり、シルヴィアの誘拐をギャングへ仕向ける。ラストは、城内に潜入したモビーと対決後、駆け付けたトーマスとデイヴィッド、モビーの三人によりフェンシングの剣を突かれ降参する。
モンデール伯爵を演じたペペ・サンチョは、スペインの二枚目俳優として長年に渡り活躍、地元のドラマや映画に多く出演。日本で観られる、彼の出演作には、映画『ライブ・フレッシュ』(1997年)がある。2013年3月に死去。

アメリカン・ギャング(演:ベニー・ユキーデ)

日本語吹き替え:大滝進矢、小山力也
モンデール伯爵に仕える部下であり、アパートで他のギャング達とシルヴィアを拉致しようとする。それに対抗しようとしたデウィッドを路上で痛めつける。
また物語後半では病院を襲撃し、デウィッドの父親やグロリアを連れて行こうとしたトーマスを殴りつける。本編のクライマックスでモンデール伯爵の城内にて、トーマスと一騎打ちを繰り広げる。ラストは、トーマスのジャンプ膝蹴りにより窓の外へ飛ばされ、トーマスに引き上げられる。
アメリカン・ギャングを演じたベニー・ユキーデは、元キックボクシングの世界チャンピオンで、ベニー・“ザ・ジェット”・ユキーデという異名で呼ばれドキュメンタリー映画『格闘技世界一 四角いジャングル』(1978年)等にも登場する。またジャッキー・チェン作品の他に『ザ・ファイター/炎のラストマッチ』(1988年)や、1998年の『エンター・ザ・イーグル』ではブルース・リーの娘シャノン・リーとのファイトシーンを繰り広げている。

フレンチ・ギャング(演:キース・ヴィタリ)

日本語吹き替え:田原アルノ
モンデール伯爵に仕える部下で、アパートで他のギャング達とシルヴィアをさらおうとする。それに対抗したトーマスを路上で痛めつける。また物語後半にて病院を襲撃し、デウィッドの父親やグロリアを連れて行こうとしたトーマスを蹴り飛ばす。
本編のクライマックスではモンデール伯爵の城内で、デヴィッドとバトルを繰り広げる。最後はスキを突いたデヴィッドにより、目の前の花瓶で攻撃され気絶する。
フレンチ・ギャングを演じたキース・ヴィタリは、アメリカの空手黒帯チャンピオンである一方、ショー・コスギ主演映画『ニンジャII/修羅ノ章』(1983年)や『ブラッド・ブラザーズ』(1990年)等、多くの格闘技アクション映画に出演。

デヴィットの父(演:ポール・チャン)

デヴィットの父(上列右から二番目)。

日本語吹き替え:原田一夫、牛山茂
トーマスの従兄であるデヴィットの父親で、病院に入院している。病室にて、水の入った小さな桶でずっと「釣り」をしている。
一方で、医師が様子を伺う様に「大漁」かと聞くと、桶で「釣り」ができるわけないと反論する。また、同じ病院に入院する女性グロリアと交際をしている。トーマス達がグロリアやデウィッドの父親を病院から連れて行こうとした際、グロリアに結婚を申し込み、同意される。トーマス達と病院を出ようとした矢先にグロリアやシルヴィアがギャング達にさらわれる。トーマス達がモンデール伯爵を降参させた後、物語終盤にてスパルタン号で仕事を行うトーマス達の前で、シルヴィアやグロリア達が現れるが、(デヴィッドの父親)自身のその後の詳細は不明。
デヴィットの父親役を演じたポール・チャンは『ドラゴンロード』(1982年)や『香港発活劇エクスプレス 大福星』等、1970~1980年代にかけてジャッキーチェン作品や多くの香港映画に出演。

グロリア(演:スサーナ・サンティス(Susana Sentís))

出典: en.hkcinema.ru

日本語吹き替え:不明
シルヴィアの母親で、デヴィットの父親と同じ病院に入院しており、彼と交際もしている。昔、娼婦をしていたと言われていたが、後にロバス伯爵の城の使用人であった事が分かる。
トーマス達がグロリアやデウィッドの父親を病院から連れて行こうとした際、デウィッドの父親から結婚を告げられ、同意する。病院を出ようとした矢先、ギャング達にシルヴィアと共に連れ去られる。その後トーマス達がモンデール伯爵を降参させ、物語終盤にてスパルタン号で仕事を行うトーマス達の前で、シルヴィアや伯爵家の執事と共に現れる。
グロリア役を演じたスサーナ・サンティスは、他にも出演作に『Uptown』(1987年・日本未公開)や『Alas Rotas』(2002年・日本未公開)等がある。

患者1.(演:リチャード・ン)

リチャード・ン演じる病院患者(写真左)。

日本語吹き替え:斎藤志郎
グロリアが入院する病院の患者で、トーマス達が車で病院に到着した際に出会う。また、トーマス達が車の一つのタイヤのネジが排水溝へ落ち困っていた際、残りの三つのタイヤのネジを一つずつ使って補えばいいと助言する。そんなに頭が良いのに何故入院しているかトーマスが聞くと、頭のネジがちょっと外れているだけだと答える。
患者①を演じたリチャード・ンは、映画『ピックポケット!』(1981年)や『五福星』(1983年)をはじめとする『福星』シリーズ等に出演、
日本でも香港映画ファンのお馴染みの顔として知られている。

5kmrdt_555
5kmrdt_555
@5kmrdt_555

Related Articles関連記事

香港発活劇エクスプレス 大福星(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

香港発活劇エクスプレス 大福星(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『香港発活劇エクスプレス 大福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督&出演による、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ出演によるアクション・コメディー作品であり、『福星』シリーズ第2弾。全編日本ロケで行われた。香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)とリッキー(演:ユン・ピョウ)が、日本でヤクザ「かかし組」を追うが、リッキーが捕まってしまう。マッスルは香港から応援としてキッド(演:サモ・ハン・キンポー)を応援に要請し、彼の仲間達も日本へやって来て、リッキー救出と「かかし組」の撲滅に挑む。

Read Article

七福星(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

七福星(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『七福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督・主演のアクション・コメディー作品で、『福星』シリーズ第3弾。『あぶない刑事』の同時上映として公開された。前作『大福星』にてヤクザ撲滅に協力したキッド(演:サモ・ハン・キンポー)ら一同は、褒美としてパタヤ旅行へ行く事となった。またその先でも思わぬ魔の手が立ちはだかっていた。一方で香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)やリッキー(演:ユン・ピョウ)達は香港で捜査に乗り出していた。ジャッキー・チェンやユン・ピョウは『福星』シリーズ出演最後となった。

Read Article

ファースト・ミッション(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ファースト・ミッション(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ファースト・ミッション』とは、1985年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演の香港映画である。刑事のフォン・シャンヤンは上司のウォン警部達と宝石の密輸を行うシンジケートの捜査を行っていた。その矢先、彼の兄シャンタクはある出来事によりシンジケートの事件に巻き込まれる事となる。監督のサモ・ハンの意向でドラマ重視の作品となったが日本公開時にはアクション場面とジャッキー・チェン歌唱の主題歌が追加された。

Read Article

炎の大捜査線(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

炎の大捜査線(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『炎の大捜査線』とは、1991年に台湾・香港で製作・公開された刑務所を舞台としたアクション映画である。警察官のウェイが、異動に伴い署長のもとへ挨拶に行った矢先、何者かにより署長が殺害される。署長を殺害した男は逃走用の車に乗った直後に爆死。男の死体を調べると、彼は3ヶ月前に死刑が執行されていた。ウェイは、犯人が収監されていた刑務所に何かあると考え、自らの入所を試みる。ジャッキー・チェンをはじめ、1990年代の香港の人気俳優が総出演。

Read Article

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』とは、ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導を兼ねたアクション映画。 香港警察のチェン刑事は他の刑事達と共に、麻薬密売を行うチュウ率いる犯罪組織の取引現場へ潜入する、張り込みが一味にバレて銃撃戦へと展開。チェンの活躍でチュウ達を逮捕するが、更なる波乱が待ち受けていた。 現在でも、なおジャッキー・チェンのベスト作品としても人気が高い。

Read Article

死亡遊戯(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

死亡遊戯(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『死亡遊戯』とは、1978年に公開されたロバート・クローズ監督、ブルース・リー主演の香港映画である。 スター俳優のビリー・ローはシンジケート組織からの契約を迫られるが、それを頑なに断る。ある日の撮影中に、ビリーは銃弾を浴びて銃弾を受けて殺害されたと思われたが、実はビリーは死んでおらず、単身でシンジケート組織へ戦いを挑む。 1972年にアクション場面を撮影後、ブルース・リーが急逝。 数年後に代役スタントマンを起用して追加撮影したうえで1978年に制作された。

Read Article

ラッシュアワー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ラッシュアワー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラッシュアワー』とは、1998年にアメリカで公開されたアクションコメディー映画である。本作は公開第1週で興行収入3,300万ドルの収益を上げ、北米興収1位となった。大変好評であったため、『ラッシュアワー2』『ラッシュアワー 3』も公開される。いずれもブレット・ラトナーが監督を務めている。香港警察のリーと、ロス市警のカーターが誘拐された領事の娘を救うために協力する話である。

Read Article

デッドヒート(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

デッドヒート(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『デッドヒート』とは、1995年に公開された、ジャッキー・チェン主演のカーアクション映画である。レーサーであるジャッキーは、父親が経営するレーシング・ショップを手伝いつつ、親子で街に蔓延る改造車の摘発を警察の協力のもとで行っていた。そんななか一台の車がジャッキーの目の前を爆走する。運転手は国際テロリストのクーガーだった。ジャッキー・チェンの車好きが高じたのか、全編にわたり、カーアクションが繰り広げられる。

Read Article

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』とは、1988年に公開された、ジャッキー・チェン主演のポリスアクション作品である。犯罪組織のボスであるチュウ一味を逮捕したチェン刑事だが、彼等逮捕する際に器物破壊等の行為で多大な損害を出してしまう。これにより制服警官への降格、交通係への勤務を命じられる。地道に働くチェンだったが、その背後で爆弾事件が発生する。人気シリーズ第2弾であり、派手な格闘、爆破シーンが話題となった。

Read Article

ラッシュアワー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ラッシュアワー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラッシュアワー2』とは、2001年に公開されたアメリカで制作されたアクション・コメディ映画である。『ラッシュアワー』の続編であり、主人公は同じくジャッキー・チェンとクリス・タッカーである。全世界で3億4,730万ドルの収益を上げた。『ラッシュアワー』よりアクションシーンが多くなっている。監督は『ラッシュアワー』に引き続きブレット・ラトナーである。休暇を取り香港観光に来たカーターだったが、リーの父親を殺した犯人の捜査に協力することになり、2人は息の合ったコンビネーションで事件を解決していく。

Read Article

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンダーアーム/龍兄虎弟』は、1986年に香港で製作されたジャッキー・チェン主演のアクション映画。 冒険家のジャッキーは、友人アランから恋人のローラが邪教集団に誘拐されたと告げられる。一方で教団は、ジャッキーを利用して世界各地にある五つの「神の武具」をジャッキーに集めさせ、恐るべき力を手に入れようとしていた。 本作品での撮影中に、主演のジャッキー・チェンが頭蓋骨骨折という大怪我を負った事は有名であり、現在も彼の脳が飛び出さない様にプラスチックの栓がしてある。

Read Article

タキシード(2002年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

タキシード(2002年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『タキシード』とは、並外れたドライブテクニックを持ったタクシー運転手のジミー・トンが、タキシードを着ることによりスーパーマンのように強化し、雇い主であるデヴリンの代わりに、ミッションを遂行するアクションコメディー映画である。ジャッキー・チェンの映画では珍しく、「タキシードを着ないと強くならない」という設定である。監督はケヴィン・ドノヴァンである。アメリカでは2002年9月27日に劇場公開され、日本では2003年3月15日に日比谷映画系列で公開された。

Read Article

ダブル・ミッション(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ダブル・ミッション(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ダブル・ミッション』とはアメリカ合衆国で制作され、2010年に公開されたアクション・コメディ映画である。監督はブライアン・レヴァントであり、主人公はジャッキー・チェンが演じている。CGやスタントに頼らない、人間離れした体当たりアクションがジャッキーならではの映画となっている。主人公ボブはジリアンと結婚するために、スパイを引退するつもりでいた。ジリアンの息子・イアンが、ボブのパソコンからテロリストの極秘ファイルをダウンロードしてしまい、テロリストから狙われてしまうという話である。

Read Article

ジャッキー映画に登場した出演者やロケ地の”その後”を紹介!

ジャッキー映画に登場した出演者やロケ地の”その後”を紹介!

ここではジャッキー・チェンの映画に登場した出演者や有名なロケ地の「その後」を紹介する。『拳』シリーズ、『プロジェクトA』シリーズ、『ツイン・ドラゴン』、『ポリス・ストーリー』シリーズ、『ヤング・マスター』、『スパルタンX』、『フーアムアイ?』など名作の数々を幅広く網羅した。

Read Article

目次 - Contents