天穂のサクナヒメ(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『天穂のサクナヒメ』とは、同人ゲームサークル「えーでるわいす」が制作し、マーベラスから発売されたアクションRPG。PS4、Nintendo Switch、PC版が発売されている。戦神であり豊穣神でもある主人公・サクナヒメが鬼の蔓延る島「ヒノエ島」で稲作に従事しながら鬼を退治し、島の秘密を解き明かしていく物語。ゲームは稲作とアクションの2つのパートに分かれて進行する。稲作パートの本格的な作りこみから「農林水産省のHPが攻略wikiになる」と話題になった。
ある日、サクナヒメはミルテを呼び止め、かいまるの将来について尋ねる。
サクナヒメが勅命を果たし、天浮橋が再びかかったそのときは、ミルテはかいまるを連れて麓の世へ戻るつもりだと言った。頂の世と麓の世を自由に行き来することはできない。それならば、かいまるは自分がどこで生まれたのか知るべきだ。最終的にヒノエ島での暮らしを選ぶとしても、どちらの世も知ってから選んでほしい。
サクナヒメもまた、親の顔を知らずに育ったため、自分の出自を知ることの重さはわかる。両親のこと、自分が生まれた頃のこと、ヒノエ島でたくさんのことを知ったサクナヒメは、かいまるにもそれを知ってほしいと願うのだった。
ミルテは、この峠の者たちにとって、ヒノエ島はすでに故郷となっている、と語った。この先皆がどうしていくかはわからないが、同じ家に帰れるのは幸せなことだ。それはサクナヒメもまた同様なのだった。
きんたと和尚
ある晩、きんたは天浮橋の夢を見た。そこで、きんたが麓の世で身を寄せていた寺の和尚に出会う。寺から姿を消したきんたを案じていたと言う和尚は、きんたに何故いなくなったのかと問う。
きんたは、こき使われるだけならいいが、毎日毎日坊主に囲まれて殴られ蹴られるのは嫌だ、夜には自分を殴った坊主が説教を垂れるのは聞いていられない、だから逃げて、生きるために何でもした、と答えた。和尚は、戦の世にあっては寺も強い力を持たねば略奪にあいかねない、方々と折衝して威勢のいい坊主を集めたが、そのために預かった子どもひとり守れなくなるとは、と深く悔いる。この和尚を恨むかと問われたきんたは当たり前だと返し、麓の世には恨めしいものしかない、と断言する。村を焼いた隣国の者たちも、母も姉も守れない弱い父も、同じように弱い自分もみんな恨めしい、と言うきんたに、和尚は何か言いかけるが、そこで夢は終わった。
起床したきんたはサクナヒメとタマ爺に夢のことを相談する。麓の世で死んだ者が天浮橋を渡るかどうかは、天浮橋自体がよくわからないものなので、何とも言えない、とタマ爺の返答は曖昧だ。しかし本当に夢で死者と会ったなら、頂の世に伝わる「昇霊術(しょうれいじゅつ)」を使えば麓の世で死んだばかりの霊を呼び出せるはずだと言う。きんたはまだ和尚と話したいことがあるということで、サクナヒメは術に必要なものを集めて回ることになる。
準備が整い、サクナヒメに和尚の霊を憑依させてきんたと話をさせる段取りでタマ爺が昇霊術を行うが、サクナヒメには何の変化も起こらない。術が失敗したわけではなく、麓の世で和尚はまだ死んでいないため、術が発動しないのだった。つまり、きんたが見たのはただの夢だった、ということだった。和尚がまだ生きているならばまた会うこともできる、と励ますタマ爺に、きんたは麓の世でやるべきことができてしまった、と独り言ちる。
その後、ゆいに身の振り方を問われたきんたは、「麓の世に帰る」と答えた。やるべきことができたから、と言うきんたに、ゆいは麓の世は危ない、またつらい目に合うかもしれない、と引き留めようとする。しかしきんたは、「それは麓の世の半分を見ただけで、全部を見たわけではない」と、いつかミルテが語っていた言葉を繰り返し、残りの半分を見てみたい、と語った。麓の世にはきんたの父と姉がおり、どこでどうしているかはわからないが、もし死んでいるなら弔ってやりたい、それに、鍛冶の腕がどこまで通用するのか、自分を試してみたい、ときんたは前向きに笑っている。その姿は頂の世に来たばかりの頃とは別人のようで、ゆいはずっとそばにいるものと思っていたきんたの変化に戸惑うのだった。
ゆいの選択
きんたの決意を聞いて以来、ゆいはきんたを避けていた。サクナヒメはそんなゆいの様子を見に機織り小屋へ赴く。
ゆいはひとり、小屋の中で泣いていた。きんたはずっと麓の世を憎んでいたので、自分たちと一緒にずっとヒノエ島にいてくれるものとばかり思っていた。しかし、きんたは麓の世でやり残したことがあると言い、帰ることを選択した。しかしゆいは、この島に残って、サクナヒメたちと共に静かに暮らしていくことが望みだった。きんたに恩返しをし続けるにはきんたのそばにいなければならないのに、どうしてもそうしたい。そんな自分が恩知らずに思えてならず、きんたに合わせる顔がないのだった。
サクナヒメは、ゆいは既にきんたへの恩を返している、と答えた。ここに来たばかりの頃のきんたはどうしようもなくひねくれた悪童だったが、ゆいとの関わりが皆との関わりに繋がり、きんたを変えたのだ、と断言した。それを聞いて泣き出してしまったゆいを、サクナヒメは慰め、自分の心のままに決めるよう促すのだった。
その晩、ゆいはきんたとふたりきりで話をした。どんな話をしたかはふたりしか知らないことだが、ゆいは安堵したように笑い、きんたとの別れを決めたのだった。
祭
すっかり峠は立ち直ったが、火山のことがまだ気がかりなサクナヒメ。火山が再び火を噴けば、また田んぼは駄目になってしまうし、家も壊されてしまうかもしれない。
そんなサクナヒメに、田右衛門はすべての田んぼを覆えるくらいの筵を用意しているから心配ない、と請け合う。転んでもただでは起きない田右衛門にサクナヒメは感心し、他に何かできることはないかと考え始める。すると、田右衛門が「景気づけに祭を開いてみてはどうか」と提案する。暗い気持ちを吹き飛ばすには祭がいちばんであるし、考えてみれば峠の一同は豊穣神であるサクナヒメを祀ったことがない。峠もすっかり新しくなったことだし、ここはひとつ盛大に祭をやってみてはどうか、と言う田右衛門に、話を聞いていたココロワヒメも大いに賛同し、せっかくならば都から他の神々も呼んで盛大に催そう、と提案する。都で親しまれている米「天穂」を作っている神を祀るとあれば、きっと多くの神が協力してくれるだろう、とココロワヒメは乗り気だ。
ふたりの強い勧めもあって、サクナヒメは自分を祀る祭を開催することにする。
ココロワヒメの主導で祭の準備が進められ、当日は峠に都の神々が集まってたいへんな賑わいとなった。色とりどりの提灯が浮かび、あらゆる品を扱う出店が立ち並び、都の神を嫌っていたアシグモすら楽しそうにしている。この日ばかりは仕事のないサクナヒメは手持無沙汰ぎみで、ココロワヒメはそんな親友の変化を喜ばしく見守るのだった。
ヤナト田植唄(たうえうた)
祭の最中、日の暮れる頃、大きな爆発音と共に大地が揺れ、南の火山が火を噴き出した。大龍がとうとう動き出したのだった。驚き慌てる神々の前で、サクナヒメは家の屋根に登り、星魂の農具を手に大演説をぶつ。
あの山の炎こそ、かの悪神大龍によるもの。長きにわたり溜め込んだ力でこのヒノエ島を蹂躙し、都にまで攻め入るつもりだろう。しかし、このサクナヒメこそがそうはさせない。この島で育てた米と、それを認めてくれた皆の心が力をくれる。米の力と星魂の農具で、大龍を討ちに行く。
神々が歓声を上げる中、峠を出発しようとしたサクナヒメの耳に、懐かしい歌が届く。いつか峠の皆で田植えをしたときに歌った田植え唄だ。田右衛門、ミルテ、きんた、ゆい、かいまるが、太鼓を叩いて鈴を鳴らし、田植え唄を歌っている。サクナヒメが大龍と戦うときに備え、準備していたのだ。明るい笑顔で送り出してくれた皆の歌声を背に、サクナヒメはこの場所を家と定め、必ず帰ると誓って出陣するのだった。
大龍(オオミズチ)
大龍が潜む地中へと繋がる大穴へ飛び込んだサクナヒメが目にしたものは、なんと創世樹の枝であった。枯れ、腐ってはいるものの、都を作る創世樹にも並ぶほど巨大な枝である。これこそが鬼を無尽蔵に生み出す原因に違いなく、また歴代のカムヒツキが何もないヒノエ島をほしがる理由でもあったと察せられた。大龍がこの創世樹の力を取り込んでいるならば、今やカムヒツキにも及ぶほど強大な力をつけていると思われた。
サクナヒメは穴の下へ下へと進み、とうとう最深部へ到達する。そこには三つ首の巨大な龍が待ち構えていた。無尽蔵に怨嗟を吐き続ける大龍に、サクナヒメは父母、タケリビとトヨハナの行方を尋ねる。それを聞いた大龍は大笑し、父母に続いて娘も腹に収めてくれようと言う。
それを聞いたサクナヒメは羽衣を掲げ、如何なる対価も支払う、真の力を発揮せよと宣言する。すると羽衣が眩く輝きだし、サクナヒメの体にこれまでにない力が満ちる。
大龍も負けじと、「大禍大龍(オオマガツオオミズチ)」を名乗り上げ、すべての神と人に仇をなす者としてサクナヒメに戦いを挑む。
それぞれ異なる力を持つ三つ首でサクナヒメを翻弄する大龍だったが、サクナヒメは真価を発揮した羽衣の力で大龍の攻撃を退け、星魂の農具となったタマ爺で渾身の一撃を叩き込む。
とうとう討ち倒された大龍は、こんな言葉を残す。
「麓の世に怨嗟続けば、儂は三度蘇るであろう。しかし、暫くはそれもあるまい。麓の世の怨嗟がこの島に吹き溜まり鬼を生むように、この島の豊穣もまた、麓の世に恵みをもたらす。今、麓の世は飢えと戦の時代を終えようとしている。そこには儂を紡ぎ直すほどの怨嗟はない。此度のこと、ゆめゆめ忘れず、そして励むことだ。儂や鬼たちがこれ以上生ずることのなきよう。さらばだ、この大龍の恨み濯ぎし、偉大なる人の神よ」
その言葉を最後に悪神大龍は息絶え、サクナヒメは羽衣の力を解放した代償として、タマ爺と共に消滅していくのだった。
家に帰ろう
サクナヒメが大龍との決着をつけた頃、峠の家ではかいまるが意識を失っていた。いつか石丸にさらわれかけたときと同じように、心が離れているのだとミルテは診断した。かいまるは心だけでサクナヒメを迎えに行ったのだ。
羽衣の力を使い切ったサクナヒメとタマ爺は、その代償として消滅しようとしていた。どことも知れぬ暗い空間を、ただただ落ちていく。やるべきことをやりきった充足感だけがふたりを満たしていた。
ふと、落下が止まったかと思うと、サクナヒメの目の前に美しい女神と雄々しい男神が現れた。それは紛れもなく、母トヨハナと父タケリビだった。サクナヒメが大龍を下したことで、その腹に捕らえられていた父母の魂が解き放たれたのだ。トヨハナは自らを羽衣の正当な主と主張し、力の代償を払うならば自分だと宣言する。タケリビもまたそれに倣い、サクナヒメを連れていかないよう羽衣に要求する。
サクナヒメはようやく再会できた父母に行かないでくれと懇願するが、トヨハナとタケリビは既に死んだ身、娘にしてやれることはこれしかない、とトヨハナは言う。サクナヒメは生まれてすぐに両親と離れ離れになり、寂しい幼少期を過ごした。ようやく会えた両親と離れたくないと涙をこぼすサクナヒメに、タケリビは誰にも成しえなかったことを成したお前はもう子どもじゃない、胸を張って仲間の元へ帰れ、と何か光るものを差し出す。光の中から現れたのはかいまるだった。サクナヒメを探して心だけでさまよっているところを、タケリビたちと同じく大龍に捕らえられてしまっていたのだ。
かいまるを置いて父母と共に消えるわけにはいかない。サクナヒメはかいまるを家に連れて帰らなければならなかった。タケリビとトヨハナは「ずっとお前を愛している」と言い置いて消えていき、サクナヒメは父母に別れを告げた。
気が付くと、サクナヒメとタマ爺はヒノエ島の草原にいた。空は青く、よい天気だ。道の端には彼岸花が赤く咲き、田んぼで仕事をしていた河童たちがサクナヒメの帰還を喜んでいる。
こうして、ヤナト最高の豊穣神となったサクナヒメ。彼女の米は数百年もの間、神々に愛され、麓の世に豊穣をもたらしたという。
『天穂のサクナヒメ』のゲームシステム
基本的な流れ
サクナヒメはヒノエ島で稲を育てながら、各地で鬼退治をして探索を進めていく。システムとしては稲作パートと探索パートの2つに分かれる。
3日ごとに季節が変わり、季節に合わせて稲作を進めていく。その年の稲作を終えると、米のステータスに応じてサクナヒメが強くなる。
島の各所で鬼を退治することで「総合探索度」が上がり、探索度に合わせてフィールドが解放され、ストーリーが進行する。
稲作
春
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目次 - Contents
- 『天穂のサクナヒメ』の概要
- 『天穂のサクナヒメ』のあらすじ・ストーリー
- 怠惰なサクナヒメ
- 鬼島での生活
- 囲炉裏を囲んで
- 少ない実りとテクサリ団子
- 二つ世と創世樹
- 石丸の行方
- ヒノエ島
- 宣教師ミルテの旅
- 問題児ゆい
- ミルテの学校
- かいまるの才能
- きんたと麦飯
- 鬼退治の計画
- 問題児きんた
- 二つの世界を超える方法
- 河童とかいまる
- アシグモ族
- 南の火山
- 天穂(あまほほ)
- 偽の天穂
- ココロワヒメとサクナヒメ
- 火山の神
- 傷ついた兎鬼
- タケリビとトヨハナ
- 田右衛門の願い事
- 砦の石丸
- 大龍と戦うには
- 壊滅
- 出直し団子
- ココロワヒメの知恵
- 蘇った鬼たち
- 石丸と田右衛門
- 田んぼを復活させるには
- 機織り小屋、鍛冶小屋、家畜小屋の再建
- 兎鬼の行方
- 石丸の最後
- サクナヒメの決意
- 鍛冶師きんた
- 星魂剣(ほしだまのつるぎ)
- ゆいの恩返し
- 残るか帰るか
- かいまるの未来
- きんたと和尚
- ゆいの選択
- 祭
- ヤナト田植唄(たうえうた)
- 大龍(オオミズチ)
- 家に帰ろう
- 『天穂のサクナヒメ』のゲームシステム
- 基本的な流れ
- 稲作
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
- 肥料
- 病気、害虫、益虫
- 稲作会議
- 農書
- 米のステータス
- 戦闘・採集
- 戦闘
- 装備
- 武技と羽衣技
- 枝魂(しこん)
- 食事効果
- 採集
- 花咲かサクナ
- 『天穂のサクナヒメ』の登場人物・キャラクター
- 峠の仲間
- サクナヒメ
- タマ爺(じい)
- 田右衛門(たうえもん)
- ミルテ
- きんた
- ゆい
- かいまる
- ヒノエ島の住民
- アシグモ
- 河童(かっぱ)
- 都の神
- カムヒツキ
- ココロワヒメ
- サクナヒメの両親
- タケリビ
- トヨハナ
- サクナヒメの敵
- 石丸(いしまる)
- 黄泉火産零(ヨモツホムスビ)
- 大龍(オオミズチ)
- その他
- 訪れし者(おとずれしもの)
- 『天穂のサクナヒメ』のアイテム
- 戦闘で入手するアイテム
- 木魄(こはく)
- 夜しか入手できないアイテム
- 採集で入手するアイテム
- 採集ポイント
- 仲間の採集
- 峠の中で手に入るもの
- 拾うアイテム
- 交易で入手できるアイテム
- 『天穂のサクナヒメ』の用語
- ヤナト
- 二つ世
- 創世樹
- 天浮橋(あめのうきはし)
- ヒノエ島
- 鬼島(おにじま)
- 星魂剣(ほしだまのつるぎ)
- 異世渡りの領巾(いせわたりのひれ)
- 木魄(こはく)
- 『天穂のサクナヒメ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 主要開発メンバーは同人サークル「えーでるわいす」の2人だけ
- 制作者は稲作を理解するため実際に稲を育てた
- えーでるわいすの前作『花咲か妖精フリージア』の話題がサクナヒメ作中の会話に出てくる
- 『天穂のサクナヒメ』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:朝倉さや『ヤナト田植唄・巫 -かみなぎ-』