ハートの国のアリス(ハトアリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハートの国のアリス』とは、QuinRoseから発売された童話『不思議の国のアリス』がモデルの恋愛アドベンチャーゲーム。QuinRoseの看板作品の1つ。不思議な「白ウサギ」によって、ある日、銃弾飛び交う物騒な世界「ハートの国」に連れ去られてしまったアリス。アリスは非現実過ぎるこの出来事を「夢」だと受け入れ、夢から目覚めるまでの間、ここでの暮らしや住人達との交流を楽しむことにする。

ナイトメア あのドアまでEND

アリスの手を取り、草原(夢の中)を歩いて行こうとしているナイトメア。

ナイトメアルートにて発生する選択肢で、一部の選択肢を「片腕の温もりEND」と異なるものを選んだ際にのみ発生するEND。アリスとナイトメアにとっての「嵐」の終わりまでは、同じ物語が展開される。その後日から、展開が異なるようになる。
「嵐」が去ってからしばらくした時間帯。アリスはハンプティ&ダンプティと偶然出会う。この時のアリスは「卵の夢」を通して、ハンプティ&ダンプティへの警戒心が生まれている為、彼女は双子が自分に何を言い出すのかとその動向に身構える。だがアリスがナイトメアと懇意にしている事を知った彼らは「それでは殻が固くて壊れないはずだ」と諦めたように述べる。アリスにはその言葉の意味はよくわからなかったが、彼らが自分に対して今は何もする気がないという事を知り安心する。と同時に、自分の恋人が現実世界において自分の事を助けてくれたようにも取れなくもない状況に、アリスはナイトメアと現実世界でも繋がれたような気がして嬉しくなる。
後日、夢の中でナイトメアにその事を告げると、ナイトメアもアリスが自分との事を第三者(ハンプティ&ダンプティ)に向けてはっきりと宣言してくれたのが嬉しいと喜ぶ。そうして「また『卵の夢』を見ても自分を繋なぎ止めておいてくれる存在になってくれるんでしょう」というアリスに同意の意を示すと同時に、彼女の胸の内の不安を拭うように周囲の風景を切り替える。瞬間、アリスが「卵の夢」で拒んだ王の座に続いていたのと同じ、レッドカーペットが敷かれた空間が、アリスの前に現れる。だが「よく見て」というナイトメアの指示に従い風景をよく見ると、レッドカーペットの周囲がかつてナイトメアと風を感じる為に歩いた草原である事に気づく。ナイトメアは「レッドカーペットの先にはドアがある」とアリスに告げる。「そのドアの先には自分とアリスが共に過ごせる国がある」と言うナイトメアの言葉に、アリスはそれならこのレッドカーペットを歩いていくのもいいかもしれないと考える。だが、焦燥感にかられて走っていくのではなく、隣にいる大事な人と共に1歩1歩しっかり歩きながら進みたいと、そう願う。そんなアリスの願いに応えるようにナイトメアは彼女の手を取り、アリスと共にゆっくりとレッドカーペットの上を歩き出すのだった。

ナイトメアの特殊ストーリー

アリスに「嵐」の正体に纏わる話をしようとしているナイトメア。

ペーター、ユリウス、ブラッド、各ルートのENDを1つずつ見ていた際に発生する特殊ストーリー。なお、ブラッドの「ビバルディEND」は対象外の為、それ以外のENDを見なければ条件クリアにはならない。ナイトメアルートの10章目が終わった後に、追加シナリオとして発生するストーリーとなっている。
この特殊ストーリーで語られるのは、今回ハートの国で起きた「嵐」の正体にまつわる話である。「嵐」が去った後、アリスは夢の中でナイトメアから改めて今回の「嵐」の正体について話を聞かされる。ナイトメア曰く、「嵐」というのは、この世界の「狂い」から生じたものなのだという。元から狂った場所であるこの世界では、狂ったまま無理やり時間が進んでいる為になにがしかの「歪み」が発生してしまう。その「歪み」のしわ寄せであり、それそのものを昇華させる為に吹き荒れるのが今回の「嵐」なのだという。あり得ない事が起きたり住人達が「狂ったり」する原因は、「嵐」自体が歪んだものであるからというのが理由なのだそう。
ナイトメアの説明の半分以上をアリスは理解できなかったが、ひとまず「『余所者』であるアリスが理由で気象現象が発生したとは、絶対には言い切れない」というナイトメアの言葉に安堵する。自分の所為でハートの国の住人達に迷惑をかけてしまっているのではないかという不安が拭えた彼女は、とりあえずそれがわかっただけでもよかったとナイトメアに告げる。そんなアリスにナイトメアは「いつか『時間』に組み込まれる日がくればわかる時がやってくる」と返す。その言葉の意味は、アリスにはやはりわからなかったが、どうせわかろうがわかるまいが、今後も似たようなおかしな現象がこの世界では起こっていくのだろうと考え、深くは追求せずにナイトメアとの会話を終わらすのだった。

『ハートの国のアリス』の登場人物・キャラクター

アリス=リデル

CV:釘宮理恵(劇場版アニメ、一部ドラマCD)
主人公。キャラのモチーフは、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の主人公のアリス。
ある日、突如現れたペータ=ホワイトに誘拐される形で、ハートの国にやってくる。
勝気でしっかり者。行動力もあり、ペーターに銃で撃たれかけているメイドを庇う為、ペーターを取り押さえるといった、驚きの行動を取ることもある。
しかし反面、卑屈で根暗といった一面も持ち合わせている。現実主義者な部分もあり、非現実的な出来事ばかりが起きるハートの国のことは「今自分は庭でうたたねをしていて、こんな夢を見ているんだ」と思い込む形で、現状受け入れていたりする。
中流階級の裕福な家の出。三姉妹の次女であり、特に姉ロリーナのことを完璧な淑女として慕い尊敬している。それ故か、ロリーナとは真反対な性格の自分のことを「嫌な子」「暗い子」と評し、嫌っている。実は完璧なロリーナへの強いコンプレックスも抱いているのだが、本人は認めたがらない。また、初恋相手であり恋人であった家庭教師の男がロリーナに惚れ、しかしロリーナ自身は彼を見向きもしなかった、といった過去があり、このことがきっかけでさらに強い劣等感を抱くと共に、恋愛に対しても臆病になってしまう。
デフォルトの服装であるハートがついた大きいリボン型のヘアアクセや、青と白のエプロンドレスもアリス本人ではなく、ロリーナの好みにあたる服装であるとのこと。アリス自身はもっとシンプルなものを好んでいるらしい。他にも趣味の読書では、恋愛ものや詩集よりも推理モノなどの俗っぽいジャンルの読み物が好みであるなど、ロリーナとは根っこから真反対な趣味性格なようである。
母は亡くなっており、父は学術関係者で家庭を顧みないタイプであったことが、本編中に語られている。

帽子屋ファミリー

ブラッド=デュプレ

CV:小西克幸
マフィア「帽子屋ファミリー」のボス。キャラのモチーフは『不思議の国のアリス』に登場する、いかれ帽子屋。
肩まで無造作に伸ばされた黒髪に、蒼の瞳、薔薇とトランプマークと値札で飾られた奇抜な帽子が特徴的な青年。薔薇のついたマシンガンを武器として使用しており、非戦闘時にはステッキに擬態させて持ち歩いている。キャラのモチーフは『不思議の国のアリス』に登場する、いかれ帽子屋。
性格は、非常に気まぐれな気分屋。退屈なことが嫌いで、面白いことになると判断すれば緻密にねりあげた仕事の計画を穴だらけにしたり、自らの身を危険にさらし出すことすらもある。しかし反面、めんどくさがりな一面も持ち合わせており、普段の態度や喋り方1つすらも、ダラダラとめんどくさそうに行う。部下達にもその影響は及んでいたりする。自分本位な部分もあり、自分への好意から行われた他者の行為も、自身が満足できなければ暴力でし返す程の理不尽具合。アリスからは「女王様みたい」と言われる程である。
しかし仲間のことは信頼しており、特にファミリーのNo.2であるエリオットに関しては強い信頼をおいている。「あいつになら背後から撃たれても仕方ない」と断言すらもできる程のものとなっている。
好きな物は紅茶と薔薇。特に紅茶に関しては、紅茶狂いと言っても過言ではない。紅茶の話になると、普段の気だるさとは一変して、いきいきと語りだす。その変わり具合には、アリスが内心で怖がるほどだ。
実は、ハートの女王ビバルディと姉弟関係にある。しかし極秘事項の為、当人達以外にそれを知る者は誰もいない。ビバルディとは、時々帽子屋屋敷の薔薇園で密会している。

エリオット=マーチ

CV:最上嗣生
帽子屋ファミリーのNo.2。所有武器は、フリントロック式の銃。キャラのモチーフは『不思議の国のアリス』に登場する、三月ウサギ。
一度は大罪を犯した為にユリウスによって、牢屋に投獄されていたが、ブラッドの助けにより脱獄した。そのことがきっかけで、ブラッドに忠誠を誓う。ファミリーの一員として生涯を彼の為に捧げることとなった。ブラッドのことを盲目的に敬愛している節がある。
性格は非常に短気。考える前に銃を撃つ、といった危険な思考回路を持っており、アリスとの初対面時にも彼女を撃とうとした。それでも本人曰く「以前はすぐに銃を撃っていたが、今では三秒考えてから撃つようになった」とのこことで、昔よりも成長していると思っているらしい。
反面、大らかな性格でもあり、細かいことを気にしないタイプであったりもする。面倒見もよく、一度気に入った相手には好意を包み隠さず伝える、素直すぎる一面も持つ。くわえ問題ばかりを起こす帽子屋屋敷の門番ディーとダムの上司でもある為、周囲からは彼らの保護者として扱われている。
「ブラッドの犬」を自称している為か、ウサギというと怒る。その髪からは確かにウサギの耳が見えてもいるのだが、彼自身は己がウサギであることを強く否定している。ただし食事は常に大好きなにんじん料理やにんじん菓子のみと、ウサギを強く連想させるものがある。なお、にんじんスティックは食べれるがにんじんそのものは大嫌いという謎の偏性がある。

トゥイードル=ディー、トゥイードル=ダム

左の少年がディーで、右の少年がダム

CV:福山潤
帽子屋ファミリーの領地「帽子屋屋敷」の門番。通称、ディー&ダム。青い服の少年がディーで、赤い服の少年がダム。キャラのモチーフは『鏡の国のアリス』に登場する、トゥイードル=ダムとトゥイードル=ディー。
自分達よりも大きな斧を武器として使用している。しかし刃物自体が好きなようで、自室には斧以外にもたくさんの刃物がコレクションされている。同じく武器オタクな一面のあるボリスとは、領地を越えた遊び仲間であるもよう。
子供特有の無邪気さに加え、相手を傷つけることに喜び見出す残酷な性質も持ち合わせる。猟奇的な遊びをすることが多く、他の領地に出向いてその領地の者を追いかけまわす遊びをすることも多々ある。1日の大半を「休憩」と言って遊んで過ごす。仕事をしても屋敷を訪ねてくる者を見境なく殺してしまうなど、問題ばかりを起こす。結果「血まみれの双子(ブラッディ・ツインズ)」といった呼び名がつけられた。
しかし些細な差はあり、青い服と瞳、休暇にこだわりハキハキテンポよく喋る方がディー、赤い服と瞳でお金に拘りのんびりと喋るのがダムと、見分けることが可能となっている。それでも時々カラーコンタクトまで使用して「とりかえっこ」を行い人をからかうこともある為、確実ではない。本人達に見分けて欲しいといった意思はなく、むしろ「双子」として一緒くたに扱われることこそが、互いが同等である証だとしているもよう。そのため、敢えて見分けられないようにしているらしい。だが、上司であるエリオットには見分けがつけられるよう。
身長の低さを気にしていることもあり、長身であるエリオットに対して「ひよこウサギ」や「馬鹿ウサギ」と罵ったり、悪態ついたりすることが多い。

ハートの城

ビバルディ

CV:甲斐田裕子
ハートの城に住むハートの女王。キャラのモチーフは『不思議の国のアリス』に登場する、ハートの女王様。
ハートの国では、「ゲームの主催者」でもある。「女王」ということで、対となる「王(キング)」もいるが、実権のほとんどは彼女がもっている。所有武器は短銃や斧。しかし彼女自身が前線に立つことは少ない為、基本的にはルビーが嵌められた錫杖に擬態させて所有している。
元々は役無しの人間であったが、先代の女王が突如行方不明になったことから家族のもとから引き離されて、女王の役につくことになった。冷酷無比な性格。斬首刑好きの気分屋。傍若無人でヒステリックな性格。部下は使い捨ての駒。それ以下の人間はとるに足らないゴミという風に捉えている。ただし有能視している部下のペーターやエースは別であり、「余所者」であるアリスは特にお気に入りで、女友達やおもちゃと遊ぶ少女のような接し方で好意を示してくる。
紅茶と赤い薔薇が大好き。特に薔薇は、自身の香水や風呂でも愛用している程。同じぐらいに猫が大好きでボリスのことを非常に可愛がっている。反対にネズミが大嫌い。実はぬいぐるみを集める趣味があり、このことはごく一部の者と実弟であるブラッド、そしてアリスだけが知っている。

teku-12q3
teku-12q3
@teku-12q3

目次 - Contents