ハートの国のアリス(ハトアリ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハートの国のアリス』とは、QuinRoseから発売された童話『不思議の国のアリス』がモデルの恋愛アドベンチャーゲーム。QuinRoseの看板作品の1つ。不思議な「白ウサギ」によって、ある日、銃弾飛び交う物騒な世界「ハートの国」に連れ去られてしまったアリス。アリスは非現実過ぎるこの出来事を「夢」だと受け入れ、夢から目覚めるまでの間、ここでの暮らしや住人達との交流を楽しむことにする。

ペーターとデートをするアリス。

ナイトメアから「嵐」について教えられたアリスは、その後、ハートの城の住人達から改めて「嵐」の到来を告げられる。だが結局詳しい事はわからず、そこでアリスは恋人であるペーターのもとへと向かう事にする。アリスに「嵐」について訊ねられたペーターは、「嵐」の到来によってハートの国の住人が全員「狂わされる」事を彼女に告げる。それを知ったアリスは、ペーターも変わってしまうという事実に不安を覚えるようになる。しかしペーターの方は、アリスがそのような不安を抱く理由が理解できない。それどころか、自分自身をないがしろにするような発言・態度を見せ、アリスをさらに不安がらせてしまう。
そこでペーターはアリスの不安を拭う為、サプライズで彼女を遊園地へ連れていく。本来ならペーターにとっては敵地である遊園地だが、アリスの為と、彼はゴーランドに頼んで特別な観覧車を用意して貰っていた。ペーターが自分の為を思って用意してくれた事に嬉しくなるアリス。その時ペーターが「『嵐』が到来したらまた来よう」とアリスに告げる。だが「嵐」による変化を恐れていたアリスは、彼が「嵐」の到来と共にその約束を忘れるのではないかと危惧する。そんな彼女にペーターは、「そんなことはない」とはっきりと言い返す。それによりアリスの中の不安が少し薄れ、ペーターとまた、今度は「嵐」の帰還中に遊園地に来る事を約束する。だが完全に不安が拭えたわけではなく、近づく「嵐」の到来に、アリスの不安はまた大きくなっていく。そんな時、彼女のもとに再び夢を通してナイトメアが現れる。アリスの不安に気づいた彼は、「ペーターはアリスを救いたがっている。それが褒美になる」と彼女に助言する。しかしその意味をアリスは上手く理解できないまま、夢から覚めてしまう。

そうして不安を拭う事ができないまま、ついに「嵐」がハートの城に到来する。ついに来てしまった「嵐」に、不安が最高潮に達するアリス。その時、ペーターが遊園地の約束を楽しみにしている事をアリスに告げてくる。それを聞いたアリスは彼との楽しい約束を思い出し、自身の中にあった不安を消し去る。
「嵐」の結果、ペーターに起きたのは「ウサギ姿になれない」という「狂い」だった。思ったよりも大きな変化ではなかった事実に、ホッとするアリス。後日、遊園地デートも無事行われ、彼女はペーターと2人っきりの楽しい時間を過ごす。だがそれからしばらくが経った頃、帽子屋ファミリーのNo.2である三月ウサギのエリオットがうさぎになれるという変化を目にした事をきっかけに、アリスは自分が思った以上に「ウサギ姿」のペーターを恋しがっている事に気づく。ペーターの方もそれに気づき、「アリスは自分よりも三月ウサギの方がいいのだ」と落ち込む。そんな彼の様子にアリスは驚きながらも、「ウサギになれるからペーターが好きなわけではない」という事をはっきりと彼に伝える。そうして、ペーターと2人、改めて自分達が恋人同士として好き合っている事を確認する。それから少しした時間帯、「嵐」が去り、いつも通りのハートの国が戻ってくる。アリスから自分がウサギになれなかった事を聞いたペーターは、「アリスの望む姿になれなかった自分は、アリスにとってつまらない存在だったのではないか」と考える。「嵐」の期間中と同じような不安を抱いたペーターに、アリスは「その話はもういいのだ」と返す。しかし不安が拭えなかったのか、ペーターは「嵐」が到来するまでの間に考えていた事をアリスに吐露する。曰く、「アリスが自分の変化を不安がる理由がわからなかった」「でもそれを拭う方法がわからなかった」「だから楽しい思い出を増やしてあげることしかできなかったのだ」というペーター。そんな彼の話に、アリスは改めて自分がどれだけ彼に愛されているかを理解し、お礼を述べながらペーターにキスをする。
後日、アリスはペーターに連れられ、ハートの城の領土内にある教会にやってくる。そこにはアリスとの結婚の為に、ペーターが神父に命じて用意させた、たくさんのドレスやそのカタログがあった。驚くアリスを前に、これが一番似合うとベールをかぶせ始めるペーター。突然のことに驚きつつも「まだ結婚するとは言っていない」とアリスは言葉を返す。だが「まだ」ということは、いつかはする気があるのだとペーターはそう解釈して喜び始める。「いつにするか」と訊ねて来るペーターに、自分の失言に気づくアリスだったが、あながちそれを嫌がっていない自分にも気づく。いつかペーターに押される形で結婚をしてしまう日もそう遠くはない予感を覚えつつも、言葉に窮したアリスは迫りくるペーターから目をそらすのだった。

ペーター 有意義な過ごし方END

ハートの城の庭園でキスをするアリスとペーター。

本編内の一部選択肢にて、「いつか花嫁にEND」とは違う選択肢を選んだ時に解放されるEND。「嵐」が去るまでは共有のエピソードとなっており、本ENDはその続きから開始されるものとなっている。
帽子屋屋敷のボス・ブラッドから本を借りて帰って来たアリス。キングに仕事を押し付ける形で出迎えにきたペーターは、彼女が帽子屋屋敷に行っていたことに気づき不満げになる。「三月ウサギに会いに行っていたのではないか」と考えているらしい彼に、「疑っているの」とアリスが訊ねれば「疑っているのではなく、妬いている」という返答がくる。予想外の返答に驚くアリスだったが、素直な返しに可愛いと思ってしまう。
そこでアリスはペーターにウサギ姿になって貰うように頼む。「嵐」が去る期間中、ウサギ姿に関することで落ち込ませていたアリスは、彼がそれについて覚えてないとわかっていながらも自分自身のけじめとして、ウサギになって貰うことを我慢している面があったのだ。彼の様子にそろそろ頼んでもいい頃だろうと踏んだアリス。ウサギの姿になってくれた恋人を抱きしめながら、自分の心が満たされていくのを感じる。「暖かくて眠くなりそうだ」というペーターにアリスは寝ても良いと返すが、「せっかく2人で一緒にいるのだから、共に時間を過ごしたい」とペーターは返してくる。その言葉を聞いたアリスは、ならばもっと有意義な時間を過ごす為、キングに押し付けた仕事を終わらして全て落ち着いたあとで、一緒にどこかへ出かけようと提案する。ペーターもその提案に乗り、愛しい人との有意義な時間を手にする為、アリスと共にキングのもとへと向かうのであった。

ビバルディ 薔薇の女王END

ハートの城の領地内にある教会で行われている役無しの子ども達による聖歌隊(画像左の少年少女)の合唱を聞いている、アリスとビバルディ。

「嵐」の到来をナイトメアに告げられたアリスは、夢から目覚めた後、ハートの城の住人達から改めて「嵐」が来る事を告げられる。だが彼らの説明だけで詳しい事がわからなかったアリスは、改めてハートの城の女王であり彼女にとって大事だと思っている相手であるビバルディのもとへ向かう。ビバルディの方は「嵐」を嫌っているらしく、癇癪にも近しい八つ当たりを城の兵士やメイド達にしていたが、大好きなアリスが自分のもとにやってきた為、その癇癪を収めてアリスに「嵐」について話をしてくれる。ビバルディいわく、「嵐」が来るとハートの国の住人は皆、どこか「狂わされて」しまうのだという。ビバルディが「嵐」を嫌う理由は、過去「狂い」で散々な目にあってきたからだった。だが、彼女が言う「狂い」は、アリスからしてみればおふざけ程度で済む内容ばかり。「嵐」に対して不安があったアリスは、思うほど酷いものではないと知った事でひとまず安心する。

だがアリスが安心したとはいえ、ビバルディの方が落ち着いたわけではない。日に日に嵐の気配が濃くなる現実を前に、ビバルディは苛立ちを募らせていく。次々に彼女の憂さ晴らしの為に、使用人を処刑したり、役持ちであるキング、ペーター、エースに「嵐を止める方法を考えろ」などと無茶な命令を出したりし始める。そんな彼女をなんとか宥めようとするアリスは、彼女を連れて庭園に通うようになる。嵐の到来を前に部屋へ引きこもる事が増えたビバルディを心配し、気分を晴らす為にも外へ連れ出そうという魂胆だった。最初は嫌がるビバルディだったが、アリスと共に見た夕方の光景の美しさに心を奪われ、アリスと共に庭園での時間を過ごすようになる。
そんな風にして過ごしていく内に、アリスはビバルディが「嵐」を嫌う理由がもう1つある事に気づく。キングに恋していたビバルディは、「嵐」によって起こってしまう「狂い」をキングに見せたくなかったのだ。自分が「狂う(変化)」事を怖がるビバルディは、アリスに「自分を見捨てないでほしい」と頼む。アリスはそれを受け入れ「見捨てない」と彼女に約束する。だが嵐が来る前に事件が起こる。ビバルディの八つ当たりで行われている部下の処刑に、キングが口を挟んだのだ。普段は弱々しい態度で、ビバルディの尻に敷かれるだけの彼であったが、その時ばかりは毅然とした態度で彼女の行為を咎めた。アリスは傷ついたビバルディを休ませる為、彼女を自室に連れていく。その後、ビバルディの部屋を後にしたアリスのもとに、キングがやってくる。ビバルディが自分の言葉で傷ついたらしい事を知ったキングはその事に嬉しそうにする。ビバルディとキングが複雑で歪んだ関係を築いている事を知っていたアリスは、それに不愉快な気持ちになりながらもキングにその思いを伝える事はできなかった。

それからしばらくが経ったある時間帯。アリスはビバルディに呼ばれて謁見室に向かう。するとそこにはボリスがいた。どうやら何か頼まれ事があってビバルディに呼ばれたようだが、その内容が「ルール違反」になるとのことで断ったとのことだった。その後、アリスはビバルディを連れてハートの城の領地内にある協会へ向かう。そこでは小さな子ども達による聖歌隊の合唱が行われていた。最初は役無しの子供の合唱を聴かねばならない事に不服そうな様子を見せるビバルディだったが、実際に始まるとその美しさに心を奪われる。そのことに喜んだアリスはビバルディに、「また来よう」「『嵐』が来ても苛々しないような過ごし方を一緒にしよう」と提案する。それを聞いたビバルディも喜びながら、「嵐が終わってもこれから先もずっと一緒に過ごそう」とアリスに返す。この出来事以降、ビバルディが苛立った態度を見せなくなる。それにアリスが不思議に思っているとビバルディは「どれだけ変化しても、重要な部分は変わらないのだと思う事にした」とアリスにその理由を語る。ビバルディがそう思うようになった理由が、教会での出来事にある事を知ったアリスは、それを嬉しくなると同時に、自分にとって大事な人である彼女の事を守りたいと強く思う。
そうしてついに「嵐」の訪れる日がやってくる。「狂い」の結果、ビバルディはいつもよりも清楚で控えめなドレスに身を包んだ女性の姿に変化する事になる。ビバルディはアリスに「自分のどこが変わったか」と訊ねる。女王らしさとかけ離れているように感じたアリスは、自身が思った事をそのまま伝える。アリスの言葉にビバルディは「女王ではない自分はなんなのだろうか」と不安がる。そんな彼女にアリスは「ビバルディはビバルディだ」と返す。その言葉に励まされたビバルディはアリスにお礼を述べ、そのまま2人は穏やかな一時を共に過ごす。しかしそんな彼女達の前に、「嵐」によって若返ったキングが現れる。その姿は奇しくも、ビバルディが城にやってきたばかりの頃の、そして彼女がキングに惹かれ始めた頃の姿だった。そんな想い人に今の自分を見られたビバルディは、「女王らしくない自分の姿を見たキングは、きっと腹の中で笑っている」と落ち込んでしまう。
ビバルディを励ますアリス。おかげでビバルディの方もなんとか元気を取り戻す。すると懐かしいのキングと出会った事がきっかけとなったのか、ビバルディは自分がハートの女王になる前の「役無しの子ども」であった頃の話をアリスに始める。「役無しであった頃と、役持ちである今のブラッドでは全くではないものの別人である」と、自らの弟である帽子屋屋敷のボス・ブラッドについて語りだすビバルディ。その不明瞭な話の内容にアリスは困惑しながらも、彼女の話に耳を傾け続ける。

以降は、特に問題もなく穏やかな時間を共に過ごすビバルディとアリス。ある時間帯、アリスと一緒に遊覧船に乗っていたビバルディは、ふとアリスに「アリスと居て、他者に振り回されている事も悪くはないと思うようになった」と告げる。それは女王として、全ての事が自分の思い通りにならないと癇癪になる面があるビバルディが言うには予想外の言葉だった。ビバルディがいい意味で変化をしていると感じ取ったアリスはその事を喜び、彼女共にいられるこの時間を素晴らしいものだと感じる。
それからしばらくした数時間帯後。廊下を歩いているとキングと遭遇するアリス。アリスのおかげで、ビバルディが「嵐」の期間を穏やかに過ごせているということでお礼を言いに来たのだという。そんなキングにアリスは「そんな風に思う傷つけたりなどしなければいい」と返す。だがキングは「自分の言葉にビバルディが傷ついている間は、自分が飽きられていない証拠だから」とアリスの申し出を断る。そうして自分が求めるのは今のような姿のビバルディはなく、傲慢で血の色の似あう赤い女王姿のビバルディであることも告げ、「早く嵐が終わればいいのに」と言葉を続けながらアリスの前から去っていく。
後日、ビバルディと共に入浴をするアリス。するとその最中に「嵐」が終わり、全てが元に戻る。最初こそその事実に気づかなかったアリスだが、風呂からあがり、元のいつも通りのドレス姿に着替えたビバルディを見て、「嵐」の終わりを知る。いつも通りの見慣れたビバルディの姿に、先刻までの「嵐」の期間中の彼女の姿を思い返すアリス。しかしどちらの姿もビバルディであるからこそ好きだと思えたアリスは、見た目などではなく、彼女がビバルディであること自体に意味があるのだと再確認する。そうして、紅茶を飲みに行こうと言うビバルディと共にサロンへ向かうのであった。

ビバルディ 皆でランチEND

自身が主催のクレープパーティ用の生地を作ろうとするビバルディと、それを不安そうに見守るハートの城のシェフ。

本編内の一部選択肢にて、「薔薇の女王END」とは違う選択肢を選んだ時に解放されるEND。遊覧船の出来事までは同じストーリー展開が行われる。本ENDはその続きから開始されるものとなっている。
嵐の期間中、自分の為に色々と気を回してくれたアリスにお礼がしたいと、ビバルディ主催のクレープパーティーが庭園で開かれる。大勢との賑やかなランチを好むアリスに合わせて、ペーターにエース、キングも招いてくれたり、メイドやシェフの手を借りながらも自分でクレープ生地を作ったりと、アリスの為に奮闘するビバルディ。しかし元来あまり料理が得意ではない事もあり、薄い筈のクレープ生地がぶ厚くなってしまう。だが機転をきかせたアリスにより、それをパンケーキに見立て、パンケーキパーティーに催しものを変更することに。失敗してしまったこと自体は不満らしいビバルディだったが、パンケーキ自体は悪くないと思っているらしく、楽しそうに食し始める。
そんな自分の為に頑張ってくれた彼女の姿に、アリスはまたロリーナのことを思い出す。母代わりに台所に立ち、自分の為に料理をしてくれたロリーナ。そんな姉の姿に感じた安心感のようなものをビバルディにも感じていることに気づく。その事実にアリスは、ビバルディがいるこのハートの城が、今の自分にとっては安心できる「家」なのだということを実感するのだった。

ビバルディ ビバルディ・ブラッドEND

薔薇園にて、ビバルディとブラッドと共に過ごすアリス。

本編内の一部選択肢にて、「薔薇の女王END」「皆でランチEND」とは違う選択肢を選んだ時に解放されるEND。「嵐」到来後、アリスとビバルディがキングと遭遇するまでは、同じ物語が展開される。本ENDはその続きから開始されるものとなっている。
キングと遭遇してから数時間帯後。アリスはブラッドを訪ねに、帽子屋屋敷の薔薇園へ向かう。そこではアリスが来るのを察知していたブラッドがお茶の用意をして待っていた。共に語らっていると、ビバルディも現れ、3人でのお茶会が始まる。ブラッドは初めて見るビバルディの変化に驚くが、すぐにいつも通りの気だるい調子に戻る。しかし「女王らしくない」その姿に、彼女が役無しであり、ただの自分の姉であった頃を思い返してしまう。それをきっかけに「昔」の話を始める2人。だが「過去も未来も意味はない」と2人は思っているらしく、その事を知ったアリスは、その言葉に寂しさを覚える。時間の狂ったこの世界で生きる彼らにはわかってもらえない感覚ではあったが、しかしビバルディは今回ばかりはその感覚がわかる気がすると返してくる。そうして「もしかしたら遠い昔、自分も同じように思っていたことがあったのかもしれない」と続ける。
それからさらに数時間帯後、夜の時間帯。再び薔薇園でブラッド、ビバルディと共に過ごすアリス。ブラッドはアリスがビバルディにロリーナの姿を重ねていることに気づいているらしく、そのことを追求してくる。痛いところを突かれたアリスは言葉に詰まりそうになるが、「この世界に残るのを選らんだのは自分だ」と返答する。またブラッド曰く「嵐」が終ると「狂い」に関する出来事は忘れる可能性が高い、とのことだったが、しかしこうして2人と共に過ごした時間をビバルディに忘れてほしくないとアリスは願う。そんなアリスにビバルディは「絶対に忘れない」と約束する。そうしてその証にとアリスに口づけをしてくる。いつもの薔薇園での遊びの延長線にも似たことだったが、姉だけがアリスに手を出すのはずるいと、ブラッドも間に入ってくる。逃げ場を失ったアリスは、この薔薇園のみで生まれる2人の倒錯的な世界に飲み込まれていくのだった。

遊園地

ボリス 優しく閉じ込めてEND

舞台衣装に着替えたアリスを見に来たボリス。

「嵐」がやってくるという事で、途端大忙しになる遊園地。面白いことが大好きな愉快なメンバーが揃う遊園地では、「嵐」の到来は一種のお祭り騒ぎに等しい事らしく、「嵐」を楽しむ為のイベントを行おうとその準備におわれる事になる。
アリスも遊園地に住まわせて貰っている者として、園内の飾り付けなどの手伝いを行っていく。そんな時、恋人のボリス=エレイから「ショーで手品をやろう」と持ちかけられる。ボリスの言う「ショー」とは、「嵐」の期間中に園内で開催される従業員のみの宴で行うショーの事で、遊園地で働く者は全員強制参加のイベントとなっていた。人前に出る事が苦手な上に、ショーだなんて華やかな事をやってのける自信もないアリスは、ボリスの提案に消極的だった。だが結局は彼に押し負ける形でショーに出る事になる。

しかし手品をするはいいものの、何をすればいいかまでは決めていなかったボリスは、アリスを連れて友人である帽子屋屋敷の門番・ダンプティのもとへ向かう。ダンプティは趣味で様々な薬を作っており、そんな彼に頼めば手品で使えるいい薬ができる筈だというボリス。だが、ダンプティの作る得体の知れない薬を飲む気がわかなかったアリスは、ダンプティの薬を拒む。だが後日、薬を持ってダンプティと彼の片割れであるハンプティがアリスのもとへやってくる。仕方なく受け取るアリス。しかしその時、ナルシストで自信家のきらいがあるハンプティがアリスを口説き始める。すると、それを見てしまったボリスが怒る。アリスをハンプティから奪い返し、ハンプティ&ダンプティを帽子屋屋敷へと追い返す。しかし追い返してもハンプティへの怒りが覚めやらないボリス。「アリスがいつでもかえれる、割れる事ができる『卵』だから、あいつらに狙われているのだ」と、怒りの理由をアリスに告げるが、アリスの方はその言葉の意味がわからず困惑する。

以降、不穏な空気が間に漂うようになってしまうボリスとアリス。しかしそんな2人の事情とは別に、遊園地の方は次第に近づいてくる嵐の気配に、園内は日に日に増して明るく賑やかなムードになっていく。アリスとボリスも近づくショーの準備を進めていくが、その最中、ダンプティが作った薬を飲んだボリスが高熱を出す事件が発生してしまう。アリスは原因となった薬を作ったダンプティに、治療方法はないのかと確認しに向かうが、そこでハンプティと遭遇。今度は口説くだけではなく、キスまでされてしまう。どうにかハンプティのもとから逃げ出すも、恋人ではない男とキスをしてしまった事への罪悪感がアリスの中を支配する。アリスはボリスには「決して教えられない」と今日あった出来事を自分の中に仕舞い込む。
その後、ボリスの方はアリスの甲斐甲斐しい看病もあって無事回復。その事に安堵しつつも、アリスの方はボリスへの罪悪感が日に日に増していた。するとボリスが回復してからしばらくした時間帯に、アリスは彼がダンプティづてにハンプティとの間に合った事を教えられたと知る。怒り狂ったボリスはハンプティを殺しに行こうとするが、人殺しはいけないと考えているアリスはそれを止める。恋人が他の男をかばった事で、さらに怒ったボリスは、自分の「力」を使って己の自室を花畑とベッドしかない不思議な空間へと変え、そこへアリスを閉じ込めてしまう。以降、アリスはボリスに軟禁される生活を送る事となる。だがアリスはボリスを怒らせた自分の方に罪があると、彼からの仕打ちを受け入れる。しかし数時間帯後、ボリスが周囲にアリスを軟禁している事を隠し通すのが難しくなってきた為に、彼女は解放される事となる。だがアリスが他の男をかばった事により、ボリスの中には「アリスがどこか他のところへ行ってしまうのではないか」という不安が生まれており、それは拭えないまま、2人の軟禁生活は終わりを告げてしまう。

その後、ギスギスした空気を残したまま、「嵐」の期間へ突入するアリスとボリス。「嵐」がボリスに連れてきた「狂い」は、彼の外見年齢の変化だった。自分と同じぐらいか、少し年下ぐらいの容姿になってしまった恋人に驚くアリス。だがボリス本人は気づいておらず、「いつも通り」と言い張る。「嵐」の期間が終わるまで幼くなった恋人と過ごすようになるアリスは、そこで彼の言動までは年齢通り幼くなっている事に気づく。いつもは飄々とした雰囲気で、その心の内をはかりづらいところがあるボリスだったが、精神年齢が幼くなったせいかいつも以上に表情が豊かで、何を考えているのかわかりやすくなっていた。アリスはそんな彼を気に入り、可愛がるようになる。
だがボリスの方は「嵐」の期間になった途端、異様なまでに自分を可愛がるアリスに「元の自分よりこっちの方がいいのかもしれない」不安を覚え始める。そんな彼に気づいたアリスは、「どんな姿でもボリスはボリス」と告げる。そこでアリスの言葉にホッとしたボリスは、「嵐」が去った直後、自分の恋人に手を出した男・ハンプティに改めて牽制をしに「殺しをしない決闘」を申し込みに行く。それを知ったアリスは、慌ててボリスの後を追ってハンプティのところへ向かう。既に決闘は始まっていたが、ダンプティの手助けのもと、アリスはなんとか2人の決闘を止める事に成功。ボリスを連れて遊園地へ帰る。

遊園地に戻ったアリスは、ボリスの中の不安を完全に拭い撮る為、彼が自分を軟禁する際に使っていた鎖を取り出してもらい、それをボリスにつける。普段のアリスなら決してしないその行動に驚くボリス。そんな彼にアリスは「普段しないような事をするぐらいにボリスが好きなのだ」と、改めて自分の想いを彼に告げる。アリスの言葉に自分の中の不安が一掃されたのを感じたボリスは、アリスの想いに応えるように彼女と口づけを交わす。
それから数時間帯後、アリスはボリスと共に遊園地でショーを行う。実はダンプティの薬の失敗やハンプティの件が原因で、アリスとボリスは「嵐」の期間中に手品ショーを行う事ができずにいた。そんな2人の為に、ゴーランドが特別ショーをする時間を設けてくれたのである。やる事は、普段から遊園地のショーで使われている仕掛けボックスを使った、簡単な脱出マジックだった。ボリスはアリスに「猫」のように見える舞台衣装を着せたがっていたが、アリスはそれを断り、おとなしめの衣装に身を包み舞台にあがる。マジックは無事成功に終わるも、その直後、ボリスが予定外の演出としてアリスの着ている服を彼女が嫌がっていた猫のものに変えてしまう。観客は喜ぶが、予定外の演出に驚いたアリスは、自分の身に起きた事を上手く理解できないまま、ボリスと共に舞台袖へはける。
その後、自室に戻ったアリスはボリスに強請られ、「1時間帯だけ」という約束で猫の衣装のまま彼と過ごす事になる。チェシャ猫であるボリスは、自分と同じような猫になったアリスを喜び、彼女を抱きしめる。そうして嬉しそうに「閉じ込めた」と言葉をこぼすのだった。

ボリス 優しく繋いでEND

少年姿になったボリスを可愛がるアリス。

本編内の一部選択肢にて、「優しく閉じ込めてEND」とは違う選択肢を選んだ時に解放されるEND。アリスに鎖で繋がれた話までは共有のエピソードとなっており、本ENDはその続きから開始されるものとなっている。
アリスによってボリスが鎖で繋がれた生活が始まってしばらく。ボリスはアリスによって鎖を外され、普段と何も変わらない日々が戻ってくる事になる。そんなある日、アリスとボリスのもとにダンプティが遊びにやってくる。3人は園内のオープンカフェで共にお茶を飲みながら、「嵐」の期間中の話をする事になる。
自分の外見年齢が変わっていた事をアリスから教えられ、驚くボリス。しかしそれも一瞬で、大した変化じゃなかった事に落ち込む。どう考えても驚くべく変化にしか思えなかったアリスは、そんなボリスの態度の意味がわからずに困惑する。だが「いつでもなれる」とボリスが言い出した事で、事態が一変する。ボリスとダンプティいわく、この世界において外見年齢というのは、その人の意志によって簡単に変えられるものなのだという。とはいえボリスは、今の姿が気に入っている為、変えるつもりはないとのこと。だが、簡単に姿を変えられると知ったアリスは、あの可愛かった少年のボリスをもう一度見たいという思いに駆られ、ダンプティが帰宅した後、ボリスの自室にて少年の姿になってほしいと頼み込む。嫌がったボリスだったが、アリスの必死な頼み込みに折れ、「自分の出すなぞなぞに正解したら、変わってもいい」と条件を出す。その条件を飲み込み、ボリスのなぞなぞに挑むアリス。結果、アリスはボリスの外見年齢を変える事に成功する。少年姿になったボリスを、ここぞとばかりに可愛がり始めるアリス。そんな自分の恋人の様子に、ボリスは複雑な気持ちになる。そんなボリスに、アリスは「ボリスだから、こんなに可愛いのだ」と彼に伝える。そうして思う存分ボリスを可愛がり続けるのだった。

ゴーランド ミュージカルEND

自分の好きな物語についてアリスに熱弁するゴーランド。

滞在先に遊園地を選び、なおかつゴーランドを選択した場合に発生するルート。
「嵐」の事を知ったアリスは、滞在先のオーナーであり自身の恋人でもあるゴーランドに嵐についての話を聞きに行く。そこでアリスは彼から嵐の期間中はアリスを除く住人達全員が、どこか一部が狂ってしまう事を教えられる。自分の知っている嵐とまるっきり違う「嵐」に驚くアリスだが、お祭りごとが大好きな遊園地の住人達は、ゴーランドを筆頭に、きたるべき「嵐」の日に向けたイベントの開催を企画していた。遊園地らしい催し物として、ステージを使った出し物を企画するゴーランド達。アリスも遊園地メンバーの1人として、ゴーランドが居るミュージカルを行うグループのメンバーとなる。さらにミュージカルは、ゴーランドが好きだという物語をミュージカル用に改変して行う事になり、アリスはヒロイン役として舞台にあがって欲しいとゴーランドに頼まれる。しかし、演技に自信がなかったアリスはゴーランドの頼みを断る。加え、演奏の下手なゴーランド自身が舞台でヴァイオリンを弾くという流れになっていた為、彼の演奏で客に迷惑がかからないように音響係として裏方メンバーと対策を練る事に決める。ゴーランドはそれを不満に思っていたものの最終的にはアリスに説得される形で受け入れる。

こうして「嵐」の期間に向けて、本格的にミュージカルの練習がスタート。アリスも裏方メンバーとして練習を行う。しかし「嵐」が近づけば近づく程、アリスは自分以外の皆が変わってしまうという「嵐」の期間に不安を覚えるようになってしまう。そんな中、アリスがゴーランドが演奏するミュージカルに出ると知ったハートの城の宰相・ペーターが、アリスが舞台に出るのを嫌がっていると勘違いし、彼女を出演させないようにする為の勝負をゴーランドに持ちかけるという事件が発生。アリスが止めるのも聞かず、ゴーランドは園内にあったカーレースを用いて、ペーターと勝負を行う。接戦する戦況に、アリスは思わずゴーランドに向けてエールを送る。結果、アリスのエールを力に、ゴーランドはペータに勝利。負けたペーターは、「負けては仕方ない」と去っていく。
不安はつきないものの、ペーターの件を通してゴーランドとの恋人としての絆を深めたアリス。改めてゴーランドへの想いが確かなものである事を自覚したアリスは、「嵐」への不安を抱えつつも、「嵐」当日を迎える事になる。「嵐」の到来の結果、ゴーランドは普段着ている奇抜な衣装が、彼の元来の身分である「侯爵」に相応しい貴族然としたものになる。そんなゴーランドの姿にアリスは、彼が本当は一般人の自分では釣り合わない身分の人間である事を思い出し、落ち着かなくなってしまう。
後日、「嵐」期間に突入した遊園地では、予定通り催し物を行う。ミュージカルも無事に開演される。そこでアリス達はゴーランドのヴァイオリンの腕前が驚くほどに上達している事を知り、「嵐」の影響が彼の音楽家としての技術にも出ている事に気づく。だが彼の演奏シーンが終わる前に、「アリスを舞台から助ける」という理由でペーターが舞台に乱入してくる。アリスを舞台からおろす事を諦めていなかったペーターは、アリスを遊園地から連れ出そうとする。さらにはそれを止めようとしたゴーランドとボリスと銃撃戦を繰り広げる。埒が明かないと思ったゴーランドは、遊園地の外へアリスを連れて逃げる事にする。
逃げた先の林の中で息をつく2人。しかしそこでゴーランドがドジをしたせいで近くの川に落ちてしまう。落ち込むゴーランドを見たアリスは、外装がどれだけ変わってもゴーランドの中身は何も変わらない、彼は彼のままなのだと気づき、胸の中の不安が昇華される事になる。
後日、改めて遊園地にてミュージカルの再演が行われる。今度は無事に終わったミュージカルに安堵するアリスとゴーランド。すると、公演後のお客が居なくなったステージで、ゴーランドがアリスにむかってプロポーズのようなセリフを口にする。それはアリスがミュージカルにてヒロインを演じていた場合に、ゴーランドが演じる主役がヒロインに向かって言う筈のセリフだった。アリスへの愛を舞台で表現したかったというゴーランド。そんな彼から自分に向けられる真剣な思いを感じ取ったアリスは、その事を嬉しく思い、彼から向けられる愛を噛みしめるのだった。

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