ハートの国のアリス(ハトアリ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハートの国のアリス』とは、QuinRoseから発売された童話『不思議の国のアリス』がモデルの恋愛アドベンチャーゲーム。QuinRoseの看板作品の1つ。不思議な「白ウサギ」によって、ある日、銃弾飛び交う物騒な世界「ハートの国」に連れ去られてしまったアリス。アリスは非現実過ぎるこの出来事を「夢」だと受け入れ、夢から目覚めるまでの間、ここでの暮らしや住人達との交流を楽しむことにする。

『ハートの国のアリス ~wonderful twin world~』内で起きる、非常に珍しい「現象」。住人達からは「嵐」や「風が来る」と呼ばれている。
時間が狂っているこの世界から生まれた歪みの皺寄せらしいが、詳細は不明。到来すると、余所者を除く全住人が必ず1つ以上どこかおかしくなってしまう。訪れる前には、やや強めの風が吹くなどの予兆、先触れが存在するが、基本的には感覚で察知できるのだそう。
領土別の強風後、空が明滅。以降、数時間帯は容姿や性格などの1部が変化してしまう。変化の内容は皆違う。しかし「嵐」の間は自身が変化したと感じることはない。その上、「嵐」が過ぎると変化に関する記憶がぼやけ、変化そのものを認識できなくなる。しかしあくまでも自身の話であり、他者の変化に限ってはそうではないらしい。その為、自分の変化を知りたい者は他者に尋ねるのが有効といわれている。
尚、「嵐」を嫌うビバルディとブラッド、「嵐」そのものに興味のないペーターやユリウスらは、これまで知ろうとしてこなかったもよう。

領土

ハートの国の中にある4つの領土。ハートの女王が治めるハートの城、帽子屋ファミリーが治める帽子屋屋敷、侯爵メリー=ゴーランドが治める遊園地、そして時計屋の住む時計塔と時計塔広場の4つがある。
ハートの城、帽子屋屋敷、遊園地は互いにその領地を巡って争う関係にある。3つの領地の真ん中に領地を構える時計塔、時計塔広場のみが唯一の中立立場となっている。

ハートの城

ハートの女王ビバルディが治める城。赤薔薇が咲く迷路状の庭園と、至るところに赤いハートのモチーフが施された白壁が特徴の城となっている。ビバルディ以外の役持ち、アリスからは「目に痛い城」と言われている。メイド達も赤いハートが装飾された、黒が基調の制服を身に着け、その頭にも赤いハートが並んだカチューシャを装着している。同じく黒が基調の制服を身に着けた兵士の胸には、数字が表記されており、槍が武器として装備されている。いずれも黒髪で、控えめで従順な人柄の使用人達となっている。

帽子屋屋敷

帽子屋ファミリー本拠地の屋敷であり、ブラッドの私有地。ティーポットデザインの噴水に、常にお茶会の準備がされた広大な庭がある。秘密の通路や武器庫、隠し部屋も多く存在。庭の一角には赤薔薇の咲き誇る薔薇園があるが、ブラッドの許可なしに入る事は不可能。
使用人は白を基調にトランプマークが各所あしらわれた制服を着ている。なお、男性はいずれも毛先が跳ね、女性はいずれも巻き毛にツインテールの金髪となっている。

遊園地

メリー=ゴーランドが運営する遊園地。ジェットコースターやコーヒカップといった定番な乗り物から、カート乗り込み型ホラーハウスといった独特なものまで存在しており、売店のワゴンカーや電飾フロートなどといった非常に現代的な設備も多く見られる場所となっている。園の中心にはゴーランドの邸がある。煉瓦色の壁に馬のデザインが多く施されており、屋上にはメリーゴーランド状の装飾と、遊園地らしい派手な外装の屋敷となっている。
尚、遊園地のメンテナンスはボリスが行っているらしい。銃器を改造できる器用さを買われてのことのようだが、時々無断で無茶な改造やピンク色に塗り替えたりすることがある為、ゴーランドを激怒させている。
従業員は男女共に黄色を基調とした制服に、水色の触覚などの飾りを着用。非常にパワフルで明るい者が多い。

時計塔

3つの領地の真ん中にある広場と、高い塔。広場は民家や商家に囲まれた、中立地帯となっている。広場にはローマ数字のついた細い石塔が円状に並んでおり、その中心に時計塔である塔が建つ形になっている。時計塔には、塔半ばの高さに2本の針が突き出ており、上空から全体を見渡すと時計に見えるように構成となる。
塔の内部は、歯車や機器で埋め尽くされている。長居階段の先にはユリウスの私室兼作業場である居住スペースと台所、それからハートの国を一望できる回廊型の展望スペースがある。
ユリウス以外で塔に常在している者はいない。時計の修理を拒む者や、奪われた時計を強奪しようとする者、または時計に関する怨恨で彼を襲撃する者達が現れることがあるが、それらの撃退は全てエースが行っている。

『ハートの国のアリス』のアイテム

ハートの小瓶

アリスがペーターに無理やり飲まされた薬が入っていた、ガラスの小瓶。クリスタルのような透明な筒状をしており、ハート型の彫り物がされている。蓋の部分にもハート型のガラスの装飾がされている。薬自体はアリスをゲームに参加させる為に必要なものだったよう。アリスが薬を服用した後は空っぽになっていたが、彼女が住人達と交流していく内に薬が溜まっていくようになる。
ナイトメア曰く、この中身が満タンになった時、元の世界に帰ることができるとのこと。その為アリスは、元の世界に戻る為にこの世界の住人達と強制的に交流していくことになる。

砂時計

ターン制からノベル形式のシステムに変わった『新装版 ハートの国のアリス』まで使用されていたアイテム。各攻略キャラのイベントの発生条件であった「時間帯」の変更の為に使用されていた。選べる時間帯は、昼・夕・夜の3つ。国のいたるところに落ちており、訪問先のキャラがいない時やミニゲームの戦利品として入手する事が可能となっていた。
なお、時間の単位なるものはこの世界にも存在しているが、3つの時間帯がランダムで入れ替わるせいで意味を為していないもよう。住人達もこの3つの時間帯を基準にして暮らしているらしい。

『ハートの国のアリス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

年齢制限が「全年齢対象」から「CERO:C(15歳以上対象)」に設定し直された移植版

年齢制限があがった移植版(PS2版)『ハートの国のアリス』のジャケット。

『ハートの国のアリス』の原点であるPC版『ハートの国のアリス』の発売時、本作は全年齢対象作品として売り出されていた。しかし、PS2版・PSP版の移植においては「CERO:C(15歳以上対象)」に設定し直されている。その理由としては、『ハートの国のアリス』内のCGやテキストにて「全年齢対象」というには際どい演出が多かったからである。そこで改めてプレイヤーの年齢層の見直しが行われ、「CERO:C(15歳以上対象)」までCEROレーティングを上げる次第となった。
なおこのCEROレーティングの設定は、「ハートの国」以外を舞台とした同シリーズのソフト毎に異なっており、「CERO:B(12歳以上対象)」や「CERO:D(17才以上対象)」のものもある。

新装版『ハートの国のアリス』の原画・藤丸豆ノ介はコミック版の『アリス』シリーズを手掛けていた漫画家

藤丸豆ノ介が制作した『ハートの国のアリス』のスピンオフコミックの表紙。

『ハートの国のアリス 新装版』以降、本シリーズのイラストを担当している漫画家の藤丸豆ノ介。実はコミック版の『アリス』シリーズを手掛けていた漫画家である事が発覚している。
『ハートの国のアリス』は、本作の大筋(真相ENDに纏わるストーリー)をメインとした漫画に加え、各攻略キャラクターとアリスの恋愛をメインに描いた漫画、公式によるアンソロジーコミックなど様々な漫画が出版されている。その中でも藤丸豆ノ介は『アリス』シリーズのアンソロジーコミックや各攻略キャラクターとの恋愛漫画等、本シリーズ関連の漫画を多く制作している。藤丸豆ノ介の漫画から本作を知ったというプレイヤーも多く、ファンの間では名の知れた作家だ。藤丸豆ノ介が新たなイラスト担当として起用された理由は明かされていないが、藤丸豆ノ介から本作シリーズに触れる者が多かった事を見た公式が、藤丸豆ノ介の絵から本作に触れたファンが親しみを持ちやすいようにと起用した可能性があるとファン間では推測されている。また藤丸豆ノ介自身の絵も高い人気があった為、その事も藤丸豆ノ介がイラスト担当として起用された理由だったのではないかという話も存在している。
なお、かつての絵柄も独特で印象的なものだった為、昔からのファンの間ではイラストの変更に寂しがる声もあげられたが藤丸豆ノ介自身のイラストを否定する意見はなかった。藤丸豆ノ介がいかにアリスシリーズのファン間において有名かつ人気のある漫画家であった事がわかるエピソードである。

2015年に事業停止した開発元のQuinRose

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