【刀剣乱舞】明治天皇のコレクションだった刀剣まとめ！鬼丸・小烏丸・平野藤四郎・一期一振・鶴丸・獅子王・鶯丸など多数！【とうらぶ】

明治天皇は刀剣がお好き

長年侍従として仕えた慈光寺仲敏によれば、天皇の刀への思い入れは相当なものだった。

＜随分沢山刀剣がございました。平生ご学問所の御床間には御刀掛がありまして御秘蔵と申し上げても宜しいのは、それをお飾りになりました、且又外に御剣棚があり御箱に入れたのもありました、さうして御剣係と云ふものがありまして、毎週二回月曜日と水曜日に御剣係が出まして御拭ひをいたしました＞（『談話記録集成』第三巻）

長年侍従として仕えた慈光寺仲敏の証言

床の間には名刀が並び、相州・備前・粟田口をはじめとして古今の名刀を集められるのがお楽しみであったようです。

皇族、梨本宮守正王妃、伊都子妃の証言。

陛下にはまた非常に御眼識高く、下様の刀剣愛好家等が、刀剣といへば正宗、郷義弘、貞宗等を好まるると全く趣きを異にせられ極めて平凡なる、古備前物等を御愛好あり、先づ玄人好みを申し上げて然るべきか、御鞘、御金物等の御好みも中々専門家も及ばぬほどの御研究を積ませらるるように拝察しています。古刀剣の御手入は、日を定めて夫々お役の者参殿して、一々御指揮によってするのでございますが、空模様が少しでも曇っているときには、如何に一同打ちそろい、御手入れにまかり出でても、決してお許しがなく、止むを得ずそのまま下がるようなことが少なくございませんでした。

係りに任せているとはいえ、天皇はコレクションの全てを把握していた。

＜御目録は終始御手許にちゃんとございます。時々御座所でお抜きになりまして御覧になつて居る。さうしてものによつては今村とか竹中に、これを鑑定せよと言つて鑑定を御させになる＞（『明治天皇の御日常』）

-宮中顧問官、明治天皇の御刀係であった日野西 資博子爵の証言

コレクションの中にはこんな刀も…

水龍剣（すいりゅうけん）は、奈良時代（8世紀）作の直刀。明治天皇の愛刀である。国の重要文化財に指定されている。指定名称は「直刀 無銘」。この直刀は奈良正倉院北倉に刀身だけが所蔵されていたもので、『東大寺献物帳』には記載されていないが、聖武天皇の佩剣と伝えられる。
明治5年（1872年）に行われた正倉院宝物修理の際、宝物を鑑賞した明治天皇がこの直刀を気に入られ、手元に留めた。刀剣愛好家でもあった明治帝は、当代随一の彫金家として知られた加納夏雄に拵えを制作させ、明治6年（1873年）、宝剣拵の外装が完成し、明治帝はこれを「水龍剣」と号して佩用した。

コレクションではありませんが、こんなエピソードも…

明治14年（1881年）東北、北海道を巡幸した明治天皇は、米沢市の上杉家に立ち寄り休憩したが、明治天皇は無類の愛刀家であり、伝来の名刀の数々の閲覧に夢中になるあまり、翌日の予定をキャンセルするという事件があった。中でも、この姫鶴一文字を特に気に入り、押形（刀身の拓本）を持ち帰った。

姫鶴一文字は上杉謙信、景勝の愛刀と伝わる物。
公務の予定をキャンセルしてしまうほどの熱の入れよう

戦後、廃棄、散逸してしまった刀剣たち

太平洋戦争（大東亜戦争）終結後、日本刀を武器であると見なした連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）により刀狩が行われ、蛍丸を始めとした数多くの刀が遺棄・散逸の憂き目にあった。GHQに没収された刀の多くは赤羽にあった米軍の倉庫に保管され、占領の解除と共に日本政府に返還された。しかし、元の所有者が殆ど不明のため、所有権は政府に移り、刀剣愛好家の間でこれらの刀剣は「赤羽刀」と呼ばれている。

美術的価値のあるものは返却されたものもあるようだが、中には「蛍丸」のように1931年に国宝指定を受けながらも、太平洋戦争終戦時の混乱の中で行方不明となったものも。一説にはGHQによって廃棄された可能性もあると言われている。

皇室にあったものがなぜ「東京国立博物館」へ？

太平洋戦争が終結し日本国憲法による新体制が発足すると、皇室財産は国に属するものとされ、刀剣類の一部は御物（皇室私有品）に留まったが、水龍剣は他の幾つかの刀剣類と共に昭和22年（1947年）、国立博物館（東京国立博物館）に移管された。以後は同博物館に所蔵され、昭和32年（1957年）に重要文化財指定を受けた。

戦後、天皇個人の財産ではなくなったが、明治天皇の元へ集められたが故に、手厚く扱われ、散逸を免れたと言える。