戦姫絶唱シンフォギアXV(第5期)のネタバレ解説・考察まとめ

『戦姫絶唱シンフォギアXV』とは、サテライト制作により2019年7月に放送された日本のSFアニメである。
2012年から長きに渡って続いた戦姫絶唱シンフォギアシリーズがついに今回の5期を持って完結となっている。
クライマックスにしてさらに過酷な運命の到来を予感させた、前作の4期に直接的に繋がる本作。これまでのキャラクターに加え新たなキャラクター、楽曲を迎えることで、最大スケールのドラマとバトルを描いている。歌曲と物語の融合を目指した、戦姫絶唱シンフォギアシリーズの集大成にして最新作である。

『戦姫絶唱シンフォギアXV』の概要

『戦姫絶唱シンフォギアXV』とは、サテライト制作により、2019年7月に放送された日本のSFテレビアニメである。
7年にわたってシーズンを重ね、本作は2016年2月28日の「シンフォギアライブ2016」にて4期と共に制作決定が発表されていた。その後、2018年3月3日開催した「シンフォギアライブ2018」初日に放送時期、翌4日開催の2日目にタイトルが発表された。1期の頃から考えられていたというラストに向け、物語は最後の激闘へと突入する。前シーズンより直接的に繋がる本作は、新たなキャラクター、新たな楽曲を迎えることで、シンフォギアシリーズ最大スケールのドラマとバトルを描いている。
本作は4期で戦った、暗躍してきた秘密結社「パヴァリア光明結社」の残党が現れる。結社を退けたはずのS.O.N.G.は、南極に出現した棺とその中の「シェム・ハの腕輪」を巡り結社の残党と激しい死闘を繰り広げることになるのだ。
これまでの戦いも壮大なスケールを誇っていたが、彼女達の歌や戦闘は更にパワーアップされている。
シンフォギアシリーズは歌いながら戦闘を繰り広げるが、CDに収録されたものではなく、各話ごとに都度、声優が歌をアフレコしており、物語の進捗やキャラクターの成長に応じて歌い方が変わっていたり、戦闘シーンにおいても臨場感が増す一因となっている。劇中歌も物語を盛り上げる大きな要素であり、2018年3月にはライブイベント「シンフォギアライブ2018」が開催され、更に「シンフォギアライブ2020」が開催予定であり、その楽曲もシリーズの魅力のひとつである。

『戦姫絶唱シンフォギアXV』のあらすじ・ストーリー

EPISODE 01「人類史の彼方から」

施設の暗がりを這いずる血みどろの雄は、自身の権限を以って装置を起動させる。それがいかなるものであるのか、詳らかにされないまま、全ては闇黒に没する。ただ一言、情を交わしたヒトの名を遺して。
時は過ぎて現代。南氷洋に日本政府の特務機関S.O.N.G.本部は浮上し、作戦行動を展開していた。目的は、「棺」と呼ばれる遺跡の観測と対策の検討。だが、打ち立てた想定のほとんどは覆り、ロシアの南極観測隊を守るべく、想定範囲外の事態となる。棺そのものとの直接決戦にもつれ込んでいくのであった。
装者の技量、そのバトルスタイルに応じて系統的、段階的に限定解除される構造となって新生したシンフォギアは十全に機能して不足はない。だが、棺の攻撃は、かつての難敵と並ぶほどに強烈苛烈。埒外の物理法則は、たちまちに装者たちを蹂躙するのであった。昏倒する6人、薄れゆく意識の中で第3号聖遺物ガングニールのシンフォギア装者の響が思い起こすのは、事の始まり。それは、己が手に何を信じて何を握るのかを問われる、まだ見ぬ残酷の幕開けでもあった。

EPISODE 02「天空が墜ちる日」

南極に浮上した棺には、アヌンナキと推定される謎の遺骸が収められていた。
最高レベルの警戒態勢の中、遺骸を狙って強襲しに来た、パヴァリア光明結社が保有していた実験体のエルザ。そこへシンフォギアの適正を訓練と投薬によって引き上げ装者となった切歌と調が向かい戦闘。エルザは閉所にして見通しの利かない状況を作り出し、長物と機動力を封じるが、調のシュルシャガナと切歌のイガリマをユニゾンさせたザババの刃は、これまでのユニゾンの積み重ねがもたらす対応力にてエルザの撃退に成功する。
一連の事態に無遠慮な介入を見せつける米国に対し、苛立ちを隠せないS.O.N.G.の初代司令にして、風鳴機関総帥の風鳴訃堂。
第1号聖遺物天羽々斬のシンフォギア装者であり、トップアーティストでもある翼は、新たな脅威に心を乱され、稽古に熱が入らない。そんな翼にガングニールとアガートラームの二つのギアを纏うマリアは、ステージの上も翼にとっての戦場だと言う。思うところはあるが指摘を受け入れた翼は、マリアも一緒にステージに立ち歌って欲しいと頼むのであった。
凱旋公演当日。10万の人々に埋め尽くされ、オープニングサプライズとして翼と共に登場したマリアの姿に誰もが驚愕する。以前の公演では特異災害であるノイズの襲撃に遭い、果たすことが出来なかったセットリスト。その続きは、聴く者の胸を沸騰させるのであった。音と光が融け合う空間に想起されるあの日の奇跡。だが、またしても会場にノイズと、パヴァリア光明結社の元構成員ミラアルクが現れる。ミラアルクは翼を狙い、会場にいた女の子を捕まえ翼の目の前で躊躇もなく殺してしまう。

EPISODE 03「Penny Dreadful」

恐怖の一夜より脱出を果たす翼、マリア、S.O.N.G.のエージェント緒川であったが、また大切なものを守れなかった翼のダメージは激しく、一人回復が遅れていた。
翼の公演で7万を超えてなお増え続ける死者。結社残党にしては規模が大きすぎて、犠牲者が多すぎることから、裏に支援する組織があるのではと予感する一同。ちょうどその裏でミラアルクとエルザは、黒ずくめの男たちと接触を果たしていた。危険運転常習集団により、容赦なく牙を剥くミラアルクとエルザ。最後の目撃者が解体されようとしたその時、空から響と第2号聖遺物イチイバルのシンフォギア装者である第一種適合者、クリスが舞い降り装者二人の活躍に加え、コンディションの不調から圧倒されるミラアルクとエルザ。手にしたアタッシュケースを持ち帰るべく速やかなる撤退を選択するものの、狙い澄ましたクリスの銃口が追いすがる。しかし、ミラアルクとエルザを取り逃がしてしまう。だが、アタッシュケースより押収された稀血によって結社残党の目的の一端へとたどり着く。
状況と過去の経緯から導き出されるのは、これまで幾度となく干渉してきた米国政府の影。そして、ヴァネッサがシェム・ハの腕輪を取りに行った訳は、黒幕の指示だった。その黒幕の正体は訃堂であったのだ。

EPISODE 04「花の名は、アマルガム」

この地、この刻の天地に描かれるレイラインによって鼓動するシェム・ハの腕輪。全ては、神の力を手に入れようとする訃堂の思惑であった。
不協和に奏でられる音の羅列に続いて大噴火する人体が、蜘蛛の結界を突き破る。駆けつけた装者たちと相対する、パヴァリア光明結社の残党を率いるヴァネッサは、戦う理由を語る事で響を翻弄する。ペースを乱されながらも理解を深めようとする響を拒む。その言葉は、異質と隔たれた存在が覚える諦観からくるものであった。
起動儀式の祭壇より、逃走を果たす結社内に存在しない部隊のノーブルレッドと訃堂。だが、装者を「強き相手」と括った高に、弱さを知るマリアの機知が付け入られると、ここに盤面は覆り、シンフォギア装者たちの反撃が総力をもって開始される。圧倒的な彼我の戦力差だが、それでも背を向けずに迎え撃つノーブルレッドの不敵な笑み。ピラミッドの迷宮に囚われてしまい、閉鎖空間で圧縮した衝撃波で攻撃され昏倒してしまう。朦朧とした意識の中、パヴァリア光明結社に幹部として名を連ねる錬金術師サンジェルマンと会い、投げ掛けられた言葉に響は、花咲く勇気を思い出すのであった。

EPISODE 05「かばんの隠し事」

握られた拳はヴァネッサの猛襲をぶち抜き、ついに彼女の眼前にて開かれた。怪物が背負う罪は「悪」そのものなれど、心の奥底に悲しさを感じ取る響。再度対話を試みるものの、その勇気は日本政府からの命令によって踏み躙られてしまう。
日本政府より突如にして不自然、かつ強引に執行される本部への査察。結果、一時的にではあるがS.O.N.G.の全機能は不全となり、無力化するのであった。
特別警戒待機を、休息という名目にて強制される装者たち。特に困惑するのは、遊びを知らぬ者たちであったが、その解消と気晴らしに響は、先日に断られたばかりのレクリエーションを決行し、市街へ響と響の幼馴染である小日向未来、そして翼とキャロルと瓜二つの容姿を持つエルフナインは向かう。だが、弱き人を守れなかったと自分を責める翼の表情は暗くらいまま。さらに、誰もが耳を逸らしていた間に交わされた響の気安さが未来を傷つけてしまう。しかし、会話の最中に通信機にあるノイズが出現と連絡が入り、一番近い位置にいる響と翼に討伐命令が下る。戦闘一時終了後、響は未来に電話をかけるが、エルフナインと避難している最中で電話に出れずにいた。そんな二人をミラアルクが追跡し、そこに査察官も現れる。チフォージュ・シャトー跡地で研究施設を使うために必要であるエルフナインを狙う。未来はエルフナインを守ろうとするがミラアルクの爪が一閃。大量の血が吹き出す。

EPISODE 06「ゼノグラシア」

ミラアルクに未来とエルフナインが襲われ、血が吹き出した後現場には血痕だけが残されていた。響と翼は愕然とする。どうやら先程の戦闘は、未来とエルフナインを襲うことだったようだ。攫われたエルフナインが目を覚まし、ミラアルクが爪を振るった相手は査察官だと言うことが分かった。
解体途中のチフォージュ・シャトーに、物質化顕現マテリアライズを果たす神の力。それはシェム・ハの腕輪から抽出された、余りにも不気味で巨大なエネルギー塊。設置されたジェネレイターを稼働させたのは魔眼に弄られたエルフナインであり、数多に廃棄されたオートスコアラーの躯体に残存する想い出であった。未来はシェム・ハの腕輪のところに連れて行かれ、原罪を解かれた未来を使って神の力の具現化をしようとするつもりのようだ。
証拠物品を手に入れたことがヴァネッサに気付かれてしまい、ヴァネッサが襲撃に来る。クリスとマリアが駆けつけヴァネッサを追い詰める。その時、チフォージュ・シャトーが光を放ち、謎の物体が浮かび上がってくる。

EPISODE 07「もつれた糸を断ち切って」

フォージュ・シャトーへ向かう装者達。
エルフナインは、廃棄されたオートスコアラーたちを再起動させる。解放されたエネルギーが想定よりも大きく、チフォージュ・シャトーから光が放たれ、神の幼体が出て来てしまい、強烈なエネルギーで攻撃される響。気合で振りほどくが、力を使い切って変身が解けてしまう。神殺しの響の力無くして敵を倒すことは出来ない。翼は、撤退を判断する。
その頃、用済みとなったエルフナインを始末しようとするヴァネッサ。助けを求めるエルフナインの前に、オートスコアラーのファラが現れて手刀を防ぐ。新調したばかりの右手を破壊されてしまうヴァネッサ。目覚めたのはファラだけではなく、レイア、ミカ、ガリィも目覚め、ノーブルレッドに一撃を与える。元々は廃棄躯体だったが、エネルギーとして利用しようと棺の中に入れていたが、チフォージュ・シャトー再起動とエルフナインの叫び声に反応し動き出した。そして、未来を助けに行くので応援を寄越して欲しいと頼む。だが、守ってくれるオートスコアラーたちは全滅してしまう。追い詰められたエルフナインは、錬金術を発動してヴァネッサの攻撃を防ぐ。更に、魔法陣から聖遺物ダウルダブラの破片から錬成されたプロテクター、ダウルダブラを呼び出し纏う。

EPISODE 08「XV」

再誕を果たす錬金術師のキャロル。スフォルツァンドに残響する奇跡殺しの錬金術は、ノーブルレッドらを蹴散らしていく。その間にも神の力は、神そのものへと至ろうと、侵蝕のまさぐりを緩める事は無かった。
エルフナインは、キャロルに未来を奪還して欲しいと頼み、装者達がシェム・ハを倒し、キャロルが未来を救うと言う策を練る。
シェム・ハを倒すためには、チフォージュ・シャトーに眠る聖遺物を起動させ負ければならない。その為には大量のフォニックゲインが必要。そして大量のフォニックゲインを発動する為には絶唱が必要だ。響が負傷中の中、命を燃やして5人で放った絶唱は、チフォージュ・シャトーに呼応しなかった。そんな時、響が参戦し響を守る為に盾になり、次々と散っていく装者達。アマルガムを発動し、シェム・ハの頭部の結晶を貫き内部へ。内部に到達した響が目にしたのは、シェム・ハに吸収されてしまった未来だった。

EPISODE 09「I am a father」

伸ばした手も虚しく、遠ざかる未来に向かって叫ぶ響。陽だまりはここに踏み躙られ、物語は約束された残酷に向かって加速しはじめる。
シェム・ハとなった彼女は月を睨みつける。その時、急に苦しみ出しす。それは、「器」が人間である以上、避けられぬ間隙に抉りこんだ訃堂の外道策。神を繋ぎ止めるベく用意された拘束具「神獣鏡のファウストローブ」が依り代の神経を掻き乱す。さらに、起動した刻印に突き動かされた翼は、動けぬシェム・ハを抱えて戦線を離脱。翼は訃堂の元に向かうと、訃堂にこれから神になった未来を、ダイレクトフィードバックシステムの精神制御で操ると告げる。
未来を見て哄笑を上げる訃堂を見て、翼は自分が正しいことをしているのかと葛藤し始める。訃堂は翼の様子から内面の葛藤を見抜くと、歌では世界を救えぬと言い、翼に発破をかける。
一方、本部のマリアは招集を受けて、司令室に行くと風鳴宗家への突撃する作戦に参加してほしいとS.O.N.G.の司令官風鳴弦十郎と、日本の安全保障を影から支える内閣情報官であり、弦十郎の実兄の風鳴八紘に頼まれる。
作戦の概要説明中に殺害も許可されていると聞くとマリアは驚愕する。マリアは弦十郎たちに家族が家族を殺すなんて間違っていると叫ぶと、翼を連れ戻すと宣言する。
八紘、弦十郎、緒川、マリアは黒服たちを引き連れ風鳴宗家に突撃する。門を開くと中には大量のアルカノイズがおり、突撃する黒服たちを襲う。マリアが黒服を襲うアルカノイズを倒していると翼が現れ、斬り合いになる。マリアにアルカノイズを任せて宗家の奥に向かった弦十郎も、訃堂と戦闘に。マリアは翼に押されつつ、翼の心の弱さを見抜くと、翼は崩れ落ちて顔を手で覆う。一方、弦十郎は訃堂を追い詰めるが、殺さないように手加減したところを突かれ、地面にめりこむ。
混乱に乗じて宗家に侵入したノーブルレッドの面々は、未来を制御下に置こうとするが失敗。訃堂はマリアに懐柔された翼を殺そうとすると、底に八紘が割って入り翼の身代わりに。激情に動かされた翼と訃堂の戦いになり、追いつめられアマルガムを武装した翼は、訃堂を殺す勢いで剣を下すと弦十郎に止められる。
アマルガムの無許可使用により謹慎処分となった響は、傷心に彷徨った果てに父親の洸の元を訪れる。父の後押しを受けると、司令部から謹慎解除を伝えられ、本部に向かう。

EPISODE 10「卑しき錆色に非ず」

屋敷の地下より屹立するは光、柱、そして玲瓏たるシェム・ハの姿。月がもたらすバラルの呪詛を憂うシェム・ハはマリアと対決するが、ユグドラシルの軌道に気を取られたシェム・ハの腕をマリアが捕らえる。だがそこで、シェム・ハの力の一端にて在り方を書き換えられ、以前よりも強大な力を手にしたノーブルレッドに攻撃される。時間稼ぎの役目も果たしたマリアは、これ以上の窮地に陥る前に撤退を試みるのであった。
解決には程遠く、さらに混迷が深まるばかりの状況は、不可抗力に離反した翼に特赦を下す。仲間から差し出された言葉と手は温かかったが、いまだ戸惑う翼には受け入れる事ができなかった。
シェム・ハの語った言葉より、次なる目的を月遺跡と絞り込んだS.O.N.G.は、米国特殊部隊を送り込む探査ロケットの警護と、その後に地下より伸長したユグドラシルの攻略と定める。だが、完全怪物と成り果てたノーブルレッドはシンフォギアを圧倒し、エルザはロケットを圧し砕く。調と切歌はエルザにアマルガムで追い討ちをかけるが、ロケットの破壊が目的であったため転移結晶を使い撤退しようとするノーブルレッド。転移先は敵の本拠地であり、そこへ行けば未来の元へ迎えると翼は考え一緒に転移しようと飛び込む。翼を追いかけ他の装者たちも後を追うのであった。

EPISODE 11「ハジメニコトバアリキ」

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