モーレツ宇宙海賊(ミニスカ宇宙海賊)のネタバレ解説・考察まとめ
『モーレツ宇宙海賊』とは、笹本祐一による小説『ミニスカ宇宙海賊』を原作とするスペースオペラ作品で、2012年にテレビアニメとして放送された。
普通の女子高生・加藤茉莉香が、宇宙海賊船・弁天丸の船長だった父親の跡を継ぎ、現役女子高生のミニスカ宇宙海賊として活躍する。
海賊船の仲間達と共に、政府公認の海賊行為で大暴れするSFスペースオペラ大活劇。主人公・茉莉香と個性的な仲間達が宇宙で海賊行為を働き、’突発的に発生する難題を次々と解決していく様が痛快な作品である。
『モーレツ宇宙海賊』の概要
『モーレツ宇宙海賊』とは、笹本祐一原作の小説『ミニスカ宇宙海賊』をもとに制作されたスペースオペラアニメ。『ミニスカ宇宙海賊』は、朝日新聞出版より2008年10月から2014年8月、新装版となってからはKADOKAWAより2018年12月から2019年5月まで出版された。
テレビアニメ『モーレツ宇宙海賊』は2012年1月から6月まで全26話放送。2014年2月には劇場版『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-』が公開されている。
合法的に宇宙海賊行為が行われる世界が舞台。本作に登場する海賊は政府から「私掠船免状」を受けた存在だ。暴力的な行為や金品の強奪は一切なく、襲われることに価値観を見出している。
主人公は「海明星(うみのあけほし)」にある白凰女学院の1年生・加藤茉莉香(かとうまりか)。部活や勉学に励む普通の女子高生だったが、父親が弁天丸という海賊船の船長であることを知ってから状況が一変した。
父親から私掠船免状を継承して船長となってからは、弁天丸の仲間達と広大な宇宙を冒険することになる。全体的にコミカルで入り込みやすい設定になっており、電子戦や砲撃戦など緊迫感のあるストーリーが好評だ。『モーレツ宇宙海賊』は「ニュータイプアニメアワード2012」のメカデザイン賞で1位になった他、女性キャラクター賞で加藤茉莉香が5位に入賞、TV部門の作品賞では6位に入賞、「第44回星雲賞」ではメディア部門に入賞するなど世間的な評価が高い作品となっている。
『モーレツ宇宙海賊』のあらすじ・ストーリー
宇宙海賊との出会い編
海明星(うみのあけほし)という星に住む女子高生・加藤茉莉香(かとうまりか)の家に、ある日の夜に宇宙海賊を名乗る見知らぬ男女(ケイン・マクドゥガルとミーサ・グランドウッド)が訪ねてきた。茉莉香の母親と面識のある彼らは、父親で海賊船弁天丸の船長・ゴンザエモン加藤芳郎の死によって空席となった弁天丸船長を、娘である茉莉香に継いでもらいたいと言う。茉莉香は断るが、翌日ケインとミーサは茉莉香が通う白凰女学院に、教師として赴任してきた。大型船の免許を持つケインはヨット部の顧問に就任し、ヨット部の練習船オデットll世(太陽光のエネルギーシステムで動く宇宙船)で練習航海を行うことになる。
茉莉香とヨット部員のチアキ・クリハラが練習航海の当直をしていた際、プレアデス級宇宙戦艦アルシオン(120年前に沈没したはずの宇宙船)らしき船から通信妨害を受けるが、反応は一度だけで完全に消えてしまった。
不安を覚えた茉莉香はヨット部員達に相談し、自らの正体が弁天丸の船長であることも明かす。話し合いの結果、幽霊船が潜むならオデットll世の航路上にあるタウ星(太陽系に似た恒星)が怪しいという推測に至った。部長のジェニー・ドリトルーに意見を求められた茉莉香は、自分達だけで幽霊船を撃退することを提案する。
女子高生宇宙海賊誕生編
幽霊船だと思った敵船は、オデットll世の乗っ取りを画策するライトニング11だと判明した。
ライトニング11から送られた電子妨害と降伏勧告を拒否したオデットll世は、光学照準のビーム砲を利用しライトニング11の目眩ましに成功。
敵船が反撃出来ない間にやって来たのは、援軍の海賊船弁天丸と海賊船バルバルーサだ。チアキはバルバルーサの船長の娘であることを名乗った。3隻の船を前にライトニング11は捕まり、女子高生チームの勝利となる。
合宿演習航海が終了した後、茉莉香は母親の莉理香に宇宙海賊になると宣言した。
謎の侵入者の目的編
豪華客船シンフォニーエンジェルの襲撃依頼を終えた弁天丸だが、電子戦担当のクーリエのミスで、弁天丸のシステムが謎の密航者にハッキングされてしまう事態が発生する。密航者の正体は、セレニティ王家第7正統皇女のプリンセス・グリューエル・セレニティだった。
黄金の幽霊船を見つけて欲しいと話すグリューエルだが、協力者の存在を疑った茉莉香はグリューエルを白凰女学院の中等部に入れることにする。グリューエルの密航後、当分は海賊営業はないと思われたが、突然依頼が入ったことで茉莉香はグリューエルやケインと共に急いで学校に向かう。肝心の依頼内容はタウ星系周辺の不審船調査で、グリューエルは黄金の幽霊船情報を持つセレニティ星系軍の軍艦ではないかと話した。
セレニティ王宮の異変編
不審船の正体はセレニティ軍艦だったが、複数のセレニティ軍艦が何故か同じ国同士で交戦状態に入っていた。船長代理のグリューエルの一喝で戦闘状態は解消。傷付いた一隻の軍艦から黄金の幽霊船の情報を持って現れたのは、枢密院侍従長のヨートフ・シフ・シドーと近衛隊小隊長のキャサリンだった。
後日、2人が持っていた情報を解析したところ、民を運んだ大昔の移民船が幽霊船の正体だと判明。弁天丸は早速黄金の幽霊船探索に乗り出すことになる。
幽霊船を追う為、観測ブイが反応した6光年先にある場所に向かう途中、ダスト避けに発射したミサイルの照準のずれにより、空間の歪みが発生してしまう。対象の幽霊船には逃げられ、入れ替わるように現れたセレニティの3つの船団と戦闘状態に入った。お互いの船がすれ違う際に近距離の砲撃戦が始まるが、セレニティ艦隊は深追いすることなく退却。セレニティ艦隊を追跡する為、急遽弁天丸は進路を変更することになる。
グリュンヒルデ・セレニティからの警告編
超高速跳躍航行した先に現れたのは、黄金の幽霊船とセレニティ艦隊だ。弁天丸が到着した直後、突如セレニティ防衛軍宇宙艦隊旗艦に搭乗しているセレニティ連合王国の第8正統皇女のグリュンヒルデ・セレニティから交信が入る。姉であるグリューエルに退却を促し、先に黄金の幽霊船に乗り込むと宣言。グリュンヒルデからの警告を無視した弁天丸は、幽霊船へと近づいていく。
黄金の幽霊船はクイーン・セレンディピティという船で、初代クイーン・セレンディピティに該当する大昔の船だった。幽霊船に着艦した弁天丸だが、同時に幽霊船に閉じ込められてしまう。
弁天丸から幽霊船内部に入った茉莉香達は、中枢にあるバラの泉を発見。セレニティ王家の遺伝子が保管されているバラの泉は、王族の血筋を絶やさない為の人工子宮だった。セレニティの最初の王はバラの泉から生まれ、代々血筋を保ってきた歴史があることから、グリュンヒルデは失われた王家の栄光を取り戻したいと言う。
妹の言葉にグリューエルは、血筋だけでは民が王宮を必要とするようになることはないと断言。バラの泉を持ち帰ろうとするグリュンヒルデと、壊すことで王宮の血筋を絶とうとするグリューエルは対立するが、最後の血筋を産み落としたバラの泉は、自らの機能を停止させていた。
弁天丸とセレニティ一行は、幽霊船を母星・セレニティ星に帰還させ、国民の前で大々的に発表。王宮の血筋は絶えたが、これからは王宮の人間が新しいセレニティの時代を作ることが出来る。グリューエルとグリュンヒルデは互いに手を取り合い、セレニティの繁栄を目指すことにした。
海賊狩り発生編
白凰女学院ヨット部では、引退するリンの後釜として茉莉香が新部長に就任することになった。ヨット部一同が3年生追い出し航行の計画を練る一方で、不審な船が無差別の海賊狩りをしているという情報が入る。
私掠船免状の更新期限が迫っている弁天丸には、海賊営業をしないという選択肢はない。茉莉香は海賊船ビックキャッチの護衛をすることを考えるが、ビックキャッチは突如現れた謎の船の攻撃を受けて航行不能にまで追い込まれてしまう。
ビックキャッチ脱落の直後に現れたのは、銀河帝国所属の海賊船パラメラム号だった。
クォーツ・クリスティアとの対面編
ビックキャッチ襲撃を機に海賊狩りへの危機感が増した茉莉香は、海賊同盟を実現させる為に伝説の料理人の息子で、新奥浜空港の中華レストランのコック長・銀 九龍(イン・クーロン)に協力を要請。父親から譲り受けたという無線機で、海賊招集の歌を流してもらうことに成功する。
海賊達が集まる可能性が高い海賊の巣に弁天丸が向かおうとした時に、海賊狩り・グランドクロス号(正式名称は機動戦艦グランドクロス試作α号)が突如として立ちはだかった。グランドクロス号を前に戦闘態勢になる弁天丸だが、敵船が圧倒的有利な状態の中で勝てない勝負をしないことを選択して撤退。船の修理や海賊達との海賊会議をする為、海賊の巣に入港する事になる。
会議まで3日の猶予があることから、弁天丸クルーは船の修理や海賊艦隊の対策で動き出すが、海賊の巣内で遭遇したのはスパイに情報を流させ、自らステルスを駆使して茉莉香に会いに来たグランドクロス船長のクォーツ・クリスティアだった。
エピローグ編
クォーツの挑発に乗る茉莉香の前に姿を現したのは、銀河帝国女王の命を受けてクォーツを迎えに来た鉄の髭だ。抗議する茉莉香だが、鉄の髭はクォーツを連れて彼女の前から姿を消してしまう。
一難去ってから始まった海賊会議では、政府公認のやり手の海賊達が共闘することでまとまった。
グランドクロスとの最終決戦では、海賊連合の共同戦線が功を奏し、敵船のブリッジに到達することに成功。勝負がついたことを知ったクォーツは脱出し、彼女の船・グランドクロスも自爆して海賊連合の勝利に終わる。
戦いの後、グリューエルに仕事を依頼された鉄の髭の正体は、茉莉香の父親であるゴンザエモンだと判明。短時間とはいえ、久しぶりに父子が再会したことになる。
最終決戦を無事に終えた弁天丸だが、特別なことは何も考えていない茉莉香は、当分の間は女子校生海賊を続けることにすると断言した。
『モーレツ宇宙海賊』の登場人物・キャラクター
主要人物
加藤茉莉香(かとうまりか)
CV︰小松未可子
『モーレツ宇宙海賊』の主人公。鯨座宮たう星系の海明星にある白凰女学院高等部に通っている。ヨット部所属で学業成績は優秀で、初等部から無遅刻・無欠席を継続してきた。
宇宙機の操縦シミュレーション成績も良好な秀才だが、親友の遠藤マミ(えんどうマミ)だけは加藤茉莉香(かとうまりか)が努力家であることを知っている。宇宙海賊船・弁天丸船長の地位を父親から引き継いだ後は、授業をまともに受けられない日が続き成績が下がるが、最終的には成績上位に返り咲いた。
ポジティブな性格であり、例え困難に見舞われても逆に状況を楽しんでしまう。固定概念や常識に囚われない柔軟な発想の持ち主で、何事にも躊躇せずに行動に移せる為、弁天丸クルーからの信頼度は高い。
アニメ版では、オデットII世の主操舵を担当。リン・ランブレッタ卒業後には白凰女学院ヨット部の部長に就任し、個性豊かな部員達をまとめ上げた。
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目次 - Contents
- 『モーレツ宇宙海賊』の概要
- 『モーレツ宇宙海賊』のあらすじ・ストーリー
- 宇宙海賊との出会い編
- 女子高生宇宙海賊誕生編
- 謎の侵入者の目的編
- セレニティ王宮の異変編
- グリュンヒルデ・セレニティからの警告編
- 海賊狩り発生編
- クォーツ・クリスティアとの対面編
- エピローグ編
- 『モーレツ宇宙海賊』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 加藤茉莉香(かとうまりか)
- チアキ・クリハラ
- 加藤家
- 加藤梨理香(かとうりりか)
- ゴンザエモン 加藤芳郎(ゴンザエモン かとうよしろう)
- 弁天丸
- ミーサ・グランドウッド
- ケイン・マクドゥガル
- 百眼(ひゃくめ)
- クーリエ
- シュニッツァー
- ルカ
- 三代目(さんだいめ)
- バルバルーサ
- ケンジョー・クリハラ
- その他の海賊関係者
- ストーン
- ジョン
- リリカル・シニカル
- 鉄の髭
- フェイ
- シェイン・マクドゥガル
- 白凰女学院の生徒
- 遠藤マミ(えんどうマミ)
- ジェニー・ドリトル
- リン・ランブレッタ
- 白凰女学院のヨット部員
- タルヴィッキ・ラウノ
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- 『モーレツ宇宙海賊』の用語
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- スカラー・ルート
- ステラ・スレイヤー
- ハロルド・ロイド保険組合
- 企業連合体ラキオン
- 『モーレツ宇宙海賊』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 加藤茉莉香「私、なるよ。船長に。宇宙海賊に、私、なります。」
- 加藤茉莉香「弁天丸船長、加藤茉莉香です。海賊しに来ました。よろしくお願いします。」
- 加藤茉莉香「弁天丸、行きましょう!」
- 『モーレツ宇宙海賊』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 大人の事情によるタイトル変更(アニメ版)
- 放送開始時点でストーリーが全話完成
- 世界観に笹本祐一原作の『ARIEL』との共通点が存在
- 『モーレツ宇宙海賊』の主題歌・挿入歌
- オープニングテーマ︰ももいろクローバーZ『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』
- エンディングテーマ︰ももいろクローバーZ『LOST CHILD』(第1話 - 8話、第10話、11話、14話、15話、第17話 - 25話)
- イメージソング(エンディングテーマ)︰小松未可子『Black Holy』(第9話、第12話、第16話)
- ゲストエンディングテーマ︰小松未可子『透明な夜空 〜瞬く星に包まれて〜』(第13話)
- ゲストエンディングテーマ︰小松未可子『未來航路』 (第26話)
- 挿入歌︰小松未可子、花澤香菜『海賊の歌(茉莉香とチアキ)』(第25話)