砂時計(漫画・テレビ・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『砂時計』は、漫画家・芦原妃名子による少女漫画、およびそれを原作としたドラマ、映画である。単行本全10巻、文庫全5巻からなる。主に本編は8巻までで、9・10巻はオムニバス集になっている。
両親の離婚により、島根に引っ越してきた主人公・杏と、島根で育った大悟の切ない14年間の大恋愛を描いた少女漫画。舞台は主に島根と東京で、遠距離恋愛を経て、再度2人は再会し結ばれることになる。
ドラマ化・小説・映画化され、様々な形で作品に触れることができる。島根の方言が印象的で、方言ブームに火をつけた。

北村 広子(きたむら ひろこ)

ドラマ版演:大島蓉子
映画版演:立石涼子
大悟の母親。杏の母親・美和子とは高校の同級生でコーラス部に所属。おおらかで温厚、大悟には厳しい。

『砂時計』のドラマ概要

2007年3月から6月までTBSで全60話放送された。主題歌には柴咲コウの「ひと恋めぐり」が使われた。

展開に関する漫画との相違点

漫画では、杏の母親の自殺に杏が心を病んだり、作品を通して杏の心に傷を残しているが、ドラマでは恋愛が主体。そのため、母親の自殺も1エピソードのように描かれている。ドラマの後半は漫画と相違ないストーリーとなっている。
漫画の始まり方は、26歳の杏が婚約者・佐倉圭一郎の海外赴任についていくために準備をするシーンから描かれるが、ドラマでは過去と現在を行き来しているように描かれる。

登場人物と設定に関する漫画との相違点

登場人物:ドラマでは、オリジナルキャラクターで大悟の婚約者・新藤あかねという人物が登場する。
杏の両親の離婚の仕方:違う形で描かれており、漫画では協議離婚、ドラマでは父親が離婚届を置いて失踪。そのため、美和子の自殺した時も事実が父親に伝わるのが遅くなっている。
大悟の実家:漫画では普通の民家、ドラマでは焦点に設定され、みんなのたまり場という形。
楢崎歩と大悟:漫画では別の高校に進学、ドラマでは同じ高校、楢崎歩が転校し、また戻ってきて再会という設定。
藤の居候先:藤は高校時代に実家を出て上京している。漫画だと親戚の家に下宿している。ドラマだと1人暮らしをしている。
杏の祖母・美代子の死:漫画は杏の祖母・美代子の死はない。

『砂時計』の映画概要

中高生時代の杏を夏帆、大人になってからの杏を松下奈緒が演じ、W主演で2008年4月に全国で公開。「ずっと一緒にいたかった。」というキャッチコピーで原作を表現。
主題歌はいきものがかりの「帰りたくなったよ」が使われた。

登場人物と設定に関する漫画との相違点

登場人物:大幅に削られており、楢崎歩や父の再婚相手・黒木楓、その娘・千衣、杏の東京の友人などは登場しない。
時間軸:12歳から始まっている14年間のラブストーリーが漫画の設定だが、Wキャストということもあり、14歳から始まる12年間の物語になっている。
砂時計のたとえ話:砂時計を人生に例える話を漫画では祖母・美佐代がするが、映画では母・美和子がする。
杏と大悟の出会い:漫画では杏と大悟は外で出会っているが、映画では大悟の父親がトラックの中から杏に声をかけ、トラックの中で出会っている。
母・美和子の自殺:美和子は勤め先で倒れた後、直後に自殺しているが、漫画では正月を迎えるシーンが描かれている。
壊れた砂時計:杏が、母・美和子の自殺の後形見である砂時計を壊すシーンがある。その砂時計を漫画では大悟が新しいのを買って渡すが、映画では壊した砂時計を直して渡す。
大悟にもらった砂時計:大悟がくれた砂時計を漫画では杏が26歳まで持っているが、映画では杏が父親と上京する前に大悟に渡し、26歳まで杏ではなく大悟が持っている。
杏と大悟の再会:破局した後の2人は漫画では20歳のころに一度再会している。映画では、26歳まで1度も再会シーンはない。
藤の大人になってから:藤が大人になってからは登場しない。

『砂時計』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

大悟「大事に想っとった気持ちを消そうとすんな オレがずっと一緒におっちゃるけん」

杏の母親・美和子が自殺し、悲しみと支えられなかったやるせなさから、母親の形見である砂時計を母親の遺影に投げつけ、杏が壊してしまう。その後、仁摩サンドミュージアムで大悟が同じものを買ってきて、杏に渡す。
1番の胸キュンシーンとなり、方言も相まって読者の心に刺さった。

藤「二度目三度目があるから『初恋』っつーんだよ!一度で終わらすな!!」

杏は大悟と別れた後も、好きで好きで仕方なかった大悟のことを引きずっていた。杏のことを思い続けていた藤からの告白。これを機に2人は交際を始める。
初恋を引きずっている主人公に向けて自分のことを見るように言うセリフで、藤君ファンの中で言われてみたい言葉ナンバーワン。

杏「物語に終わりは必ずくるけれど それでも君となら 『永遠』を信じてみたくなる」

杏の母・美和子の自殺が、杏の心に大きな傷を残す。そんな中でも、杏を支えてくれた大悟に向けた気持ちがあふれた。
杏は母の自殺をきっかけに物事には終わりが来ることを知り、だからこそ出てくる言葉。杏と大悟を応援したい人に支持される。

朝ちゃん「知ってる?『恋愛船』の定員は、ジャスト2名だよ。余計なもん持ち込んだら、沈むよ」

杏が父親と住み始め、上京したことをきっかけに遠距離恋愛になった杏と大悟。杏に片思いしている藤は、島根から東京の学校に進学したので上京し、杏のそばにいられる。そんな状況の杏に東京での親友・朝ちゃんが悩みを聞く。
異性の友人との距離感に悩む人たちに響く言葉。

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@bbman4

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