宮本武蔵(バガボンド)とは【徹底解説・考察まとめ】

宮本武蔵(みやもとむさし)とは、井上雄彦の漫画『バガボンド』の主人公。本名は、新免武蔵(しんめんたけぞう)。親の愛情を知らずに育つ。自我が強いために周囲との争いが絶えず、幼少の頃から孤独と隣り合わせで生きてきた。体格に恵まれており、獣のような殺気を漂わせている。関ヶ原の合戦に参加するが敗北を喫し、帰路で人を多数斬ったところを沢庵宗彭(たくあんそうほう)に捕縛された。この出会いを機に剣の道に目覚め、天下無双を目指すことになる。その途上で多くの人物との出会いや戦を経て、人間として大きく成長していく。

宝蔵院にて、胤舜に完敗した武蔵に刀と着物を授ける。
胤舜の強化という目的あっての事とはいえ、武術を教えるため、武蔵に稽古をつけた。
普段は、農作業や漬物を作ったりと、穏やかな生活をしているが、武蔵が驚くほどの殺気を放つこともある。
亡くなった後は、武蔵の深層心理に出てくるようになる。

武蔵に影響を与えた胤栄の言葉

「お前自身の殺気が出会うものすべてを敵にする。他人はそれを映す鏡にすぎぬ。そしてそれはお前自身が仕立て上げた敵にすぎぬ」
常日頃から無自覚に殺気を放つ武蔵に指摘する場面。

「天下無双とはただの言葉じゃ」
天下無双と言う言葉に囚われているうちは、本当の意味での強者にはなれないという言葉。この言葉を言われた武蔵は理解できずに難しい顔をする。

「海を泳いでる最中には海の広さはわからんよ」
まさに今、天下無双を追い求めている最中の武蔵に言った言葉。この後に、身近にある一番高いと思い込んでいる崖を登りきるが、頂上からの景色はさらに高い崖が多数あった。上には上がいることを感じ、にやける武蔵であった。

宝蔵院二代目・胤舜(ほうぞういんにだいめ・いんしゅん)

幼いころから、天才と称えられる。故に同等の力を持つ者との命のやり取りを欲している。
訪ねてきた武蔵と戦い、圧倒的な力で、彼が逃げ出すほどの恐怖を与えた。
胤栄による稽古で成長した武蔵と再戦するが、力は互角で共に倒れ「次合うときは命を奪い合うことなく」と言った。

柳生石舟斎(やぎゆうせきしゅうさい)

武芸者からは天下無双と呼ばれているが、お茶目な性格で勝負ごとに負けると、子供のように駄々をこねる。
おつうを世話役として、近くに置きかわいがっている。
柳生石舟斎を標的としていた武蔵に天下無双とは何かを教え、彼に尊敬に値すると認めさせた武の先人。
老衰で亡くなった後は、武蔵の深層心理に出てくるようになる。

すべて見透かすような目で武蔵を見る柳生石舟斎。

武蔵に影響を与えた柳生石舟斎の言葉

「天下無双とはただの言葉じゃ。考えれば考えるほど、見よう見ようと目を凝らすほど答えは見えなくなる。だから目を閉じよ。お前は無限じゃろ?」
天下無双とはなにかという武蔵の問いに答える柳生石舟斎。
天下無双を手に入れた剣術家など居ないということ。ありもしないことについて考えるのなら、目を閉じた方が視界が広がる。存在するのは、日々の斬り合いにて、生き残った者と死んでいくものがあるだけ。そしてこれは、斬り死にするまで続く訳で、そんな殺し合いの螺旋から降りる者も出てくる。

宍戸梅軒(ししどばいけん)

武蔵と対峙する宍戸梅軒。

本来の名は辻風黄平。宍戸梅軒とはすでに死亡している人物で、残された彼の子、龍胴(りんどう)と暮らし始めたことで、宍戸梅軒と呼ばれるようになる。
龍胴が使用していた鎖鎌を自らも習得する。
宍戸梅軒を訪ねてきた武蔵と戦うも敗れ、梅軒は「殺し合いの螺旋から降りる」と命だけは見逃してもらう。

宮本武蔵の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「うまくやろうとなぞるんじゃない。百回でも千回でも初めてのように。何も持たない赤ん坊のように」

強くなるにつれ、この先が見えなくなる武蔵だが、強さを求めるということを邪念として捉え、初めて剣を振るかのように一人稽古する武蔵。

「弱さを経てない強さはないでしょう」

何度かの敗北を経験し、自分を見つめなおし、心も洗練されている様子がうかがえる言葉。

「強くなりたいではなく、強く在りたい」

力を求めようとするのではなく、今現在の自分という芯を強く持つという意味合いを感じる言葉。宮本村に居た頃の武蔵とは別人になっている。

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