彼方のアストラ(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『彼方のアストラ』とは、篠原健太が『少年ジャンプ+』で2016年5月から2017年12月まで連載していた漫画、及びをそれを原作としたTVアニメ作品。
舞台は宇宙への往来が当たり前になった近未来。宇宙空間で何者かに狙われ遭難した、9人の少年少女のサバイバルを描く。宇宙船という閉鎖空間で、彼らを襲った犯人が仲間の中にいるというサスペンスと、仲間達との友情と恋愛を描く学園ドラマのような要素、そしてギャグが融合した作品となっている。
キトリー・ラファエリ「ずっとずっと、わたし素直になれなくて、友だちと上手くやれなくて」
フニがドラゴンに似た生物に掠われそうになった時に、落ちたら命を落とす程の高さの崖を飛び越え、命がけでフニを助けてくれたカナタに、キトリーが礼を言ったときの言葉。
それまで自分を慕ってくるフニとどう接して良いか分からず、フニを突き放していたキトリー。母親からの愛情を与えられず、使用人に育てられたことで、ワガママで他人に素直になれなくなっていた。キトリーは、そんな自分を姉だと慕いつきまとうフニをどう愛せば良いのかが分からなかった。
フニが掠われそうになったことで、はじめて「自分がフニを大切に思っていた」ことに気付いたキトリーは、カナタや仲間たちとも素直になれなかった自分に気付き、素直な気持ちを出すことが出来た。
はじめて素直な気持ちを表に出し、涙を流すキトリーが印象的な場面。
カナタ・ホシジマ「危険なのは、お互いが疑い合って、団結が崩れることだ」
「刺客」が誰なのかが判らず、疑心暗鬼になる仲間たち。しかしアストラ号の旅は続き、未知の生物や自然が襲いかかってくる。「刺客」を含め、全員が協力して危機に対処しなければならない。「今後一切犯人捜しは禁止とする」とキャプテンのカナタは宣言する。
シャルス・ラクロワ「未知の動物の背中に乗って、未開の荒野を走れるなんて、僕の夢が叶ったよ」
惑星シャムーアで見つけた、ダチョウのような動物の背中に乗ってシャルスが言った言葉。
何気ない一言だが、後に、王の若返りのための器として生まれ、「王の代わりに死ぬ」ことが自分の役割だと教えられてきたシャルスにとっては、本当に叶うはずのない夢だったことがわかる。「刺客」として「B-5班」の一員となったから、思いがけず夢が叶ってしまった。
ユンファ・ルー「私は、透明になりたいの」
食料採集などの作業で、他のメンバーの様に活躍することができないユンファ。ウルガーから「デカ女、役に立たない奴だ」と言われ、食料を節約する相談をしている時には、ルカからは「ユンファさんとかすごい食べそうだし」などと言われ深く傷つく。そしてユンファは「私は皆の役に立てない」と宇宙船から逃げ出してしまう。ユンファは、自身を探しにきたカナタに「失敗して目立つのもイヤだし、活躍して目立つのも苦手」だと語る。幼いころから母親に「目立つことをするな」と言われ続けた結果、ユンファは「透明になりたいと」思う様になってしまっていた。
積極的に人前に出たり、自分を表に出すのが苦手なユンファを象徴する言葉。
しかし、本当は「歌を歌いたい」と思い続けていた。「歌手になりたい」という夢も持っていた。「私は歌が好き。だってとても心が安らぐから」とカナタにも伝えるが、親から「自分を表現することは恥ずかしいことだ」と教えられ続けたユンファには、何もできなかった。
しかし、皆が毒にやられて倒れた時、何もできないユンファは歌を歌って皆を力づける。
ユンファの歌に勇気づけられた仲間たちは、カナタが解毒剤を取って戻るまで持ちこたえ、生き延びることができた。
このことをキッカケにして、ユンファは少しずつ仲間と打ちとけ、自分を表現することが出来るようになった。
ルカ・エスポジット「見くびってもらっちゃ困るな。仲間見捨てるほど腐っちゃいないっすよ」
ウルガーの兄はマルコ上院議員の疑惑を追っている途中で、ビルから転落して命を落としていた。それ以来、ウルガーはマルコ上院議員を「兄の敵」と考えていた。
そしてルカが「マルコ上院議員の息子」だと知り、兄が死んだことへの復讐として、ウルガーはルカを殺そうとしたのだった。
その時、地震により津波が発生してルカとウルガーは波に掠われそうになる。ルカはウルガーを助けようとするが、ウルガーは「自分を離せ」と言う。そんなウルガーに対してルカは「見くびってもらっちゃ困るな。仲間見捨てるほど腐っちゃいないっすよ」と言った。
これまでの旅で培われた絆の強さを感じさせる。
ザック・ウォーカー「俺の役割は冷静でいることだ。クルーが取り乱している時こそ、俺は冷たくなる」
アストラ号が崖に衝突したために動力ユニットが壊れ、航行不能になってしまった。「もう故郷には帰れない、死ぬまでこの惑星で暮らすしかない」と、皆が絶望に陥るなか、取り乱したキトリーに対してザックが言った言葉。
一見冷たく突き放すように感じるが、自分の役割をきちんと認識し、仲間が生き延びることが出来るようにと常に考えている。
カナタ・ホシジマ「俺たちは同じ運命の元に生まれて、一緒に苦難を乗り越えて来た家族じゃねえか!」
自分達がクローンであったことが分かり、自分達に本当の親がいないと知った仲間たち。ショックを受ける皆にカナタが「俺たちは家族だ」と告げる。
困難な旅を通して通い合った仲間たちは、血の繋がった家族以上の絆で結ばれている。
キトリー・ラファエリ「この旅であたしは変わった。それがうれしい」
いままで母親の敷いたレールの上を歩いてきた自分。しかし自分がクローンであることが分かって吹っ切れたとザックに語るキトリー。いつも強気なキトリーが本当は可愛らしい女性であることがわかる一言。
その後、ザックとキトリーの婚約が発表された。
カナタ・ホシジマ「助け合いながら、死にものグルイで一緒にやって来た俺たちを仲間じゃねえなんて言わせねえぞ!」
「刺客」だとわかり、開き直るシャルス。皆を殺すことにためらいはない、皆を仲間だとは思っていない、と言うシャルスにカナタが詰め寄って「助け合いながら、死にものグルイで一緒にやって来た俺たちを仲間じゃねえなんて言わせねえぞ!」と叫ぶ。
一緒に旅を続けてきたカナタには、旅の途中でシャルスが見せた表情や言葉から、シャルスが本当は生きたがっていることが分かっていた。
Related Articles関連記事
彼方のアストラの回収済み・未回収の伏線・謎まとめ
『彼方のアストラ』とは、日本の漫画家・篠原健太によるSFミステリー漫画。集英社のウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』で2016年5月から2017年12月にかけて連載していた。2019年にTVアニメ化している。単行本は全5巻。 主人公のカナタ・ホシジマ達は9人は宇宙船に閉じ込められてしまう。その中に自分達の命を狙う刺客がいることが判明し、犯人を見つけ、無事に故郷へ帰るために奮闘する。作中では多くの謎が散りばめられており、最終回までにその謎や伏線が鮮やかに回収されていると読者の評価が高い。
Read Article
彼方のアストラの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『彼方のアストラ』とは、篠原健太による漫画作品。 学校行事で惑星マクパへと向かったケアード高校B5班の生徒達だったが、突如現れた謎の球体に吸い込まれ、気が付くとそこは宇宙空間だった。偶然近くにあった宇宙船へと逃げ込んだB5班の9人は、現在地がマクパから5千光年の彼方である事実を知る。 宇宙で遭難した生徒達が力を合わせて5千光年を旅するサバイバルを描く漫画である。長い旅の中で数多くの名言も生まれている。
Read Article
SKET DANCE(スケットダンス)のネタバレ解説・考察まとめ
『SKET DANCE(スケットダンス)』とは、篠原健太によって、『週刊少年ジャンプ』で2007年から2013年まで連載された学園コメディ漫画である。2011年にはテレビアニメが放映された。ギャグを中心に、シリアスな面や謎解き要素など、様々なストーリーを楽しめることが魅力的な作品となっている。 開盟学園で生徒の学園生活をサポートする活動を行う学園生活支援部、通称「スケット団」。ここに所属するボッスン、ヒメコ、スイッチの3人を中心に、学校での様々な事件やハプニングの様子が描かれていく。
Read Article
ウィッチウォッチ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ウィッチウォッチ』とは、篠原健太による少年漫画。集英社出版の『週刊少年ジャンプ』にて、2021年10号より連載されているロマンティックコメディである。鬼の末裔であるモリヒトこと乙木守仁には、千年に一度誕生するといわれる魔力を持つ魔女の若月ニコという幼馴染がいた。その魔力を狙う黒魔女たちからニコを守るよう、彼女の母親から頼まれたモリヒト。こうしてモリヒトとニコの同棲生活は始まった。
Read Article
ウィッチウォッチの魔法まとめ
2021年から篠原健太によって『週刊少年ジャンプ』に連載されている『ウィッチウォッチ』。見習い魔女のニコが、幼馴染で鬼の末裔の乙木守仁、天狗の風祭監志、狼男の真神圭護、吸血鬼の霧生美晴と共同生活を送りながら、ドタバタした日常を過ごしていくファンタジー漫画である。作中ではニコの使用する魔法によって様々な予測不可能な事態が日常的に発生しており、それに巻き込まれる守仁たちの反応が大きな魅力となっている。本記事では『ウィッチウォッチ』に登場する魔法を紹介する。
Read Article
ウィッチウォッチの種族まとめ
篠原健太によって2021年から『週刊少年ジャンプ』で連載されている漫画『ウィッチウォッチ』。作中には修行中の魔女である若月ニコや、幼馴染で鬼の末裔である乙木守仁、天狗の風祭監志、狼男の真神圭護、吸血鬼の霧生見晴といった様々な種族のキャラクターが登場している。本記事では「魔女」「鬼」「天狗」「狼男」「吸血鬼」達が持つそれぞれの特徴や特殊能力をまとめた。
Read Article
ウィッチウォッチの必殺技・特殊能力まとめ
2021年から篠原健太によって『週刊少年ジャンプ』に連載されている『ウィッチウォッチ』。魔女見習いであるニコが、「鬼」「天狗」「狼男」「吸血鬼」という4人の「使い魔」と共にドタバタした日常を過ごしたり、彼らを取り巻く陰謀と戦っていくファンタジー漫画だ。4人の使い魔たちはそれぞれ特殊能力を持っており、日々襲い掛かる様々なトラブルに対処している。本記事では『ウィッチウォッチ』に登場する必殺技や特殊能力を紹介する。
Read Article
SKET DANCE(スケットダンス)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
「SKET DANCE」は、篠原健太によって「週刊少年ジャンプ」に連載された漫画作品。 学園生活支援部、通称「スケット団」は、生徒の楽しい学園生活を守る人助けの部活である。主人公であるリーダーの「ボッスン」は、「ヒメコ」と「スイッチ」の二人と共に、個性的な生徒達から舞い込む数々の相談事を解決していく。ギャグが軸でありながら、人助けにまつわる深い名言が数多く存在する。
Read Article
【人気漫画】2007年~2018年の週刊少年ジャンプ打ち切り・終了マンガまとめ!
2007年~2018年の間に『週刊少年ジャンプ』で打ち切り・終了したマンガをまとめました。作品は2007年1号以降に終了したものです。『銀魂』『BLEACH』『NARUTO』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』といったジャンプを代表するマンガはもちろん、残念ながら打ち切りになってしまった作品、内容は悪くなかったのに読者に響かなかった隠れた良作を紹介していきます。
Read Article
【空知英秋】『銀魂』×『SKET DANCE』のコラボ回の画像まとめ【篠原健太】
『週刊少年ジャンプ』誌上で連載されアニメ化も果たしたSF時代劇『銀魂』作者の空知英秋と、同じくアニメ化している『SKET DANCE』作者の篠原健太は、師弟関係である。 2011年、双方の作品がコラボレーション回を展開。互いの物語の舞台に互いの主人公一行が乱入して一騒ぎ起こしていくという内容で、そのハチャメチャな展開を「いかにも『銀魂』と『SKET DANCE』らしい」とファンは大いに喜んだ。
Read Article
【空知英秋】『銀魂』と『SKET DANCE』のコラボアニメへの反応まとめ【篠原健太】
「宇宙人にむりやり開国させられた江戸の町」を舞台に、攘夷戦争の英雄・坂田銀時の奔放な活躍を描く『銀魂』。開盟学園高等学校を舞台に、学生たちの困りごとを解決する"スケット団"の活躍を描いた『SKET DANCE』。それぞれの作者である空知英秋と篠原健太は、師弟関係であることが知られている。 この縁から、『銀魂』と『SKET DANCE』のアニメで双方のキャラクターが同時に登場するコラボ回が放送されることが決定。ファンの反応を紹介する。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『彼方のアストラ』の概要
- 『彼方のアストラ』のあらすじ・ストーリー
- 惑星キャンプでトラブル発生
- 星へ帰る旅
- B5班抹殺の理由
- 惑星アストラ
- 犯人の正体と動機
- B5班帰還
- 『彼方のアストラ』の登場人物・キャラクター
- B5班のメンバー
- カナタ・ホシジマ
- アリエス・スプリング
- ザック・ウォーカー
- キトリー・ラファエリ
- フニシア・ラファエリ
- ルカ・エスポジト
- シャルス・ラクロワ
- ユンファ・ルー
- ウルガー・ツヴァイク
- アーク6号の乗組員
- ポリーナ・リヴィンスカヤ
- B5班メンバーの家族
- レイ・ホシジマ
- エマ・スプリング
- オリーヴ・ラファエリ
- ジェド・ウォーカー
- マルコ・エスポジト
- フェリーチェ・ジェンマ
- ソフィ・ラクロワ
- ルーシー・ラム
- ゲルト・ツヴァイク
- フィン・ツヴァイク
- ヴィクシア王政地区
- ノア・ヴィクス
- セイラ
- マルク・ヴィクス
- その他
- ギンジ・チュウマ
- グレース警部
- 『彼方のアストラ』の用語
- 惑星アストラ
- アストラ号
- ケアード高校
- 惑星キャンプ
- 惑星マクパ(MACPA)
- 惑星ヴィラヴァース(VILAVURS)
- 惑星シャムーア
- 惑星アリスペード
- 惑星イクリス
- 惑星ガレム
- 地球
- ゲノム管理法
- クローン技術
- 記憶移植技術
- 人工ワームホール
- ヴィクシア王政地区
- クラストスーツ
- 第三次世界大戦
- 『彼方のアストラ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- カナタ・ホシジマ「くっそ嫌いなんだよ。絕望とかいう言葉!」
- ザック・ウォーカー「おい手を貸してくれ」
- アリエス・スプリング「あんなに怖かったのに、手をつないでいると宇宙ってキレイに見えます。」
- カナタ・ホシジマ「暗闇なら手を繋ぐしかねぇ」
- アリエス・スプリング「カナタさんは、仲間のために、命をかけられる人なんです」
- キトリー・ラファエリ「ずっとずっと、わたし素直になれなくて、友だちと上手くやれなくて」
- カナタ・ホシジマ「危険なのは、お互いが疑い合って、団結が崩れることだ」
- シャルス・ラクロワ「未知の動物の背中に乗って、未開の荒野を走れるなんて、僕の夢が叶ったよ」
- ユンファ・ルー「私は、透明になりたいの」
- ルカ・エスポジット「見くびってもらっちゃ困るな。仲間見捨てるほど腐っちゃいないっすよ」
- ザック・ウォーカー「俺の役割は冷静でいることだ。クルーが取り乱している時こそ、俺は冷たくなる」
- カナタ・ホシジマ「俺たちは同じ運命の元に生まれて、一緒に苦難を乗り越えて来た家族じゃねえか!」
- キトリー・ラファエリ「この旅であたしは変わった。それがうれしい」
- カナタ・ホシジマ「助け合いながら、死にものグルイで一緒にやって来た俺たちを仲間じゃねえなんて言わせねえぞ!」
- カナタ・ホシジマ「今、信用しねえでどうする!? 俺たちの旅は嘘だったのか!?」
- アリエス・スプリング「自分の目で世界を見て、考えて、疑って、本当の自分になるって、きっとそういうことなんだと思います。」
- アリエス・スプリング「困難を乗り越えて、その先へ。私たちは行くのです」
- 『彼方のアストラ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アストラ号のキャプテンを決める時、シャルスが「右腕」になると約束する
- アリエスの「映像記憶能力」は見た物すべてを記憶している
- タイトルの『彼方のアストラ』はダブルミーニングになっている
- アストラ号のブリッジに飾られていたプレートに書かれた格言「PER ASPERA AD ASTRA」
- アリエスとシャルスには共通点が多い
- OPムービーでアリエスの文字だけが逆さまになっている
- ルカが実は男でもあり女でもある、半陰陽であること
- 名前に見られるアナグラム
- 『彼方のアストラ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):nonoc『star*frost』
- ED(エンディング):安月名莉子『Glow at the Velocity of Light』
- 第4話挿入歌:ユンファ・ルー(CV:早見沙織)『Star of Hope』
- 第12話挿入歌;ユンファ・ルー(CV:早見沙織)『アストラ号の冒険』