Half-Life(ハーフライフ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Half-Life』とは、1998年11月にSierraから発売されたファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)。出現する敵をひたすら倒す流れが一般的だったFPSというジャンルに、謎解きやストーリーの要素を明確に与えた作品として知られている。物理学者「ゴードン・フリーマン」が勤務する研究施設「ブラックメサ研究所」は、実験中の事故により異世界「XEN」と繋がってしまう。そこから現れたエイリアン、事態をもみ消しに来た海兵隊らと戦いながら、フリーマンは施設からの脱出を目指す。
『Half-Life』の概要
『Half-Life』とは、Valve Softwareによって開発されたファーストパーソンシューティング(FPS)ゲームである。日本では、初期版はソースネクスト、Game Of The Year Edition以降のバージョンはサイバーフロントから発売された。非常に長く人気を誇っており、通常版の他にさまざまなバリエーションが存在する。
『Half-Life』は、FPSというゲームジャンルを大きく進展させた革新的なタイトルとされている。従来のFPSは、出現する敵をひたすら倒してステージをクリアしていくというものだったが、本作はそこに、「謎解き要素」「明確なストーリーとドラマ」を持ち込んだ。一人称視点ということを存分に活かし、ムービーやカットシーンを用いず、ゲーム中のすべての出来事を主人公であるゴードン・フリーマンの視点からのみ描くという手法は、多くのプレイヤーを作品世界に引き込んだ。特に、ゲームの説明ではなくゲームの舞台となる研究所「ブラックメサ」からフリーマンに届いた採用通知から始まるマニュアル、そして採用通知を受け取ったフリーマンがモノレールに乗ってブラックメサ研究所に向かうゲーム冒頭は印象的だ。
謎解きについても、あくまで現実的な問題提示と解法がある。例えば、普通のゲームなら「スイッチを押すとダメージ床が消える」とするところを、「漏電して通れない通路があるので、電源を切って漏電を止める」といったように、リアルさを失わないような工夫がなされている。こうした革新的な要素から、本作はFPSというゲームジャンルを大きく飛躍させた作品であると言えるだろう。
主人公である物理学者ゴードン・フリーマンは、ニューメキシコ州の地下に本部を持つ研究組織「ブラックメサ」の研究者として採用される。ブラックメサに到着したフリーマンは、早速防護服「H.E.V.スーツ」を着用し、他の研究者が見守る中、最初の実験に赴くこととなる。しかし、その実験中に事故が発生し、地球と異世界『XEN』が繋がってしまう。フリーマンは崩壊しかけたブラックメサから脱出すべく、異世界XENから現れたエイリアン、そして事件をもみ消すために送り込まれたアメリカ海兵隊と三つ巴の戦いを演じることとなる。
『Half-Life』のあらすじ・ストーリー
主人公、物理学者「ゴードン・フリーマン」は、ニューメキシコ州にある科学研究組織「ブラックメサ」に赴任することになった。地下深くに存在するその施設は、通常の科学研究以外にも、武器の開発や異次元への移動方法を研究しているという。モノレールに乗ってブラックメサに到着したフリーマンは、さっそく仕事を命じられる。防護服「H.E.V.スーツ」を身に着けて、巨大な装置のある実験室へ足を踏み入れるフリーマン。フリーマンはそこで、ブラックメサ所長であるブリーン博士の指示に従い、ブラックメサが研究の過程で異世界XENから入手した結晶性の試料GG-3883を実験室内の反重力分光計に挿入する作業を行なう。しかし、実験は失敗。凄まじい爆発が起こり、フリーマンは意識を失う。
意識を失ったフリーマンが見たのは、半壊した実験室だった。なんとか実験室から脱出するものの、研究施設は半壊しており、多数の死傷者が出ていた。施設はシステム障害に陥っており、外部へのコンタクト手段も失われている。さらに、実験の失敗によって地球と異世界XENが繋がってしまい、研究所の中にはそこから出現したエイリアンで溢れかえっていた。フリーマンは、生き残った科学者や警備員たちと協力しながら、地上への脱出を目指す。
異形のエイリアンたちと戦いながら、地上への脱出ルートを目指すフリーマン。やがて、命からがら地上へ脱出することに成功する。そこには輸送ヘリでブラックメサの地上部分に降下してきた海兵隊の姿があった。しかし、助けを求める研究者たちを、海兵隊は次々に射殺していく。それを目撃したフリーマンは、彼らの通信内容から、海兵隊の目的は救助ではなく、研究所の関係者を全員始末してこの事故を隠蔽することであることを知る。いったん地上に出たものの、海兵隊の空爆によって再び地下施設へと戻ることを余儀なくされるフリーマン。事態は、エイリアンと海兵隊、そしてフリーマンの三つ巴の戦いに発展していく。
ブラックメサ内部に侵入した海兵隊は、異世界XENから現れたエイリアンとの戦闘で大きな打撃を受け、撤退を余儀なくされる。施設が激しい空爆に見舞われ、さらにアメリカ大統領直属の暗殺部隊が送り込まれる中、フリーマンは異世界XENへの次元扉がある施設「ラムダ・コンプレックス」にたどり着く。生き残った研究者たちは、この一連の事件を終結させるには直接XENへと乗り込み、そこにいるエイリアンたちの親玉を倒さなくてはいけないと言う。XENのどこかに潜むエイリアンの親玉を倒せば、エイリアンの侵攻は止まるはずだ。フリーマンは、研究者たちによって強化されたH.E.V.スーツを纏って、XENへと向かう。
異形のエイリアンたちとの戦いを経て、フリーマンはついに彼らの指導者的存在である「ニヒランス」のもとへたどり着く。激しい戦いの末、フリーマンはニヒランスを撃破するが、その際に生じた凄まじい爆発をまともに受け、気絶してしまう。意識を取り戻したフリーマンの目の前にいたのは、背広を着た謎の男「G-Man」だった。どうやらこの一連の事件は、すべてG-Manが仕組んだもので、その目的はフリーマンが彼らの協力者としてふさわしいかを見定めることだったらしい。フリーマンから武器をすべて奪い拘束した上で、G-Manは自分に協力するか、さもなくば勝ち目のない戦いの最中に放り出すという選択を突きつける。フリーマンはG-Manに協力することを承諾する。そしてG-Manによって異次元空間に幽閉され、目覚めの時を待つことになるのだった。
ブラックメサは最終的に暗殺部隊の設置した核爆弾で消滅。事件は隠蔽され、わずかな生き残りを残して関係者はほぼ全滅した。
『Half-Life』の登場人物・キャラクター
ゴードン・フリーマン(Gordon Freeman)
本作の主人公で、マサチューセッツ工科大学大学院卒業の理論物理学博士で、年齢は27歳。本作の舞台となるブラックメサ研究所に研究員として採用され、モノレールでフリーマンが出勤する場面からゲーム本編が始まる。初仕事となる特異物質実験の最中、異次元との通路が開いてしまい、ブラックメサ研究所は崩壊し始める。フリーマンはそこから脱出を目指し戦いを始める。
フリーマンが着用しているスーツは、ブラックメサ研究所が開発した「Hazardous EnVironments suits Mark IV」、通称H.E.V.スーツ。ゲーム中では「ハザードスーツ」と呼称される。放射線をはじめ、毒物や低温、高温といった環境に対して高い防御効果に加え、鎮痛剤の投与やガイガーカウンターといった機能も持つ。防御効果を発揮するには充電が必要で、施設各所に設置されたチャージャーで充電ができる。フリーマンはこのH.E.V.スーツによって過酷な環境にもある程度耐えらえるが、彼自身はあくまで特殊な能力などを持たない一般人である。
最終チャプター「終焉」にて、G-Manに死ぬか自分たちの仲間になるかという選択を突きつけられ、仲間になることを選び、異次元空間に幽閉される。なお、シリーズを通して一切しゃべることがない。
G-Man
ゲーム中に度々現れる、濃紺のスーツに黒いアタッシェケースを持った謎の男。最初のチャプターである「ブラックメサにようこそ」で、フリーマンが乗っているのとは反対側のモノレールに乗っているのが確認できる。訛りのある英語を話し、年齢は40~50代と推測される。普通の人間ではないらしく、その姿を見かけて追いかけても、すぐに見失ってしまう。また、その言葉も抽象的で、真意を読み取るのは難しい。最終チャプター「終焉」にて、フリーマンに自分たちの仲間になるか否かの選択を突きつける。これを承諾したフリーマンを、G-Manは異次元空間に幽閉する。また、本編で起きた一連の事件はこのG-Manによって手引きされたものである。
その正体はゲーム中を通して明示的には示されておらず、その目的も不明。ファンからは未来人、異世界人、未来からやってきたもうひとりのフリーマンなどといった推測がなされている。
ウォレス・ブリーン(Wallace Breen)
ブラックメサ所長。ゲーム冒頭で、実験チームにC-33/a実験室の反重力分光計の出力を105%まで上げさせ、さらにゴードンにからXENから採取された結晶性の試料GG-3883を反重力分光計の中に押し入れるよう指示を与える。この実験によって、ブラックメサ内部と異世界XENが繋がってしまう事故が起こる。本作では冒頭部分しか出番はないが、続編となる「Half-Life 2」以降では、この事件をきっかけに地球へと侵攻してきた宇宙帝国「コンバイン」と手を組んでいる。
イーライ・バンス(Eli Vance)
ブラックメサの研究者でフリーマンの同僚。本作の事件によって片足を失うもののなんとか生き残り、続編である「Half-Life 2」でも登場する。
アイザック・クライナー(Issac Kleiner)
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目次 - Contents
- 『Half-Life』の概要
- 『Half-Life』のあらすじ・ストーリー
- 『Half-Life』の登場人物・キャラクター
- ゴードン・フリーマン(Gordon Freeman)
- G-Man
- ウォレス・ブリーン(Wallace Breen)
- イーライ・バンス(Eli Vance)
- アイザック・クライナー(Issac Kleiner)
- 研究員
- 警備員
- 『Half-Life』の敵キャラクター
- 海兵隊
- 暗殺者
- ヘッドクラブ
- ゾンビ
- バーナクル
- ハウンドアイ
- ブルスクイド
- リーチ
- スナーク
- テンタクル
- イクチオサウルス
- エイリアン・グラント
- エイリアン・コントローラー
- エイリアン・スレイブ
- ガルガンチュア
- ニヒランス
- 『Half-Life』のゲームシステム
- 基本的な流れ
- ゲームモード
- チャプター
- Half-Life DeathMatch
- 武器
- バール
- 拳銃(グロック17)
- マグナム(コルト・パイソン)
- マシンガン(H&K MP5)
- ショットガン(フランキ・スパス12)
- クロスボウ
- RPG
- ガウスガン
- グルーオンガン
- ハイブハンド
- 手榴弾
- リモコン爆弾(サッチェルチャージ)
- トリップマイン
- スナーク
- 『Half-Life』のスピンオフ作品
- Half-Life: Opposing Force
- Half-Life: Blue Shift
- 『Half-Life』のバリエーション
- 通常版
- High Definition Pack(HDパック)
- Half-Life: Source
- 規制版
- Black Mesa: Source
- 『Half-Life』の用語
- Black Mesa(ブラックメサ)
- XEN
- 『Half-Life』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「Portal」とのつながり
- 多数のMOD